振り込め詐欺の受け子事件で執行猶予付きの判決を得ました

2019-06-12

◇弁護依頼までの流れ◇

本件のご依頼者様は、ご子息様が詐欺逮捕されたとのことで、弊所に初回の接見をご依頼されました。ご依頼者は遠方にお住まいだったため、ご子息様から直接事件のことを何も聞いておらず、警察からも事件の詳細は教えてもらえなかったことから、大変心配されていました。
弁護士が警察署でご子息様と接見したところ、振り込め詐欺受け子をしてしまったとのことで逮捕されていたことが分かりました。
振り込め詐欺の事案では余罪が多数に及ぶことが多く、身体拘束が長期化すること、被害額によっては実刑判決を受ける可能性が高く、本件でもそれらのリスクがあり、捜査の初期から慎重な弁護活動を行う必要がありました。
初回接見の後、ご依頼者様に、事件の概要や今後予想される手続き、行うべき弁護活動等について弁護士から説明の上、正式に依頼を頂き、弁護活動に着手することとなりました。

◇捜査段階の弁護活動◇

逮捕後からご子息様に対しては複数回の取調べが行われていたため、捜査機関の取調べにどのように対応すべきかを決めなければなりませんでした。
特に、振り込め詐欺については捜査機関も余罪の有無を、徹底的に捜査を尽くしますので、ともすれば、本当は関わっていない事件について関与を疑われることがあります。
本件については、複数回の接見の上、ご子息様から自分の関与した事件とそうでない事件を聞き取り、取調べの前に弁護士と打ち合わせを行いました。警察からの取調べに対してどのように答えるべきなのか、一つ一つ弁護士と確認をしながら打合せし、実際の取調べに臨みました。
取調べの後には再び弁護士と接見し、どのようなことを聞かれたのか聴取し、次回の取調べに対する打合せの課題としました。
その結果、ご子息様が関わったとされる事件についてのみ起訴がなされ、手続きの間延びによる身体拘束の無用な延長や、被害額の拡大を避けることが出来ました。

~示談交渉~

振り込め詐欺事件は被害者のいる犯罪ですので、裁判が始まる前から被害者の方と連絡を取り始め、示談交渉に着手しました。ご子息様の反省の状況を踏まえて、弁護士が誠意をもって対応し、謝罪と被害の弁償を行いました。被害者の方々からは「社会の中で更生してほしい」とのありがたいお言葉と、加害者であるご子息様を許すとの一筆を頂けました。被害者の方の中には、ご子息様の反省状況や置かれた状況等を考慮して、被害額の約3分の2程度の弁償額で許していただけた方もいました。これらの示談交渉の経緯は、裁判の場でも証拠を提出して主張、立証を行いました。

◇起訴後の弁護活動(公判弁護)◇

また、ご子息様が今回の事件について関わってしまった経緯や今後の社会内での生活を行う環境について、同情すべき点があったため、裁判の場でもその点が明らかにすることを弁護側の目標としました。本件に関与し始めたときの状況を、裁判官にしっかりとアピールできるよう、弁護士とご子息様とで打合せを行いました。また、検察官からの反対尋問についても事前に打ち合わせを行い、裁判の場で動揺することがないよう準備を行いました。
裁判当日には、ご依頼者様とご子息様に法廷に立ってお話しいただきました。当日は、お二人とも緊張のためか、お話しに詰まる部分もありましたが、事前に打ち合わせに基づいて弁護士からも助け船を出すことで、ご自身の主張を過不足なく裁判所に対して伝えることが出来ました。

~判決~

本件については被害額267万5千円の詐欺、窃盗事件として有罪の判決が言い渡されましたが、懲役3年執行猶予5年という判決を得られました。

◇事件後の感想◇

本件については当初から実刑の可能性がある事件でした。
逮捕直後から弁護人として選任されたことで、一貫した取調べの対応ができ、被害者の方にも時間をかけて交渉を行うことができました。
また、本件のご依頼者様の資金的な問題もあり、当初は示談交渉がまとまるかどうか心配な部分もありましたが、交渉の結果、被害弁償を受けていただき、被害者の方からご子息様、ご依頼者様に対しては今後一切の請求を行わず、かつ、「親のために社会できちんと働く生活をしてほしい」とまで仰っていただけました。
判決の量刑の理由に関する記載では、振り込め詐欺の事案は社会的に大変問題となっていることや、被害額が百万円を超えて高額であることを指摘して、「基本的には実刑を科すべき」と判断しました。しかし、公判での弁護側の立証、特に情状証人が出廷して監督を誓約していることや、示談交渉の経緯・結果等を踏まえると、「社会内で更生する機会を与えるのが相当」との結論が出されました。
近年、特殊詐欺の事案については重い刑が科される傾向にあり、本件の判決からも、振り込め詐欺については「基本的に実刑で臨む」という、裁判所の厳しい姿勢が見て取れます。
いずれの弁護活動についても、裁判手続きを見越して行った結果、懲役3年執行猶予5年という、ギリギリの判決を得られたのだと思います。

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