自首とは
一般に、自首といえば、自らの行った犯罪を警察に申告することと認識されているのではないでしょうか。
日常用語としては間違いないのですが、法的には正確とはいえません。
法律上の自首とは、犯罪事実または犯人が誰であるかが発覚する前に、犯人が自ら捜査機関等に自己の犯罪事実を申告し、その処分を委ねる意思表示をいいます。
犯罪や犯人が捜査機関に発覚していないことが必要とされます。
また、犯罪を申告するという意味で、出頭するという言葉もよく使われていますが、実は出頭というのは、自ら役所(裁判所や警察署など)に出向くことを意味するのみです。
自首のメリット
自首した場合のメリットとしては、最終的に裁判を経て下される刑が減刑される可能性があるということです。
刑法では、自首の成立は、刑の任意的減刑事由とされおり、自首をした者に対して減刑をするかどうかは、裁判所が、事件の性質や自首の態様などの諸般の事情を総合的に考慮して判断します。
自首が成立した場合に必ず減刑がされるわけではないことには注意が必要です。
また、自首の成立は意外とその要件が厳格ですから、自ら犯罪を告白したからといって、法律上の自首が成立するとは限りません。
ただ、そのような場合でも、素直に犯行を認めたという意味において、容疑者に有利な情状事実として考慮される可能性はあります。
さらに、自首をした場合には、自らの犯行を素直に認めて罪を償う意思が認められるとして、逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがないという判断がされやすくなります。
そうすると、事件の軽重にもよりますが、逮捕されずに済んだり、逮捕後の勾留などを避けることができたりして、身柄拘束から早期に解放される可能性が高まります。
事案によっては、不起訴処分を獲得することによって、刑事処分を避けられるケースもあります。
自首の成立要件
① 自発的に自己の犯罪事実を申告すること
法的には、自分から申し出ればすべてが自首というわけではありません。
捜査機関に発覚する以前になされる必要があります。ですから、捜査官の取り調べで自白したという場合には、自白は成立しません。
もっとも、逮捕・勾留中の取調べ中であっても、未だ発覚していない余罪について自白した場合には、自首が成立します。
ただこの場合も、捜査機関が余罪の嫌疑をすでに持っていたという場合には成立しません。
また、犯罪の発覚前に犯行をほのめかしたことをきっかけに行われた取調べで自供するに至った場合も自首には当たりません。
このように、自発的な申告というのは、かなり厳密に、自ら進んで行ったということが要求されているものといえます。
② 自己の訴追を含む処分を求めること
犯罪の申告には、自己の訴追を含む処分を求める趣旨が、明示的あるいは黙示的にでも含まれていることを要します。
申告の内容が犯行の一部を殊更に隠すものであったり、自己の責任を免れようとするものであったりするときは、法律上の自首は成立しません。
③ 捜査機関に対する申告であること
ここでの捜査機関というのは、検察官や一定の地位以上の警察官を指します。
申告の方法は、口頭でも書面などによる場合でも構いませんが、いつでも捜査機関の支配内に身を預けられる状態にあることが必要であると考えられます。
④ 捜査機関に発覚する前の申告であること
捜査機関に発覚する前というのは、冒頭でも述べました通り、犯罪事実あるいは犯人が誰であるのかについて捜査機関全体が把握する前に、ということを意味します。
ですから、犯罪事実は明らかとなっているが、犯人が誰であるか全く判明していない場合も自首は認められます。
ただ、犯人の所在だけが不明の場合は、発覚する前ということはできません。
また、申告の直接の相手である捜査官が犯罪事実を知らなかったとしても、他の捜査機関の誰かが知っていれば自首は成立しません。
法律上、自首が成立するためには、上記の要件をすべてクリアする必要があります。
これを、当事者本人が判断することは難しいと思いますので、事件の状況や今後の見通しを含め、弁護士にご相談することをお勧めします。
また、法律上の自首が成立しない場合でも、捜査機関に自ら正直に犯行を告白したことを、有利な情状事情として、裁判所の量刑判断に考慮してもらえることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部の弁護士にご相談・ご依頼していただければ、自首・出頭した後の刑事手続きについても適切にアドバイスすることが可能です。
ご要望があれば、引き続き事件を受任し、適切な弁護活動を行うこともできます。
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自首・出頭を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。