【事例解説】他人の家の門を壊すと建造物損壊罪が成立する?

【事例解説】他人の家の門を壊すと建造物損壊罪が成立する?

他人の建造物を壊す行為は、建造物損壊罪が成立します。
では、「建造物」とは、どこまでが建造物として認められるのでしょうか。
壊したものが建造物でなければ、建造物損壊罪ではなく器物損壊罪が成立します。

今回は、他人の家の門を壊した事例をもとに、建造物損壊罪が成立するための「建造物」の定義について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がわかりやすく解説します。

【事例】

東京都調布市のアパートに住んでいる男性A(43)は、近所の一軒家に住んでいる男性V(48)を良く思っていませんでした。
ある日、Aが仕事から帰る道中でV宅を通り過ぎる際、普段からVが気に食わなかった腹いせに、V宅のを蹴り、扉部分を壊しました

次の日、自宅の門が壊されていることに気づいたVは、警視庁調布警察署に通報しました。
自宅の防犯カメラを確認したところ、AがV宅の門を蹴っている姿が写っていたため、後日、A宅に警察が来て、任意の取調べを受けることになりました。

Aの行為は、建造物損壊罪器物損壊罪のどちらが成立するでしょうか。
(※この事例は全てフィクションです)

【建造物損壊罪とは】

建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪は、他人の建造物や艦船を損壊した場合に成立します。
建造物損壊罪については、刑法第260条の前段で規定されており、後段には建造物損壊によって人を死傷させた場合に関する規定がされています。

建造物損壊罪が成立すると、5年以下の懲役によって処罰されます。

【器物損壊罪とは】

器物損壊罪については、刑法第261条で以下のように規定されています。

  • 刑法第261条(器物損壊等)
    前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の条文に記載されている「前三条」とは、刑法第258条(公用文書等毀棄)刑法第259条(私用文書等毀棄)刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)を指し、これらに該当しないものを損壊した場合に器物損壊罪が成立します。

器物損壊罪が成立すると、3年以下の懲役30万円以下の罰金科料によって処罰されます。

【「建造物」の定義】

今回の事例では、AはV宅の門を蹴って壊しています。
Aの行為が、建造物損壊罪と器物損壊罪のどちらに該当するのかについて考えるためには、「門」が「建造物」として認められるかどうかがポイントになります。
門が建造物として認められれば建造物損壊罪が成立し、門が建造物として認められなければ器物損壊罪が成立します。

「建造物」について、判例では「屋根を有し、壁又は柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に人の出入りが可能なもの(大審院大正13年5月31日判決)」と定義されています。

今回Aが壊した「門」は、単に人が通行するものにすぎず、人が出入りするような内部もありません。
つまり、門は建造物として認められないため、今回のAの行為は器物損壊罪が成立するということになります。

【建造物損壊罪・器物損壊罪による事件を起こしてしまったら弁護士へ】

建造物損壊罪や器物損壊罪による刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

刑事事件を起こして、警察から逮捕されたり任意の取調べを受けることになると、検察官に送致され、その後検察官が起訴するかどうかの判断をします。
起訴されてしまうと、懲役刑罰金刑が言い渡されたり、前科が付いてしまったりと、今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。

起訴を免れて不起訴処分を獲得するためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することがお勧めです。
弁護士が代理人となって、被害者と示談交渉を行ったり、検察官と意見を交わして不起訴処分を獲得するための活動に尽力してくれます。

今回の事例のように、建造物損壊罪や器物損壊罪は被害者と示談を締結することが不起訴処分を獲得するためにも重要なポイントになります。
示談を締結できれば不起訴処分を獲得できる可能性も高まりますが、当事者間で示談を行うとトラブルが起きてしまう恐れもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、建造物損壊罪や器物損壊罪による刑事事件はもちろん、様々な刑事事件で被疑者との示談締結を行い、不起訴処分を獲得した実績を持つ経験豊富な弁護士が多数在籍しています。

建造物損壊罪や器物損壊罪による事件を起こしてしまった方や、ご家族が逮捕されてしまって不安に感じている方は、まずは24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

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