~事件~
会社員のAさんは、目黒区にあるスポーツジムに通っています。
1ヶ月ほど前に、ジムの更衣室において、鍵のかけ忘れていたロッカーの中にあった財布から現金1万円を盗んでしまいました。
今朝、出勤しようと自宅を出たところ、警視庁目黒警察署の刑事さんが来て「話を聞きたいので署まで来て欲しい。」と任意同行を求められましたが、Aさんは拒否して出勤しました。
今後について不安なAさんは、会社の昼休みに法律相談できる弁護士を探しています。
(フィクションです)
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、「警察官に任意同行を求められたけど拒否してしまいました。今後どうなりますか?」といった法律相談がよくあります。
そもそも任意同行とは何でしょうか?また任意同行を拒否するとどうなってしまうのでしょうか?今日は刑事事件に強い弁護士が解説します。
~任意同行とは~
任意同行とは、警察官が、取調べ等のために警察署等まで同行を求める行為で、「任意」で行われる捜査の一つです。
任意同行は、①「犯罪の嫌疑がある者に対する任意同行」と②「職務質問の際に行われる任意同行」の2種類が存在します。
今回Aさんが求められた任意同行は①に該当するでしょう。
この①「犯罪の嫌疑がある者に対する任意同行」は、刑事訴訟法第198条を法的根拠に行われますが、当然「任意」なのでAさんのように拒否することもできます。
~任意同行を拒否すると~
警察等の捜査機関は、嫌疑がなければ任意同行を求めません。
任意同行を求める時点で「犯人かもしれない」といった、ある程度の証拠が揃っていると考えた方がいいでしょう。
そのため、任意同行に応じなければ逮捕される可能性が生じます。
Aさんのように、被害額が1万円程度の偶発的犯行が予想される窃盗事件であれば、逃走や罪証隠滅のおそれがなければ、逮捕される可能性が極めて低いと考えられますが、任意同行を拒否した場合は、逃走のおそれが生じることとなり、逮捕される可能性が出てくるのです。