海賊版の販売で著作権法違反
著作者の許可を得ていない動画や画像、音楽などを収録するいわゆる海賊版の売却で問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都大田区在住のAは、大田区内の会社に勤める会社員です。
Aはとある音楽グループを応援していてそのブルーレイディスクや写真集などを数多く持っていましたが、そのデータを複製(コピー)し、インターネットオークションサイトやフリーマーケットサイトでそれを売却していました。
ある日、Aは別の刑事事件を起こして大田区を管轄する田園調布警察署の警察官に任意同行とスマートフォンを任意で提出するよう求められ、自身のスマートフォンを提出しました。
Aはその後すぐに刑事事件専門の弁護士に相談し、海賊版で問題となる罪と、事件の捜査中に全く別の事件が発覚する可能性について質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【海賊版の販売】
著作権法では、小説・音楽・映画などを著作物として、著作物を創作した者を著作者と定義しています。(著作権法2条1項2号ほか)
日本国民が作成した著作物や最初に日本国内で発行された著作物などについて、その著作物の著作者には「著作権」が認められています。
著作権の具体的な権利は著作権法第三款の「著作権に含まれる権利の種類」に規定されていますが、今回のケースで想定した海賊版の販売行為は、特に「複製権」と「頒布権」が問題となると考えられます。(同21条、26条各項)
つまり、著作物である映像を光学ディスク(CD・DVD・ブルーレイディスク)などにコピー(保存や印刷)したり、写真集などの画像をコピーして他人に渡したり売ったりする行為は、著作者にのみ認められているため、海賊版のように無断で作成し販売する行為は著作権(の一部である複製権や頒布権)を侵害する、ということになります。
著作権を侵害した場合、10年以下/1000万円以下の罰金のいずれか、若しくはその両方に処されます。(著作権法119条1項)
なお、著作権侵害については親告罪とされているため、著作権者の刑事告訴なしには被疑者を起訴することができません。(著作権法123条1項)
【別の事件がきっかけで事件が発覚】
ケースのAの場合、著作権法違反で直接捜査を受けたというわけではありません。
しかし、別の事件で捜査を受ける過程でスマートフォンの情報を確認されていることから、海賊版の販売行為についても捜査機関に認識される可能性が高いと言えます。。
このように、別の事件で行われた捜査の過程で事件が発覚してしまい、結果として捜査を受けることになるというケースは少なからずあります。
家宅捜索のような強制捜査による発覚が分かりやすいですが、近年はスマートフォンで情報をやりとりする場合が多く、スマートフォンを押収・任意提出することで
・児童買春のやり取りが発覚した
・児童ポルノに該当する動画や画像を所持していることが発覚した
・大麻や覚醒剤などの薬物を売買するやり取りが発覚した
等の事例が実際にありました。
捜査機関が所有者の意に反してスマートフォンの情報を閲覧した等の捜査・手続きに問題がある場合を除き、別の事件で捜査を受ける過程で発覚した別の事件についても捜査を行うことは可能です。
【海賊版の販売での捜査】
前述のとおり、著作権の侵害は親告罪ですので、捜査機関は刑事告訴を受けて初めて捜査を開始する場合が多いと考えられます。
しかし、以下の記事で見て取れるように、捜査機関が刑事告訴を受ける前に積極的に捜査等を開始するケースもあります。
「警察が去年12月、サイバーパトロールをしていたところ、「海外正規品」と記された「鬼滅の刃」のDVDが、正規品の6分の1以下の価格で売られているのを見つけ、製作会社に確認したところ、海賊版だと判明したということです。」
(ABCニュース2021/12/14(火) 19:18配信(抜粋)、2022/3/25㈮閲覧)
また、ケースのAが「正規品」と書いたり「○○で購入した」などとあたかも正規品と誤信させるような標記をして海賊版を販売した場合、購入した相手に対する詐欺罪が成立します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都大田区にて、いわゆる海賊版を販売して嫌疑をかけられ著作権法違反で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
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