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 福生市の痴漢冤罪事件

2020-02-29

福生市で発生した痴漢冤罪事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇痴漢の冤罪事件で逮捕◇

Aさんは、会社に出勤するためにJR青梅線に乗って移動していました。
車内は満員でしたが、目的の駅に着いたので、電車から降りたところ、急に女性に腕を掴まれ、「痴漢しましたよね?駅員さんのところにいきましょう」と言われ、大変驚きました。
駅事務室で女性や駅員に真摯に話せば自分の無実を分かってもらえると思い、女性と一緒に事務室に行きましたが、女性とは隔離され、駅員もAさんの話に耳を傾けようとしませんでした。
まもなく鉄道警察隊が到着し、警視庁福生警察署に連れていかれると、「Aさんはもうあの女性に現行犯逮捕されてるんですよ」と言われ、再度驚きました。
取調べを受けた後、その日は警視庁福生警察署に留置されることになりました。
Aさんは断固として否認する構えですが、会社のこともあり、身柄拘束が長引くのを大変恐れています。
(フィクションです)

◇痴漢冤罪はなぜ起きるのか◇

満員電車の車内などでは、わざとではなくても、女性の臀部や腰に体が触れてしまうことが十分考えられます。
しかし、たまたま触れられてしまった女性がわざと触れられたのか、そうでないのか、常に的確に判断できるとは限りません。
また、わざと女性に触れた者がいたとしても、満員電車においては、真犯人ではない人が犯人として扱われてしまうことも考えられます。
身に覚えのない痴漢事件は、このような事情を背景に発生しますが、警察に引き渡された後、痴漢と間違われた無実のAさんはどうなってしまうのでしょうか。

~取調べ~

残念ながら、取調べをはじめとする捜査は、被疑者が犯人であるか、そうでないか、ということを調べる手続きであるにも関わらず、現実には被疑者を犯人と決めつけ、警察官に必死に弁解しても、女性の供述だけを頼りに取調べが行われることも少なくありません。
また、女性の被害申告に対して否認すると、徹底的に自白を迫られることになります。

~勾留~

否認を続ける場合、留置され、勾留される可能性が高まります。
逮捕後に留置され、さらに勾留、勾留延長された場合には、最長で23日間もの間身体拘束を受け続けることになります。
Aさんは会社のこともあり、勾留されて身体拘束が長期化することをおそれていますが、このようなAさんに対して警察官は「認めて示談にするならすぐにでも釈放する」などと誘惑をかけることがしばしばあります。
実際にも早く留置場を出たいがために、やってもいない痴漢行為を認めて、示談を行い、釈放してもらう被疑者も存在するといいます。
ですが、無実の罪を認め、示談金を払い、場合によっては略式手続で罰金を払う悔しさは筆舌に尽くしがたいものでしょう。

◇痴漢冤罪の被疑者に弁護士は必要か◇

痴漢冤罪事件の場合、結論から述べますと、弁護士に弁護活動を依頼することを強くおすすめいたします。
否認を続けるならば、過酷な取調べが予想され、勾留される可能性も高まります。
そのような状況を一人で乗り切ることができるでしょうか。
逮捕され、長期間身体拘束を受けるだけでも大変な苦痛を受けることは想像に難くありません。
仕事や学校のこと、将来についての不安もあります。
長い勾留生活に疲れ、心が折れることも考えられます。
弁護士に依頼することで、自分の味方が少なくとも1人いると考えることで、大きな心の支えになるでしょう。

◇弁護士ができること◇

~勾留請求時~

捜査段階の初期では、勾留させない活動が重要です。
具体的には、弁護人が検察官に面会を求め、勾留の要件を具備しない旨を説得し、勾留請求をしないよう働きかけます。
上記の働きかけが功を奏せず、勾留請求され、勾留決定がなされてしまった場合には、「準抗告」(刑事訴訟法第429条1項2号)を行い、勾留の取消し等を求めます。
準抗告が認容されれば、勾留決定が取り消され、身柄は解放されます。

~勾留中~

勾留されてしまった場合には、被疑者の勤務先、学校に対して、いたずらに被疑者を解雇、退学させないよう働きかけます。

~勾留満期時~

勾留の満期が近づくと、検察官は被疑者を起訴するか、不起訴とするかを決定しなければなりません。
一旦起訴されれば、無罪を獲得するのは極めて困難です。
弁護人は、被疑者側で収集した被疑者に有利な証拠を示し、また、検察側の証拠が起訴するに不十分であることを指摘し、不起訴処分を行うよう働きかけます。
無事に不起訴処分になれば、身柄は解放されます。

◇痴漢冤罪事件に強い弁護士◇

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部に在籍する弁護士は、痴漢事件につき豊富な知識、経験を有しており、痴漢冤罪事件の被疑者の利益のために積極的な弁護活動を行います。
無実の痴漢事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査③

2020-02-19

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査が行われた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

