【弁護士が解説】セクハラ行為は罪になる?ならない?刑事事件になる前に示談交渉をした方が良い場合も

【弁護士が解説】セクハラ行為は罪になる?ならない?刑事事件になる前に示談交渉をした方が良い場合も

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一昔前、大物政治家が「セクハラ罪っていう罪はない」と発言したことが大きな波紋を呼び、国会でも大きな問題として取り上げられるほどの事件に発展しました。
「セクハラ罪という罪に関する質問主意書」平成30年 衆議院
5年以上前の刑法には「セクハラ罪」という単語は登場しませんが、その当時からセクハラも強制わいせつ罪強制性交等罪といった犯罪に該当する可能性はありました。
そして、令和5年(2023年)7月の刑法改正によって、強制わいせつ不同意わいせつという名称に変わり、処罰範囲も大幅に広くなりました。
以下の事例を通して、不同意わいせつ罪についてどのように拡大したのか解説していきます。

警視庁赤坂警察署不同意わいせつ罪事件について、刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

【事例】

Aさん(50代、男性)は名古屋市にある商社に勤めていました。ある時、Aさんは部下で指導を担当しているBさん(20代、女性)と東京都港区にある取引先へ商談のために出張へ行くことになりました。
仕事はうまくゆき、AさんはBさんを飲みに誘いました。Bさんは、あまり乗り気ではなかったのですが、出先で上司に誘われた手前断れず、一緒に居酒屋で飲酒します。
Aさんはお酒を飲むうちに気が大きくなってしまい、店内でBさんの隣に座り、仕事ぶりについていろいろと言いながら、「俺の言うことは聞いておいたほうがいいんだ」とBさんの腰周りや太ももを触ってしまいました。
Bさんも、嫌だとは思いつつ、その場では何も言えませんでした。
後日、Bさんは社内のコンプライアンス部門へ、Aさんに触られたことを相談したところ、会社に自体が発覚します。
会社の担当者はAさんと面談を行い、「Bさんと警察へ相談したほうがいいのかな」と漏らしました。
Aさんは
・これって犯罪に該当してしまうのかな
・いきなり警察に逮捕されることがあるのかな
・いまどうしたらいいのかな
と不安に思い、刑事事件を扱う弁護士に相談することにしました。

【不同意わいせつ罪と強制わいせつ罪】

Aさんのような行動は、典型的なセクハラパワハラに該当するものでしょう。ですが、従来ではなかなか「犯罪」とまでは言いにくいものでした。
強制わいせつ罪は、「暴行または脅迫」という手段を用いて、人に、「わいせつ」行為をしたときに成立する犯罪です。Aさんのように、身体接触を伴うセクハラ、特に、下半身や胸などの性的な部位を触る行為であれば「わいせつ」行為に該当すると言ってよいでしょう。
ところで、「暴行または脅迫」とは、判例上、被害者に対して、わいせつ行為への抵抗を難しくさせるような行為でなければならないとされています。
事例のように、「被害者と加害者の間に一定の上下関係がある」というだけでは「暴行または脅迫」があったとまでは言えませんでした。
しかし、不同意わいせつ罪になったことで、この「暴行または脅迫」という限定がなくなり、一定の行為関係性から「同意しない意思を形成し、表明し、若しくはこれを全うすることが困難な状態にさせ」た状態でわいせつ行為をすることが不同意わいせつ罪となったのです。
この「同意しない意思を形成し、表明し、若しくはこれを全うすることが困難な状態にさせ」というのは少し難しいですが、噛み砕いてみていくと、次のいずれかの場合のことをいいます。
・同意しない意思を形成できない状態:眠っている、酔っ払っている、勘違いしている、咄嗟のことで気づかなかった等の理由から、自由な意思を形成できない状態
・同意しない意思を表明できない状態:「嫌だ」という意思を持っていたとしても、なにかしらの理由から「嫌だ」と言葉にできない状態
・同意しない意思を全うできない状態:「嫌だ」という意思を持っていて、「嫌だ」と言葉にすることができるとしても、その意思に従って行動することができない状態
わいせつ行為に対して、「嫌だ」という意思を「形成→表明→その通り行動」というステップのいずれかを欠いていた場合に、不同意わいせつ罪が成立することになるのです。
不同意わいせつ罪強制わいせつ罪も、法律上の刑の重さは一緒です。刑の重さが一緒なので、犯罪の時効も同じですが、令和5年7月よりも前の行為については不同意わいせつ罪ではなく、旧来の強制わいせつ罪が適用されます。
Aさんの事例の場合、不同意わいせつ罪の成立するパターンとして法律に挙げられているうちの一つである、次の部分に該当する可能性があります。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
具体的な行為や言動でなくとも、「社会関係上の地位に基づく影響力」、つまり、人間関係上「この人には逆らえないな」という関係を利用したわいせつ行為に対しては、たとえ相手が「嫌です」と拒否をしていなかったとしても、不同意わいせつ罪に該当します。
従来は、「嫌だと言われなかったので同意していると思った」と争われる裁判も多くありましたが、不同意わいせつ罪に変わったことで、このような弁解が意味を持たない事例も現れてくるでしょう。

