【事例解説】未成年者誘拐罪とは?未成年者からの同意があった場合でも未成年者誘拐罪は成立する?

【事例解説】未成年者誘拐罪とは?未成年者からの同意があった場合でも未成年者誘拐罪は成立する?

未成年者誘拐罪 とは

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が、新宿警察署において未成年者誘拐罪で逮捕されたという事例を想定して、未成年者誘拐罪について解説致します。

【事例】

警視庁新宿警察署は、女性V(16)が未成年者であることを知りながら、マッチングアプリを使用して同女性を誘い出し、自動車に乗車させ連れ去り、翌日朝まで自宅等に滞在させたとして、未成年者誘拐罪の疑いで男性A(27)を逮捕しました。
(※事例は全てフィクションです。)

【解説】

未成年者誘拐罪とは?

未成年者誘拐罪とは、刑法第224条に定められている犯罪です。
未成年者誘拐罪が成立し実刑判決となった場合には、3月以上7年以下の懲役に処されることになります。

  • 刑法第224条(未成年者略取及び誘拐)
    未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

未成年者誘拐罪の成立要件は以下のようになります。

未成年者
誘拐した
③未成年者であることの認識(故意

「未成年者」とは、18歳未満の者を指します(民法第4条)。
「誘拐」とは、欺罔・誘惑などの手段を用いて、他人をその生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置くことを意味します。

本罪は、未成年者を成人であると誤認していた場合には、本罪の故意は認められません。
また、誘拐の手段が欺罔・誘惑等ではなく、暴行・脅迫であった場合は「略取と呼ばれます。

未成年者本人の同意があってもだめ?

未成年者誘拐罪は、未成年者本人の同意があったとしても罪を免れることはできません

今回の事例では、Aは未成年者だと認識しているVから同意を得た上で誘い出し、車で移動して自宅に滞在させていますが、16歳の女性の保護者などには了承を得ていなかったと考えられるため「誘拐」と評価されたと考えられます。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が未成年者誘拐罪について解説致しました。

未成年者誘拐罪は、たとえ未成年者本人の同意があったとしても罪を免れるわけではないので、「お互い了承の上だったので問題ないと思った」というような言い分は通用しません。
また、未成年者誘拐罪には罰金刑がなく、実刑となった場合は懲役に処される可能性が極めて高い重大な犯罪です。

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