液体状の「大麻」を所持?職場で懲戒免職になる?逮捕の可能性は?【後編】
前回記事に続き、今回は後編として大麻使用による懲戒免職について、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
法律上の大麻の定義や大麻リキッドに関しては、前編をご覧ください。
液体状の「大麻」を所持?職場で懲戒免職になる?逮捕の可能性は?【前編】
【事例】
海上自衛隊呉地方総監部は29日、弾薬の整備などを担当する自衛官の男性が大麻リキッドを10回使用したとして、懲戒免職処分としました。
懲戒免職処分を受けたのは、呉弾薬整備補給所に所属する海士長で、広島県呉市内に住む男性A(20代)です。
呉地方総監部によりますと、Aは2022年8月上旬、SNSで知り合った民間人から大麻リキッド1本を1万5000円で購入。
郵送で入手し、同月13日から24日にかけて計10回にわたり、大麻リキッドを吸ったということです。
Aは大麻リキッドの使用後に錯乱状態や幻聴などの影響が出て、記憶に障害が出る状態となり、同月25日、親族によって病院へ搬送され、同年11月7日まで入院。
翌2023年1月、所属先の部隊に病気休暇の報告をする際、診断書の提出を求められ、隠し通せなくなり、自ら大麻リキッドの使用を申し出たということです。(以下略)
(※令和6年3月29日に『Yahoo!ニュース』で配信された「大麻リキッド使用で錯乱状態に 弾薬整備補給所の海士長が懲戒免職 海自呉」記事の一部を変更して引用しています)
【大麻使用によって懲戒免職になる?】
冒頭の報道では、大麻の使用によって錯乱状態になった自衛隊の職員が懲戒免職になったというものでした。
2024年4月1日時点の大麻の使用がまだ違法となっていない時点で、大麻の使用によって懲戒免職となることはありうるのでしょうか。
懲戒免職とは、各事業主が定めている就業規則上、「懲戒事由」に掲げている行為に該当した時になされる「懲戒処分」として最も重い「免職」の処分です。
就業規則とは各会社におけるルールであり、法律のようなものです。
その会社の内部でのみ通用するルールであり、違反した場合の処分が定められています。
この就業規則に「大麻を使用した場合には免職とする」と書いてあれば、免職の処分にすることができるでしょう。
ただし、ほとんどの会社では、そのようなダイレクトな書き方はしていないと思われます。
多くの会社では「法令に違反した場合」や「その他業務上の非違行為があった場合」というような定めをしています。
そこで、大麻の使用が「懲戒事由」に該当するかどうかが問題となるのです。
報道のみでは具体的な部分が明らかではありませんが、①自衛隊という国防を担う公務員の立場であり、法令を遵守することが特に求められていた身分で、②違法薬物である大麻を複数回吸引して体調不良を起こし任務に支障をきたしていたことが重く見られたのではないかと思われます。
一般的な企業であっても、「大麻の吸いすぎで体調不良が優れないので休みます」ということを繰り返していれば、懲戒免職となってしまう可能性は高いでしょう。
今後、改正された大麻取締法が施行されるようになれば、「大麻を吸った」というだけで「覚醒剤を使った」と同じだけの見方をされることになります。
【最後に】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が、大麻の使用により懲戒免職となった事例について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
大麻取締法違反事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や、大麻のことでご不安なことがある方やご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
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