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【報道事例】大学や自治体施設に爆破予告をした威力業務妨害罪の疑いで逮捕
【報道事例】大学や自治体施設に爆破予告をした威力業務妨害罪の疑いで逮捕
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が威力業務妨害罪の逮捕事例について事例を用いて解説致します。
【事例】
東京音楽大(東京都目黒区)にファクスで爆破予告を送りつけたとして、警視庁捜査1課は23日までに、威力業務妨害容疑で、東京農工大大学院生A1(22)=東京都小金井市中町、無職A2(26)=埼玉県草加市新栄=両容疑者を逮捕した。
いずれも容疑を認めているという。
同様のファクスは1~5月、全国の高校や大学、自治体、企業で計30万件以上確認されており、同課は関連を調べる。
逮捕容疑は1月23日午前7時~7時半ごろ、2回にわたり、「高機能爆弾を334個しかけたナリ」「14時までに口座に30万円を払わないと爆弾が爆破する」などと記載したファクスを東京音大に送信し、業務を妨害した疑い。
同課によると、2人は2022年秋、X(旧ツイッター)で知り合い、爆破予告などを送りつける嫌がらせを思いついた。
匿名化ソフトで送信元を隠しつつ、大量にファクスを送信していた。
(※8/23(水)に『Yahoo!ニュース』で配信された 「東京音大に爆破予告、大学院生ら逮捕 威力業務妨害容疑、全国で30万件超 警視庁」記事を一部変更して引用しています。)
【解説】
1.威力業務妨害罪とは?
威力業務妨害罪とは「威力を用いて、他人の業務を妨害するなどの行為」に対する罪です。
刑法234条に次のように規定されています。
- 刑法234条 (威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
前条とは、刑法233条に規定されている信用毀損罪・業務妨害罪のことです。
- 刑法233条 (信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
威力業務妨害罪は殴る・蹴る等の物理的な行為のみに限定されず、紹介している逮捕事例のようにSNSの投稿やファックスを送りつける行為も該当します。
また、実際に業務が妨害されていなくても、業務が妨害されるおそれがあれば犯罪が成立します。
2.威力業務妨害罪の刑罰
威力業務妨害罪の刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
3.威力業務妨害罪で逮捕されたら?
威力業務妨害罪で逮捕されてしまった場合には、弁護士に相談し被害者の方と示談交渉をしてもらうと良いでしょう。
弁護士に間に入ってもらい被害者と示談交渉が成立することによって、不起訴獲得の確率が高くなります。
また、起訴されてしまった場合であっても、示談が成立していれば量刑を考慮される可能性があります。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が威力業務妨害罪の逮捕事例について解説致しました。
刑事事件の容疑をかけられたり、逮捕されてしまった場合には早期の段階で刑事事件専門の弁護士に依頼をして弁護活動を行ってもらうことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
東京都目黒区、小金井市及びその周辺に在住の方で、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。
【報道事例】水に毒性物質を注入すると傷害罪が成立する?
【報道事例】水に毒性物質を注入すると傷害罪が成立する?
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が傷害罪の概要について事例を用いて解説致します。
【事例】
トリカブトに含まれる毒性の物質を水に混ぜて女性に飲ませ、急性中毒に陥らせたとして、診療放射線技師の男が警視庁に逮捕されました。
傷害の疑いで今月5日に逮捕されたのは、都内の病院に勤務する診療放射線技師で、東京・足立区に住む容疑者A(27)です。
Aは今年6月8日の午前、勤務先の病院のスタッフルームでトリカブトに含まれる毒性物質「アコニチン」を注射器を使ってペットボトルに入った水に混ぜたうえ、同僚の20代の女性に飲ませて、嘔吐や手足の痺れなどの急性中毒に陥らせた疑いがもたれています。
警視庁によりますと、長浜容疑者は「アコニチン」が含まれる物質をネットで購入し、スタッフルームの机の上に置いてあった女性の飲みかけのペットボトルに入れたということです。
取り調べに対しAは「知らないうちに混ざってしまった」と容疑を否認しています。
女性は被害に遭った後、ペットボトル内の水を確認したところ、小さなゴミのようなものが浮いているのを不審に感じ、警視庁に相談しました。
その後、警視庁の捜査員が病院内を警戒していたところ、6月16日にAが再び女性のペットボトル内に注射器で液体を入れる様子を目撃したため、器物損壊の疑いで現行犯逮捕しました。
混入された物質を詳しく調べたところ、覚醒剤成分と判明し、Aは7月6日に覚醒剤所持の疑いで再逮捕され、その後、起訴されました。
Aは最初の逮捕時の取り調べに対し「女性に好意があった」と供述し、女性が体調を崩した後に介抱をするなどしていて、警視庁は詳しい動機を追及しています。
(※8/22(火)に『Yahoo!ニュース』で配信された 「放射線技師を傷害容疑で逮捕 トリカブトの毒性物質を水に混ぜ…同僚女性に飲ませた疑い 覚醒剤も混入しようとしたか 警視庁」 記事の一部を変更して引用しています。)
【解説】
1.傷害罪とは?