~前回までの流れ~

これまで、覚せい剤取締法で、覚せい剤の使用、所持が禁止されていることや、覚せい剤使用の捜査(採尿)や強制捜査と令状(許可状)について解説しました。

本日は、Aさんの事件を参考にして、警察の違法捜査について解説します。

◇Aさんの事件◇

10年ほど前に覚せい剤使用の前科があるAさんは、覚せい剤を使用した数日後に、警視庁新宿警察署の警察官に職務質問を受けましたが、Aさんは、覚せい剤を使用したことが発覚するのをおそれて、所持品検査や、任意採尿に応じず、帰路を急ぎました。
その結果、自宅直前で、警察官から持っていたカバンを取り上げられて、カバンの中に隠し持っていた、覚せい剤を使用する際に使った、使用済みの注射器が見つかってしまったのです。
その後Aさんは、裁判官の発した捜索差押許可状によって、病院に強制連行されて、強制採尿された後に、覚せい剤の使用容疑で逮捕されてしまったのです。
(前回の◇覚せい剤の使用容疑で逮捕◇を要約)

◇違法捜査が行われるとどうなる?◇

前回の記事で確認したように、強制捜査が行われる場合、原則としてその強制捜査は令状に基づいたものでなければいけません。
令状なしの強制捜査は基本的に違法捜査となってしまいます。

違法捜査が行われ、違法捜査によって証拠が収集された場合、その証拠を使って被告人を有罪としてしまえば、違法捜査を認めることになってしまい、適正な手続きによって刑事事件が処理されることになりません。
そのため、違法捜査によって収集された証拠=違法収集証拠は、裁判の場から排除され、証拠として使うことができなくなります。
このための法則を違法収集証拠排除法則と呼びます。
この違法収集証拠排除法則は、それ自体が何かの法律に条文として定められているわけではありません(ただし、供述証拠の場合、憲法38条で強要等による自白を証拠とできない旨が定められています。)。
しかし、憲法31条で適正手続の保障、憲法33条・35条で前回の記事で取り上げた令状主義が定められていることから、それを実現するためには違法捜査によって収集された違法収集証拠を排除する必要があり、さらに将来の違法捜査を抑止するために必要であるということから、この違法収集証拠排除法則が決められています。

◇全ての違法収集証拠が排除されるわけではない◇

ただし、違法収集証拠排除法則とはいえど、違法収集証拠の全てが排除されるというわけではないことに注意が必要です。
過去の例では「証拠物の押収等の手続きに憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定される」としています(最判昭和53.9.7)。
すなわち、違法収集排除法則によって排除されるためには、単に違法捜査によって収集された証拠であることだけでなく、①その違法が重大な違法であること、②違法捜査の抑制の見地から相当でない、ということが必要なのです(学説によって①②どちらも必要である説、①か②どちらかがあればよいという説が分かれています。)。

◇違法捜査を受けた可能性のある方は弁護士に相談を◇

このように、違法捜査によって収集された証拠は証拠として使えない可能性があるものであるため、違法捜査を受けたのかどうか、どういった違法捜査だったのか、違法捜査によって収集された証拠はどういったもので排除される可能性があるのかどうかを検討することが必要です。
しかし、これらは非常に複雑で一般の方ではわかりにくいものですから、違法捜査を受けたかもしれないと思ったら、すぐに弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、刑事事件専門の弁護士がご相談を承っています。
警察等の捜査に疑問がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までお気軽にお問い合わせください。

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査②

2020-02-17

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査が行われた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

~前回からの流れ~

前回は、覚せい剤取締法で、覚せい剤の使用、所持が禁止されていることや、覚せい剤使用の捜査(採尿)について解説しました。

本日は、Aさんの事件を参考にして、強制捜査と令状(許可状)について解説します。

◇Aさんの事件◇

10年ほど前に覚せい剤使用の前科があるAさんは、覚せい剤を使用した数日後に、警視庁新宿警察署の警察官に職務質問を受けましたが、Aさんは、覚せい剤を使用したことが発覚するのをおそれて、所持品検査や、任意採尿に応じず、帰路を急ぎました。
その結果、自宅直前で、警察官から持っていたカバンを取り上げられて、カバンの中に隠し持っていた、覚せい剤を使用する際に使った、使用済みの注射器が見つかってしまったのです。
その後Aさんは、裁判官の発した捜索差押許可状によって、病院に強制連行されて、強制採尿された後に、覚せい剤の使用容疑で逮捕されてしまったのです。
(前回の◇覚せい剤の使用容疑で逮捕◇を要約)

◇強制捜査と令状◇

覚せい剤使用事件などの刑事事件では、警察や検察といった捜査機関が事件の捜査を行います。
その捜査は、強制力をもち強制的に行うことのできる強制捜査と、任意で行われる任意捜査に分けられますが、犯罪捜査は任意捜査を基本としており、任意捜査に限界がある場合に限り、強制捜査が許されます。
強制捜査には、逮捕や、逮捕に伴う捜索差押を除いて、裁判官の発する令状(許可状)が必要となります。

