【解決事例】児童虐待事件で環境調整により不起訴獲得
自らの子どもに対して暴行を加えたことで児童虐待事件に発展した事件に於て、環境調整を行ったことにより不起訴を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【事例】
東京都北区在住のAさんは、北区内の会社に勤める会社員です。
Aさんには配偶者と、発達障碍をお持ちのお子さん・Vさんがいました。
事件当日、自宅にいたAさんは酒に酔っていたところ、Vさんの行動に不満を覚えVさんに対し叩く・蹴るの暴行を加えてしまいました。
Aさんの配偶者は怖くなって110番通報し、臨場した滝野川警察署の警察官はAさんを傷害罪で現行犯逮捕しました。
Aさんの配偶者から依頼を受けた当事務所の弁護士は、AさんとAさんの配偶者から事情を聞き取った上で、ひとたびAさんの配偶者の実家でVさんと一緒に暫く過ごすよう指示しました。
そして、AさんとVさんとがすぐに接触できない(つまり、Vさんに口止めをしたり虐待を繰り返すことがない)状況にしたうえで、検察官・裁判官に対して勾留が不要である旨を主張したところ、Aさんは勾留されることなく逮捕から数日で釈放されました。
その後、Aさんに虐待をしてしまった理由や今後の家族生活で虐待をしないためにはどうすれば良いのか、真剣に振り返って頂きました。
また、児童相談所で行われたケース会議には弁護士も同席して、児童相談所の職員やVさんの通う学園の担当者、ケースワーカーなどと一緒に、VさんとAさんとの今後の生活について検討しました。
最終的にAさんは不起訴となり、Vさんとの家族生活も取り戻すことができました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫
【児童虐待について】
児童虐待は深刻な問題で、その件数は毎年最高値を更新し続けています。
厚生労働省の「令和3年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」によると、令和3年度の児童虐待相談対応件数は207,659 件(速報値)です。
思うに、この数字は氷山の一角で、実際には顕在化していない児童虐待事件がこれ以上に実在します。
当然、自分の子どもとは言え児童は人間ですので、虐待をした場合にはその態様によって色々な罪が成立します。
代表的な事例では
①殴る蹴るなど故意の暴行による暴行罪・傷害罪・殺人未遂罪・殺人罪
②育児の際の不注意により子どもを死傷させた場合の過失致死傷罪・重過失致死傷罪
③ネグレクトによる保護責任者遺棄罪(同致死傷罪)
④性的暴行による監護者わいせつ罪・監護者性交罪
などが考えられます。
今回のAさんの事例では、殴る蹴るの暴行を加えた結果、Vさんが怪我をしていたため、傷害罪に問われました。
傷害罪の条文は以下のとおりです。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
【ケース会議などでの環境調整】
Aさんの事例では、Aさんの配偶者がVさんと一緒に一時的に実家に移り住むことでAさんと接触できないような環境になっていたことから、児童相談所によるVさんの一時保護は行われませんでした。
しかし、AさんもVさんも自宅での家族生活を切望していました。
そこで弁護士は、児童相談所が行うケース会議に出席し、Aさんのこれまでの虐待の経緯や理由を詳らかにしたうえで、今後虐待を行わないためにはどうすれば良いのか、検討・提案を行いました。
ここでは、Aさん自身の問題は固より、発達障碍を抱えたVさんの今後の教育等についても話し合われ、AさんとVさんとが一緒に生活するためにはどのような方法があるのか、一定の結論に達しました。
弁護士は逐一担当検察官にケース会議の状況を説明していたこともあり、担当検察官は、今回のAさんの事件については起訴しない「不起訴処分」としました。
最終的に、AさんとVさんは再び一緒の家で生活することができています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの虐待事件に携わってきました。
児童虐待事件の場合、被害者と加害者が同じ家で生活している場合が多いため、加害者が被害者である児童に対して更なる虐待や口止めなどをする可能性が高いとして、逮捕・勾留する場合が多いです。
また、一般的な粗暴犯事件とは異なり示談交渉などの弁護活動もできないため、再犯防止に向けた環境調整は必要不可欠です。
東京都北区にて、家族が児童虐待事件で逮捕・勾留された場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
まずは弁護士が初回接見サービス(有料)を行ったうえで、考えられる弁護活動や環境調整についてのアドバイス等を致します。