傷害罪(しょうがいざい)とは、「人の身体を傷害した」場合に成立する犯罪です。
刑法第204条には次のように規定されています。
- 刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害した(生理的機能の障害)には、ナイフで切る・殴って骨を折るなど外傷に限られず、意識障害や嘔吐、毒物による中毒症状も含まれます。
2.傷害罪の刑罰
傷害罪で有罪判決を受けた場合には、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。
3.傷害罪で起訴・不起訴を決める要素は?
傷害罪が成立しても、すぐに起訴され処罰を受けるわけではなく、不起訴処分となり前科がつかない場合もあります。
傷害罪で起訴・不起訴を決定するポイント(要素)には以下のようなことが考えられます。
- 傷害(けが)の程度
- 犯行動機
- 犯行の経緯
- 示談の有無
- 過去の経歴(前科の有無など)
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が傷害罪の概要について解説致しました。
傷害事件では、被害者との示談成立の有無は起訴・不起訴を左右する重要な要素となります。
早期の段階で弁護士に示談交渉に入ってもらうことで、早期の身柄開放や不起訴処分獲得の確率がぐっと高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
東京都足立区およびその周辺に在住の方で、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。
事務所で弁護士から直接アドバイスを受けられる無料法律相談や、逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
逮捕されたらいつ帰れる? 逮捕後の拘束期間
逮捕されたらいつ帰れる? 逮捕後の拘束期間
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が逮捕手続きの流れと拘束期間について解説致します。
【事例】
東京都杉並区内では、若い女性をターゲットにしたひったくり事件が多発していました。
杉並警察署の警察官は、被害者の証言や街の防犯カメラ等から管轄地域内で起きたひったくり事件の被疑者として、東京都杉並区在住のAさん(25)を逮捕しました。
(※事例はフィクションです。)
【解説】
1.逮捕されるのはどんな犯罪?
逮捕には、現行犯逮捕、通常逮捕、緊急逮捕の3種類があります。
原則、逮捕には令状(逮捕状)が必須となりますが、令状を必要としない現行犯逮捕、緊急逮捕がその例外となります。
今回は、逮捕状が必要な通常逮捕に限定して解説をいたします。
上記のように通常逮捕とは、裁判官が発付した逮捕状に基づいて被疑者の身柄を拘束する逮捕手続きです。
通常逮捕を行うには逮捕の要件が充足されている必要があり、この要件を満たしている犯罪が逮捕されるおそれのある犯罪といえます。
通常逮捕の要件は、以下のようになります。
①逮捕の理由
②逮捕の必要性があること
①逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」を意味します。
特定の犯罪事実が存在し、被疑者がその犯罪を犯したことが相当程度認められることが必要となります。
②逮捕の必要性は、犯罪の重大性、被疑者の年齢や生活環境などを考慮しながら、被疑者に逃亡や犯罪の証拠隠滅を図るおそれがある場合に認められます。
※30万円以下の罰金、拘留または科料にあたる罪については、被疑者が住居不定の場合、または正当な理由なく出頭の求めに応じない場合にのみ逮捕が許されます。
2.逮捕後の流れ
被疑者が逮捕されると通常、警察署の施設内にある留置場(場合によって別施設である拘置所)に身柄を拘束され、家に帰ることができなくなります。
3.拘束期間は最大でどれくらい?