強制捜査は、文字通り、強制的に行われる捜査です。
代表的なものとしては、身体拘束をして捜査する逮捕を伴っての捜査や、家等に立ち入って捜索する家宅捜索、尿を強制的に採取する強制採尿などが挙げられます。
これらの捜査は強制的に行われますから、任意捜査と違って拒否することはできません。
しかし、こうした強制捜査は被疑者・被告人の権利を侵害することにもなります。
逮捕されれば身体拘束により自由がきかなくなりますし、勝手に家の中に入ってこられたり意思に反して自分の尿を取られたりすることも元々その人が持っているはずの権利を侵害する行為であることは想像にたやすいでしょう。

ですから、刑事事件であればなんでも強制捜査ができるわけではありません。
権利を侵害することを最小限に、かつ適切な場合にとどめるために、強制捜査を行うための原則が定められています。
それが、令状主義といわれる原則です。
令状主義とは、逮捕や家宅捜索等の強制捜査(強制処分)は、裁判所の発行する令状がなければ行うことができないという原則です。
皆さんもドラマなどで「逮捕状」「捜索差押許可状」などといった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらの令状がなければ、強制捜査はすることができません。
先ほど触れたように、強制捜査は被疑者・被告人の意思に反して強制的に行われる捜査でその権利を侵害する行為となりますから、捜査機関が強制捜査を濫用しないよう、本当に強制捜査が必要な場合であるのかどうか、裁判所のチェックを通すということなのです。
つまり、令状によらない強制捜査は令状主義に反することになり、違法捜査となるのです。

◇強制捜査は法律で認められている◇

なお、この令状主義は憲法に定められています。

憲法33条

何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

憲法35条

1項 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2項 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

◇強制捜査に関する法律相談◇

刑事事件にはこのように、憲法にも定められているような主義や原則がありますが、一般の方がこれらすべての主義や原則を理解しているわけではないでしょう。
その点、刑事事件に強い弁護士であれば、こうした刑事事件の主義や原則を理解しながら、被疑者・被告人本人やそのご家族にアドバイスをすることが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、刑事事件専門の弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスを承っています。
刑事事件にお困りの際はお気軽にご相談ください。

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査①

2020-02-15

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査が行われた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇覚せい剤の使用容疑で逮捕◇

Aさんは10年ほど前に、覚せい剤使用の前科があります。
そして先日、友人からもらった覚せい剤を使用してしまいました。
使用した数日後に、友人と遊んだ帰り道で、警視庁新宿警察署の警察官に職務質問を受けたAさんは、覚せい剤を使用したことが発覚するのをおそれて、警察官の質問に応じず、帰路を急ぎました。
Aさんに付いてきた警察官は、Aさんを、所持品検査や、採尿に応じるように説得してきましたが、Aさんはそれを拒み続けました。
20分近く歩いて自宅にたどり着いたAさんは、玄関のカギを開けて室内に入ろうとしたのですが、それを警察官に阻止されて、遂に警察官に持っていたカバンを取り上げられてしまいました。
警察官はAさんが拒んでいるにも関わらず、カバンの中身を調べ始め、カバンの中から、数日前に覚せい剤を射って使用するのに使った注射器を見つけました。
それからしばらくして、別の警察官がAさんを強制採尿するための許可状を取得したために、Aさんは、最寄りの病院まで強制的に連行されて、そこで強制採尿された後に、覚せい剤の使用容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

最近、有名人の薬物事件が多く報道されて世間を騒がせています。
つい先日も、有名ミュージシャンが覚せい剤の所持等の容疑で警視庁に逮捕された事件が大きく報道されました。
そこで本日から3回にわたって覚せい剤の使用事件と、警察の違法捜査について解説します。

◇覚せい剤の使用◇

多くの方がご存知のように、覚せい剤を所持したり使用したりすれば覚せい剤取締法違反となります。
覚せい剤取締法から、覚せい剤の使用や所持を禁止している条文を以下のとおり抜粋します。

覚せい剤取締法41条の2

1項 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

覚せい剤取締法19条

左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。
1号 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
2号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
3号 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
4号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
5号 法令に基いてする行為につき使用する場合

覚せい剤取締法41条の3

次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者

◇Aさんの場合◇

今回のAさんは、この覚せい剤の使用の容疑をかけられて逮捕されているようです。

覚せい剤使用事件では、覚せい剤を使用しているかどうかを尿の鑑定によって立証されます。
犯罪捜査は、任意捜査を基本としているので、警察が、鑑定するための尿を採取する採尿についても、被採尿者の承諾を得て、被採尿者が自然排尿した尿を鑑定することが基本となりますが、Aさんのように、被採尿者が、任意採尿を拒んだ場合は裁判官の発する捜索差押許可状の効力を持って強制採尿されることとなり、この許可状には、被採尿者を、採尿のために病院まで強制連行する効力もあります。

