同意があったのに性犯罪?
同意があったと考えていたものの刑事事件に発展し性犯罪に問われる可能性がある場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都江戸川区東葛西在住のAは、江戸川区東葛西にある会社に勤める会社員です。
Aはこれまでに、SNSや出会い系サイトなどで知り合った不特定多数の者と性行為などをしていました。
ある日、江戸川区を管轄する葛西警察署の警察官が自宅に来て、Aを逮捕する旨の説明を受けました。
Aとしては、これまでの性行為は全て同意があると思っていただけに、納得がいきません。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【同意がある性行為で刑事事件に】
性行為は、両者の同意が必要であることは御案内のとおりです。
そのため、(不貞などの民事・倫理の問題は別として)両者の同意があれば、問題になりません。
しかし、以下のような場合には、性犯罪に発展する可能性があります。
●同意を誤信していたパターン
一方が同意があったと考え性行為をしたにもかかわらず、一方は同意がなかったという場合のほか、同意の範囲に性行為が入っていなかった(被害者としては性的な行為には同意があったが、性行為には同意がなかった)という場合も考えられるでしょう。
相手の性行為についての同意がなかったにも関わらず、同意があると誤信して性行為をした場合、強制性交等罪に問われる可能性があります。
条文は以下のとおりです。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。(略)
●相手が同意の判断をできる状況になかったパターン
被害者が酒に酔っていた場合や睡眠薬を使われるなどして判断や応答、拒絶ができないような状況で性行為をした場合、あるいは被害者が知的障碍をお持ちで判断や拒絶ができない中で性行為をした場合には、準強制性交等罪が成立します。
条文は以下のとおりです。
刑法178条2項 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
●相手が未成年者だったパターン
相手が未成年者だった場合、同意の有無にかかわらず犯罪になります。
≪相手が13歳以上18歳未満≫
相手が13歳~17歳(以下、被害児童)であれば、被害児童の同意が明確であったとしても、各都道府県の定める青少年保護育成条例違反や児童買春にあたり、処罰されます。
ケースについては東京都江戸川区を想定していますので、東京都の条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。
東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
≪相手が13歳未満≫
相手が~12歳だった場合(以下、被害児童)の場合、被害児童の同意が明確であったとしても強制性交等罪が適用されます。
昨今、性的同意年齢という言葉が一般的にも広く知れ渡ることになりましたが、我が国の刑法では13歳以上には性的同意年齢が備わっているとされています。
換言すると、13歳未満の児童については、そもそも性的同意ができない年齢であり、その被害児童が行った同意そのものが同意にはならないと言えるのです。
条文は以下のとおりです。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
【同意の有無は立証が困難】
このように、性行為についての同意があったと誤信している場合、あるいは未成年者が相手だった場合には、刑事事件に発展して刑事罰を受けることに繋がります。
他方で、性行為についての同意が明示的に残されている場合は少なく、密室での「言った/言わない」という水掛け論に発展する場合も少なくありません。
また、強制性交等罪については暴行または脅迫の有無についても重要になりますが、やはり密室という目撃者がいない中での事件ですので、客観的な証拠が乏しい場合もあり、取調べでの供述が重要になる場合も少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、このように、「同意があると誤信して性行為に及んだ」、あるいは「実際に同意があったが事後的に同意がなかった旨の主張がなされている」といった相談を受ける場合があります。
東京都江戸川区東葛西にて、性行為の同意が問題で刑事事件に発展している、あるいは今後刑事事件に発展する可能性があるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けて頂くことができます。