薬物事件の使用・所持

薬物事件の使用・所持

薬物事件で問題となる使用(施用・吸食)と所持という罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
Xの配偶者である東京都世田谷区松原在住のAは、世田谷区内の会社に勤める会社員です。
Aはいつも自宅に帰ってくるのですが、その日は自宅に帰ってこず、Xが電話をするもAは電話に出なかったため、世田谷区内を管轄する北沢警察署に行って捜索願を出そうとしました。
すると、警察官から「とある薬物事件でAを逮捕しています。裁判所から通知が届くと思うので、それまで待ってください。」と言われました。
不安になったXは、薬物事件について調べることにしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【薬物事件の所持罪・使用罪】

我が国では、濫用により保健衛生上の危害を防止する等の目的で、指定した薬物について制限を設けています。
対象となる薬物と主な規制法は以下のとおりです。
※罰条は、単純所持罪、単純使用罪です。営利目的と認められた場合はさらに厳しい刑事罰が科せられます。

・覚醒剤:覚醒剤取締法
⇒アンフェタミンやメタンフェタミンと呼ばれる成分を含む薬物
昏睡やうつ病状態の改善などに用いる「ヒロポン錠」などの医薬品として用いられます。
最も、処方に基づかない濫用は心身に害を及ぼすことに繋がりますので、当然に禁止されています。

・大麻:大麻取締法
⇒大麻草に含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)という成分を含む薬物(あるいは大麻草そのもの。)。
現行法では使用罪は禁止されていませんが、厚生労働省は使用罪の条文を設けるための法改正が検討しています。
海外ではてんかんや認知症等の様々な病気の治療薬として用いられています。我が国では大麻取締法により規制されていますが、2022年に医療用大麻を解禁するための法改正を目指して検討がなされています。

・MDMA:麻薬及び向精神薬取締法
⇒メチレンジオキシメタンフェタミンと呼ばれる成分を有する合成麻薬。
覚醒剤(アンフェタミン)に類似した成分を含んでいて、覚醒剤同様の効用があると言われています。

・コカイン:麻薬及び向精神薬取締法
⇒アルカロイドと呼ばれる成分を有する薬物
コカの木に含まれるもので、濫用は禁止されていますが、局所麻酔などの薬にも用いられています。
(所持罪・施用罪:7年以下の懲役)

・あへん:あへん法
⇒ケシの実に含まれるオピエートと呼ばれる成分を有する薬物
アヘン戦争で御存じのとおり、古くから栽培され使用されていた薬物の一つです。
生成しなくても薬効があると言われていますが、多くはヘロイン等のように加工される場合が少なくありません。
(所持・吸食:7年以下の懲役)

・ヘロイン:麻薬及び向精神薬取締法
⇒ジアセチルモルヒネと呼ばれる成分を有する薬物
あへんが含有するオピエートを加工することで作られます。

癌などの痛みに使用される鎮痛剤や鎮咳剤に使われている成分ですが、極めて強い効用があるため、濫用することは固く禁止されていて、罰則規定も厳しいものになっています。
(所持罪・施用罪:10年以下の懲役)

・向精神薬:麻薬及び向精神薬取締法
⇒中枢神経に作用して精神に影響を及ぼす薬品の総称で、その対象となる薬品は麻薬及び向精神薬取締法の別表第三掲げられている。
密輸や違法製薬によるものもありますが、多くは医薬品として正規に流通しているものです。
睡眠薬や精神安定剤などがあり、医師の処方に従って服薬することは問題がありませんが、濫用することで耐性が付き、依存度が高くなる特徴があります。
向精神薬については、使用罪や単純所持罪はなく、譲受、譲渡し目的で所持していた場合には以下の罪に問われます。
(譲渡・譲渡目的所持罪:3年以下の懲役)

・シンナー等有機物:毒物及び劇物取締法
⇒トルエンを主として酢酸メチルなどを含む有機溶剤。
粘度の高い塗料を薄めて粘度を下げる目的で使用されます。
しかし、吸引することで神経が抑制され、身体の様々な部位に悪影響を及ぼす危険な薬品でもあります。
(摂取・吸入・摂取目的の所持・吸入目的の所持:1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金、又はその併科)

・危険ドラッグ:医薬品医療機器等法
⇒覚醒剤や大麻等の規制薬物と類似した化学物質を混入させた植物片等で、体内摂取により、これら規制薬物と同様の有害性が疑われる薬物
脱法ドラッグ、合法ハーブ、お香などと聞こえの良いものですが、その実は覚醒剤と同様の害をもたらす薬物です。以前は法の規制が行われては少し構造が少し異なる薬物に作り変えるなどして、いたちごっこが続いていました。
しかし、2013年の法改正で「包括指定」がなされるようになり、いたちごっこはなくなりました。
(使用罪・所持罪:3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)

【まとめ】

このように、薬物事件と一言で言ってもその内容は対象となる薬物の種類によって大きく異なり、罰条も変わってきます。
しかし、ケースのように、捜査機関によってはたとえ家族であっても事件の詳細は教えてくれないという場合は少なくありません。
罪名や詳細を確認するためには、面会の制限がない弁護士に初回接見を依頼し、逮捕・勾留されている家族の方との接見で内容を聞いたうえで、事件の内容や見通しについて確認する必要があります。

東京都世田谷区にて、ご家族が薬物事件で逮捕されたものの、詳細が分からないという場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。(初回接見は有料です。)

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