【示談の必要性】

Aさんのように社内のセクハラ事案として扱われている状態であっても、早急に相手方との示談を進めるのがよいでしょう。
示談は、お互いに間違いがない事実関係を前提として、加害者が被害者に対して謝罪と相応の弁償を行い、話し合いで事件を解決する(≒これ以上は紛争化しない)という合意のことです。あくまでお互いの意思が合致して初めて成立するものです。「示談はできますか?」という質問は非常に多く受けますが、これに対しては「半分イエス、半分わからない」としか答えられません。
示談については、時間制限がある行為ではありません。警察に被害届を出す前でも、出したあとでも、裁判になる前でも後でも、相手との合意ができる限りはいつでも示談に望むことはできます。その意味では、「イエス」です。
一方、示談は先程の通り、相手との合意であり、一種の契約です。一方的に契約内容を決めたり、締結したりすることができないのと同じように、示談についても相手と条件面をよくすり合わせて、最終的に合意に至らなければ締結できません。相手方あっての行為ですから、最終的に示談できるかどうかは「相手の出方にもよりけり」なので、「わからない」という部分もあるのです。
ですが、自分たちで示談するよりも、弁護士を介した示談の方が、ほとんどのケースで示談の締結可能性は上がると言ってよいでしょう。
当人同士で示談交渉を行うよりも、弁護士を介したほうが
・相手の連絡先を入手しやすい
・感情的な対立が収まりやすい
・相場を踏まえた適切な金額に収まりやすい
・蒸し返しを防止した示談にできる
といった点で、大きなメリットがあります。
逆に、素人同士で示談をしてしまうと
・そもそも連絡がつかない
・感情的に対立する、言い合いになる
・相場から大きく離れた示談金になる
・後で蒸し返しになる
といったリスクがあります。
どのような手続きの状態であれ、示談に望むのであれば弁護士によるサポート介入は必要不可欠です。
警視庁赤坂警察署不同意わいせつ罪事件について、刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。示談交渉についても、数多くの罪種、事件について示談交渉に望んできた弁護士が代理人としてサポート、交渉を行います。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

セクハラ事案については、特に示談が重要な場合があります。もちろん、刑事事件について示談交渉の結果、被害届を出さないということになれば、逮捕や、懲役刑のような前科のリスクも相当低減します。
それに加えて、社内での懲戒処分などについて一定の好影響が期待できます。
事実関係に間違いがない(相手方と言い分の食い違いがない)ことが前提ですが、示談をすることで相手への謝罪と弁償を行い、それを被害者が受容したという事実が生まれます。
示談することで、刑事事件となっていないという事情も相まって、懲戒の内容が温情的なものへと下がることが期待できます。
懲戒については各企業ごとの就業規則が「ルール」ですから、示談したから軽くなると一概には言えませんが、一般論としては、示談していない事案に比べると、示談していたという事案のほうが、懲戒においても良い情状として考慮されることが多いでしょう。

【最後に】

今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が不同意わいせつセクハラの事例について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。不同意わいせつ事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や,セクハラでご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

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