【弁護士が解説】触らない痴漢とは?触らない痴漢で後日逮捕されることがあるの?取調べでは何を聞かれる?

【弁護士が解説】触らない痴漢とは?触らない痴漢で後日逮捕されることがあるの?取調べでは何を聞かれる?

SNS上で話題となり,ネットニュースにまでなった「触らない痴漢」というものがあります。
YahooニュースJapan 「何でも痴漢にされるの?」SNSで【触らない痴漢】が物議…「匂いを嗅ぐだけ」「エアドロ痴漢」男性も被害
改めて,「痴漢」に対して成立する可能性のある罪名や「痴漢を疑われた場合」の対応を弁護士が解説します。
痴漢事件でお困りの方は,刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

【事例(フィクション)】

Aさんは埼玉県から新宿にある会社まで電車で通勤していました。
ある時,朝の満員電車に乗っていたAさんは,電車を降りてすぐ「痴漢ですよね」とVさんから詰め寄られました。
Aさんとしては身に覚えがないことだったのですが,Vさんは「首元に顔を近づけられてた」と,痴漢に遭った事を主張しました。そのまま駅員がやってきて,AさんとVさんはそれぞれ別々に警視庁池袋警察署の警察官から話を聞かれることになるのです。

【痴漢とは?】

まず,痴漢とは何なのか,改めて考えてみましょう。
実は,法律にも条例にも痴漢という言葉を定義する規定はありません。
辞書的にいうと痴漢とは,次のようなことを指しています。
痴漢①おろかな男。ばかもの。しれもの。②女性にみだらないたずらをする男。
(広辞苑第七版より)
ネットニュースで言われているのは,この②の意味の,みだらないたずらや性的にいやらしいことをする,という方の意味が使われているのでしょう。
この,痴漢行為に対しては,次のような犯罪の成立が考えられます。
・都道府県の迷惑行為防止条例
・不同意わいせつ罪
都道府県の迷惑行為防止条例は若干のばらつきがありますが,概ね,他人に不安を与えるような卑わいな言動,具体例として「公共の場所で他人の身体に服の上から,若しくは直接肌にふれる」という行為を犯罪としています。
他人の身体に触れるという行為が,まさに痴漢にあたる行為ですから,迷惑行為防止条例は,痴漢防止条例等と言われることもあるようです。

一方,不同意わいせつ罪は,2023年に刑法が改正されたことで「強制わいせつ」とされていたのが名前を変えたものです。単に名前が変わっただけでなく,処罰範囲も広くなりました。これまで「暴行又は脅迫」を用いてわいせつ行為をした場合に限り,強制わいせつが成立するものと扱われていましたが,それだけでなく,行為に対して同意するいとまがない(:咄嗟のことで相手が拒否することができない)状況でわいせつ行為をしたという場合にも,不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)が成立することになっています。
都道府県の迷惑行為防止条例に対しては1年又は2年以下の懲役刑が科せられるのに対して,不同意わいせつの場合,6月以上10年以下の懲役という,格段に重い刑罰が科せられるのです。
一口に「痴漢」と言われても,条例違反になるのか,不同意わいせつになるのかで大きな違いが出てくるのです。

【触らない痴漢は,何罪?】

ニュースに出てくるような「触らない痴漢」はどのような犯罪に該当し得るでしょうか。
「触らない痴漢」については,大きく二つ分類できるでしょう。
1つは,エアドロップで卑わいな画像を送り付ける,性的な言葉やいやらしい単語を投げかけるもので,「物理的な接触がない」パターンです。もう1つが,直接身体の接触はなくとも,至近距離まで身体を近づけて来るという「接近型」パターンです。
どちらにしても,その相手に対して不快感や不安感を感じさせるような言動であれば,人に不安を与えるような卑わいな言動であるとして,迷惑行為防止条例違反に該当してしまう可能性があります。
更に進んで不同意わいせつ罪と言えるかどうかですが,これは行為のわいせつ性によって判断が異なるでしょう。現在の最高裁は,何がわいせつ行為なのかという点について,「行為そのものが持つ性質やその程度」を前提として,「具体的な状況からみて性的な意味合いを持つのか,その意味合いの強さ」を考えて判断するとしています。
不同意わいせつ罪は,個人の性的自由を保護する規定であるため,不同意わいせつ罪といえるのは性的事由に対する侵害があるかどうかによって変わってくるのです。
近年の「触らない痴漢」に対する最高裁判所の判断は見当たらないところですが,同様の判断基準になるでしょう。
行為そのものに性的な意味合いが含まれるものであれば,「触らない痴漢」に対して不同意わいせつ罪が成立する余地もあるかと思われます。

