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【事例解説】置き引きは占有の有無で問われる罪が変わる?窃盗罪と占有離脱物横領罪の違い

2023-12-06

【事例解説】置き引きは占有の有無で問われる罪が変わる?窃盗罪と占有離脱物横領罪の違い

窃盗罪 占有離脱物横領罪

置き引きによる刑事事件で窃盗罪が認められた事例をもとに、置き引き行為によって成立する可能性がある窃盗罪占有離脱物横領罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・新宿支部が解説します。

【事例】

東京都新宿区内にある公園のベンチで座っていた男性V(37)は、立ち去る際に手に持っていたバッグをベンチに置いたままにしてしまいました。
公園から200mほど歩いたときにバッグをベンチに忘れたことに気付いたVは、すぐに走って公園に戻りました(公園に引き返すまでの時間は約3分が、バッグはすでにベンチから無くなっていました。
Vはすぐに警察に通報し、警察は近くにあった監視カメラから、男性A(28)がVのバッグを置き引きしていたことが発覚し、Aを逮捕しました。

警察の取り調べによると、Aは「落とし物を拾っただけで盗んではいない」と容疑を否認しています。
(※この事例はフィクションです。)

【置き引き行為は何罪?】

置き引きは、その場に置かれている荷物を所有者が目を離した隙に盗む行為を指し、刑法第235条で規定されている窃盗罪か刑法第254条で規定されている占有離脱物横領罪(遺失物等横領罪)のいずれかが該当します。
各条文は以下のように規定されています。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第254条(遺失物等横領)
    遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

それぞれの条文が規定している処罰内容は、窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金占有離脱物横領罪は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金なので、どちらの罪が成立するかで全く違ってきます。

【窃盗罪と占有離脱物横領罪の違い】

置き引き行為が窃盗罪と占有離脱物横領罪のどちらに該当するかについては、置かれていた荷物を所有者が占有していたかどうかという「占有の有無」が重要になります。
ここで言う占有とは、バッグや財布などの財物を事実上所持・管理していることを指します。

他人が占有している財物に対して置き引き行為をした場合は、他人の財物を窃取したことになるので窃盗罪が成立します。
一方で、他人が占有していない財物に対して置き引き行為をした場合は、占有を離れた他人の物を横領したことになるので占有離脱物横領罪が成立します。

このように、占有の有無によって成立する犯罪が変わってくるため、占有の有無の判断は極めて重要なポイントになります。
ただ、占有の有無を判断するための明確な基準というものは規定されておらず、判例では、客観的な要件主観的な要件の2つを総合的に考慮し、社会通念に従って占有の有無を判断しています。

客観的な要件としては、所有者から財物が離れた距離や時間がどのくらいなのかなどを考慮した上で、所有者が財物に対して事実上の支配があったのか判断します。
一方で、主観的な要件としては、所有者が意図的に置いていたり置き忘れていただけといったような、財物を支配する意思があったのか判断します。

【占有の有無が争点になった判例】

窃盗罪か占有離脱物横領罪のどちらに該当するかについて、占有の有無が争点になった判例をいくつか紹介します。

①所有者の占有が認められて、窃盗罪の成立が肯定された判例
・被害者が公園のベンチに置き忘れて引き返すまでの2分間で盗まれたポシェット(最高裁平成16年8月25日決定)
・バス停に並んでいた被害者が置き忘れて約20m離れた隙に盗まれたカメラ(最高裁昭和32年11月8日判決)

②所有者の占有が認められず、占有離脱物横領罪の成立が肯定された判例
・大型ショッピングモールにいた被害者が6階にあるベンチに置き忘れて地下1階から戻る約10分の間に盗まれた札入れ(東京高裁平成3年4月1日)

今回の刑事事件で考えると、Vがバッグを公園のベンチに置き忘れたことに気付いた距離は200mほどで、公園のベンチに引き返すまでの時間は3分ほどだったことから、判例に照らし合わせると、盗まれたバッグ(財物)はV(所有者)の占有が認められるため、Aには窃盗罪が成立することになります。

【窃盗罪・占有離脱物横領罪による刑事事件でお困りの方】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とした弁護士事務所です。
過去に窃盗罪や占有離脱物横領罪による刑事事件の弁護をした実績がある弁護士も多く在籍していますので、窃盗罪・占有離脱物横領罪による刑事事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

電話で内容を確認した上で、無料の法律相談初回接見サービスを提供致しますので、まずは24時間365日受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

【事例解説】他人が置き忘れられた財布を盗る行為で成立する罪は窃盗罪?占有離脱物横領罪?

