警視庁町田警察署の薬物事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
ある朝、東京都町田市のマンションに住む会社員Aさんの自宅に、警視庁町田警察署の警察官が、大麻取締法違反で捜索に入りました。
この捜索によってリビングから乾燥大麻が発見されて、Aさんは大麻取締法違反(大麻所持)で現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは、友人に勧められて数年前から大麻を使用し始め、最近は、インターネットのSNSで知り合った密売人から大麻を購入していました。
今回、警察に発見された大麻は、1ヶ月ほど前に、この密売人から購入したもので、いつでも吸引できるように、タバコ紙に包んでリビングのタバコケースの中に入れていました。
逮捕後の取調べにおいてAさんは、自己使用目的で大麻を所持していた事実を認めており、常習的に使用していたことも自供しています。
今回が初犯のAさんは、大麻取締法違反などの薬物事件に強いと評判の弁護士を選任し、執行猶予付きの判決を目指しています。
(フィクションです)
最近よく、警察や麻薬取締局等の捜査によって、芸能人や、ミュージシャンなどの著名人による薬物事件が摘発されています。
つい先日も、ミュージシャンとその内妻である元女優が、自宅に大麻を所持していた大麻取締法違反の容疑で逮捕され、世間を騒がせています。
そこで本日は、大麻取締法違反について、東京で薬物事件に強いと評判の弁護士が解説します。
◇薬物事件◇
日本では、覚せい剤や大麻をはじめとして、様々な薬物が法律で規制されています。
ここでは、薬物を規制している代表的な法律とその内容を解説します。
●覚せい剤取締法・・・覚せい剤の使用や所持、譲渡(受)、輸出入等を規制しています。
●大麻取締法・・・大麻の所持や栽培、譲渡、譲渡(受)、輸出入等を規制しています。
●麻薬及び向精神薬取締法・・・ヘロインやコカイン、MDMA,向精神薬、マジックマッシュルーム等の麻薬原料植物について規制しています。禁止されている行為についてはそれぞれ異なりますが、基本的には使用や所持、譲渡(受)、輸出入等が禁止されています。
●あへん法・・・あへんの使用や所持、栽培や採取、譲渡(受)、輸出入等を禁止しています。
●毒物及び劇物取締法・・・シンナー等有機溶剤の使用や無登録販売等を禁止しています。
◇大麻取締法◇
~法定刑~
大麻取締法では、大麻の①栽培・輸入・輸出②譲渡・譲受・所持が禁止されています。
それぞれに、非営利目的と営利目的があり、その罰則規定は
①の場合
非営利目的・・・7年以下の懲役
営利目的・・・10年以下の懲役情状により300円以下の罰金を併科
②の場合
非営利目的・・・5年以下の懲役
営利目的・・・7年以下の懲役情状により200円以下の罰金を併科
です。
◇量刑◇
大麻取締法違反で逮捕、起訴された場合の刑事罰については上記法定刑内での処分が言い渡されることとなりますが、実際に言い渡される処分についてはどの程度なのでしょうか。
大麻取締法違反で起訴された場合の量刑は、同種前科の有無、常習性の有無、押収された大麻の量と、その目的に左右等にされます。
以下は、これまでの裁判で確定した量刑です。
会社員(35歳・男性)の場合
警察官の職務質問によって大麻(約1.2g)の所持が発覚し、現行犯逮捕の後に非営利目的の大麻所持罪で起訴された事件。
約5年間近く、大麻の使用歴が認められたが、初犯で、家族が監視監督を約束したことから「懲役6月執行猶予3年」の判決が言い渡されました。
無職(28歳・男性)の場合
男性は、5年前に大麻取締法違反(所持)の前科があり、前刑の執行猶予期間が終了して1年後の犯行です。
逮捕、起訴されたのは、自宅に、自己使用目的の大麻を約1g所持していた大麻所持事件の事実です。
男性は事実を認めていましたが、猶予期間が終了して1年しか経っていない上に、執行猶予期間中も継続的に大麻を使用していたことから常習性が認定され、懲役8月の実刑判決が言い渡されました。