【解決事例】傷害事件で家庭裁判所不送致
傷害事件を起こして捜査を受けたものの家庭裁判所に送致されなかったという事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【事例】
東京都青梅市在住のAさんは、都内の大学に通う大学1年生(当時18歳)でした。
Aさんは同級生で仲の悪い知人Vさんがいましたが、事件当日、青梅市内で停車した車両に乗り込もうとしたところ車両の出入口を塞ぐ形でVさんらが立っていて乗れなかったため、AさんはVさんを押し退けて車両に乗り込もうとしました。
その際、Aさんから見るとVさんはオーバーリアクションで倒れ込み、打撲などの怪我を負ったとして青梅市内を管轄する青梅警察署に傷害事件での被害届を提出しました。
Aさんは少年事件として、捜査を受けることになりました。
弁護の依頼を受けた当事務所の弁護士は、Aさんから慎重に聞き取りを行い、Aさんの行為がそもそも暴行・傷害罪に当たる行為なのかという疑問が生じました。
そこで、Aさんの事件が在宅で検察官送致された(いわゆる書類送検の)後、検察官に対して弁護人としての意見書を提出しました。
Aさんは20歳未満の少年ですので、原則として検察官は家庭裁判所に送致する必要があります。
しかし、今回の事件について、検察官はAさんとVさんの取調べ内容や(恐らく防犯カメラや目撃者情報等の)客観証拠のほか、弁護人による意見書を踏まえ、Aさんは罪を犯していない(=犯罪少年ではない)と判断しました。
よって、Aさんは家庭裁判所に送致されることなく、手続きは終了しました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【傷害事件での弁護活動】
他人に暴行を加えた場合、
・暴行の結果被害者が怪我をした場合は傷害罪
・暴行したが被害者が怪我しなかった場合は暴行罪
が適用されます。
条文は以下のとおりです。
(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
【家庭裁判所不送致について】
成人の刑事事件の場合、警察官等の捜査を受けた被疑者は、最終的に検察官の判断により起訴される/起訴されないこととなり、起訴された場合には裁判所で裁判を受けます。
他方で、事例でも少し触れましたが(14歳以上)20歳未満の少年が罪を犯した場合、犯罪少年として捜査が行われた後、原則として全件送致することを原則としています。
但し、そもそも犯罪に該当しない少年については、送致する事実がないため、今回のAさんのように家庭裁判所不送致となります。
※もっとも、犯罪事実はないが監護者の監護に服さないなど今後罪を犯す恐れがあると判断された場合には、虞犯少年(ぐはんしょうねん)として家庭裁判所に送致される可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、家庭裁判所不送致となった事例が複数ございます。
東京都青梅市にて、傷害などの罪を犯したとしてお子さんが捜査を受けているものの、罪を犯していないと考えている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
まずはお子さんと保護者の方からお話を伺い、家庭裁判所不送致の可能性などについてご説明致します。