【解決事例】少年の盗撮事件で不処分へ

20歳未満の少年が盗撮事件を起こした場合に問題となる罪と、少年事件の手続きを経て不処分を言い渡される場合について、解決事例をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都江東区在住のAさんは、江東区内の高校に通う高校2年生(17歳)でした。
Aさんは学校生活や受験などのストレスから、通学先の高校の女性用トイレの個室に侵入し、スマートフォンを隠してトイレ中の女性の姿態を撮影しようとしました。
しかし、女子児童がスマートフォンに気づき、報告を受けた学校が江東区を管轄する深川警察署の警察官によって捜査が行われ、Aさんは自ら名乗り出ました。
Aさんは身柄拘束などはされず在宅で捜査を受けることになり、家族はAさんの将来を心配して弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部に相談されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【トイレの盗撮事件】

トイレを盗撮する行為は、
Ⅰ.盗撮行為そのもの⇒各都道府県の迷惑防止条例違反又は軽犯罪法違反
Ⅱ.盗撮の過程⇒建造物侵入・住居侵入

の罪にあたります。

Ⅰ.盗撮行為について
御案内のとおり、他人を密かに撮影するような行為を俗に盗撮と呼びます。
これについて、盗撮罪という罪があるわけではなく、
①公共の場所や乗り物の中でスカートの中などを盗撮する行為(服の上からの盗撮であっても、被害者が気付いた場合には恥ずかしく思い不安に感じるようなものであれば、違法であると認めた事例があります。)。
②更衣室や脱衣所、トイレなどの盗撮行為
が、それぞれ問題となります。

①公共の場所での盗撮行為
例えば駅構内などのエスカレーターや階段、列車内などで女性のスカートの中にスマートフォンや小型カメラを差し向けるかたちで行われる盗撮が一般的です。
公共の場所で行われる盗撮行為については、各都道府県が定める迷惑防止条例が問題となります。
ケースは東京都江東区での事件ですので、以下の規定が問題となります。

(東京都)公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の処罰に関する条例
 5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
2号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

②トイレや更衣室、他人の家の中などを盗撮した場合
この場合、各都道府が定める迷惑防止条例に規定がある場合には同条例違反に、条例がない自治体であれば軽犯罪法違反に、それぞれ当たります。
東京都の場合、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の処罰に関する条例で上記条文(条例5条1項2号)の「イ」で以下のとおり定められています。

  イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

罰条はそれぞれ「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と定められています。(同条例8条2項)

Ⅱ.盗撮の過程
例えば、自分でトイレをしようとする場合やトイレ掃除をする場合にトイレに入る行為は、正当な行為と言えます。
しかし乍ら、②のような盗撮をする目的でトイレに入る行為は、正当な理由がないにもかかわらずトイレに侵入していることになり、建造物侵入罪にあたります。
条文は以下のとおりです。

 刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

【少年事件で不処分に】

Aさんは17歳ですので、少年法の定義する「少年」にあたります。
通常、少年事件の場合は、捜査機関の捜査が終わると家庭裁判所に送致され、最終的に家庭裁判所の審判によって処分が決定します。
家庭裁判所の審判で下される処分には、少年院送致や保護観察処分、都道府県知事又は児童相談所長送致、などがあります。
一方で、少年自身が充分に反省している、家庭環境の調整などにより少年の更生が十分に期待できる、などの事情から、処分をしない「不処分」と判断される場合もあります。
法務省が発表している令和2年版の犯罪白書によると、少年保護事件のうち令和元年に一般保護事件(交通事件事故を抜いた事件)で不処分とされた少年は全体の17.2%です。

不処分の判断を受けるためには、少年が反省している点や、事件後に保護者が少年に対して真剣に向き合って更生に向けて取り組んでいる点などを、付添人弁護士がしっかりと主張する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまで少年事件で審判の結果不処分を獲得したという解決事例が多数あります。
東京都江東区にて、20歳未満の少年であるお子さんがトイレなどの盗撮事件を起こしてしまい不処分を目指す弁護活動・付添人活動について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

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