少年による窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
先日、人気アーケードゲーム「太鼓の達人」の太鼓を盗んだとして、東京都目黒区の私立高校に通う男子生徒(16歳)が、窃盗罪で警視庁少年課に逮捕されました。
この事件では、すでに別の少年が逮捕されており、この他にも事件に関わった少年がいるとして捜査が進められています。
逮捕された少年は仲間と共に、他の店舗から盗んだ基盤などと組み合わせて、自宅に太鼓の達人の器具を再現し、遊んでいる様子を動画投稿サイトに投稿するのが目的だったようです。(令和元年6月3日付の産経新聞から抜粋)
◇窃盗罪◇
人の物を盗めば窃盗罪となります。
窃盗罪は刑法第235条に規定されている法律で、その法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
◇少年事件の流れ◇
①逮 捕
↓(48時間以内)
②検察庁に送致
↓(24時間以内)
③裁判所に勾留(勾留に代わる観護措置)請求
↓ ↓
④勾 留(10日間~20日間) ⑤勾留に代わる観護措置(10日間)
↓ ↓
⑥家庭裁判所に送致 ↓
↓(24時間以内) ↓
⑦ 観 護 措 置
↓ ↓
⑧審 判 ⑨審判不開始
①逮捕
逮捕には、大きく分けて現行犯逮捕、緊急逮捕、通常逮捕の3種類があります。
少年であっても、何れの逮捕手続きの対象となり、成人被疑者と同様の扱いを受けます。
②検察庁に送致
少年を逮捕した警察等の捜査当局に与えられている時間は48時間です。
この間に、逮捕した少年の取調べ等を行われ、事件内容や少年の素行等を考慮して、引き続き身体拘束を続けて捜査するのか、釈放するのかが決定します。
引続き身体拘束が必要だと判断された場合は、検察庁に送致されます。
釈放された場合でも、取調べ等の捜査は続けられますので、少年は、警察から呼び出されるごとに警察署に出頭し取調べを受けなければなりません。
③裁判所に勾留(勾留に代わる観護措置)請求
警察からの送致を受けた検察官は、それまでの捜査結果を踏まえて、裁判所に勾留(勾留に代わる観護措置)請求するのか釈放するのかを判断します。
少年法では、やむを得ない場合でなければ勾留請求できないと規定されているので、法律的には、成人被疑者と比べれば勾留請求される可能性は低い事になりますが、勾留に代わる観護措置が請求される可能性があります。
④勾留
裁判官が、勾留の必要性を認めれば勾留されることになります。
勾留期間は10日~20日で、勾留場所は警察署の留置場か、少年鑑別所となります。
裁判官が勾留を認めなかった場合は釈放となります。
⑤勾留に代わる観護措置
裁判官が、勾留に代わる観護措置の必要性を認めれば鑑別所に勾留されることになります。
勾留の場合は、必要に応じて、その期間が20日間まで延長されますが、勾留に代わる観護措置の場合は、その期間が10日間と法律で定められているので延長はありません。
しかし、その期間を終えると、改めて裁判官の審査を経ることなく自動的に観護措置が開始されます。
⑥家庭裁判所に送致
勾留、勾留に代わる観護措置の期間が終了すれば、家庭裁判所に事件が送致されます。
勾留によって身体拘束を受けていた少年については、ここで観護措置を決定するかどうかが裁判官によって判断されます。
⑦観護措置
観護措置が決定すれば通常で4週間(最長で8週間)、少年鑑別所に収容されて調査を受けることになります。
鑑別所に収容されずに在宅観護となる場合もありますが、実務上あまり目にすることはありません。
⑧審判
少年が本当に刑事事件を起こしたかどうかが判断されます。
犯罪事実を争う場合は、検察官が審判に参加し、刑事裁判でいうところの有罪、無罪の判断がなされた上で、少年の処分が決定します。
審判によって決定する処分は、不処分、保護処分、検察官送致の何れかです。
それぞれの処分については次回のブログでご紹介します。