偽計業務妨害罪~被害を受けた会社との示談交渉

偽計業務妨害罪~被害を受けた会社との示談交渉

いたずら・嫌がらせ目的で予約をして無断キャンセルする場合に成立する偽計業務妨害罪などの罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都大田区蒲田在住のAは、大田区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは大田区内の飲食店で酒を飲んで酔っ払ってしまい、大田区内の路上で泥酔していました。
Aの友人は、Aの家まで帰るには時間がかかることから、大田区内にあるホテルを探してそこに一泊させようと考えました。
しかし、ホテルの従業員Xは、Aの様子を見て泥酔していることを確認したうえで、トラブルになると考え、Aの宿泊を拒否しました。

怒りを覚えたAは、翌日以降、毎日のように電話とホテルのホームページにある予約フォームから架空の名前で予約を入れ、宿泊することを装い実際には宿泊しないという行為を繰り返していました。
被害店舗の責任者は大田区を管轄する大田警察署の警察官に相談をしたうえで被害届を提出し、捜査官は捜査の結果Aによる犯行であるとしてAを偽計業務妨害罪で逮捕しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【予約の無断キャンセルについて】

ケースのAが行ったいたずら、嫌がらせ目的で予約を取ったうえ、無断でキャンセルするという行為は、偽計業務妨害罪にあたります。
偽計業務妨害罪の条文は以下のとおりです。

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

まず、偽計業務妨害罪に当たる行為には「偽計」が用いられるという要件があります。
偽計業務妨害罪のいう「偽計」とは、「人を欺き、あるいは、人の錯誤・淵を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じる等、威力以外の不正な手段を用いる」こととされています。
偽計を用いる方法について、過去の判例を見ると、(昭和の事件ではありますが)弁当屋の商品が不衛生だなどと鉄道事業課長に郵送したり、バスの乗客に対して「このバスの運転手は癇癪を起すから用心するように」と叫ぶような事件のほか、電話料金の支払いを免れるための装置を設置したり、電力メーターの機械を弄って使用量を少なく見せるなどした物理的な犯行もあります。
また、今日ではインターネットの普及に伴い、ブログやSNSなどに偽りの情報を記載・掲載した場合にも、この罪が成立します。
ケースのような場合には、宿泊する目的がないにもかかわらず予約のための電話やホームページの予約フォームからの予約を行っているため、偽計があったと考えられます。

次に、偽計業務妨害罪では「業務を妨害した」ことが必要です。
これは、実際に業務遂行が妨害されることは必要ではありません。
今回想定しているケースについて考えると、Aが宿泊の意図がないにも関わらず予約を申し出たとこで、被害に遭ったホテル側は応対に時間を要しただけでなく、その後に本当に宿泊したいと考えている方が予約を取ろうと思い連絡した場合にはAが入れた噓の予約があるために断らざるを得なかった、という事態が想定されます。
実際にそのような客がいたか否かは問わず、Aが予約をした時点で業務を妨害したと評価され、偽計業務妨害罪が成立すると考えられます。

【会社相手の示談交渉】

ケースの事件についてはホテルという会社が相手の事件になります。
被害者がいる事件である以上、示談交渉は重要な弁護活動のひとつになりますが、通常、ホテルなどの会社は弁護士と顧問契約を結んでいて、弁護士を介しての示談交渉ということになると考えられます。
しかし、Aのように逮捕・勾留されている場合にはそもそも本人が示談交渉することができないうえ、示談交渉ができたとしても、会社側は実際の事件より多い回数、あるいは高額な損害を主張してくる場合が考えられるため、一般の方の交渉は容易ではありません。
特に会社のように顧問弁護士が間に入る可能性が高い事件での示談交渉の場合、弁護士を通じて示談交渉を行い、事実や被害金額などについてしっかりと確認をとったうえで、示談金額などの交渉を行うことが望ましいでしょう。

東京都大田区にて、ご家族がホテルに対していたずら・嫌がらせ目的で予約を繰り返し行ったために偽計業務妨害罪で逮捕されてしまい、示談交渉などの弁護活動をお求めの方がおられましたら、刑事事件・少年事件のみを行う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

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