給付金の不正受給をし、刑事事件化してしまった場合の刑事責任と刑事事件の展開について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説いたします。
給付金の不正受給で逮捕
東京都在住のAさんは、友人とともにコロナ禍で収入が激減した経営者を装い、帳簿を偽造することで架空の売り上げを計上し、中小企業庁に対して持続化給付金の申請を行い現金100万円を受け取りました。
しかし、その後の国税庁の調査により虚偽の申請とばれ、Aさんらは警視庁新宿警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
給付金の不正受給
帳簿の偽造などにより不正に給付金を受け取った場合、詐欺罪(刑法〈以下略〉246条1項)又は詐欺利得罪(246条2項)が成立する可能性があります。
人を欺き、誤信をさせ財物を交付させた場合(欺罔行為と言います。)には、詐欺罪が成立します。また、欺罔行為により支払いを免れるなど財産上の利益を得た場合には、詐欺利得罪が成立します。給付金詐欺の場合には、収入が激減した経営者であるという事実がないにもかかわらずそのように装って申請をしている点が欺罔行為として詐欺罪が成立する可能性があります。
また、特に官公庁に提出する文書や銀行口座など本人が誰であるかが重要になる文書で、申請書の名義人欄に架空の名前を使うなど、文書の作成者と名義人の人格の同一性を偽った場合には別途有印私文書偽造罪(159条1項)や偽造私文書行使罪(161条1項)が成立することもあります。
給付金の不正受給の刑事責任と刑事事件の展開
詐欺罪で起訴され、有罪判決が出た場合、10年以下の懲役が科されます。罰金刑が無く重い犯罪と扱われています。他方で有印私文書偽造罪・同行使罪で有罪判決が出た場合には3月以上5年以下の懲役が科されます。これらの犯罪は、私文書偽造罪と偽造私文書行使罪とが、偽造私文書行使罪と詐欺罪とが、手段・目的の関係にあるため牽連犯(54条1項)の関係にあり、重い詐欺罪の法定刑で処罰されることになります。
上記刑事事件例のように、詐欺罪で逮捕され起訴された場合、初犯や2・3犯であれば執行猶予がつくことが多いです。しかし、前科が多かったり被害額が極めて高額だった場合の他、社会的な影響の大きく一罰百戒のため厳罰が必要とされる事件の場合には実刑判決が出ることもあります。
不起訴処分を獲得したり、執行猶予を獲得するためにはいち早く不正受給したお金を返還し、自首をすることが必要です。自首する際の上申書の作成や自首後の刑を軽くする弁護活動のサポートには、刑事事件の弁護士を代理人に立てることを強くお勧めいたします。
給付金不正受給でお困りの方は
東京都新宿区で給付金不正受給による詐欺罪で逮捕され、又は自首を検討しお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部への無料法律相談をご検討ください。