東京都水上安全条例違反が初適用

東京都水上安全条例の新設について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

昨年、それまでの東京都水上取締条例の全部が改正されて「東京都水上安全条例」が施行したのをご存知でしょうか?
この条例の改正によって、これまで取締られることのなかった、プレジャーボート等の飲酒及び酒気帯び操縦が厳しく取り締まられるようになり、先日、初の摘発があり、お酒を飲んでプレジャーボートを操縦した男性が書類送検されました。

◇事件◇

先月、男性は、東京都江東区の運河において、知人10数名を同乗させたプレジャーボートを操縦しながら、ハイボール等のアルコール飲料を飲酒しました。
この日、警視庁湾岸警察署が、運河の岸で取締りを行っており、呼気検査によって基準値を超えるアルコール濃度が検出されて検挙されたようです。
(令和元年6月4日付け「TBSNEWS」を参考)

◇東京都水上安全条例◇

冒頭に記載したように、昨年に東京都水上安全条例が施行されるまで、お酒を飲んでプレジャーボート等の小型船舶を操縦した行為を取り締まるための法律は、「船舶職員及び小型船舶操縦者法」の小型船舶操縦者の遵守事項でしか規制がありませんでした。
とはいうものの、この遵守事項に違反した場合でも、罰金等の刑事罰の規定はなく、船舶免許に関する行政処分の対象にしかなりませんでした。
お酒を飲んで車を運転した場合ですと、道路交通法違反が適用されて刑事罰の対象となるのに対して、小型船舶の飲酒操縦は、何の法律でも取締りがなされていなかったという実態だったのです。
しかし、2016年の夏に、警視庁が実施した実態調査において、水上オートバイの47%、プレジャーボートの11%で飲酒操縦が確認されたことに裏付けられるように、一部の水上バイク等の小型船舶利用者による、危険な航行や、迷惑行為が社会問題となりつつあり、一部のメディア等でも取り上げられたことによって社会の注目を集めたことや、2020年に東京オリンピックが開催されることを背景に、小型船舶の飲酒運転を厳しく取り締まるための東京都水上安全条例を施行したようです。

~適用条文~
第12条
何人も、水上において、酒気を帯びて小型船舶を操縦してはならない。

~罰則規定~
第26条1項1号(酒酔い操縦)
第12条の規定に違反して小型船舶を操縦した者で、その操縦をした場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な操縦ができないおそれのある状態をいう。)にあったもの。
3月以下の懲役又は50万円以下の罰金

第26条3項1号(酒気帯び操縦)
第12条の規定に違反して小型船舶を操縦した者で、その操縦をした場合において身体に公安委員会規則で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあったもの。
30万円以下の罰金

※罰則の対象となるアルコール濃度は、呼気濃度0.15ミリグラム以上です。
ちなみに、警察官によりアルコール検知を拒否したり、検知を妨害した場合は20万円以下の罰金が科せられる可能性があります。(第26条4項1号)

◇東京都水上安全条例違反で検挙されたら◇

自動車の飲酒運転と同様に、東京都水上安全条例違反が発覚すれば、逮捕される可能性がありますが、飲酒検知に応じて、取調べ等の必要な捜査に応じていれば逮捕される可能性は低いでしょう。
しかし、警察官による検知を免れようとしたり、現場から逃走や、飲酒事実を隠蔽しようとした場合は逮捕されることも考えられます。
何れにしても、取調べ等、警察において必要な捜査を終えると、事件は検察庁に送致されます。
そして検察官によって起訴されるか否かが決定するのですが、初犯であれば略式罰金となる可能性が非常に高いと考えられます。

~前科になるの?~

起訴された場合、通常であればその後の刑事裁判で刑事罰が決定するのですが、略式罰金の場合は、略式起訴という手続きによって刑事裁判は行われず、指定された罰金を納付すれば全ての刑事手続きが終了します。
略式罰金も「前科」となります。
前科は一般に公表されるものではありませんが、その後の社会生活において不利益を被る可能性があるので注意しなければなりません。
また、前科は捜査機関に記録として残りますので、その後、何らかの犯罪を犯してしまった場合、量刑が重くなる原因にもなりかねません。

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