Archive for the ‘交通事件’ Category

ひき逃げ事件で自首①

2022-02-18

ひき逃げ事件で自首①

人身事故を起こし、更にひき逃げした場合に問題となる罪と、自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都多摩市在住のAは、多摩市内の会社に勤める会社員です。
Aは営業回りで多摩市内の路上を社用車で走行していたところ、突然飛び出してきた自転車乗車中のVと接触してしまい、Vは転倒してしまいました。
Aには交通違反での反則歴があり、この事件が発覚することで免許停止や取消などの行政処分になった場合には仕事が出来なくなると思い、通報などをせずにそのまま現場を離れました。
会社に戻ったAですが、社用車に傷が付いていることを同僚に指摘され、事件を打ち明けたところ、ひき逃げ事件になってしまうので自首をした方が良いと言われ、Aは同僚とともに多摩市内を管轄する多摩中央警察署に出頭することにしました。
しかし、自首の前に専門家に相談した方が良いのではないかと考え、刑事事件を専門とする弁護士にひき逃げ事件で問題となる罪と自首について、相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【人身事故について】

まず、車やバイクなどの車両を運転していて事故を起こしてしまった場合には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)に違反します。
ケースの場合、飲酒や薬物などの影響を想定せず、無謀な運転や無免許状態での運転も想定していませんので、自動車運転処罰法の定める過失運転致傷罪、又は同致死罪により処罰されます。
条文は以下のとおりです。

自動車運転処罰法5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

被害者が死亡した場合には過失運転致死罪、怪我をした場合には過失運転致傷罪と呼ばれ、刑事罰が科せられます。
イメージしやすい事故
・車やバイクで歩行者や自転車を跳ねてしまった
・車同士や車対バイクの事故で相手が怪我をしてしまった
というものでしょう。
そのほかに、操作ミスなどで事故を起こしてしまい、歩行者や他の車両などには接触していないが、自分の車がガードレールに衝突するなどしてしまい、助手席や後部座席に乗っていた同乗者が死亡してしまった/怪我をしてしまった、という場合にも過失運転致死罪・同致傷罪が成立します。
過失運転致傷罪について、その程度は様々で、救急搬送が必要なほどの怪我は勿論のこと、むち打ち症などの比較的軽微な怪我についても、医師の診断書が出た場合には過失運転致傷罪として取り扱われます。

【ひき逃げについて】

≪次回のブログに続きます。≫

【自首について】

≪次回のブログに続きます。≫

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの過失運転致死事件・過失運転致傷事件やひき逃げ事件を取り扱ってきました。

運転手の多くは強制加入の自動車賠償責任保険(自賠責)に加え、任意加入の保険に加入しているため、保険会社に任せて入れば大丈夫だろう、とお思いの方が非常に多いです。
然し乍ら、任意保険に加入していたからと言って、民事上の責任はカバーできていたとしても、刑事上の責任は問われる可能性があります。
刑事罰を科せられたくない、前科を回避したいという方は、被害者の怪我の程度に関わらず、一度刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することをお勧めします。

東京都多摩市にて、人身事故を起こしたのち警察への通報などをせずにその場から逃走してしまったことでひき逃げ事件に発展してしまい、自首を検討されているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

身代わり出頭での犯人隠避事件

2021-12-30

身代わり出頭での犯人隠避事件

ひき逃げ事件で問題となる罪と、身代わり出頭した側の犯人隠避事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都八王子市在住のAは、八王子市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは交際相手Xから連絡が来て、「八王子市内で事故を起こして通行人が転倒して流血してしまったが、自分は運転免許停止処分中なので、見つかったら大変なことになる。」と言われました。
Aは、「それなら私が身代わり出頭する。」とXに言い、当時の事故の状況を聞いたうえで、事故を起こした八王子市内を管轄する高尾警察署に自首という形で身代わり出頭しました。
当日Aは取調べを受けて帰宅しましたが、その数日後に高尾警察署の警察官が自宅に来て、Xをひき逃げ事件で、Aを身代わり出頭で、それぞれ逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ひき逃げ事件について】

まずは、ひき逃げ事件を起こしたXの行為について検討します。
ケースでは飲酒や薬物、あるいはスピード違反などの危険な運転ではなく、且つ運転免許を一度は有していたという設定です。
このような場合、
①運転中の過失により被害者を怪我させてしまったという罪
②事故を起こして怪我人が生じているにも関わらず、通報する義務を怠ってその場を離れた罪
の2つの罪に当たります。
①については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の定める過失運転致傷罪が成立します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。
②については、いわゆるひき逃げと呼ばれる道路交通法の定める救護義務に違反します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。