~次回は強制捜査と令状(許可状)について解説します。~

刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、覚せい剤の使用事件などの薬物事件についても、数多く扱ってきた実績がございます。
薬物事件でお困りの方、警察の捜査に疑問がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。

公務員による暴行事件 被害者と示談を目指す

2020-02-11

公務員が起こした暴行事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

公務員のAさんは、東京都昭島市の繁華街の居酒屋において、隣席で飲んでいた男性と些細なことから口論になり、男性の左肩を右こぶしで一回殴ってしまいました。
店員の通報で駆け付けた警察官によって、警視庁昭島警察署に任意同行されたAさんは、取調べを受けましたが、その日のうちに帰宅することができました。
2回目の取調べがあるとのことなので、Aさんはその前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

◇暴行罪◇

今回の事件では被害者を傷害するに至らなかったので、Aさんは暴行罪の嫌疑をかけられていると思われます。

刑法第208条は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」としており、人を殴った以上、怪我をさせなかった場合であっても、罪に問われることになります。

「暴行」とは、人の身体に対し不法に有形力を行使することを意味し、殴る、蹴る、突くはその典型例です。

また、通行人の数歩手前を狙って石を投げつける行為や、狭い四畳半の室内で日本刀の抜き身を振り回す行為なども、暴行にあたるとした判例があります。

◇Aさんの今後◇

Aさんは現在、逮捕されずに在宅で捜査されているので、警察から呼び出しを受け、取調べを受ける、という期間が続くと思われます。
最終的には検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めるので、検察から呼び出しを受けることもあります。
呼出しを正当な理由なく拒否すると、逃亡のおそれがあると判断され、逮捕されてしまうことがあります。
逮捕、勾留されると、最長23日間もの間身体拘束を受けるので、Aさんの社会生活に対する悪影響は計り知れません。
逮捕されるリスクを考えると、呼出しには応じた方がよいでしょう。

◇起訴された場合◇

起訴され、有罪が確定すると、刑罰を受けることになり、前科にもなります。
ケースにおいて無罪判決を獲得するのは極めて困難でしょう。
Aさんは公務員なので、有罪判決を受けると、勤務先からの評価にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
禁錮以上の刑を受けた場合、当然に失職します(地方公務員法28条4項・16条2号、国家公務員法76条・38条2号)。
では、前科がつかないようにするには、どうすればよいでしょうか。

◇被害者と示談◇

事件を有利に解決するためには、被害者と示談することをおすすめします。
示談とは、当事者間における、事件解決に向けた合意のことをいいます。
通常、加害者が被害者に賠償金を支払うことを内容とします。
示談が成立すれば、当事者間で事件が解決したものと判断され、逮捕されるリスクを低減させることができます。

さらに、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを判断する際に、Aさんに有利な事情として考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科が付かずにすみます。

◇示談交渉◇

示談契約は民事上の合意なので、Aさんが直接被害者と交渉し、示談を成立させることもできます。
ですが、Aさんが直接被害者と交渉することはおすすめできません。
そもそも、被害者の情報がわからないので接触しようがない、ということもありますし、警察は通常被害者さんの情報を当事者であるAさんには教えてくれません。
また、接触できたとしても、被害者に不当な示談金を要求されることも考えられます。
第三者が関わると、法律上有効でない示談となる可能性もあります。
お金を払うことで事件が解決できるならば…と、安易に示談を成立させるのは、Aさんにとっても利益ではありません。

そこで、法律の専門家である弁護士に、被害者との間に立ってもらい、示談交渉を任せることをおすすめします。
示談を成立させる場合は、弁護士が法的な観点から示談の条件が有効かつ妥当であるかをチェックします。
また、弁護士はそうした手続きの専門家であり、示談交渉に熟練していることから、Aさんにより有利な条件を引きだすことができる可能性が高まります。
是非、弁護士を通じた示談交渉をご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、示談交渉の実績も豊富です。
暴行事件を起こし、お困りの公務員の方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。

警察に逮捕される?

2020-01-30

刑事事件を起こして警察に逮捕されるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所で、お客様からの法律相談を初回無料で承っています。
そんなお客様からのご相談でよくあるのが「警察に逮捕されますか?」という質問です。
そこで本日は「逮捕されるか?」という皆様の疑問に刑事事件専門の弁護士がお答えします。

逮捕

逮捕とは、刑事事件を犯した疑いある方が、警察に身体拘束を受けて取調べを受けることです。ここで注意しないといけないのは、「犯罪を犯した=逮捕」ではありませんし、「逮捕された=犯罪者」でもありません。
何かの犯罪を犯しても、逮捕されずに不拘束で取調べを受ける場合もありますし、逆に逮捕されたとしても、有罪が確定するわけではなく、その後の捜査で誤認逮捕が判明したり、刑事裁判で無罪が確定することもあります。
そもそも逮捕とは、身体拘束を受けて取調べをしなければ、容疑者が証拠を隠滅したり、逃走する可能性があって、事件の真相を解明することが困難になる事を避けるために行われる、刑事手続きの一つに過ぎないのです。