逮捕によって自由が制限されるのは最長72時間です。
この間に検察官がより長期の身体拘束を請求し、裁判官がこれを許可すると、さらに10日間、再延長を請求した場合にはさらにプラス10日間で最長20日間も身柄が拘束されることになります。
ここから検察官が被疑者を起訴し、裁判になることが決まると拘束期間は裁判終了まで続く可能性もあります。
逮捕されてしまった場合には、早期の段階で刑事事件に強い弁護士に依頼をすることで、身柄の拘束期間が短縮される確率が高まります。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が逮捕手続きの流れと拘束期間について解説致しました。
上記解説のように、逮捕されると長い期間の身体拘束の可能性があります。
身体拘束が長期間続くと仕事や学校などの日常生活への復帰がどんどん難しくなります。
そのような事態を避けるためにも、弁護士に身柄解放の働きかけをしてもらうことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は,弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。
また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
東京都杉並区内及びその周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631−881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。
【報道事例】大学に爆破予告をした2人を威力業務妨害罪の疑いで逮捕
【報道事例】大学に爆破予告をした2人を威力業務妨害罪の疑いで逮捕
東京音楽大学にFAXで爆破予告を送りつけた男性2人を威力業務妨害罪の疑いで逮捕したという報道がありました。
爆破予告をした当人はいたずらのつもりだったかもしれませんが、爆破予告は単なるいたずらでは済みません。
今回は、実際の報道をもとに、爆破予告で問われる可能性がある罪や逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。
【事例】
東京音楽大(東京都目黒区)にファクスで爆破予告を送りつけたとして、警視庁捜査1課は23日までに、威力業務妨害容疑で、男性A(22)と男性B(26)を逮捕した。
いずれも容疑を認めているという。
同様のファクスは1~5月、全国の高校や大学、自治体、企業で計30万件以上確認されており、同課は関連を調べる。
逮捕容疑は1月23日午前7時~7時半ごろ、2回にわたり、「高機能爆弾を334個しかけたナリ」「14時までに口座に30万円を払わないと爆弾が爆破する」などと記載したファクスを東京音大に送信し、業務を妨害した疑い。
同課によると、2人は2022年秋、SNSで知り合い、爆破予告などを送りつける嫌がらせを思いついた。
匿名化ソフトで送信元を隠しつつ、大量にファクスを送信していた。
(※Yahoo!JAPANニュース8月23日配信『東京音大に爆破予告、大学院生ら逮捕 威力業務妨害容疑、全国で30万件超 警視庁』記事の一部を変更して引用しています。)
【爆破予告で問われる罪】
爆破予告で問われる可能性がある典型的な罪は威力業務妨害罪です。
今回の事例でも、爆破予告をした2人は威力業務妨害罪の疑いで逮捕されています。
威力業務妨害罪については、刑法第234条で以下のように規定されています。
- 刑法第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
「威力を用いて」とは、威圧するような行為で相手の意思を制圧することを指し、この行為で正常な業務を行うことを妨害した場合に、威力業務妨害罪が成立します。
今回の事例のような爆破予告も、大学に対して威圧する行為として認められます。
さらに、爆破予告によって、学内にいる人を避難させたり爆破物を見つけるために学内を閉鎖したりするといった対応が必要になり、大学の正常な業務が妨害される可能性があるので、威力業務妨害罪が成立する可能性が高くなります。
また、威力業務妨害罪の条文で記載されている「前条の例による」とは、威力業務妨害罪の前に規定されている刑法第233条の信用毀損罪・業務妨害罪(偽計業務妨害罪)と同様の処罰が与えられるということを指します。
- 刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
つまり、威力業務妨害罪が成立した場合は、3年以下の懲役刑又は50万円以下の罰金刑で処罰されるということです。
【爆破予告をして逮捕された後の流れ】
爆破予告をして逮捕された後は、被疑者として扱われ、逮捕後72時間は身柄が拘束されることになります。
まずは警察から取調べを受けて、48時間以内に警察が検察に被疑者の身柄を送致し、その後、検察官が被疑者の取調べを行います。
検察官は、送致後24時間以内に被疑者を引き続き身柄を拘束した状態で取調べをする必要があるかどうかを判断し、必要があると判断されれば勾留手続きが行われます。
勾留手続きでは、検察官が裁判所に被疑者の勾留を求める勾留請求を行い、裁判官が勾留請求を認めれば、勾留が決定されます。
勾留が決定されれば、10日間身柄が拘束されることになり、追加で10日間延長することもできるため、最大20日間身柄を拘束される可能性があります。
検察官は、最終的に被疑者を起訴するかどうかの判断を行います。
不起訴処分となれば事件は終了しますが、起訴されれば、裁判にかけられる公判請求や罰金刑を言い渡される略式起訴がなされます。
【爆破予告による刑事事件を起こしてしまったら弁護士へ】
日本では、検察官が起訴した事件の99%は有罪判決が下されると言われているため、不起訴処分を獲得することが今後の人生を大きく左右するポイントになります。
不起訴処分を獲得するためにも、爆破予告による刑事事件を起こしてしまった際は弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、不起訴処分を獲得できる可能性も高まります。
また、弁護士の中でも、刑事事件の弁護活動の実績を多く持つ専門の弁護士に依頼することで、より不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件の弁護活動を担当して不起訴処分を獲得した実績を多く持つ刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご自身で爆破予告をしてしまったという方や、ご家族が爆破予告をしたとして急に逮捕されてしまった方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【報道事例】兄弟の遺体を遺棄した事件で問われる罪は?