加えて、Aは免許停止処分中に運転をしているということから、無免許運転にも当たります。(詳細はこちらも併せてご参照ください。

【犯人隠避事件について】

ケースのように、何かしらの理由で犯人の身代わりになって出頭する行為は、犯人隠避という罪に当たる恐れがあります。
犯人隠避罪は、一定以上の罪に当たる行為をした、あるいはしたと疑われている者の逃亡を手助けした場合に適用される罪です。
具体的には①罰金刑以上の刑に当たる者の逃走を手助けした場合と、②拘禁中の者の逃走を手助けした場合が挙げられます。
ケースの場合は、過失運転致傷罪・救護義務違反・無免許運転といういずれも罰金刑以上の刑罰が用意されている罪を犯したXが、逮捕等拘禁されていない時点で逃走の手助けをしていることから、①の要件を満たしているとされ犯人隠避罪が成立する可能性があります。

なお、犯人隠避罪の対象となるのは、あくまで手助けした者(ケースのA)が対象であり、実際に事件を起こした者(ケースのX)はこの罪には当たりません。
ただし、犯人隠避罪を教唆した場合に犯人隠避教唆罪で処罰される可能性があります。

刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都八王子市にて、自分が起こしていないひき逃げ事件について身代わり出頭するなどして犯人隠避事件を起こしてしまい、身柄拘束されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見というかたちで接見を行い、逮捕・勾留されている方から事情や取調べの内容を伺ったうえで、今後の見通しについて御説明します。

交通事故を起こしたら刑事?民事?

2021-10-28

交通事故を起こしたら刑事?民事?

交通事故を起こしてしまった場合に問題となる刑事・民事の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都江東区在住のAは、江東区内の会社に勤める会社員です。
事件当日、江東区内の路上は朝の渋滞で混雑していたため、バイクに乗っていたAはいわゆるすり抜けを行うかたちで前進していました。
その際、歩行者Vが横断歩道ではない場所を渡ろうとしていることに気付かず、Vに衝突してしまいました。
Vは転倒してしまい、救急搬送されました。
Aの通報により臨場した江東区北砂を管轄する城東警察署の警察官は、Aに任意同行を求め、警察署での取調べを行いました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【人身事故について】

車やバイクを運転していて事故を起こしてしまい、その事故が原因で被害者が死傷してしまった場合、俗にいう人身事故として取り扱われます。
人身事故の場合、刑事上の責任/民事上の責任/行政上の責任の3つの責任が問題となります。
以下で、その概要を説明します。

・刑事上の責任
刑事上の責任は、各種法律に規定されている罪を犯した場合に問題となります。
飲酒運転や無免許等の運転の場合を除き、運転手の不注意によって発生させた人身事故の場合には「過失運転致死傷罪」という罪に問われます。
この罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称、自動車運転処罰法)に規定されています。
人身事故が発生した場合、運転手(=被疑者)は逮捕される場合もありますし、逮捕されずに在宅で捜査を受けることもあります。
いずれの場合でも、被疑者は警察官や検察官からの捜査・取調べを受け、証拠が揃って検察官が起訴した場合、刑事裁判や略式手続により刑事罰を科せられることになります。

罰条:7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

・民事上の責任
人身事故の場合、事故により怪我をした方、死亡した方がおられます。
また、歩行者にあっては事故の衝撃で持ち物が壊れた、運転手にあっては車やバイクが損傷した、といった金銭的な被害を受けることがあります。
この場合、加害者側が被害者側にその損害を補償する必要があります。

自動車やバイク等を運転する場合、自動車損害賠償責任保険(通称、自賠責)に加入することが義務付けられています。
もっとも、自賠責の場合は補償の金額に上限があるため、任意保険に加入して対人・対物無制限にする等、予め対応されている方もおられるでしょう。

 

・行政上の責任
刑事上の責任、民事上の責任に加え、人身事故を起こした場合には行政上の責任を負うことにもなります。
御案内のとおり、自動車やバイクを運転する場合には運転免許が必要となるところ、交通違反や事故を起こした場合には反則点数が加点され、一定以上の点数に達した場合には免許停止や取消といった処分を受けることになります。
人身事故については、不注意の程度と被害者の怪我の程度により、加点される点数が異なります。
免許停止や免許取消といった行政処分は刑事事件のような裁判は行われず淡々と手続きが行われて通知書が届きますが、90日以上の免許停止や免許取消といった行政処分を受ける場合、聴聞(意見の聴取)という手続が行われ、弁明をする機会が与えられます。

