飲酒検知を拒否して逮捕

飲酒検知拒否罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

 

タクシー運転手のAさんは、夜勤明けに、会社近所の居酒屋でお酒を飲みました。
それから電車で東京都江戸川区の自宅に帰宅したのですが、帰宅後に、家族から近所の駅まで迎えに来て欲しいと電話で頼まれました。
お酒を飲んでいたので断ろうと思いましたが、大雨が降っていたので、Aさんは家族にお酒を飲んでいることを告げずに、車で迎えに行くことにしました。
しかし、自宅を出発してからすぐに信号無視をしてしまい、偶然通りかかった警視庁小松川警察署のパトカーに停止を求められました。
車を停止させて免許証を提示したAさんでしたが、その際に、警察官から酒臭がするので呼気検査を求められました。
しかし飲酒運転が発覚すれば仕事を失ってしまうことを懸念したAさんは飲酒検知のための呼気検査を拒否し、再三にわたる警察官の説得にも応じませんでした。
すると、Aさんはその場で飲酒検知拒否罪で現行犯逮捕されてしまったのです。
(フィクションです)

◇飲酒検知拒否罪◇

飲酒運転の基準は、警察官による飲酒検知によって立証されますが、この飲酒検知のための呼気検査を拒否したり、警察官の飲酒検知を妨害した場合は飲酒検知拒否罪となります。
まず道路交通法では警察官が飲酒検知する法的根拠を、道路交通法第67条3項で定めており、ここでは「飲酒運転していると認められる運転手に対して、警察官が飲酒検知できる」旨が規定されています。
そして道路交通法第118条の2において「第67条3項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は3月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と飲酒検知拒否罪を規定しているのです。

それでは具体的にどのような行為が、飲酒検知拒否罪となるのでしょうか?

~ケース1~
Aさんのように、警察官から飲酒検知を求められたにも関わらず、呼気検査を拒否した場合。

~ケース2~
一度は検知に応じようとしたが、警察官の指示に従わず飲酒検知できなかった場合。
飲酒検知を受ける際は、必ず呼気検査前にうがいをするように警察官に求められますが、この指示に従わずうがいを拒否した場合や、検知に使用する風船を膨らまさなかった場合など。

~ケース3~
警察官が検知している作業を妨害した場合。
警察官が飲酒検知の作業をしている際に、検知管を割ったり、検知道具を取り上げたりして検察官の飲酒検知を妨害する行為。

◇逮捕されるの?◇

飲酒検知拒否罪は、法律的には、飲酒運転を立証するための飲酒検知を拒否したり、妨害する行為を取り締まることを目的にしていますが、警察等の捜査機関は、飲酒運転の逃げ得を許さないために、身体拘束して飲酒検知するために、飲酒検知拒否罪を適用しますので、飲酒運拒否罪は基本的に現行犯逮捕されると考えられます。

◇逮捕後は?◇

飲酒検知拒否罪で現行犯逮捕されると、現場を管轄する警察署に引致されます。
そこで取調べを受けると共に、再度警察官から飲酒検知のための呼気検査を求められるでしょう。
そこでもなお飲酒検知を拒否した場合、裁判官の許可状をもって血液中のアルコール濃度を調べるために採血されることとなります。
通常の飲酒検知は、呼気中のアルコール濃度を検知する方法によるものですが、この場合は、血液中のアルコール濃度を検知することによっても飲酒運転が立証されてしまいます。
裁判官の許可状がある場合は、強制的に手続きが進みますので、拒否しても実力行使で病院に連行され、採血されてしまうのです。

◇勾留されるの?◇

飲酒検知拒否罪で現行犯逮捕されたとして、検知を拒否した理由が明らかで、逃走や、罪証隠滅のおそれがない場合は、勾留までされる可能性は低いと考えて問題ないでしょう。

◇刑事処分はどうなるの?◇

飲酒検知拒否罪の法定刑は、上記したように「3月以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、この法定刑内の刑事罰が言い渡されることになります

◇飲酒検知拒否罪で無罪判決◇

平成27年9月に、横浜地方裁判所で飲酒検知拒否罪で起訴された男性に無罪判決が言い渡されています。
この裁判で争点となったのが、警察官が被告人に対して明確に飲酒検知のための呼気検査を求めて、その事を被告人が認識した上で呼気検査を拒否したかどうかであったが、裁判所は「飲酒検知拒否罪は、警察官による呼気検査の要求を前提として、被告人の拒否の意思が客観的に明らかになったことを認定する必要があるが、今回の事件では、警察官が具体的な言動で呼気検査を要求し、被告人が警察官による呼気検査の要求を意識したう上でこれを拒絶する意思を明確にしたと認定することは困難。」という判断で無罪判決を言い渡したようです。
この事件では、被告人の男性が携帯電話によって動画を撮影しており、その録画内容が有力な証拠となって無罪判決が言い渡されたようです。

飲酒検知を拒否したからといって必ず飲酒検知拒否罪が成立するわけではありません。
飲酒検知拒否罪で警察に逮捕された場合であっても、後の刑事裁判で無罪判決を得ることは不可能ではありませんので、東京都江戸川区の飲酒検知拒否罪でお困りの方は、東京で刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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