~事件~
自営業のAさんは、2ヶ月ほど前に、東京都中野区の自宅で、友人に覚せい剤を無償で譲り渡しました。
Aさんが友人にあげた覚せい剤は、インターネットで購入したもので、自分が使用した残りです。
この覚せい剤を使用した友人が、先日、覚せい剤の使用事件で警視庁中野警察署に逮捕されたことを知ったAさんは、自分も警察に逮捕されるのではないかと不安です。
(フィクションです。)
~覚せい剤事件~
覚せい剤を規制している覚せい剤取締法では覚せい剤の譲渡を禁止しています。
覚せい剤の譲渡には「非営利目的」と「営利目的」の2種類があり、Aさんの行為は、無償譲渡ですので「非営利目的」となるでしょう。
非営利目的での覚せい剤の譲渡には「10年以下の懲役」が法定刑として定められています。
~覚せい剤の「非営利目的」の譲渡事件で逮捕されるか?~
警察等の捜査当局は、覚せい剤の使用や所持で逮捕された人の供述から譲渡事件の捜査を開始することがほとんどです。
当然、供述だけでは犯行が明らかではないので、譲渡の状況を明らかにするために携帯電話機の通話履歴やメールのやり取りを精査したり、譲渡場所付近の防犯カメラを解析したりして逮捕状を取得するだけの証拠を集めます。
このような捜査の結果、覚せい剤の譲渡を裏付けられた場合、覚せい剤の譲渡事件で逮捕されることになります。
また逮捕前に、自宅等の関係先を捜索されたり、逮捕後に採尿をされて覚せい剤の使用を検査されたりします。
自宅等から覚せい剤が押収されたり、採尿された尿から覚せい剤成分が検出された場合、覚せい剤の譲渡事件とは別件の、覚せい剤の所持、使用事件となるので注意しなければなりません。