風俗トラブル?「立ちんぼ」の買春が不同意性交になるケース【後編】
前回の記事に引き続き、今回も不同意性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
後編では、事例をもとに不同意性交等罪が成立するケースについて見ていきましょう。
【事例】
※前回記事を参照してください。
風俗トラブル?「立ちんぼ」の買春が不同意性交になるケース【前編】
【Aさんに不同意性交等罪は成立する?】
改正された刑法を踏まえて、AさんやBさんの事例について見てみます。
まず、Aさんのように「お金をあげると言われたから性交に応じたのであって本当は嫌だった」という場合です。
このような事例で不同意性交罪が成立する可能性は非常に低いといえるでしょう。
不同意性交罪が成立するものとして、「経済的な影響」があった場合も挙げられていますが、これは「行為に応じなかった場合に不利益が生じる」という状況での同意は、自由な意思に基づく同意ということはできない=不十分な同意=同意があったとは言えない、と捉えているものです。
Aさんの風俗トラブルのような事例では「同意しなければお金がもらえないと思った」というものであり、行為に応じなければ不利益が生じるというよりも、行為に応じれば利益が得られることを期待した、というような事案です。
目先の利益に目がくらんでいたとはいえ、利益のために性的な行為に応じること自体の意思決定は自由になされていたと言えるでしょう。
このような事例では、不同意性交等罪は成立しにくいといえます。
ただ、金銭の提示と性的な行為を求めた言動次第では、不同意性交等罪に該当するという事案は十分にあり得ます。
【Bさんに不同意性交等罪は成立する?】
それではBさんの事例はどうでしょうか。
Bさんの事例もいわゆる「立ちんぼ」ではありますが、金銭の提供と性行為がバーターになっているとしても、Aさんの事例と同様、この点では不同意性交等罪が成立する可能性は低いでしょう。
一方、Bさんの事例では「年齢」が非常に問題です。
というのも、刑法が改正されたことで、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられたのです。
そのため、16歳未満(16歳の誕生日の前日まで)の人との性行為は、たとえ同意があったとしても不同意性交等罪に該当してしまう可能性があるのです。
ここでBさんの事例の場合、
- Bさんが何歳だったか
- Bさんは相手のことを何歳だと思っていたのか
という点が非常に重要になるでしょう。
未成年との性行為に対する罰則の変化は、まとめると次のようなものです。
18歳未満との性交 | 13歳未満 | 13歳以上16歳未満 | 16歳以上18歳未満 |
改正前 | 強制性交等 | 児童福祉法違反or条例違反 | 児童福祉法違反or条例違反 |
改正後 | 不同意性交等 | 不同意性交等 | 不同意性交等or児童福祉法違反or条例違反 |
改正後の変化 | 変わりなし | 実刑可能性↑ | 実刑可能性↑ |
不同意性交等罪の成立要件や年齢の要件についてはこちらもご覧ください。
Bさんのような事例では特に、警察が介入した場合には逮捕・起訴・実刑といった甚大な刑事手続リスクがあるといえます。
刑事手続リスクへの対応の中では、最初の警察の取り調べへの対応が非常に重要です。
取調べで話したことが、後々の裁判の証拠となったり、自分にとって不利な証拠となってしまう場合があるからです。
【最後に】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が不同意性交等罪について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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