【報道事例】兄弟の遺体を遺棄した事件で問われる罪は?
東京で起きた遺体遺棄事件の報道をもとに、問われる可能性がある罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。
【事例】
東京・瑞穂町の自宅で50代くらいの男性の遺体を遺棄したとして、アルバイトの男性Aが逮捕されました。
捜査関係者によりますと、Aは瑞穂町の自宅で男性の遺体を遺棄した疑いが持たれています。
Aは3人兄弟の三男で、遺体は同居する兄Vとみられています。
別の場所に住む長男が、Vの借金について兄弟3人で話し合おうと家を訪れたところ、Vの居室で布団の上にあお向けの状態ですでに白骨化した遺体を発見したということです。
調べに対し、Aは「2年くらい前からVを見なくなって、亡くなっていると思っていたが、確認せず放置していた」と容疑を認めているということです。
警視庁は、遺体の身元確認を急ぐとともに、16日に司法解剖を行い、死因を詳しく調べる方針です。
(※Yahoo!ニュース 8月15日配信『50代くらいの男性遺体を遺棄か、アルバイトの男を逮捕 東京・瑞穂町』記事の一部を変更して引用しています。)
【遺体を遺棄して問われる罪は?】
今回の事例で問われる可能性がある罪としては、死体遺棄罪が挙げられます。
死体遺棄罪については、刑法第190条で以下のように規定されています。
- 刑法第190条(死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
死体遺棄罪は、上記の死体損壊等罪に含まれる罪の一つです。
「遺棄」とは、通常の埋葬と認められない方法で死体を放棄することを指します。
通常であれば、遺体は火葬場などの適切な場所で火葬され、遺骨が埋葬されますが、遺体を放置したりどこかに隠したりすると遺棄に該当します。
今回の事例で考えると、Aは自宅で亡くなっていたV(死体)をそのまま放置(遺棄)していたため、死体遺棄罪に該当する可能性があるということになります。
死体遺棄罪の罰則は3年以下の懲役刑のみで、罰金刑はありません。
つまり、死体遺棄罪による刑事事件を起こして検察官から起訴されると、懲役刑が言い渡される公判請求がなされるということです。
【死体遺棄罪は殺人罪の疑いもかけられる?】
死体遺棄罪は、人を殺してしまったことを隠すために死体を隠すなど、殺人罪と関連していることも少なくありません。
なので、死体遺棄罪による刑事事件を起こした場合は、殺人罪の関与も疑われることが多いです。
殺人罪については、刑法第199条で以下のように規定されています。
- 刑法第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
ただ、死体を遺棄した人が殺人を犯しているかを証明することは難しいです。
なので、警察は明らかに成立している死体遺棄罪で逮捕・取調べを行い、その間に殺人罪に該当する証拠がないか捜査するといった方法を取ることも多いです。
【死体遺棄罪で逮捕されたら弁護士へ】
前述したように、死体遺棄罪による刑事事件を起こすと、殺人罪の関与も疑われる可能性が高いので、長期的な身柄拘束を受けるリスクがあります。
長期の身柄拘束は、家族や会社に大きな迷惑をかけてしまう可能性もあり、会社からは解雇されてしまうおそれもあります。
なので、死体遺棄罪で逮捕された場合は、早急に弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士が代理人として、早期の身柄解放のための活動や、起訴されて裁判になった場合に少しでも刑を減軽できるような弁護活動などに尽力します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で早期の身柄解放や減刑判決を獲得した実績を持つ弁護士が多数在籍している刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。
ご家族が死体遺棄罪で逮捕されてしまって今後どうなるか不安に感じている方は、弁護士がご本人から直接事件の事実関係を聞きに行く初回接見サービスを提供していますので、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【事例解説】物を壊さなくても器物損壊罪が成立することがある?
【事例解説】物を壊さなくても器物損壊罪が成立することがある?
