外国人の夫が薬物所持で逮捕|国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【前編】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い弁護士が所属している弁護士事務所です。
そのうち、東京支部では外国人、外国籍の方の刑事事件についてご依頼いただくことが多くあります。
「外国人の刑事事件は、日本人の場合と何が違うの?」と思われる方も多いかと思いますが、外国人の弁護で最も重要になってくるのがビザに対する影響をいかに抑えるのか、という点です。
そこで、今回は覚醒剤の所持で逮捕されてしまったAさんの事例を基に、ビザのことまで考えた時に私選弁護士と国選弁護士のどちらにしたらよいのかという点について解説します。
【事例】
Aさんは目白区内の企業に勤めている外国人(30代・男性)です。
Aさんは来日して10年以上たっており、日本国籍の方と結婚し、永住者の資格を取得して生活していました。
ある日、Aさんは知人から「面白いものがあるから少し分けてあげる」と微量の覚醒剤を貰ってしまいました。
Aさんは使わないでカバンに入れていましたが、目白警察署の警察官に職務質問され、覚醒剤の所持が発覚し覚醒剤取締法違反の現行犯として逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕を知ったAさんの奥さんは、弁護士事務所に相談することにしました。
(※事例は全てフィクションです)
【外国人の薬物事件】
外国人の方であっても、刑事事件や刑事裁判の手続き、刑罰の重さという点では、日本人の方と大きな違いはありません。
言語や文化の違いから、手続に戸惑うところはあるかもしれませんが、適用される法律は日本の法律で、日本人と同じです。
外国人の方の薬物事件で一番気をつけなければならないのは、強制送還(退去強制)のリスクがあるという点です。
出入国管理及び難民認定法違反(いわゆる入管法)には、薬物犯罪で有罪判決が確定してしまった場合には強制送還になるという規定があります(出入国管理及び難民認定法違反24条)。
この強制送還の規定は、日本に在留しているほぼすべての外国人の方に対して適用されるものです。
そのため、Aさんは永住者のビザを取得していたようですが、覚醒剤取締法違反による有罪の判決が確定してしまうと強制送還の対象になってしまうのです。
この「有罪の判決」というのは、刑の内容を問わず「有罪/無罪」かのどちらかで決まります。
つまり、実刑判決(刑務所にはいりなさいという判決)に限らず、執行猶予判決や罰金判決だった場合でも「有罪の判決」ということになり、その判決が確定してしまうと、やはり強制送還(退去強制)の対象となるのです。
なので、Aさんのように覚醒剤取締法違反で逮捕されたという時点から、強制送還されるかもしれないというリスクは発生していることになります。
Aさんの場合、刑事手続だけでなく、その後の強制送還(退去強制)の手続きを見据えた対応が必要になるでしょう。
そこで、ここからは、私選弁護士を選んだ場合と国選弁護士を選んだ場合の違いを見ていきます。
【私選弁護士を選ぶメリット①初動・入管への対応が違う】
Aさんのように警視庁の管轄で逮捕されたというケースだと、逮捕されたあとの弁護士の動きが国選の場合と私選の場合で、動き出すタイミングやビザ事件も対応できるかどうかは、全く違うのです。
私選弁護士のできること | 国選弁護士のできること | |
逮捕当日 | ・逮捕された直後から初回の面会 ・家族との打ち合わせ ・警察に対して取調べや報道についての申し入れ ・取調べに向けてのアドバイス ・直近のビザへの対応 | なし(選任される前) |
逮捕の翌日 (検察庁送致) | ・継続的な面会 ・家族との打ち合わせ ・警察に対して取調べや報道についての申し入れ ・取調べに向けてのアドバイス ・検察官への釈放申し入れ | なし(選任される前) |
逮捕から2日後 (裁判所にて勾留質問) | ・継続的な面会 ・家族への事件報告、法律相談 ・警察に対して取り調べや報道についての申し入れ ・取調べに向けてのアドバイス ・裁判官への釈放申し入れ ・勾留が決まったあとも不服申立て | 10日間の勾留が決まってから国選弁護士が決まる。早ければその日か翌日に、初回の面会 |
刑事裁判の後、入管での対応 | ・入管でのインタビューに対するアドバイス、立会 ・在留特別許可に向けた意見書の提出、資料の作成 ・(収容された場合の)仮放免申請 | 国選の対象外 |
繰り返しになりますが、外国人の方の刑事弁護においてビザがどうなるか・強制送還されるのかという点は非常に重要です。
刑事事件で有罪判決が確定してしまうと、否応なく強制送還の対象になってしまいますから、起訴されるかどうか/有罪になるかどうかという点を見極めた、初期対応は非常に重要です。
国選弁護士は、逮捕から2日目以降でなければ本人と面会することはありません。
しかし、大方その頃には取調べがある程度落ち着いてしまっているという状況なのです。
特に、国籍に関係なく、薬物事件の場合には自白の有無が重視されます。
掛けられている容疑に対して、素直に認めるべきなのか、争って無罪を主張するべきなのか、初期の取調べで判断しなければなりません。
外国人の方の場合、初期の取調べに対する対応が、その後のビザ・強制送還(退去強制)の手続きにまで影響することになります。
手続きの流れや適用される法律、刑罰の重さという点では外国人と日本人の違いはありませんが、外国人事件の場合、取調べでどう話すのかがビザを保持できるのか/強制送還されるのかという点まで響いてくるのが一番の違いです。
早期からの対応を希望されるのであれば、私選弁護士に依頼することをおすすめします。
Aさんの事例でも、逮捕当日に私選弁護士に依頼することにすれば、その日から弁護を受けられます。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日中に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
警視庁目白警察署までの初回接見は33,000円で行っています。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせについては、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。