【弁護士が解説】会社を辞めて独立起業したところ前勤務先から営業秘密の侵害を疑われ刑事事件に発展したら?

【弁護士が解説】会社を辞めて独立起業したところ前勤務先から営業秘密の侵害を疑われ刑事事件に発展したら?

独立して起業したという事例を通じて,営業秘密の侵害が成立する具体的な場合について解説しています。秘密の侵害が成立するといえる場面や,逆に成立しないという場面もあり,情報の性質や事業内容によって判断は様々です。営業秘密の侵害を疑われてお困りの方は,弁護士法人あいち刑事総合法律事務所までご相談ください。

【事例】

事例はフィクションです。
東京都大田区に住んでいるAさん(40代男性)は,とあるコンサルティング企業V社(本社は港区高輪)に勤めていましたが,独立して経営コンサルタント事業を始めました。
Aさんは退職時,業務用に使っていた携帯電話やパソコンは返却し,営業のマニュアルや資料なども一切返却しています。
事業を起こしてからしばらくして,勤務を開始してしばらく経った頃,V社の社長から,「顧客名簿を盗み出しただろう!本社の警察に被害届を出すからな!」と恫喝のような電話がかかってきました。
Aさんには全く心当たりがありませんが,どうやら,Aさんが退職してからV社の顧客がごっそりと減ってしまったため,「Aさんが営業秘密を盗んでいるのではないか,それで事業をしているのではないか」と疑い出したようです。不安に思ったAさんは,弁護士に相談することにしました。
警視庁高輪警察署の不正競争防止法違反事件の事件について,刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

【不正競争防止法違反とは】

不正競争防止法とは経済の不正競争を防止し,不正競争行為に対して損害賠償やその他の措置を定めた法律です。
一言で「不正競争」と言っても,幾つかの不正競争行為があります。代表的なものは次のようなものです。
・表示の混同,冒用:消費者の間で知れ渡っている商品名やラベルを勝手に使って販売する行為。
・模様商品の販売:他人の商品と形状が似ているものを勝手に販売する行為。
・営業秘密の侵害:商品の生産方法やノウハウと持ちだしたり他人に公開したり使わせたりする行為。
・データの不正取得:一部の人しかアクセスできないデータベースに不正にアクセスする行為
・誤認惹起行為:原産地や品質について消費者に誤認させるような行為。偽装表示の事案が典型例。
不正競争行為が行われると,真面目に企業努力をしてきた会社の成果が横取りされるような形になり,経済社会での競争としては非常に不公平になってしまいます。努力をした結果について守らないとなると,「正直者が馬鹿を見る」ような社会になり,経済が発展しなくなってしまいます。
そこで,上記のような不正競争行為に対して刑事罰を科し,また,不正競争によって被害を受けた事業者からの損害賠償や不正競争行為の差し止めを認めているのが,不正競争防止法になります。
不正競争防止法違反の営業秘密の侵害を疑われてしまったという方は,あいち刑事事件総合法律事務所までご相談下さい。逮捕されていないという事件や呼び出しは受けたが取調べにはまだ行っていないという段階でも,早めの相談をおすすめします。
弊所では,刑事事件化する前の示談交渉も得意とする刑事事件を専門に扱う弁護士が対応します。

【秘密侵害をしていないのに疑われたら?】

Aさんの事例で,Aさんの対応を考えてみましょう。
まず,今回の事件における営業秘密とは何か,を考えてみます。
営業秘密とは,①秘密管理性,②有用性,③非公然性という要素をすべて満たすものを指すとされています。
おそらくV社は,Aさんが顧客名簿やノウハウのようなものを持ちだしたのだと主張しているものかと思われます。では,コンサルタント業における顧客名簿やノウハウが営業秘密に該当するでしょうか。顧客の連絡先も営業上のノウハウも,基本的には会社として他者に知られたくないと思うでしょう。ただ,事業の内容や情報それ自体の内容によりますが,顧客の連絡先をまとめただけでは営業上有用な秘密とは言えない場合や,ノウハウと言っても世間一般で言われるような営業マナーに過ぎず会社独自の秘密とは言えないというような場合もあります。
何が営業秘密に該当するかという点は,情報の性質や事業内容,規模,形態によって個別に判断されることになります。
参考記事)時事ニュース NTT西子会社元派遣社員を逮捕 顧客情報,名簿業者に売却か―岡山県警

顧客情報も,一体的な情報となって営業に使えるようなものとなれば,営業秘密に該当することになるでしょう。
一方,退職した後,使っていた手帳の中に顧客1人の電話番号をメモした付箋1枚が入っていた,というだけでは営業秘密の侵害には該当しないでしょう。

また,営業秘密の侵害が成立するためには,情報の利用,開示行為がなければなりません。上記の報道にもあるように,顧客情報の名簿を売却していれば,情報の「開示」にあたるでしょう。顧客名簿の利用に該当するかどうかは判断が難しい場合が多くあります。
例えば,Aさんが事業を立ち上げるにあたって連絡先を持ち出し,起業後にその名簿に沿って顧客に連絡して顧客の引き抜き行為をしていたとすれば,営業秘密の侵害が成立する可能性があります。一方,Aさんが退職前に担当していた顧客に「退職して独立する」とあいさつに回っていた場合や,退職後に顧客側からAさんに連絡があり「独立した」事を告げたような場合にまでだと,営業秘密の侵害は成立しにくいといえるでしょう。
営業秘密の侵害が成立すると言えるかどうかは①営業秘密に該当するのか,②具体的な侵害行為があったといえるかの2点から考えなければならないでしょう。

【まとめ,元勤め先への対応は?】

Aさんのように元勤め先に「不正競争防止法の違反だ/営業秘密の侵害だ」と言われた場合や,「警察に被害届を出す」と言われて,動揺して素人判断をしてしまうことが一番危険です。
不正競争防止法の営業秘密の侵害事案は,先の①,②の判断が非常に難しく,また,統一的な判断ができない部分でもあります。ある企業にとっては営業秘密だけれども,他の企業にとっては何でもない,ということが起こりうるからです。
不正競争防止法違反の事件で相手方への対応をする時には弁護士にご相談・ご依頼ください。弁護士において法令の違反があるかどうかをよく検討して協議し,ご相談者様にとって最適な対応をアドバイスします。「相手への対応ができない/不安がある」という方は,弁護士にご依頼頂き,その後の相手への交渉を全て待たせていただくのが良いでしょう。

今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が営業秘密の侵害を疑われた事例について解説致しました。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。不正競争防止法,営業秘密の侵害事件で「訴える」と言われている方,ご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。初回の相談は無料で受け付けています。24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

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