~汚職事件~
都庁の土木課に勤務する公務員Aさんは、3年前から、東京都内で下水道工事を請け負う会社の社長に、東京都内で行われる公共工事の最低入札額を教える見返りに、社長から商品券等の金品を受け取っていました。
社長が警視庁に呼び出されて、贈賄罪で取調べを受けていることを知ったAさんは、汚職に関する罪に強い弁護士に、贈収賄事件を相談しました。(フィクションです。)
今日から3日間にわたって汚職に関する罪、贈収賄事件を東京の刑事事件専門弁護士が解説します。
公務員が、その職務に関して何か便宜を図る見返りに、賄賂を受け取れば収賄罪、賄賂を渡した側は贈賄罪となり、この様な事件を贈収賄事件といいます。
収賄罪は、刑法第197条に、贈賄罪は、刑法第198条にそれぞれ規定されており、収賄罪にはいくつかの態様があり、成立要件や法定刑が異なります。
~贈・収賄罪の意義~
贈・収賄罪の態様は、公務員による犯罪(収賄罪)と公務員に対する犯罪(贈賄罪)に別れます。
贈・収賄罪は、公務員の職務執行の公正を保持し、職務の公正に対する社会の信頼を確保することを本質としています。
~収賄罪の主体(公務員)~
収賄罪は身分犯で、その主体となるのは公務員に限られます。(公務員になろうとする者や、公務員であった者も含む)
この法律でいう公務員には、みなし公務員も含まれます。
~贈賄罪の主体~
非身分犯で、贈賄罪の主体に制限はありません。
~贈・収賄罪の客体~
贈・収賄罪の客体となる「賄賂」とは、公務員の職務に関する不正な報酬としての利益を意味します。
そのため、利益と職務行為の間に対価関係がなければなりませんが、この対価関係は、一定の職務行為との間に存在すれば足り、個々の職務行為との間に個別に存在する必要はありません。
賄賂の目的物は、有形、無形にとらわれず、人の欲望を満足させるものであればよいとされています。