他人の物を壊すと成立する器物損壊罪ですが、実は物を壊さなくても器物損壊罪が成立してしまうケースもあります。
今回は、物を壊さなくても器物損壊罪が成立するのはどんな場合なのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。
【事例】
東京都世田谷区にある会社で勤務している男性A(42)は、同僚の男性V(40)と仕事のことで少し口論になりました。
Vに対する怒りが収まらなかったAは、給湯室にVが普段使用しているマグカップがあることに気が付き、マグカップをトイレに持ち込み、嫌がらせ目的でマグカップに放尿しました。
たまたまトイレに来たVが目撃し、VはAに対して「このマグカップはもう使えない、これは器物損壊罪だ。警察に通報する」と言いました。
これに対し、Aは「マグカップを壊していないから器物損壊罪ではない」と反論しましたが、AのVに対する行為は、器物損壊罪が成立するのでしょうか。
(※この事例は全てフィクションです)
【器物損壊罪とは】
器物損壊罪については、刑法第261条で以下のように規定されています。
- 刑法第261条(器物損壊等)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
条文に記載されている「前3条」とは、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)、私用文書等毀棄罪(刑法第259条)、建造物等損壊及び同致死傷罪(刑法第260条)を指します。
上記の3つの罪に該当するもの以外の他人の物を損壊した場合に、器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪が成立した場合、3年以下の懲役刑又は30万円以下の罰金刑若しくは科料で処罰される可能性があります。
【物を壊さなくても器物損壊罪が成立する?】
器物損壊罪について規定している刑法第261条で記載されている「損壊し、又は傷害した」とは、物や動物の効用を害する一切の行為を指しています。
つまり、物理的に損壊していなくても、その物本来の効用を害する行為であれば器物損壊罪が成立するということです。
今回の事例で考えると、AはVのマグカップを物理的に壊してはいないものの、放尿したことで、Vはマグカップを使用できなくなっています。
今回の事例と同様のケースの判例(大審院明治42年4月16日判決)では、事実上又は感情上その物を再び本来の用途に使えないようにしたときも損壊に当たるとされました。
なので、今回のAのVに対する行為は、器物損壊罪が成立するということになります。
【器物損壊罪の刑事弁護活動】
器物損壊罪は、被害者による告訴がないと検察官が事件を起訴できない「親告罪」であると刑法第264条で規定されています。
- 刑法第264条(親告罪)
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
告訴とは被害者が加害者に対して処罰をしてほしいという意思表示をすることを指しますが、逆に言えば、被害者から告訴されなれば不起訴になるということです。
被害者から告訴されることを防ぐためには、示談を締結することが重要なポイントになります。
ただ、壊した(事実上使えないようにした)物を弁償すればいいというものではありません。
すでに告訴がされていれば、被害者の加害者に対する処罰感情が大きいと考えられるため、当事者間で示談交渉を行おうとすると、被害者の気持ちを逆撫でしてしまうおそれがあります。
なので、器物損壊罪で被害者と示談を締結したい場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士が代理人として被害者との示談交渉を行うため、被害者の気持ちを汲み取りながらスムーズに示談交渉を進めることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊罪はもちろん、様々な刑事事件で被害者と示談を締結した実績を持つ弁護士が多数在籍しています。
初回無料の法律相談を行っていますので、お困りの方は24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
書類送検ってどういう意味? ニュースでよく聞くあの用語を解説
書類送検ってどういう意味? ニュースでよく聞くあの用語を解説
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部がニュース番組などでよく耳にする書類送検の意味について解説致します。
【事例】
昨年11月に東京都町田市で睡眠障害を自覚しながら路線バスを運転して事故を起こし、乗客7人に重軽傷を負わせたとして、警視庁は30日までに、自動車運転処罰法違反の疑いで、神奈川中央交通の男性社員(60)を書類送検した。
(Yahoo!ニュース「乗客7人負傷事故でバス運転手書類送検」6/30(金) 10:43配信記事の一部を引用しています。)
【解説】
1 書類送検ってどういう意味?
まず前提として書類送検(しょるいそうけん)とは、正式な法律用語ではなくテレビニュースなどで慣例的に用いられている用語です。
その意味は、刑事手続において警察が被疑者を逮捕せずに(逮捕後釈放した場合も含む)事件(犯罪捜査の書類や証拠)を検察官に送ることです。
このような刑事手続きを法律用語で検察官送致(在宅送致)と呼んでおり、書類送検はこの検察官送致を指しています。
※事件の捜査書類・証拠と一緒に、逮捕で警察署に拘束されていた被疑者の身柄が検察官に送致される場合を「身柄送致」と言います。
2 では書類送検されると何が起こるの?
検察官には刑事事件を起訴(裁判所に処分を求める)するか否かの決定権があります。
起訴しない旨を決定した場合には、不起訴処分(処分を求めない)となるわけですが、書類送検がなされると送検を受けた検察官はこの起訴か不起訴かの決定を行うことになるわけです。
3 書類送検されてしまったら?
