執行猶予中に無免許運転②

執行猶予中に無免許運転②

無免許運転が問題となる場合と執行猶予期間中に刑事事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区浅草在住のAは、台東区浅草にある会社の経営者です。
Aは有効な普通自動車の免許を有していたのですが、ある日台東区浅草で車を運転している最中に死亡事故を起こしてしまい
⇒刑事事件については過失運転致死事件で懲役1年2月、執行猶予4年の有罪判決を
⇒行政処分については1年間の免許停止処分を
それぞれ受けて居ました。
しかし、判決後も仕事では自動車が必要不可欠であったところ、Aは従業員に運転を任せたり運転手を雇ったりすることなく、免許停止期間にも拘らず自ら車を運転して仕事をしていました。

ある日、Aは台東区浅草にて運転をしていたところ、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官の目の前で携帯電話の乍ら運転をしてしまい、制止を求められました。
その際、Aが免許停止中にも拘らず運転をしていたことが発覚したことから、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官は、Aを無免許運転の嫌疑で現行犯逮捕しました。

Aの家族はAが逮捕されたと聞き、執行猶予中に無免許運転をした場合にどうなるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【無免許運転】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【執行猶予の概要】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【執行猶予の詳細】

この全部の執行猶予について、刑法は以下のとおり規定しています。

刑法25条1項 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

2項 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

内容が難しいため、以下で整理してみましょう。
≪対象となる罪について≫
刑事裁判の判決で言い渡される執行猶予ですが、どのような場合でも執行猶予を受けられるというわけではありません。
執行猶予の対象となるのは、「3年以下の懲役刑」「3年以下の禁錮刑」「50万円以下の罰金刑」のいずれかです。
よって、例えば死刑や無期懲役刑、有期であっても3年を超える懲役刑・禁錮刑の判決には執行猶予を付けることが出来ないのです。

また、執行猶予そのものの期間は1年以上、5年以下です。

≪対象者について≫
執行猶予は誰にでもつけられるわけではありません。
執行猶予の対象は、①上記刑法25条1項1号に該当する場合、②2号に該当する場合、③同2項に該当する場合のいずれかです。
①の場合について、「禁錮以上の刑に処せられたことがない」とは、執行猶予を含めてそのような刑を受けたことが無い方を指します。
いわゆる前科が無い人や、あるとしても罰金・拘留・科料といった刑に処せられた方が対象です。
②の場合については、いわゆる前科がある人のうち、執行猶予満了から5年が経った方や、実刑判決を受けて服役したものの刑期を終えて社会復帰した方が対象です。
③の場合について、これは再度の執行猶予と呼ばれるものです。
原則として執行猶予中に刑事事件を受けて有罪判決を受けた場合には執行猶予は取り消されることになりますが、執行猶予期間中であっても、「1年以下の懲役又は禁錮」の判決を受けて、且つ「情状に特に酌量すべきものがある」と判断された場合には、再度執行猶予付きの有罪判決を言い渡すことが出来るのです。

上記のように、執行猶予はその制度が複雑であり、更には事件によっては簡単に獲得できない場合も存在します。

東京都台東区浅草にて、御家族が執行猶予期間中に無免許運転をしてしまい逮捕・勾留された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、逮捕・勾留されている方のもとへ初回接見に伺い、状況を確認したうえで今後の見通し等について御説明致します(初回接見は有料です。)。

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