前科・前歴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
会社員のAさんは、東京都港区の赤坂にある会社に自転車で通勤しています。
一週間ほど前に、会社の駐輪場に自転車を止めた時に鍵をするのを忘れてしまい、帰宅する際に駐輪場に行くと自転車が盗まれてなくなっていました。
近所の交番に被害届を出して、自宅まで歩いて帰宅しようとしたのですが、その道中にコンビニの前に、鍵をせずに止めてある自転車を見つけたAさんは、悪いことだと思いながらも、その自転車を盗んでしまいました。
その日以降、盗んだ自転車を使って通勤していましたが、昨日の夕方、帰宅途中に、警視庁赤坂警察署の警察官に職務質問されて窃盗が発覚してしまいました。
実はAさんは、3年ほど前にも自転車の窃盗事件を起こしており、その時は微罪処分で刑事罰を受けていませんでした。
その事もあって、警視庁赤坂警察署に連行されて取調べを受けたAさんは、警察官から「今回は微罪処分にできないので正式に検察庁に事件を送致します。」と言われてしまいました。
国家資格の取得を目指しているAさんは、前科が付くことは避けたいと思っています。
(フィクションです)
◇前科と前科◇
「前科」という言葉は、正確な法律用語ではなく、通俗的に使用されているものですので、その意味は必ずしも明らかではありません。
しかし、一般的には、「前に刑に処せられた事実」を「前科」といいます。
「前に刑に処せられた」とは、全ての有罪の確定判決をいい、その刑が死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料である場合だけでなく、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。
一方、「前科」と似た言葉に「前歴」というものがあります。
「前歴」は、「前科」も含めたより広い概念であり、警察や検察などの捜査機関により被害者として捜査対象となった事実を意味します。
不起訴となった場合にも、「前歴」はつくことになります。
またAさんが、以前に窃盗事件を起こした際に受けた「微罪処分」は前歴となります。
◇前科が及ぼす影響◇
前科が付くことで、就職や結婚など日常生活に何らかの支障が出ることは否定できません。
しかし、そのような事実上の不利益の他に、前科によって、刑事手続きにおいても一定の不利益を被るおそれがあります。
~刑事手続き上の不利益~
例えば、以下のような不利益が挙げられます。
・執行猶予に付し得ない事由(刑法25条、27条の6)
・執行猶予の取消事由(刑法26条、26条の2、26条の3、27条の4、27条の6)
・再犯加重の事由(刑法56条、59条)
・仮釈放の取消事由(刑法29条1項)
・常習犯の認定事由(刑法186条、暴力行為等処罰二関スル法律1条ノ3、2条、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条ないし4条)
・必要的保釈を消極とする事由(刑事訴訟法89条2号、3号)
~特定の法令が定める資格制限事由~
資格制限事由は、個人が特定の職業や地位に就いたり、特定の営業活動等を行う場合に、法律が前科の存在を理由としてこれらの資格に就くことを制限するものです。
例えば、国家公務員や地方公務員については、執行猶予を含む禁固以上の刑に処せられた者は、刑の執行を終わり又はその執行を受けることがなくなるまでの公務員となる資格を有することができず、在職中にこれらの刑の言渡しを受けた者は、自動的にその地位を失うことになります。(国家公務員法38条2号、4号、地方公務員法16条2号、4号)
◇前科の回避◇
~無罪判決の獲得~
前科を回避するには、無罪判決を勝ち取れば言い訳ですが、日本の有罪率は99.9%と言われており、一度起訴されると無罪となるのは非常に厳しいと言えるでしょう。
~不起訴を目指す~
99.9%の有罪率が維持されている要因の一つに、検察官が、確実に有罪を立証できる証拠がなければ、起訴しないという理由があります。
この事実の裏を返せば、検察庁に送致されている事件の多くが不起訴になっているということです。
不起訴を得れるかどうかは、それぞれの事件によりますが、少なくとも刑事事件を専門にしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にお任せいただければ、被害者と示談を締結する等して不起訴を得れる可能性は高くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
これまでも数多くの刑事事件において不起訴を獲得し前科回避に成功した実績があります。
刑事事件を起こし、前科がつなかいか心配されているのであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
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