書類送検がなされてしまった場合には、起訴か不起訴かの決定を受けることになるわけですが、この際に被害者がいる刑事事件の場合には被害者と示談を成立させておくことが重要となります。
示談が成立していれば、事件の当事者の間ではトラブルが解決していることを意味します。
示談成立の有無は、不起訴となるための重要な要素となります。
示談が成立していても起訴となる場合もありますが、示談成立の事実は裁判の際に有罪判決を受けても減刑の要素として未だ大きな意味があります。
そして、示談を成立させるためには弁護士による示談交渉が不可欠となってくるわけです。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が書類送検の意味について解説致しました。
上述した通り、書類送検となった場合には弁護士による示談交渉や裁判に向けての一日でも早い準備が不起訴処分獲得や刑の減刑に大変重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。
なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は,弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。
また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
東京都町田市内及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631―881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。
【報道事例】アパートに侵入しゲーム機を窃盗した事件で問われる罪は?
【報道事例】アパートに侵入しゲーム機を窃盗した事件で問われる罪は?
東京都江戸川区で起きた窃盗事件をもとに、問われる可能性がある罪や逮捕後の流れ、弁護士に刑事弁護活動を依頼するメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。
【事例】
東京都江戸川区で、男性Vが暮らすアパートからゲーム機などを盗んだとして、46歳の男性Aが逮捕されました。
Aは、先月、江戸川区で1人暮らしをしているVのアパートの部屋に侵入し、ゲーム機2台やゲームソフトなどを盗んだ疑いがもたれています。
警視庁によりますと、Aはインターホンを押し、Vの不在を確認した上で鍵がかかっていない窓から侵入したということです。
インターホンの録画にAの姿が映っていたことから特定されました。
Aは、取り調べに対して容疑を認め「生活費に困ってやった。ゲーム機は手っ取り早く金になる」などと話しているということです。
(Yahoo!JAPANニュース 8月5日配信『「手っ取り早く金になる」アパート侵入しゲーム機など窃盗 46歳男逮捕 東京・江戸川区』記事の一部を変更して引用しています)
【成立する可能性がある罪】
Aの行為は、V宅に人が居ないことを確認して侵入し、ゲーム機などを窃盗しているため、いわゆる「空き巣」に該当します。
ただ、法律で「空き巣罪」というものはありません。
空き巣を行った場合は、住居侵入等罪と窃盗罪が成立する可能性があります。
住居侵入等罪については刑法第130条、窃盗罪については刑法第235条で以下のように規定されています。
- 刑法第130条(住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかったものは、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
- 刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
まず、Aは正当な理由もなくVが住んでいるアパートの部屋に侵入しているため、刑法第130条の前段で規定されている住居侵入等罪が成立する可能性があります。
また、V部屋に侵入した後に、部屋にあったV(他人)が所有しているゲーム機(財物)などを窃取しているため、侵入後のAの行為については刑法第235条の窃盗罪が成立する可能性があります。
【2つの犯罪が成立?牽連犯(けんれんはん)とは】
今回のAの行為は、ゲーム機などを盗むという「目的」のために、Vが留守中にV部屋に侵入することを「手段」としています。
つまり、Aに成立する可能性がある住居侵入等罪と窃盗罪の2つの犯罪は、手段と目的という関係になっています。
このように、犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れることを「牽連犯(けんれんはん)」といい、牽連犯については、刑法第54条1項で以下のように規定されています。
- 刑法第54条1項(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
つまり、牽連犯の場合は、成立している複数の犯罪の中で最も重い刑で処罰されるということです。
Aは、住居侵入等罪と窃盗罪の牽連犯となる可能性があり、牽連犯となった場合は、住居侵入等罪と窃盗罪の処罰内容を比べると窃盗罪の方が重い刑になるため、窃盗罪の罰則で処罰されることになります。
【逮捕された後の流れ】
今回のような刑事事件を起こして逮捕されると被疑者として身柄を拘束され、まずは警察が取調べや捜査を行い、逮捕後48時間以内に身柄を検察庁に送致されます。
検察庁に送致された後は、検察官が被疑者の取調べを行い、被疑者に処罰を与えるべきかどうかを判断し、起訴・不起訴を決定します。
この取調べ期間中に、被疑者の身柄を解放すると逃亡や証拠を隠滅する恐れがあると判断されれば、検察官は送致後24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行い、裁判所が勾留請求を認めると、被疑者は引き続き身柄を拘束(=勾留)された状態で取調べを受けることになります。
勾留が決定すると、10日間身柄を拘束されることになり、勾留は追加で10日間延長できるため、最大20日間身柄を拘束される可能性があります。
取調べを行った結果、検察官が起訴することを決定すると、裁判を開く公判請求と、裁判を開かない略式起訴のどちらかがなされます。
公判請求をされると懲役刑を言い渡される可能性があり、略式起訴をされると罰金刑を言い渡されます。
【弁護士に刑事弁護活動を依頼するメリット】
前述したように、刑事事件を起こして逮捕されてしまうと、長期間身柄を拘束されてしまう恐れがあります。
また、起訴されると、公判請求でも略式起訴でも前科がついてしまうため、今後の人生に影響が及ぶ可能性もあります。
弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、弁護士が被疑者の代理人となり、被疑者の身柄を早急に開放するための活動や、起訴を免れて前科をつけないための活動、万が一起訴されてしまった場合は少しでも処罰が軽くなるような活動に尽力します。
さらに、被害者との示談交渉も弁護士が行うため、当事者間で示談を進めるよりもスムーズに行うことができ、示談を締結できる可能性も高まります。
今回の事例のような窃盗事件では、被害者と示談を締結することが不起訴処分を獲得するための重要なポイントにもなるので、窃盗事件による刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績がある弁護士が多数在籍している刑事事件に特化した法律事務所です。
ご家族が窃盗事件で逮捕されてしまって今後どうなるか不安に感じている方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【事例解説】他人の家の門を壊すと建造物損壊罪が成立する?