また、乍ら運転や一時停止義務違反などの交通違反については、反則金を納付する必要があります。

【保険会社だけでは不十分?】

弊所には、これまで「任意保険に加入しているからと安心していたら刑事罰が科せられることになった」といった相談が数多く寄せられてきました。
しかし、前章で説明したとおり、刑事事件の手続きと民事上の責任は別物ですので、前科を回避したい、刑事罰に処せられたくないという場合には然るべき対応を取る必要があります。
例えば、
・民事上の責任とは別に、被害者に対して謝罪と弁済を行うことで「宥恕」という被害者が加害者を許す旨の約定を盛り込んだ示談書を締結する
・事件後に自車を廃車にした、交通定期券を購入して自動車に極力乗らない環境を整えた、といった事情を盛り込んだ意見書を提出する。
等が考えられます。
検察官から「このままでは罰金などの刑事罰に処せられます。」という説明を受けた方が、弁護士に依頼をして上記のような対応をとったことで不起訴になった、という事案もあります。

東京都江東区内にて、人身事故を起こしてしまい警察官や検察官からの取調べを受けている方、刑事上の責任についてよくわからないという方は、一度刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

人身事故~声掛けだけでは不十分~

2021-10-04

人身事故~声掛けだけでは不十分~

人身事故を起こしてしまった場合に問題となる罪と、救護義務違反・報告義務違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都江戸川区在住のAは、江戸川区の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは通勤のために江戸川区内の公道を車で運転していたところ、ランニングをしていた江戸川区内在住の高校生Vに気が付かず、接触してしまいVは転倒してしまいました。
Aは慌てて車から降りてVに声掛けしたところ、Vは足に擦り傷が出来ていましたが、「大丈夫です。」と返答したため、「何かあったら病院に行ってね」と伝え、Aはその場を離れました。
後日、江戸川区を管轄する小松川警察署の警察官がAの自宅に来て、ひき逃げ事件で取調べをしたい旨説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【人身事故で刑事事件に】

自動車やバイクを運転していて事故を起こしてしまった場合、怪我人の有無により物損事故と人身事故に区別されます。
物損事故については、(他人所有の建造物などを破壊してしまった場合を除き)刑事事件の対象にはなりません。
しかし、人身事故については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称、自動車運転処罰法)の定める過失運転致死傷罪が適用されます。

過失運転致死傷罪の条文は以下のとおりです。
自動車運転処罰法5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

刑事罰について、(1月以上)7年以下の懲役刑、又は(1万円以上)100万円以下の罰金と、刑事罰に幅があります。
実際に言い渡される刑罰は、被害者の人数や怪我の程度、過失の程度のほか、被害者との示談状況、反省の程度などを総合的に検討し、決められます。

※飲酒や薬物、速度超過、無免許運転など、正常な運転が困難な状態で運転をした結果人身事故を起こした場合、危険運転致死傷罪というより重い罪に問われます。

人身事故の場合、上記に加え、行政上の責任として免許停止や取消、民事上の責任として損害賠償請求を受けることになります。

【人身事故後の通報は義務】

事故を起こした場合、必ず警察官に通報しなければいけないという義務があります。
道路交通法上、人身事故により被害者が負傷してしまった場合には救護する義務と、人身事故が発生したということを報告する義務があります。

道路交通法72条1項 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

一般的にひき逃げと呼ばれる行為は、この救護義務違反に違反した場合を指します。
救護義務に違反した場合の罰条は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。(道路交通法117条1項)
また、仮に被害者が怪我をしていなかったとしても、警察に連絡をしなければ報告義務違反として、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます。(同法119条1項10号)

【声掛けをしただけでは不十分】

ケースのAは、人身事故を起こした直後にVに声掛けをして重傷ではないことを確認しています。
そして、Vは大丈夫ですと返答をしたために、警察には通報をせずにその場を立ち去っています。
しかし、被害者に声掛けしただけでは十分ではなく、必ず警察官に通報しなければいけません。
Aはその義務を怠たり、怪我をしている被害者を救護することなく立ち去ったとして救護義務に違反します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都江戸川区にて、人身事故を起こしてしまい、被害者に声掛けはしたものの警察に通報をしなかったため、過失運転致傷罪と救護義務違反あるいは報告義務違反に問われている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

少年鑑別所に送致される場合とは?

2021-09-20

少年鑑別所に送致される場合とは?