逮捕されると

逮捕されて一番困るのが、身体拘束を受ける事です。
身体拘束を受ける期間は人それぞれで、逮捕されてすぐに釈放される場合もあれば、その翌日や、2日後といった短期間で釈放される場合もあります。
法律的には、警察等の捜査当局が容疑者を逮捕した場合に与えられている時間は逮捕から48時間です。この時間内に警察は、逮捕した容疑者を釈放するか、検察庁に送致するかを検討します。
そして検察庁に送致された場合、送致を受けた検察官に与えられた時間は24時間です。この時間内に検察官は、容疑者を釈放するか、裁判所に勾留を請求するかどうかを検討するのです。
裁判所に勾留を請求された容疑者に勾留が決定すれば、10日~20日間の身体拘束を受けることになります。
つまり逮捕によって受ける身体拘束は最長で、逮捕から23日間にも及ぶので、仕事をされている方や、学校に通う学生の方にとっては非常に大きな不利益を被ることになるのです。

逮捕されるの?

それでは本題の「逮捕されるのか?」という疑問にお答えしようと思いますが、実は逮捕されるかどうかの判断は、刑事事件専門の弁護士であっても判断が難しく、絶対という答えはありません。
それは、ほとんどの刑事事件において、容疑者を逮捕するかどうかの判断は、捜査を担当する捜査当局に任されているからです。
法律上、現行犯逮捕以外は、容疑者の逮捕には裁判官の発する「逮捕状」が必要とされていますが、裁判官に対して逮捕状を請求するかどうかは、捜査を担当する捜査当局に任されているので、実質は、容疑者を逮捕するかどうかは、捜査を担当する捜査当局が判断すると言っても過言ではありません。

逮捕の要件

それでは、捜査を担当する捜査当局は何を基準に容疑者を逮捕するかどうかを判断しているのでしょうか?
法律的に、容疑者を逮捕するには逮捕の要件が必要となり、この要件となるのが、逮捕する「理由」「必要性」です。
逮捕の理由は刑事訴訟法で定められているとおりで、それは「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるとき」です。つまり、犯人である相当な理由が、逮捕の理由となります。
そして逮捕の必要性とは、これも刑事訴訟法に定められているとおりで、大きく分けると
・逃亡のおそれがある
・証拠隠滅のおそれがある
の何れかが認められると、逮捕の必要性が認められます。

逮捕の必要性

それでは、捜査当局は「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」といった逮捕の必要性をどのように判断するのでしょうか。
逮捕の必要性があると判断されがちなケースをいくつかご紹介します。

逃亡のおそれがあると判断されやすいケース
①家族がいない
②仕事をしていない
③定まった住居がない
④執行猶予中である

①~③については、よく「単身身軽」という表現がされる状況で、客観的にみて逃走のおそれが認められやすい傾向にあります。また④については、その後の裁判で有罪となった場合に刑務所に服役する可能性が高く、そういった事を恐れて、逃亡する可能性があると判断されるようです。

証拠隠滅のおそれがあると判断されやすいケース
①証拠品などが未発見、未押収である
②共犯者がいる

②については、共犯者と通謀(口裏を合わせ)して事実を歪曲する可能性があると判断されがちです。

逮捕されないために

それでは警察に逮捕されないために事前に何ができるのか?
正直なところ、確実に逮捕を回避できる弁護活動がるのかと聞かれれば、その答えは「ノー(ありません。)」です。
ただ逮捕のリスクを回避するための活動はその事件ごとに存在します。
例えば、窃盗罪や傷害罪などのように被害者が存在する事件に関してですと、警察に逮捕されるまでに被害者に謝罪し賠償することで逮捕を回避できる可能性が高くなりますし、器物損壊罪のような親告罪の場合ですと、被害者に告訴を取り下げてもらうことによって逮捕は回避できるでしょう。
また被害者の存在しない事件であっても、警察に自首することによって逮捕を回避できる可能性が高まります。

刑事事件に強い弁護士に相談

「警察に逮捕されるか不安です。」という方は、事前に刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
東京都内で刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。

鉄パイプで頭部を殴打 殺人未遂事件で逮捕されたら

2020-01-24

殺人未遂事件で警察に逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇殺人未遂事件◇

建設会社に勤めているAさんは、板橋区のビル建設現場に派遣されて働いています。
この現場には他の建設会社の社員も派遣されているのですが、先日、作業工程を巡って他の会社の社員とトラブルになったAさんは、口論の末に、足場用の鉄パイプで口論相手の頭部を殴打してしまいました。
すぐに周囲にいた作業員に制止されましたが、Aさんは、通報で駆け付けた警視庁志村警察署の警察官によって、殺人未遂罪逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