【事例解説】他人の家の門を壊すと建造物損壊罪が成立する?
他人の建造物を壊す行為は、建造物損壊罪が成立します。
では、「建造物」とは、どこまでが建造物として認められるのでしょうか。
壊したものが建造物でなければ、建造物損壊罪ではなく器物損壊罪が成立します。
今回は、他人の家の門を壊した事例をもとに、建造物損壊罪が成立するための「建造物」の定義について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がわかりやすく解説します。
【事例】
東京都調布市のアパートに住んでいる男性A(43)は、近所の一軒家に住んでいる男性V(48)を良く思っていませんでした。
ある日、Aが仕事から帰る道中でV宅を通り過ぎる際、普段からVが気に食わなかった腹いせに、V宅の門を蹴り、扉部分を壊しました。
次の日、自宅の門が壊されていることに気づいたVは、警視庁調布警察署に通報しました。
自宅の防犯カメラを確認したところ、AがV宅の門を蹴っている姿が写っていたため、後日、A宅に警察が来て、任意の取調べを受けることになりました。
Aの行為は、建造物損壊罪と器物損壊罪のどちらが成立するでしょうか。
(※この事例は全てフィクションです)
【建造物損壊罪とは】
建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。
- 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
建造物損壊罪は、他人の建造物や艦船を損壊した場合に成立します。
建造物損壊罪については、刑法第260条の前段で規定されており、後段には建造物損壊によって人を死傷させた場合に関する規定がされています。
建造物損壊罪が成立すると、5年以下の懲役によって処罰されます。
【器物損壊罪とは】
器物損壊罪については、刑法第261条で以下のように規定されています。
- 刑法第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪の条文に記載されている「前三条」とは、刑法第258条(公用文書等毀棄)・刑法第259条(私用文書等毀棄)・刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)を指し、これらに該当しないものを損壊した場合に器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪が成立すると、3年以下の懲役か30万円以下の罰金、科料によって処罰されます。
【「建造物」の定義】
今回の事例では、AはV宅の門を蹴って壊しています。
Aの行為が、建造物損壊罪と器物損壊罪のどちらに該当するのかについて考えるためには、「門」が「建造物」として認められるかどうかがポイントになります。
門が建造物として認められれば建造物損壊罪が成立し、門が建造物として認められなければ器物損壊罪が成立します。
「建造物」について、判例では「屋根を有し、壁又は柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に人の出入りが可能なもの(大審院大正13年5月31日判決)」と定義されています。
今回Aが壊した「門」は、単に人が通行するものにすぎず、人が出入りするような内部もありません。
つまり、門は建造物として認められないため、今回のAの行為は器物損壊罪が成立するということになります。
【建造物損壊罪・器物損壊罪による事件を起こしてしまったら弁護士へ】
建造物損壊罪や器物損壊罪による刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
刑事事件を起こして、警察から逮捕されたり任意の取調べを受けることになると、検察官に送致され、その後検察官が起訴するかどうかの判断をします。
起訴されてしまうと、懲役刑や罰金刑が言い渡されたり、前科が付いてしまったりと、今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。
起訴を免れて不起訴処分を獲得するためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することがお勧めです。
弁護士が代理人となって、被害者と示談交渉を行ったり、検察官と意見を交わして不起訴処分を獲得するための活動に尽力してくれます。
今回の事例のように、建造物損壊罪や器物損壊罪は被害者と示談を締結することが不起訴処分を獲得するためにも重要なポイントになります。
示談を締結できれば不起訴処分を獲得できる可能性も高まりますが、当事者間で示談を行うとトラブルが起きてしまう恐れもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、建造物損壊罪や器物損壊罪による刑事事件はもちろん、様々な刑事事件で被疑者との示談締結を行い、不起訴処分を獲得した実績を持つ経験豊富な弁護士が多数在籍しています。
