トイレ内の盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
東京都日野市の製造会社に勤務するAさんは数年前から会社の女子トイレに盗撮用のカメラを設置して、女性従業員を盗撮していました。
残業で帰宅が遅くなった日に、女子トイレに侵入し、個室の天井に火災報知器型のカメラを設置し、その翌日の夜にカメラを回収する手口で盗撮を繰り返していたのですが、何らかの理由でカメラが落下していたことから犯行が発覚しました。
以前に盗撮した画像は自宅のパソコンにデータを移していたのでカメラには保存されていませんが、今回の盗撮行為でカメラにどのような映像が保存されているのかについては分かりません。
会社内で調査が行われてAさんも聞取りを受けましたが犯行を否認しました。
そしてその後、会社が警視庁日野警察署に被害を届け出たことを知ったAさんは、警察の捜査によって自身の犯行がバレてしまうのではないかと不安で、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
東京都内の盗撮事件に関するご相談は、フリーダイヤル0120-631-881で24時間、年中無休で受け付けている「(新宿・八王子)弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にお任せください。
◇盗撮◇
盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例によって規制されています。
東京都内における盗撮行為は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」で禁止されています。
この条例では
①住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、通常衣類で隠されている下着や身体を盗撮したり、盗撮する目的でカメラを人に向けたり、設置する行為。
②公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗り物において、通常衣類で隠されている下着や身体を盗撮したり、盗撮する目的でカメラを人に向けたり、設置する行為。
が禁止されています。
~Aさんの行為~
Aさんは会社の女子便所に盗撮用のカメラを設置しています。
便所は上記①に該当しますので、盗撮する目的でカメラを設置した時点で条例違反に抵触することになります。仮に設置した盗撮用カメラに何も撮影されていなかったとしても刑事罰の対象となるでしょう。
また盗撮用カメラを設置する目的で女子トイレに侵入する行為自体が、刑法でいうところの「建造物侵入罪(刑法第130条)」に抵触する可能性もあります。
~警察の捜査~
Aさんのように盗撮用のカメラが何らかの理由で発覚したことが端緒となって、自身の盗撮行為が明らかとなり警察の捜査を受ける方は少なくありません。
そのような方のほとんどは、カメラを設置する際に自身の姿が撮影されていたり、設置場所周辺の防犯カメラ、監視カメラに設置場所に出入りする姿が写っていたりして、犯人として割り出されているようですが、警察に逮捕されるかどうかは、逃走や証拠隠滅のおそれ、前科・前歴の有無等を総合的に判断して警察が決定します。
また盗撮事件で警察の捜査を受けた方のほとんどは、所有するパソコンや、スマートフォン、タブレット等に盗撮したデータが保存されていないか捜査されます。
近年、警察等の捜査機関の総技術は大きく進歩していますので、保存されていたデータを消去していたとしても、復元される可能性があるので注意しなければなりません。
保存されているデータについても、盗撮画像であることが立証されれば余罪として立件される可能性があります。
◇盗撮の弁護活動と量刑◇
東京都の迷惑防止条例に違反して盗撮した場合の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
有罪が確定すればこの法定刑内の刑事罰が科せられるのですが、被害者と示談することによって、刑事罰を免れる(不起訴処分)可能性が高くなります。
被害者と示談ができなかった場合、初犯ですと略式罰金刑になる場合がほとんどで、再犯の場合は、前刑の処分よりも重い刑事処分となるでしょう。