◇殺人未遂罪【刑法第203条】◇

人を殺害しようと、殺害行為に着手したが相手が死ななかった場合、殺人未遂罪となります。
殺人未遂罪の法定刑は、殺人罪と同じ「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」です。
殺人罪は、人の死という結果の重大性から、刑事裁判では厳しい判決が言い渡されることがほとんどですが、殺人未遂罪の場合は、刑法第43条(未遂減免)の適用を受けたり、傷害罪に罪名が変わるなどして、執行猶予付の判決が言い渡されることが珍しくありません。

◇殺人未遂罪か傷害罪か◇

殺人未遂罪の刑事裁判で、よく争点となるのは「殺意」の有無です。
「殺意」は、殺人罪の「故意」のことで、加害者の、相手を殺そうとする意思です。
同じ暴行行為でも、殺意があって行為に及べば殺人罪や、相手が死亡していなければ殺人未遂罪が適用される可能性が高くなります。逆に殺意が認められなければ、相手が死亡しても傷害致死罪や、相手が死亡していない場合は、傷害罪が適用される可能性が高くなるでしょう。

~殺意の立証~

「殺意」は加害者の心の声ですので、殺意の有無は加害者の供述に頼るしかありません。しかし、それだけで殺意の有無が認定されるわけではなく、殺意の有無は、暴行の程度や、犯行の計画性、被害者の傷害の程度等を総合的に判断されます。

・暴行の程度
急所を狙っている暴行や執拗な暴行、凶器を用いた暴行等の場合は殺意が認定されやすい。

・犯行の計画性
事前に被害者の行動パターンを下見している場合や、凶器を準備している場合等は計画性が認められて、殺意が認定されやすい。

・被害者の傷害程度
被害者が急所に傷害を負っている場合や、重傷を負っている場合等は殺意が認定されやすい。

・加害者の意思
殺そうと思って犯行に及んでいる場合は当然のこと、死ぬかもしれない、死んでもかまわないといったように、結果を認識し、それを容認した場合も故意があるとして、殺意が認められやすい。

◇殺人未遂罪の弁護活動◇

殺人未遂罪で警察に逮捕されたとしても、その後の対応によっては、罪名が傷害罪と認定されたり、被害者との示談することによって不起訴になったりして、処分の軽減が望めます。
上記したように、殺意の有無というのは、加害者の供述に大きく左右されるので、逮捕後の取調べで、どのように供述するのかが今後に大きく影響するため、弁護士は、取調べの対応についてアドバイスを行います。
また、被害者との示談も今後の処分に大きく影響します。
起訴までに被害者との示談が成立し、その示談に宥恕条項が含まれていれば、不起訴の可能性もあるでしょう。

 

殺人未遂罪は、罰金刑の規定のない非常に厳しい法定刑が定められている法律です。起訴された場合は、初犯であっても実刑判決の可能性が高い事件ですので、ご家族、ご友人が殺人未遂罪で逮捕された方は、早めに刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めします。

板橋区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が殺人未遂罪で警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
初回法律相談:無料

強制わいせつ事件で誤認逮捕されたら

2020-01-16

強制わいせつ罪の誤認逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

東京都江東区に住む会社員のAさんは、10年前に痴漢事件で略式罰金の刑事罰を受けています。
Aさんは、自宅近所の月極駐車場を契約して自家用車をこの駐車場にとめています。
先日、この駐車場で女子高生が男から乱暴される強制わいせつ事件が発生しました。
事件が発生した直後に、Aさんが駐車場から車を出庫した記録があるということで、犯行を疑われたAさんは警視庁城東警察署に呼び出されました。
最初からAさんは、関与を全面否認していましたが、出頭した日の夕方に、強制わいせつ罪逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

◇誤認逮捕◇

ある日突然、全く身に覚えのない事件で警察に逮捕される・・・それが、誤認逮捕です。
信じられない話ですが、正式に警察から発表されていない件数も含めれば毎年100人以上もの方が警察等の捜査当局に誤認逮捕されているといわれています。
ですから皆さんも、Aさんのように誤認逮捕される可能性は十分に考えられるのです。
誤認逮捕される際は、Aさんのように、警察署に呼び出されて取調べを受けた後に誤認逮捕されるケースもありますが、逮捕状を持った警察官が急に自宅に押し掛けてきて逮捕されることもあります。
誤認逮捕されたら、どのように対処するべきなのでしょうか。
逮捕されると、身体拘束を受けたその日から取調べが始まります。
当然、身に覚えのない事件なので「やっていない」と答えなければなりませんが、取調べを担当する警察官は自白を得るために厳しく追及してきます。
昔のように暴行や脅迫を用いた取調べは行われていないと思いますが、それに近い取調べがいまだに行われているのが現状で、取調べを受けた方のほとんどは、取調官の威圧的な言動に恐怖を感じるといいます。
また中には「認めたら釈放してやる。」「認めたら起訴されない。」といったような甘い囁きをしてくる取調官がいるようなので注意しなければなりません。
もし、取調べの苦しい状況から逃れるために、その場限りのつもりで身に覚えのない事件を自白してしまうと、それは取り返しのつかないことになりかねません。
警察の取調べで自白したとしても刑事裁判で明らかになって無罪が証明されるだろうと思って身に覚えのない事件を自白した」という男性は、警察での自白調書が刑事裁判でも証拠採用されてしまい、有罪が確定して、刑務所に服役しました。
そして冤罪が明らかになったのは刑務所から出所してからです。

