警視庁日野警察署に捜索差押(ガサ)を受けたら

警察による捜索差押について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事例◇

Aさんは、東京都日野市の一軒家に、妻と子供の3人で暮らしており、職場には路線バスで通勤しています。
先日、Aさんが通勤で利用している路線バスで女子高生に対する痴漢事件が発生したらしく、その容疑者としてAさんは、警視庁日野警察署に呼び出しを受けて取調べを受けました。
Aさんにとっては全く身に覚えのない事件でしたが、被害者の女子高生や、バスの運転手の目撃などから、警察はAさんの犯行を疑っているようです。
取調べにおいて、警察官から「否認するのなら、家や職場にガサかけることになる。」と言われたAさんは、このまま否認を続けるべきか悩んでいます。
(フィクションです)

◇痴漢◇

東京都では、痴漢行為を「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下「迷惑防止条例」とする。)」で取締っています。
迷惑防止条例の第5条第1項第1号で「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」(同条例引用)を禁止しており、痴漢行為で起訴されて有罪が確定すれば「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。

◇痴漢事件における警察の捜査◇

痴漢事件で検挙される方のほとんどは、現行犯逮捕です。
被害者本人や目撃者に捕まる場合がほとんどですが、中には、警戒中の警察官によって現行犯逮捕される方もいます。
現行犯ではなく、Aさんのように、警察の捜査によって割り出されて取調べを受ける場合もあります。
被害者からの被害申告を受けた警察は、被害者の供述に基づいて容疑者を割り出します。
その捜査方法は様々でしょうが、定期券の利用履歴から、事件のあったバスの利用者を特定し、その中から被害者の供述する容姿の人物を選別して、最終的に被害者に顔写真を見せて容疑者を特定するケースがほとんどではないでしょうか。
この様な警察の捜査によって割り出された容疑者は、Aさんのように警察に呼び出されて任意の取り調べを受けます。
この取調べで犯行を自供すれば被疑者として、取調べを受けた後に検察庁に書類送検されることとなるでしょう。
しかしAさんのように、容疑を否認した場合は更なる捜査を受けて、容疑を固められることとなります。

◇捜索差押(ガサ)◇

捜索差押とは、自宅等の関係先を、警察等の捜査機関が捜索して、証拠品を押収することです。
捜索差押は、「ガサ」という隠語がよく用いられます。
警察等の捜査機関が捜索差押をするには、裁判官の発した捜索差押許可状が必要となります。※逮捕時は、捜索差押許可状を必要としない。
捜索差押許可状が発せられるには、捜索場所に容疑者が出入りしており、そこに証拠品が存在する蓋然性が必要となります。
一般的に、警察等の捜査当局が事件の容疑者として割り出した人物の自宅や、勤務先であれば証拠品が隠匿されている可能性があると判断されて、捜索差押許可状が発付される可能性が高いでしょう。
警察等の捜査当局が、捜索差押を行う際は、捜索場所を管理する人の立会いが必要となりますので、Aさんのように不拘束で警察の取調べを受けていて、事件が、家族や勤務先に知られていない場合に、捜索差押によって事件が知れてしまう可能性があるので注意しなけれなりません。
ちなみに、捜索差押許可状には「捜索すべき場所」と「差し押さえるべき物」が明記されており、ここに記載されていない場所を捜索したり、押収することはできませんので、もし警察等の捜査当局による捜索差押を受ける場合は、捜索差押許可状をよく確認することをお勧めします。

◇違法な取り調べ◇

痴漢行為を否認しているAさんは、取調べを担当する警察官から「否認するのなら、家や職場にガサかけることになる。」と言われています。
取調べにおいて警察官がこの様な発言をしてもよいのでしょうか。
決して適切な取調べとは言えないでしょう。
警察庁は、全国の警察に対して、適正な取調べを指示しており、そこで
①被疑者の身体に接触すること(やむを得ない場合を除く。)。
② 直接又は間接に有形力を行使すること。
③ 殊更不安を覚えさせ、又は困惑させるような言動をすること。
④ 一定の動作又は姿勢をとるよう強く要求すること。
⑤ 便宜を供与し、又は供与することを申し出、若しくは約束すること。
⑥ 被疑者の尊厳を著しく害するような言動をすること。
⑦ 一定の時間帯等に取調べを行おうとするときに、あらかじめ、警視総監若しくは道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)又は警察長の承認を受けないこと。
を監督対象行為として規定して、取調べにおける監督対象行為を禁止しています。
Aさんの取調べを担当した警察官の「否認するのなら、家や職場にガサかけることになる。」という発言は、監督対象行為の上記③に該当する可能性が高いでしょう。
この様な違法な取調べにおいて作成された供述調書の内容については、後の裁判において証拠能力が否定される可能性があるので、不安のある方は、刑事事件に精通した弁護士にご相談ください。

東京都日野市の刑事事件でお困りの方、警視庁日野警察署に呼び出されて取調べを受けている方や、警視庁日野警察署に捜索差押された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら