★犯罪収益移転防止法の解説★~シリーズ7:罰則④(為替取引カード等の譲り受け等)~
今回は、犯罪収益移転防止法の罰則のうち、為替取引カード等の譲り受け等について解説します。
1 為替取引カード等とは
犯罪収益移転防止法にいう「為替取引カード等」とは、為替取引に係る送金の受取用のカード、送金又はその受取に必要な情報その他資金移動業者との間における為替取引による送金又はその受取に必要なものとして政令で定めるものをいいます。
「資金移動業者」とは、資金移動業者として内閣総理大臣の登録を受けた者をいい、「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引(少額の取引として政令で定めるものに限る。)を業として営むことをいいます(資金決済に関する法律2条2項、3項)。
2 為替取引カード等の譲り受け等(犯罪収益移転防止法29条)
①「他人になりすまして資金移動業者との間における為替取引により送金をし若しくは送金を受け取ること又はこれらを第三者にさせることを目的として、為替取引カード等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者」又は、「相手方に上記目的があることの情を知りながら、相手方に為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者」には、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
また、②通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、「為替取引カード等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者」又は、「為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者」も同様の刑罰を受けます。
上記①②に当たる行為を業として行った者には、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
なお、「業として」とは、「反復継続する意思をもって」ということで、営利性の有無は問いません。前回のシリーズ6及び次回のシリーズ8で出てくる「業として」も同じ意味です。
さらに、①②に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者には、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
次回は、仮想通貨交換用情報の譲り受け等について解説します。