【後日の逮捕はあるのか】

上記の事例でAさんは一度帰宅を許された場合,その後の逮捕の可能性はあるのでしょうか。
痴漢の事例に対して後日になって逮捕される可能性があるのは次のような場合です。
①複数件の事件に関わっていたと疑われている場合
②証拠隠滅や逃亡の可能性を疑われた場合
①はつまり,余罪が多数あったと疑われているような場合です。電車内の痴漢だと,同じ路線の同じ時間帯に,複数の被害申告があったという場合や,複数の事件の犯人の背格好と共通しているというような場合です。
②は,取調べに対する対応の中で,事件に関係する証拠の隠滅や事件関係者に対する働きかけをするおそれや,取調べに呼んでも来ない等といった逃亡のおそれがあると疑われた場合には,改めて逮捕状を取って後日逮捕するという場合もあります。
痴漢の事件に対して「現行犯で逮捕されなければその後の逮捕はない」という言説もありますが,半分正しくて,半分誤りです。
確かに,痴漢の事案については現行犯逮捕されるというケースが大半で,時間が経つほど逮捕の可能性は下がっていくと言ってよい事案なのです。しかし,上記の通り「後日,裁判所から逮捕状を貰って,改めて逮捕に来る」という事例も一定数存在します。
加えて,「身に覚えがない」と容疑を否認していた場合には,適切に対応しなければ逮捕されてしまう可能性が高まる恐れもあります。
身に覚えがない痴漢事件については早期のうちに弁護士に相談しましょう。
警視庁池袋警察署痴漢不同意わいせつ事件について、刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

【疑われた中での取調べ】

「接触しない痴漢」に対しては,迷惑行為防止条例に留まるものと不同意わいせつが成立してしまうものが混在しています。また,「身に覚えがない」という主張を不適切に押し通してしまうと,逮捕のリスクも高めてしまいます。
つまり,Aさんのような事例では,逮捕され,重い刑罰が科せられてしまうリスクが高い状態にある,ということができます。
その状態で最も重要になるのが,警察の取調べへの対応です。
多くの方が,「警察官と対面して話した経験が少ない」,もしくは,「取調室にも入ったこともない」と仰います。確かに,普通に生活していて,運転免許や落し物のことを除くと,特殊な仕事をしていない限りは,警察官と関わることは少ないでしょう。
一方,警察官は取調べのプロ,つまり,自白させることのプロなのです。

警察と関わったことのない市民(素人)が,警察(プロ)から取調べを受けたとして,適切に対応できる見込みはほぼありません。
完全な自白までは取られなかったとしても,
後の裁判で不利になってしまう可能性がある供述調書
・一見言い分が全部盛り込まれたように見えて,不合理な弁解のようになっている供述調書
のように,後々の不利益となるような調書が作成されてしまう可能性が非常に高いといえます。
また,逮捕リスクについても先んじて考えておかなければなりません。
警察官は「被疑者が否認している」ことを理由として,平気で裁判所に逮捕状を請求してしまうことがあるのです。もちろん,裁判所がこれを却下すればよいのですが,逮捕状が出てしまう可能性も否定はできません。
取調べに先立って弁護士が警察官に,「逮捕するならばこちらも相応の手段で争う」という姿勢を見せておくことや,逮捕状が発付されるような状況を作らないことも重要です。
どの法律事務所のHPにおいても「取調べへの対応が重要です」と書かれているかと思いますが,それは後々の裁判で不利にならないためということと,逮捕される可能性をなるべく下げるための2つの理由から重要なのです。
Aさんの事例でも,相手からは単に「顔を近づけられた」と言われていますが,警察の取調べの中では「キスをしようとしたのだろう」「息を吹きかけようとしたのだろう」「首を舐めようとしたのだろう」と,やっていないことまで厳しく糾問される可能性があります。
冤罪であれば,これらに対して徹底して対抗しなければなりませんが,1人で警察に立ち向かうというのは,技術的にも心理的にも困難です。
警視庁池袋警察署痴漢不同意わいせつ事件について、刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。冤罪事件弁護を含む,刑事弁護の経験に富んだ弁護士が対応します。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

【最後に】

今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が「触らない痴漢」というワードを基に,迷惑行為防止条例違反事件不同意わいせつ事件について解説致しました。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。痴漢不同意わいせつ事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や,ご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には,最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。警視庁池袋警察署までの初回接見は35,860円(令和6年1月1日時点,東京支部の場合)で行っています。
24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

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