★犯罪収益移転防止法の解説★~シリーズ4:罰則①(特定事業者に対する罰則)~

★犯罪収益移転防止法の解説★~シリーズ4:罰則①(特定事業者に対する罰則)~

 今回は、犯罪収益移転防止法罰則が規定されている罪の内、特定事業者に対する罰則の定めがある罪について解説します。

1 是正命令違反(犯罪収益移転防止法25条)
 特定事業者には、その事業の種類に応じて、①取引時の本人特定事項等の確認(取引時確認等)義務、②確認記録や取引記録等の作成・保存義務、③疑わしい取引の届出等義務、④外国所在為替取引業者との契約締結の際の確認義務、⑤外国為替取引に係る通知義務が課されていますが、行政庁は、特定事業者がその業務に関して①~⑤の義務に違反していると認めるときは、当該特定事業者に対し、当該違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることが出来ます(犯罪収益移転防止法18条)。
 行政庁が特定事業者に対して違反是正のために必要な措置をとるよう命ずることを「是正命令」といいます。
 そして、この是正命令に違反した者には、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されることになります(犯罪収益移転防止法25条)。

2 報告・資料提出拒否等(犯罪収益移転防止法26条1号)
 行政庁や国家公安員会は、特定事業者に対して必要な限度で、その業務に関して報告や資料の提出を求めることが出来ます(犯罪収益移転防止法15条、19条2項)。
 この報告や資料の提出をしなかったり、虚偽の報告や虚偽の資料を提出した場合には、1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその両方が科されます(犯罪収益移転防止法26条1号)

3 答弁・検査拒否等(犯罪収益移転防止法26条2号)
 行政庁や国家公安員会の指示と承認を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は、その職員に、特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることが出来ます(犯罪収益移転防止法16条、19条3項)。
 この質問に対して答弁をしなかったり、虚偽の答弁をしてしまったりした場合、または検査を拒否、妨害、忌避した場合については、1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその両方が科されます(犯罪収益移転防止法26条2号)。

 次回は、特定事業者に対する罰則以外の罰則について解説します。

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