【解決事例】盗撮事件で勾留されるも準抗告認容
盗撮事件で逮捕・勾留されたのち依頼を受け、準抗告をしたところ認容され釈放されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【事例】
東京都墨田区在住のAさんは、墨田区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、墨田区内の商業施設にあるエスカレーター上で、スカートを履いた被害者Vさんの後ろからスカート内を撮影するいわゆる盗撮事件を起こしました。
警備員がAさんの行為を見咎めAさんを警備員室に連れて行き、通報を受けて臨場した墨田区内を管轄する本所警察署の警察官によって逮捕されました。
Aさんの家族は、裁判所から「Aさんの勾留が決まりました」という連絡を受け、何もわからないまま弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に連絡されました。
連絡を受けた当事務所の弁護士は当日中に初回接見を行い、Aさんから事情を聞くとともに取調べでのアドバイスを行ったのち、初回接見報告にてご家族に事件の内容などを伝えました。
Aさんとその家族は早期の釈放を求め弁護活動の依頼をされたため、依頼を受けた当事務所の弁護士は速やかに準抗告という手続きで勾留決定に対する準抗告申立を行ったところ、準抗告は認容されAさんは釈放されました。
Aさんは釈放後も捜査を受けましたが、弁護士による取調べのアドバイスと示談交渉の結果、Aさんは不起訴となりました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【東京都内での盗撮事件】
事例で問題となるのは、Aさんが東京都内の商業施設という公共の場で、被害者のスカート内にスマートフォンのカメラを向け撮影をした(あるいはしようとした)という点です。
この場合、以下の条例・条文が問題となります。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
2号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
罰条:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(同条例8条2項1号)
【準抗告とは】
準抗告という手続きは、刑事訴訟法に以下のとおり規定されています。
刑事訴訟法429条1項 裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。
1号 忌避の申立を却下する裁判
2号 勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判
3号 鑑定のため留置を命ずる裁判
4号 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
5号 身体の検査を受ける者に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
今回のAさんの事例については、逮捕されたのち勾留の手続きがなされていて、その決定に対する準抗告として上記2号が該当します。
つまり、検察官が勾留請求したことに対し、裁判官は単独で「Aさんには勾留が必要である」と判断して勾留の決定を下しました。
しかし、当事務所の弁護士は、Aさんの捜査を行うにあたって勾留が必要ではないことを書類に纏め、準抗告申立書という書類を提出しました。
準抗告の申し立てを受けた裁判所は、3人の合議体を組んで検討を行い(同条3項)、前に裁判官が行った判断を変更することができ、今回のAさんの事例では弁護人の主張を踏まえ、Aさんには勾留の必要がないと判断し、準抗告認容(最初に行った勾留の判断を覆すこと)によりAさんは釈放されました。
準抗告は勾留以外にも保釈決定に対してや忌避申立て(判断をする裁判官が被告人や被害者の関係者だった場合等、裁判に影響を及ぼすと考えられる場合に、その裁判官を審理から排除する手続き)などの決定に対して行われます。
しかし、一度裁判官が決定した判断に対して、別の裁判官(合議体)が判断するとはいえ、覆すことは容易ではありません。
準抗告申立てを行うには、前の結果を覆すことができるだけの主張と書類を以て挑む必要があります。
刑事事件で勾留されているが準抗告してほしいという場合、刑事事件の経験が豊富な弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。
東京都墨田区にて、盗撮事件で家族が勾留され、準抗告により釈放を目指したいという方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
担当者より初回接見のご案内を行い、弁護士が初回接見を行ったのち、今後の見通しや準抗告が認容される可能性についてご説明します。