◇誤認逮捕が起こる理由◇

~虚偽の申告~
警察等の捜査当局が取り扱う事件のほとんどは、被害者や目撃者からの通報が犯罪捜査の端緒となります。
当然、故意的に虚偽の被害申告をした方は刑事罰の対象となりますが、捜査当局が虚偽の申告に気付くことなく捜査が進んだ場合、誤認逮捕が発生する可能性があります。

~不十分な裏付け捜査~
誤認逮捕が起こる可能性が一番高いのが通常逮捕です。
通常逮捕は、裁判官の発した逮捕状をもとに逮捕されるのですが、この逮捕状を請求するのは警察等の捜査当局です。
捜査当局は、それまでの捜査経過から、犯人を割り出した理由や、逮捕の必要性を明らかにした疎明資料をもとに裁判官に逮捕状を請求します。
疎明資料のほとんどは、警察官等によって作成されるので、捜査員の先入観にとらわれた主観的な内容になりがちです。
そのため、捜査当局にとって都合の悪い証拠は排除されてしまって逮捕状が請求されるので、誤認逮捕が起こってしまう可能性が生じます。

~自白の強要~
Aさんのように、逮捕前に不拘束による取調べが行われることがあります。
上記したような不適切な取調べに屈して、身に覚えのない犯行を自白してしまえば、その内容が記載された供述調書によって逮捕状が発付され、誤認逮捕につながる場合があります。

ご家族、ご友人が警察に誤認逮捕された場合は、早急に刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
東京都江東区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が警視庁城東警察署逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部の初回接見サービスをご利用ください。
初回法律相談:無料

暴行の相手が死亡 同時傷害の特例

2020-01-14

暴行した相手が死亡してしまった同時傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇暴行の相手が死亡◇ 

土木作業員のAさんは、同じ工事現場で作業をしている同僚と仲が悪く、普段からトラブルを繰り返しています。
その同僚と、先日偶然、豊島区にある行きつけの居酒屋で出くわしてしまい、口論になった後に、Aさんは同僚の顔面を複数回殴りつけてしまいました。
そして同僚は、Aさんに殴られて転倒する際に、偶然、そばにいた酔っ払いの服を掴んでしまい、酔っ払いの服を血で汚してしまいました。
服に血が付いたことに怒った酔っ払いは、Aさんに殴られて転倒した同僚の顔面を足で踏みつける暴行を加えました。
Aさんと、酔っ払いの暴行によって傷害を負った同僚は、救急搬送されましたが、頭部に重傷を負っており、その後死亡が確認されました。
通報によって駆け付けた警視庁池袋警察署の警察官によって傷害罪で現行犯逮捕されていたAさんは、その後、傷害致死罪で取調べを受ける事になりましたが、Aさんは、同僚が死亡した原因は、酔っ払いによる暴行が原因だと思っており、この罪名に納得ができません。
(フィクションです。)

~傷害致死罪と同時傷害の特例(刑法207条)~

本件では、Aさんに同時傷害の特例が適用され、傷害致死罪が適用されています。
同時傷害の特例とは、耳慣れない方も多いかもしれませんが、刑法207条によって規定されています。
刑法207条は、
・「2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において」
・「それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは」
・「共同して実行した者でなくても、共犯の例による」
という、非常に特殊な規定になります。

刑法60条は、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と、共犯の中でも共同正犯について定めていますが、本来本条が適用されるには、2人以上の間に共謀が必要とされています。
刑法207条はこのような共謀がない場合にも、共同正犯が成立することを認める特殊な規定なのです。
さらに、本条は本来は検察官が負うはずの挙証責任を、被告人側に転換する(行為と結果の因果関係の不存在を被告人側に負わせる)点においても、特異な規定であり、学説上も批判が根強く主張されているところでもあります。

このような特例が置かれた趣旨については、傷害の結果が明らかであるにもかかわらず、当該傷害について誰も刑事責任を負う者がいなくなってしまう事態を回避するための特例との考え方が通説とされています。

この点、近年の判は、本条の適用に関し、まず「共犯関係にない2人以上」の「各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するもの」であり、「同一の機会に行われたものである」場合には「各行為者において、自己の関与した暴行が傷害を生じさせていないことを立証しない限り、傷害についての責任を免れない」としました。
さらに上記判例は、「共犯関係にない2人以上の暴行による……刑法207条適用の前提となる事実関係が証明された場合には、いずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定されるときであっても、各行為者について同条の適用は妨げられない」としています。