2023-10-25

【事例解説】他人が置き忘れられた財布を盗る行為で成立する罪は窃盗罪?占有離脱物横領罪?

他人が置き忘れたものを取った場合、成立する罪は窃盗罪占有離脱物横領罪のどちらが成立するかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説致します。

【事例】

ある日の昼下がり、Aが東京都世田谷区の公園のベンチで休憩していたところ、向かいのベンチに座っていたVが財布を置き忘れていったことに気付きました。
そこで、Aはベンチに2分ほど座ったままVが戻ってこないことを確認し、Vが置き忘れた財布を持ち去りました

Aの行為には、どのような罪が成立するのでしょうか。
(※この事例は全てフィクションです。)

【Aに成立する可能性がある罪】

結論から言うと、本事例においてAには窃盗罪占有離脱物横領罪のどちらかが成立する可能性があります。
窃盗罪については刑法第235条、占有離脱物横領罪については刑法第254条で以下のように規定されています。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第254条(遺失物等横領)
    遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

窃盗罪と占有離脱物横領罪の違いは、簡潔に言えば「被害者の占有があったかどうか」です。

窃盗罪は、「人の財物を窃取した者」と規定しています。
ここにいう「窃取」とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害し自己又は第三者の占有に移転させることと解されています。

これに対して占有離脱物横領罪は占有を離れた他人の物」と規定しています。
又、どちらも他人の物を自己の占有に移すという点では共通していますから、被害者による占有が失われていれば占有離脱物横領罪失われていなければ窃盗罪が成立することになるわけです。

【占有とは】

刑法上、占有とは「財物に対する事実上の支配であると解されています。

占有といった場合に物の現実の握持まで要求すると、例えば家の前の自転車や、タンスの中の現金にも占有が及ばないということになってしまい、不都合だからです。
そこで、占有の存否は、客観的な財物の支配主観的な財物に対する占有の意思を総合的に判断することになります。

では、本件ではどのような判断がなされるでしょうか。
最高裁判所の判例には、公園のベンチに置き忘れられたポシェットを領得した行為は、被害者がベンチから約27メートルしか離れていない場所まで歩いて行った時点で行われたことなどの事実関係の下では、窃盗罪に当たると判示した事例があります。

本件についても、2分程度であれば距離としてもそれほど遠くはありませんから、未だに支配意志があるといえ、占有を肯定することができると判断される可能性があります。
Vの占有が肯定されれば、今回の事例は上記の判例に類似する事案であると言えますから、Aには占有離脱物横領罪ではなく窃盗罪が成立することになると考えられます。

【窃盗罪で逮捕されてしまったら】

窃盗事件の場合、被害額が小さかったり、初犯であったりする場合には、その後の交渉次第で不起訴になることがあります。
不起訴の可能性を少しでも高めるために、逮捕後にできる活動として、被害者との示談が重要なポイントになります。
被害弁償をして被害者に謝罪をした上で示談を成立させることができた場合、起訴前であれば起訴猶予などの不起訴処分となる可能性が上がります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件の豊富な弁護経験を持つ、刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と交渉を行うことで、不起訴処分、罰金刑、執行猶予付判決などより軽い処分にできる可能性がございます。

特に起訴前に示談が成立すれば不起訴処分となり前科を回避することができるかもしれませんので、東京都内で窃盗事件を起こしてしまった場合は、まずは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
ご連絡は、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にてお待ちしております。

【解決事例】ネコババで被害届

2023-02-03

【解決事例】ネコババで被害届

落し物を着服するいわゆるネコババで問題となる罪と、被害者が被害届を提出した場合の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都江戸川区在住のAさんは、江戸川区内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは江戸川区内のパチンコ店でパチンコをしていたところ、足元にスマートフォンが落ちていました。
そこでAさんは何も考えずに拾って自身の鞄に入れ持ち帰ろうとしましたが、スマートフォンの所有者VさんはGPS機能を用いてスマートフォンがある場所を特定していて、Aさんの帰宅途中にVさんはAさんを特定し、警察に通報しました。
通報を受けて臨場した江戸川区内を管轄する小岩警察署の警察官は、Aさんに任意同行を求め、警察署にて取調べをしました。
Aさんはネコババを認めたところ、警察官はAさんに対し「逮捕はしないけど、Vさんから被害届が出ているから在宅で捜査するよ」との説明を行いました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【ネコババで問題となる罪】

