チケットの転売(迷惑防止条例違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
~事件~
東京都葛飾区に住む無職のAさんは、人気アイドルグループのコンサートチケットをインターネットで大量に予約し、それを近所のコンビニで購入しました。
そして、その大量のチケットをインターネットを利用して高額で転売しました。
チケットの転売で高額の利益を得ていたAさんは、東京都の迷惑防止条例違反で警察に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~チケットの転売~
◇チケットを転売するのは犯罪でしょうか?◇
全ての転売行為が犯罪になるわけではありませんが、転売の方法によっては迷惑防止条例違反になる場合があります。
東京都の迷惑防止条例では、公共の場所において、不特定多数の者に、乗車券等、入場券、観覧券等のチケットを転売したり、転売目的の者に交付したり転売目的で購入すること等を禁止しています。(第2条)
これに違反した場合は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられるおそれがあります。
今回の事件を考えると、Aさんは、インターネットで予約したチケットを、近所のコンビニで購入しています。
同じコンサートのチケットを大量に購入していることから、転売目的であると判断された上に、コンビニは「公共の場所」に当たるので、Aさんの行為に東京都の迷惑防止条例が適用されたものと考えられます。
ただ、迷惑防止条例は、転売を取り締まるための条例ではなく、公共の場所での迷惑行為を取り締まるための法律ですので、今回の適用は異例で、インターネット上で購入したチケットをインターネット上で販売しただけでは迷惑防止条例の適用は難しいでしょう。
~その他の法律~
現時点で、Aさんの行為に対して適用できる法律を考えると、可能性があるのは古物営業法です。
コンサートのチケットは、古物営業法でいうところの古物に該当する可能性があり、この古物を転売することを業とする場合には許可が必要です。
大量のチケットを反復継続的に転売していた場合は、古物営業とみなされるので、許可なくチケットを転売すれば古物営業法違反になる可能性があります。
ちなみに報道によりますと、東京オリンピックの開催をひかえ、観戦チケットの転売を防止するための法律が今後施行される可能性があるようです。