建造物損壊罪や器物損壊罪による事件を起こしてしまった方や、ご家族が逮捕されてしまって不安に感じている方は、まずは24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【解決事例】住居侵入事件で準抗告認容により釈放
【解決事例】住居侵入事件で準抗告認容により釈放
住居侵入事件で逮捕後に受任した事件で準抗告により釈放に成功したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【事例】
東京都大田区在住のAさんは、大田区にある会社に勤める会社員でした。
Aさんは事件当日、酒に酔って自宅マンションの隣人の部屋を覗こうと考え、ベランダをよじ登ってVさんの部屋のベランダに侵入しました。
そして酔ったAさんはVさんの部屋の窓をたたき割って侵入し、その場で眠ってしまったところで、Vさんが帰宅しAさんの侵入に気付き、通報を受けて臨場した大田区を管轄する田園調布警察署の警察官はAさんを住居侵入罪で現行犯逮捕しました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【住居侵入罪について】
今回のAさんの事件は、まず、住居侵入罪で逮捕されました。
住居侵入罪の条文は以下のとおりです。
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
次に、Aさんは住居侵入の過程で、窓ガラスを割っています。
この件については、器物損壊罪に問われる可能性があります。
刑法261条 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
※前3条とは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊等罪を指します。
よってAさんは器物損壊の罪でも捜査される可能性がありました。
もし、住居侵入罪と器物損壊罪で起訴された場合、器物損壊罪は手段、住居侵入罪が目的となるため、両者は牽連関係にあるとしてより重い罪(器物損壊罪の法定刑である3年以下の懲役又は30万円以下の罰金)に処されます。
【準抗告認容による釈放】
当事務所の弁護士がAさんの家族から依頼を受けた時点で、Aさんは勾留されていました。
勾留は、逮捕された被疑者に対して逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがある場合にとられる手続きです。
勾留する際は裁判官による勾留質問が行われ、裁判官は検察官から受けた書類と勾留質問の内容を踏まえて勾留が必要かどうか判断します。
勾留はその期間を10日間とされていて、原則として1度に限り延長が認められるため、最大で20日間行われます。
この勾留の期間中に検察官は被疑者を起訴するかどうか検討しますが、起訴した場合、引き続き起訴後勾留に移るため、保釈が認められる等の事情がなければ裁判が終わるまで勾留が続く可能性もあります。
勾留は刑事罰ではないため、勾留の必要がない事案では原則として在宅で捜査する必要があります。
しかし、
①実刑判決など厳しい判決が予想される事案では逃亡の恐れがあると評価される可能性が高いほか、
②被害者の個人情報を加害者(被疑者)や家族が知っている場合
には、勾留が認められやすいです。
今回のAさんの場合、住居侵入罪や器物損壊罪の刑事罰は比較的軽微であり、Aさんには前科などなかったため、①には該当しません。
しかし、被害者がAさんのマンションの隣室である以上、②に該当するため、事案の性質上勾留が認められやすい事件でした。
弁護士は、AさんとAさんの家族からしっかりと話を聞いた結果、Aさんは事件について泥酔して記憶はないものの自身がやった可能性は高く反省しているという状況であり、Aさんの家族は別の場所に住んでいてAさんを引き取ることができるため、事件を起こしたマンションには立ち寄らないことなどをまとめ、勾留の裁判(判断)に対する不服申し立ての手続きである準抗告申立てを行いました。
準抗告を受けた裁判所の裁判官らは、弁護士の主張を理解し、準抗告認容としてAさんの勾留の判断を取り消し、Aさんは釈放されました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、Aさんの事件をはじめ数多くの事件で
・検察官の勾留請求を回避
・裁判官に意見して勾留請求の却下
・勾留されている場合に準抗告申立て、認容
・勾留されている場合に勾留取消請求、認容
という様々な方法で、逮捕・勾留されている方を釈放してきました。
東京都大田区にて、家族が住居侵入罪で勾留されていて、準抗告申立てにより釈放を求める場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。