落し物をした場合には落とし主に返却するか、最寄りの交番や警察署に提出する必要があります。(遺失物法4条1項)
では、それを届け出ずにその落し物を持ち去った場合にはどのような罪に問われるのでしょうか。
以下で検討します。

・遺失物横領罪・占有離脱物横領罪
まず、落し物を届け出ずに持ち去った場合には遺失物横領罪・占有離脱物横領罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

ここで規定されているのは、占有離脱物横領罪であり、遺失物横領罪はその例示であるとされています。
持ち主がその場に忘れて行った物を盗った場合には遺失物横領罪が、意識して置いた上でその場を立ち去っていた場合などには占有離脱物横領罪の罪名が、それぞれ付くと考えられます。

・窃盗罪
上述のとおり、基本的には落し物を盗んだ場合には占有離脱物横領罪・遺失物横領罪が適用されますが、それを拾得した場所によっては窃盗罪が適用される可能性があります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

確かに、どのような場所であれ忘れ物である以上は占有を離れたものと言えそうです。
しかし、例えばデパートなどの商業施設や飲食店のほか、ケースのようなパチンコ店などの場合、たとえ落し物であってもその占有は商業施設や飲食店、パチンコ店にあるとされ、窃盗罪が適用される可能性があります。
なお、例え占有する施設の管理責任者が落し物の存在を知らなかったとしても、占有は認められ、窃盗罪が適用されます。

【被害届の提出について】

警察官などの捜査機関が捜査を開始することを「捜査の端緒」と言います。
捜査の端緒には、警察官による職務質問や目撃者による通報・現行犯逮捕などのほか、被害者やその家族・遺族による被害届や刑事告訴が挙げられます。
そのうち、今回の事件で提出された被害届については、以下のとおり規定されています。

犯罪捜査規範61条1項 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。

とはいえ、実務では
被害届は基本的に被害者の住所地を管轄する警察署等に提出される(あるいはそのように勧められる)ことが多い
・罪に当たらないということで被害届が受理されなかったり、当事者間での合意(示談)などを勧められる場合もある
という性質から、被害届が受理されるかどうかは被害者にとって重要な内容であり、受理された場合には取調べを含め捜査が行われる蓋然性が高いものだと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、これまでネコババなどの財産犯事件を数多く取り扱ってきました。
東京都江戸川区にて、ネコババをしてしまい被害届を提出された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はコチラ。

【解決事例】拾った財布を着服するも審判不開始

2022-12-21

【解決事例】拾った財布を着服するも審判不開始

拾った財布を着服した占有離脱物横領事件で捜査を受けたものの審判不開始を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都荒川区在住のAさんは、都内の高校に通う高校生でした。
事件当日、Aさんは荒川区内の公園のベンチに置いてあった忘れ物の財布を拾い、それを着服する占有離脱物横領事件を起こしてしまいました。
Aさんは後日、荒川区内を歩いていたところ、尾久警察署の警察官による職務質問を受けることになり、Aさんが他人の身分証明証を持っていたことから、任意で取調べを受け、着服行為を認めました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【拾った財布を着服したら】

路上や公園などの公共の施設に落ちていた落し物を届け出ずに着服した場合には、遺失物横領罪・占有離脱物横領罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

ここで規定されているのは、占有離脱物横領罪であり、遺失物横領罪はその例示であるとされています。
持ち主がその場に忘れて行った物を盗った場合には遺失物横領罪が、意識して置いた上でその場を立ち去っていた場合などには占有離脱物横領罪の罪名が、それぞれ適用されることが考えられます。

【審判不開始について】

Aさんは20歳未満の未成年者でしたので、成人の刑事手続きとは異なる手続きに附されます。
少年事件では、捜査が終了したのち家庭裁判所に送致されます。
送致を受けた家庭裁判所の裁判官は、捜査書類を確認したうえで家庭裁判所調査官による調査を行う場合が一般的です。
調査が終了した後、裁判官は審判を少年に保護処分を課す必要があるかどうかの判断を下します。
保護処分が必要であると判断した場合は、審判を開き、少年や保護者の主張を踏まえ少年に対してどのような保護処分を課す必要があるのか検討します。
しかし、調査官の調査結果を踏まえ、少年に保護処分が不要であると判断した場合、そもそも審判を開かない審判不開始決定を言い渡します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、遺失物横領事件・占有離脱物横領などの事件での弁護活動も数多く経験してきました。
東京都荒川区にて、お子さんが落し物を着服するなどして捜査を受けている、審判不開始を目指したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

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