これは、207条は暴行と死亡結果の因果関係を問題とするものではなく、あくまで暴行と「傷害」結果の因果関係が不明な場合に適用される規定であることを示したものと考えられます(上述のとおり207条では、「その傷害を生じさせた者を知ることができないとき」という文言が使われています。)。
したがって、本件Aさんが「当該傷害を惹起する危険性」を有する暴行を、「同一の機会」に行ったと認められば、207条の適用を介して、傷害致死罪(刑法205条)の罪責を負う可能性が生じることになるのです。

~同時傷害の特例における弁護活動~

弁護士としては、本条の適用について、Aさんの暴行が本当に「同一の機会」によるものであるのかを検討する必要があるでしょう。
さらに、刑法第207条が因果関係の挙証責任を被告人側に転換している規定である以上、Aさんによる暴行と、同僚の傷害との結果の間に因果関係がないということを積極的に立証するという特殊な立証活動が求められることになります。
仮に、因果関係がないことが証明されれば、Aさんが負う刑事責任は傷害罪の程度にとどまることになり、その法定刑に大きな差が生じることになるため、弁護士の立証活動が重要になることは言うまでもありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、傷害致死(同時傷害の特例)事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
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偽計業務妨害事件で控訴

2020-01-02

控訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

Aさんは、インターネットの動画投稿サイトにオリジナル動画投稿し、再生回数に応じて支払われる広告収入で生計を立てています。
先日Aさんは、覚せい剤に似せた白色粉末を入れた袋を、東京都北区にある、警視庁赤羽警察署の交番前に立っている警察官の前に落とし、そこから逃走するというドッキリ動画を撮影し、その動画をサイトに投稿しました。
再生回数は、これまでの3倍以上に増えましたが、悪質な悪戯だと事態を重く見た警視庁赤羽警察署が捜査を開始し、Aさんは警視庁赤羽警察署に偽計業務妨害罪で逮捕されてしまいました。
その後Aさんは起訴されて、先日、Aさんが略式起訴を拒否したために開かれた刑事裁判によって有罪が認定されて、罰金刑が言い渡されたのですが、Aさんは判決に納得ができず、控訴を検討しています。(実話を基にしたフィクションです。)

◇偽計業務妨害罪~刑法第233条~◇

偽計を用いて人の業務を妨害した場合には、偽計業務妨害罪が成立します。
「偽計」とは、人をだましたり、あるいは人の無知・錯誤を利用したりなどすることをいい、例えば虚偽の通報をすることが「偽計」に当たります。
Aさんの行為は、覚せい剤に見せかけた白色粉末白入りの袋を落とし、警察官をだまそうとしているため、「偽計」を用いているといえるでしょう。

では、警察官の捜査やパトロールなどといった公務は、偽計業務妨害罪のいう「業務」に当たるでしょうか。
公務への妨害行為については公務執行妨害罪が規定されており、公務執行妨害罪は公務への「偽計」を禁止していないことから問題になります。
判例は、強制力を排除する権力的公務か否かを基準としており、これに当たらない場合に公務が「業務」に当たるとしています。
そして、虚偽通報のような妨害行為に対しては警察官が強制力を行使しうる段階にないとして、公務が「業務」に含まれると判断しました。
そうすると、Aさんの行為は「業務」に対して「偽計」を用いたといえるでしょう。

なお、偽計業務妨害罪の条文には「妨害した」とありますが、これは現実に妨害が発生している必要はなく、業務を妨害しうるような行為がなされていれば「妨害した」といえます。
このような点を考慮すれば、Aさんには偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いです。
ちなみに偽計業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
偽計業務妨害罪等の刑事事件で逮捕された場合には,刑事事件に強い弁護士に早めに初回接見を依頼することをお勧めします。

◇刑事裁判の流れ~控訴~◇

刑事事件を起こして起訴されれば、略式起訴での罰金刑を除いて、刑事裁判によって、その刑事罰が決定します。
刑事裁判は、通常の事件であれば地方裁判所(支部)で行われますが、軽微な事件であれば簡易裁判所で行われることもあります。
Aさんの起こした偽計業務妨害罪のような刑事事件の刑事裁判は、最初(第一審)東京地方裁判所(支部を含む)で行われます。

~控訴~
そして第一審の判決に不服がある場合は、高等裁判所に控訴する事ができます。
控訴は無制限にできるわけではなく、一定の控訴理由が必要となります。
主な控訴理由は、訴訟手続の法令違反、法令適用の誤り、量刑不当、事実誤認(ただし、これらの理由が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合)などです。
また、控訴するには第一審判決の言渡しの翌日から、2週間以内に控訴申立書を、第一審の判決を出した裁判所に提出する必要があります。
控訴審(第二審)は、全国8カ所にある高等裁判所又は全国6カ所にある高等裁判所の支部で行われることとなります。

東京都北区の刑事事件でお困りの方、偽計業務妨害罪の一審判決が不服で控訴を考えている方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部」にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁赤羽警察署までの初回接見費用:36,400円

※弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、お正月も休まず営業いたしております。※

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