(DV防止法)保護命令違反で逮捕

2019-07-24

◇事件◇

東京都豊島区に住む会社員のAさんは、仕事のストレスから日常的に妻に対して暴力を振るっていました。
妻の顔に傷があるのに気付いた近所の住民が、警視庁巣鴨警察署に届け出たことから、Aさんの妻は警察で事情聴取を受けることになりました。
Aさんの妻は警察官から傷害罪の被害届を出すように勧められましたが、Aさんが逮捕されてしまうことを危惧した妻は被害届を出さずに、DV防止法による保護を申立てました。
その結果Aさんに対して退去命令が発せられました。
しばらくは命令に従って妻と住んでいた家を出て実家に戻ったAさんでしたが、妻が浮気をしているのではないかと不安になり、無断で妻が住んでいる家の周りを徘徊しました。
徘徊しているのを近所の住民に目撃されたAさんは、通報で駆け付けた警視庁巣鴨警察署の警察官に、保護命令違反で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

◇DV防止法◇

DV防止法が施行されるまで、配偶者に対する暴力行為については、刑法の暴行罪や傷害罪を適用して取締るしか方法がない故に、そのような配偶者に対する暴行、傷害事件は、被害が潜在化しやすく、十分に法的な対応ができていませんでした。
そうした状況から、DV被害の防止と、被害者の保護を図ることを目的に施行されたのが「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」です。

◇「DV」とは◇

DV防止法でいう「DV(ドメスティックバイオレンス)」とは、配偶者からの身体に対する暴力又は、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動のことです。
ここでいう「配偶者」とは、婚姻の届出をしていないいわゆる「事実婚」も含まれ、男性、女性の別を問いません。
また離婚後も引き続き暴力を受ける場合も、配偶者の概念に含まれますし、生活の本拠を共にする交際する相手からの暴力及びその被害についても、DV防止法の対象となります。
「身体に対する暴力」とは、いわゆる刑法でいうところの暴行、傷害罪に当たる行為です。「~準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」とは、脅迫に当たるような言動の他、いわゆる精神的暴力や性的暴力が該当します。

◇保護命令◇

DV防止法でいうところの保護命令には以下のものがあります。

~接近禁止命令(同法第10条1項1号)~
接近禁止命令は、加害者が被害者の住居や、その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他、その通常所在する場所の付近を徘徊することを6カ月間禁止する命令です。

~退去命令(同法第10条1項2号)~
退去命令は、加害者に2カ月間、被害者と共に生活の拠点としている住居から退去すること及び、その住居の周辺を徘徊することを禁止する命令です。

~電話等禁止命令(同法第10条2項)~
加害者から被害者に対して、面会を要求したり、深夜の電話やファックス送信、メール送信などの一定の迷惑行為を禁止する命令です。

~子供への接近禁止命令(同法第10条3項)~
被害者が加害者に会わざるをえなくなる状態を防ぐために、必要があると認められる場合に、被害者と同居している子供の身辺につきまとったり、住居や学校等その通常いる場所の付近をうろつく事を禁止する命令です。

~親族等への接近禁止命令(同法第10条4項)~
被害者が加害者に会わざるをえなくなる状態を防ぐために、必要があると認められる場合に、その親族等の身辺につきまとったり、住居や勤務先等の付近をうろつく事を禁止する命令です。

◇保護命令違反◇

裁判所から、上記した保護命令の何れかが発せられたにもかかわらず、この命令に違反した場合は保護命令違反となり、有罪が確定すれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられることになります。
DV防止法が、被害者の保護を目的にしている点から、保護命令違反が明らかになった場合は、被害者の安全を優先するために、加害者は逮捕される可能性が十分に考えられるでしょう。

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