【解決事例】職務質問で軽犯罪法違反を疑われるも不起訴に③

【解決事例】職務質問で軽犯罪法違反を疑われるも不起訴に③

職務質問を受けた際、武器に当たる可能性があるものを所持していたとして軽犯罪法違反を疑われたものの不起訴処分となった、という事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

Aさんは東京都千代田区に住み、公務員として勤務していました。
Aさんは事件当日、千代田区内の護身用具などを販売している店を出て数十メートル歩いたところで、千代田区内を管轄する神田警察署の警察官から声掛けをされ職務質問を受けました。
Aさんは職務質問で公務員であることや、やましいことはないと説明しましたが、警察官は護身用具を販売している店から出てきていることを理由に、所持品を全て出すよう求めました。
その際に出てきた物のひとつに、以前に購入した物Xがありました。

Xについて、商品紹介ページを見たところ、護身用具にもなるしストラップとしても人気、と書かれていました。
実際、Aさんは誰かを傷つけたり、護身のために所持していたわけではなく、単にストラップとしてカッコ良いと思い、キーケースに外から見える状態で身に着けていました。

しかし、神田警察署の警察官は、Xが他人を傷つけることができる物であると判断し、Aさんに対し神田警察署に任意同行を求め、調書の作成などを指示しました。
Aさんは、そもそもXが凶器などではないこと、職務質問や所持品検査が強引であったこと、取調べについても意に反して作成及び署名捺印を求められたことに不安を抱き、当事務所の弁護士による無料相談を受け、その後弁護を依頼されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や警察署名、一部事件内容を変更しています。≫

【武器の所持で問題となる罪】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【職務質問について】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【所持品検査について】

また、ケースでAさんは職務質問と併せて所持品検査を求められています。
所持品検査については、明文の規定がありませんが、職務質問に付随する行政警察活動という位置づけにあります。

判例は、所持品検査について「所持人の承諾を得てその限度で行うのが原則である」が、「捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り」「所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容されるものと解すべき」としています。(最判昭和53年6月20日)

この判例から言えることは、職務質問や所持品検査は原則として任意であり、警察官から求められても拒否する権利はあります。
しかし、所持人が拒否した場合であっても、その必要性や緊急性、公共の利益などと個人の法益を検討した結果、(捜索差押許可状などの令状による)捜索に至らない限り、所持品検査が適法であると認められる場合があります。
そして、所持品検査が適法に行われたかどうかは、事件の具体的な状況がどのようなものであったか、過去の判例も併せて慎重に検討する必要があるということです。

過去には、所持品検査の適法性が争われた裁判で所持品検査の結果が違法であるとして、証拠能力はないと評価され、無罪判決を言い渡されたという事例もあります。
ただし、所持品検査が違法であっても他の証拠についての証拠能力を認め、有罪としたという事例もあります。

【不起訴処分を求める弁護活動】

最後に、Aさんの終局処分について検討します。

刑事事件を起こした場合には、警察官や検察官による捜査が行われ、被疑者(いわゆる犯人)の犯罪を証明することができるだけの証拠が集められた場合、検察官は起訴をし、刑事裁判に発展します。
他方で、検察官は、捜査の結果被疑者に刑事罰を科すほどの事件ではない、被疑者を起訴することができるだけの証拠が揃っていない、などの事件では、被疑者に対し不起訴を言い渡します。

被疑者が罪を認めている事件で最も一般的な弁護活動として、被害者との示談交渉が挙げられます。
被害者が実際に財産・精神等の面で被害を受けているため、道義的な理由から行う必要がある点、且つ(その後に行われる可能性のある)民事訴訟のリスクの芽を予め摘むことができるからです。
しかし、銃刀法や軽犯罪法に違反して凶器などを所持する行為は、直接の被害者がいるわけではないため、示談はできません。
そのような場合には、弁護人による意見書を提出する、あるいは贖罪寄附をするなどして、不起訴を目指すことになります。

今回の事例では、
・そもそもAさんが持っていた物Xが、軽犯罪法のいう「他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に該当するのか
・仮に上記に該当したとしても、Aさんはキーホルダーとして使用していたためキーチェーンにつけていて、「隠して携帯していた」とは言えないのではないか

という点で、軽犯罪法に違反しないという主張を行いました。
結果的に、Aさんは嫌疑不十分で不起訴となりました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、凶器を所持するなどにより銃刀法違反や軽犯罪法違反に問われている場合の弁護活動の経験も数多くございます。
特に被害者がいないこれらの事件では、示談交渉がなく、事件ごとに主張の内容が変わってきます。
東京都千代田区にて、職務質問と所持品検査を受けた際に凶器などを所持していて銃刀法違反や軽犯罪法違反に問われている方は、刑事事件・少年事件のみを扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はコチラ。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら