DVで逮捕
家庭内暴力、いわゆるDVで問題となる罪と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都杉並区在住のAは、杉並区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは自宅で夫婦喧嘩をしてしまい、怒ったAはVを平手打ちで4度叩いた上で、台所から包丁を持出し、配偶者Vに「どっちかが死ぬしかないんじゃないか」と言いました。
Vは怖くなって通報し、臨場した杉並区を管轄する荻窪警察署の警察官は、Aを現行犯逮捕しました。
その後、冷静になったVはAの釈放を求めるべく警察官に伝えましたが、それはできない旨言われてしまいました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【DVについて】
DVという言葉は、多くの方がご存じかと思います。
DVはDomestic Violenceの略称で、配偶者や親、子どもなどの家族に対する暴力行為を指す言葉です。
ケースのような喧嘩、あるいは子どもに対する躾と主張する場合が多いようですが、犯罪であることに変わりありません。
なお、昨今のコロナ禍で刑事事件の認知件数は減少傾向にありますが、DVについては過去最多を数えるなど増加傾向にあるようです。
DVで問題となる罪について、喧嘩などと同様に暴行罪のほか、被害者が怪我をした場合には傷害罪に、Aのように包丁を持ち出した場合には暴力行為等処罰ニ関スル法律(暴力行為処罰法)違反にあたる可能性があります。
条文は以下のとおりです。
(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(暴力行為処罰法違反)
暴力行為等処罰ニ関スル法律1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス
【逮捕されると釈放は困難】
DV事件の場合、「家族同士での問題だから、すぐに釈放されるだろう」「しつけや喧嘩の一環だから、逮捕される謂れはない」と考えている方もおられるようです。
しかし、実際にDV事件を起こしてしまい、通報されて警察官が臨場した場合、逮捕されることが少なくありません。
また、逮捕されると72時間以内に今後身柄拘束をするかどうかの判断が行われますが、勾留がつく可能性は高いです。
なぜなら、勾留の要件は以下のようになっているからです。(刑事訴訟法60条1項各号)
①住所不定の場合
②罪証隠滅(証拠隠滅)の恐れがある
③逃亡の恐れがある
DV事件の場合、とりわけ②の要件が問題となります。
なぜなら、DV事件の多くは同居している者が被害に遭っているというケースが多いため、被害者と接触し、口裏合わせをすること容易であるためです。
勾留が付いた場合、勾留請求日から数えて最大で20日間行われるため、3週間程度身柄拘束が続く可能性があります。
【DV事件での弁護活動】
DV事件については、家族間の問題であるからこそ、弁護活動は重要であると言えます。
まず釈放を目指すためには、被害者と生活を分けるという主張が考えられます。
事件後しばらくの間は、実家で生活して実家の家族が監督するなどして、被害者と接触できない環境をつくる、というものです。
また、被害者が一度被害届を出した場合に、その後被害者が冷静になって取下げたいと捜査機関に連絡したとしても取り合ってもらえないということもあります。
弁護士としては、被害者の意向に従って被害届取下げ書や上申書などの書類を作成し、被害者の気持ちを捜査機関にしっかりと伝えることも重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部には、DV事件で逮捕されたという連絡を多く受けます。
東京都杉並区にて、ご家族がDV事件を起こしてしまい、逮捕されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
先ずは弁護士が逮捕されている方のもとへ接見に行き、事件の内容や取調べの状況などを確認したうえで今後の見通しなどについてご説明します。(有料)