風俗トラブル?「立ちんぼ」の買春が不同意性交になるケース【前編】

風俗トラブル?「立ちんぼ」の買春が不同意性交になるケース【前編】

風俗トラブル 不同意性交等罪

2023年7月から刑法の性犯罪規定が大きく改正され、強制わいせつや強制性交等(旧強姦罪)と言われていたものが、不同意わいせつ不同意性交等という名称に変わり、成立要件も変更されました。

全般的にみると、不同意わいせつ不同意性交等の方が、犯罪として成立する範囲が広がったということができます。

このページでは、いわゆる立ちんぼ」と買春をしてしまったケースや風俗トラブルと言われるような事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が刑法改正後の犯罪の成否について解説をしていきます。

【事例】

※紹介する事例は全てフィクションです。

<事例①>

Aさんは新宿区内にある店舗型風俗店を利用しました。
その店舗では本番禁止」との注意書きがありましたが、Aさんは女性従業員に対して「1万円で本番させて」と頼み、その女性も承諾したことから、Aさんは1万円を渡して性交渉に及びました。

行為後、女性が「行為に応じないとお金を貰えないと思ったので仕方なく同意した。本当は嫌だった」と言い、店舗のスタッフも駆けつけて「刑法が変わって不同意性交になるから警察に通報する、それか100万円払って示談で解決するか」と迫られました。

Aさんはその場で持ち合わせていた5万円を支払いましたが、残り95万円を一週間以内に支払うよう求められました。
Aさんは示談金を支払わなければならないのでしょうか。

<事例②>

Bさんは新宿区内にある立ちんぼが並んでいるというエリアへいき、女性に声を掛けて2万円で買春するという合意をしました。

近くのラブホテルへいき女性と性交渉をしてBさんが2万円を渡すと、その女性は「本当は私15歳なんだけど」と言い出しました。
Bさんは、「本当に未成年と関係を持ったとしたら逮捕されるのではないか」と不安に思いました。

不同意性交等罪が成立する場合】

本記事は前編となりますので、まずは不同意性交等罪の成立要件について見ていきましょう。

強制性交等(旧強姦罪)は不同意性交等罪に変わったことで、犯罪の成立要件も大きく変わりました。

不同意性交等罪になったことで、「強制」にあたる部分、つまり、暴行または脅迫という限定がなくなり、一定の行為関係性から「同意しない意思を形成し、表明し、若しくはこれを全うすることが困難な状態にさせ」た状態でわいせつ行為をすることが不同意わいせつ罪となったのです。

この「同意しない意思を形成し、表明し、若しくはこれを全うすることが困難な状態にさせ」というのは少し難しいですが、噛み砕いてみていくと、次のいずれかの場合のことをいいます。

同意しない意思を形成できない状態眠っている、酔っ払っている、勘違いしている、咄嗟のことで気づかなかった等の理由から、自由な意思を形成できない状態
同意しない意思を表明できない状態「嫌だ」という意思を持っていたとしても、なにかしらの理由から「嫌だ」と言葉にできない状態
同意しない意思を全うできない状態「嫌だ」という意思を持っていて、「嫌だ」と言葉にすることができるとしても、その意思に従って行動することができない状態

わいせつ行為に対して、「嫌だ」という意思を「形成→表明→その通り行動」というステップのいずれかを欠いていた場合に、不同意性交等罪が成立することになるのです。

これらの意思を「形成できない/表明できない/全うできない」状態として、法律上、次のような8つのパターンを定めています。

 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。

 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。

 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。

 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。

 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。

 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。

 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。

 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

どの状況も、自分の自由な意思決定ができない・困難になるというような状況を想定して規定されています。

これらのいずれかに該当するような状況で性行為や性交類似行為に同意していなかったという場合に、不同意性交等罪が成立する可能性があります。

不同意性交等罪は、強制性交等罪や強姦罪の時代よりも更に判断が難しく、犯罪となる場合とならない場合との線引きが曖昧になってきている印象があります。
不同意性交等罪に該当するのかどうか分からない、相手から訴えると言われていて不安だという方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください

【事務所紹介】

今回は、不同意性交等罪の成立要件について解説しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
不同意性交等罪による刑事事件で弁護活動を担当した実績を多く持つ弁護士が多数在籍しています。

不同意性交等罪被害届を出されてしまったという方や、ご家族が不同意性交等罪逮捕されてしまったという方は、まずは弊所までご相談ください。
東京都内にお住まいの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部(新宿・八王子)にてご相談をお受けいたします。

ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお待ちしております。

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