★犯罪収益移転防止法の解説★~シリーズ1:犯罪収益移転防止法の概要(規制対象)~

2018-05-23

★犯罪収益移転防止法の解説★~シリーズ1:犯罪収益移転防止法の概要(規制対象)~

1 目的 
 犯罪収益移転防止法は、正式名称を「犯罪による収益の移転防止に関する法律」といい、マネー・ローンダリングの防止やテロリズムに対する資金供与の防止に関する条約の実施を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的に制定されました。
 

2 概要
 犯罪収益移転防止法は、過去に何度か改正を重ね、最新の改正法は、平成30年4月1日に施行されたものです。
 この法律において「犯罪による収益」とは、組織的犯罪処罰法に規定されている犯罪収益等や麻薬特例法に規定されている薬物犯罪収益等のことです。具体的には、組織的な詐欺によって得られた詐取金(被害金)や、覚せい剤の売買で得られた金銭などがあげられます。
 犯罪収益移転防止法では、金融機関等に対して顧客等の本人特定事項等を確認させたり、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出当をさせたりすることにより、犯罪収益の移転防止を図っています。
 この法律の規制対象については、「特定事業者」と呼ばれています。特定事業者には、銀行などの金融機関に加え、クレジットカード事業者や宅地建物取引業者、郵便物受取サービス業者のほか、弁護士などの士業に携わる者も入っています。
 それぞれの業種により、特定事業者の中でも義務付けられた措置は異なっていますが、①取引時の本人確認等(取引時確認)、②確認記録の作成・保存、③取引記録等の作成・保存、④取引時確認等を的確に行うための措置についてはほぼすべての特定事業者に課されており、「疑わしい取引の届け出」については、士業を除いた特定事業者に義務化されています。
 もっとも、特定事業者が行う業務の全てが必ずしも義務の対象となるわけではなく、義務の対象となる業務(特定業務)の範囲が定められています。例えば、宅地建物取引業者であれば、宅地建物の売買又はその代理若しくは媒介に係る業務が対象で、宅地建物の賃貸に係る業務は対象となりません。
 また、特定事業者が顧客と取引を行う際に取引時確認が必要となるのは、すべての取引ではなく、特定業務のうち一定の取引(特定取引等)に限られています。
 そして、犯罪収益移転防止法には、一定の場合に罰則も設けられています。
 次回は、マネー・ローンダリングと特定取引等について解説します。

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