準強制性交等未遂事件で逮捕(中止未遂)

準強制性交等事件の中止未遂で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇準強制性交等未遂罪で逮捕◇

会社員のAさんは、知人の結婚式で知り合った女性を誘って食事に行きました。
食事の席で意気投合した二人はお酒が進み、深夜までバーで飲んでしまい終電を逃してしまいました。
女性に好意を持ったAさんは、「ホテルで朝まで休憩しよう。絶対に変なことはしない。」等と言って、女性を安心させてホテルの部屋に入ったのですが、寝ている女性を見ているとムラムラしてしまい女性を襲いました。
異変に気付いた女性は抵抗してきましたが、Aさんは、興奮を抑えきれず女性の服を脱がせて性交しようとしました。
しかし、その際に女性が泣き始めたことから、Aさんは女性が可哀想になって、それ以上は何もできず、女性に謝罪したのです。
後日、女性はこの事件を警視庁新宿警察署に訴え、Aさんは準強制性交未遂罪で逮捕されてしまいました。

◇準強制性交(強姦)罪◇

準強制性交等罪は、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした場合に成立する犯罪です。
法定刑は5年以上の有期懲役です。

心神喪失とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。
例えば、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
抗拒不能とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。
恐怖、驚愕、錯誤などによって行動の自由を失っている場合などはこれに当たります。

今回の事件では、Aさんが、酔払って寝ている状態の被害者女性に対して性交を試みているので、準性交等(未遂)罪が適用されることは間違いないでしょう。

◇未遂犯◇

刑法の規定は、原則として既遂の犯罪を処罰するものです。
しかし、犯罪によっては既遂に達していなくても罰する必要があるために、未完成の犯罪から処罰の必要性がある犯罪を特定して、罰則をかしています。
これが未遂犯の意義で、Aさんの強制性交等事件においても未遂犯についての処罰規定が設けられています。
刑法第43条には未遂減免が規定されており、ここに「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を軽減することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止した時は、その刑を減軽し、又は免除する。」と明記されています。
つまり未遂犯については、任意的減軽の対象となり、中止犯(中止未遂)については絶対的に、その刑事罰が減軽若しくは免除されるのです。

~傷害未遂~

傷害未遂とは、自己の意思によらない外部的な障害によって犯罪が既遂に達しなかった場合をいいます。
被害者の抵抗や、第三者の介入等が、「外部的な障害」に当たるでしょう。

~中止未遂~

犯罪の実行に着手したが、自発的な意思のもとに犯行を中止し、犯罪が既遂に達しなかった場合をいいます。
中止未遂は、あくまで任意に行われた中止でなければなりません。
泣き始めた被害者の子供を見て哀れに思って殺人を途中で止めた場合や、被害者の懇願されたことによって、哀れみの情から中止した強盗事件等が、中止犯(中止未遂)に当たるとされていますが、任意性の基準については、学説上、主観説、限定的主観説、客観説などの見解がありますが、客観説が通説となっています。
これは、未遂の原因が、社会一般の通念に照らして犯行の障害になると考えられるか否か、という点を基準とする見解です。
つまり、一般的には外部的な障害といわれる被害者の抵抗でも、この程度の抵抗であれば犯行を継続するだろうと判断される程度の抵抗を受けて自発的に犯行を中止した場合には、中止犯(中止未遂)と認められる場合もあるのです。

◇刑事事件に強い弁護士◇

東京都新宿区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が準強制性交等事件で警察に逮捕されてしまった方、中止犯(中止未遂)で刑事罰の減軽を望んでおられる方は、東京都内で刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部」にご相談ください。

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