無免許運転で逮捕された場合の罪と、少年鑑別所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都小金井市在住のAは、小金井市内の会社に勤める19歳の会社員です。
ある日、Aは交際相手からドライブデートをしたいと言われました。
Aはこれまで自動車運転教習所などに通ったこともなく、免許取得のための勉強をしたこともなかったのですが、プライドが邪魔をして免許証を持っていないことを説明できませんでした。
そこで、Aは出張中の両親が使用する自動車を無断で使い、免許証を有していないままドライブデートを敢行しました。
そして運転の最中、自転車に乗っていたVを過失により跳ね飛ばしてしまいました。
Aの通報により臨場した小金井市を管轄する小金井警察署の警察官は、Aを無免許運転の罪で現行犯逮捕しました。
Aが勾留している最中、Vは当該事故が原因で死亡してしまいました。
Aの家族は、捜査員から観護措置決定により少年鑑別所に送致されるかもしれないとの説明を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【無免許運転についての罪】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【少年鑑別所とは?】

20歳未満の男女は少年と定義され、成人の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。

まず、事件を起こした後で警察官や検察官等が捜査を行う段階では基本的に成人と同じように取調べを受けることになります。
在宅事件であれば捜査機関の捜査が終了して書類がまとめられたのち、身柄拘束されている事件であれば勾留満期日(勾留から最大20日間経ったのち)に、各都道府県にある家庭裁判所に送致されます。

送致後、家庭裁判所の裁判官は、必要に応じて調査官による調査命令を下し、調査結果を踏まえて審判を開くかどうか判断します。
審判開始の決定を下した場合、非公開の審判廷で少年審判を行い、少年に対する処分を決定します。
処分には、保護観察処分や各都道府県知事・児童相談所長送致のほか、矯正教育や社会復帰支援を行う少年院への送致などがあります。

上記が一通りの流れになりますが、家庭裁判所に送致された少年について、裁判官が必要と判断した場合には観護措置決定が下されます。
観護措置は、家庭裁判所が調査官による調査や審判を行うため、少年の心身の鑑別を行うための措置とされています。
観護措置には在宅観護と収容観護の2種類がありますが、実際には在宅観護を行うケースはほとんどなく、観護措置という言葉はもっぱら収容観護を指すことになります。
この収容観護で収容される先が、少年鑑別所となるのです。

多くの事件では
捜査段階で勾留⇒家庭裁判所に送致⇒少年鑑別所に送致
という流れですが、稀に
在宅捜査を受けて家庭裁判所に送致⇒観護措置決定により家庭裁判所が少年鑑別所に送致
という場合もあります。

少年鑑別所では、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づいて鑑別等が行われます。
具体的には、集団方式の心理検査や鑑別面談、精神医学的検査・診察(一部必要ケースのみ行われる)のほか、起床から就寝迄の行動を観察される行動鑑別などが行われています。
収容される期間は通常4週間で、その期間内に審判が行われる場合が一般的です。

観護措置による少年鑑別所は、少年にとって有益な点もありますが、長期間身柄拘束を受けることで学校や会社に行けない等のデメリットもあります。
弁護士としては、少年の事件や性格などを踏まえ、観護措置の必要性について検討・意見する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、比較的軽微な事件から、残念乍ら被害者が死亡してしまったような重大な事件事故まで、数多く経験して参りました。
東京都小金井市にて、無免許の状況で車を運転してしまい、人身事故を起こしてしまった方、お子さんが観護措置決定により少年鑑別所に送致される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

無免許運転で人身事故に

2021-09-13

無免許運転で人身事故に

無免許運転で逮捕された場合の罪と、少年鑑別所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都小金井市在住のAは、小金井市内の会社に勤める19歳の会社員です。
ある日、Aは交際相手からドライブデートをしたいと言われました。
Aはこれまで自動車運転教習所などに通ったこともなく、免許取得のための勉強をしたこともなかったのですが、プライドが邪魔をして免許証を持っていないことを説明できませんでした。
そこで、Aは出張中の両親が使用する自動車を無断で使い、免許証を有していないままドライブデートを敢行しました。
そして運転の最中、自転車に乗っていたVを過失により跳ね飛ばしてしまいました。
Aの通報により臨場した小金井市を管轄する小金井警察署の警察官は、Aを無免許運転の罪で現行犯逮捕しました。
Aが勾留している最中、Vは当該事故が原因で死亡してしまいました。
Aの家族は、捜査員から観護措置決定により少年鑑別所に送致されるかもしれないとの説明を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【無免許運転についての罪】

御案内のとおり、我が国では該当する運転免許証を有していなければ、車やバイクで行動を運転することができません。
免許を有していない者が運転をした場合には無免許運転にあたり、以下のような罪に当たります。
・無免許運転
前述のとおり、無免許運転は法律で禁止されています。
具体的には、道路交通法で以下のとおり定められています。

道路交通法117条の2の2第1号 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで又は国際運転免許証等を所持しないで運転した者

Aのように運転免許証の交付を受けていない場合はもちろんのこと、例えば普通自動車の免許証は有しているがバイクの免許はない者がバイクを運転した場合などにも、無免許運転の罪に当たります。

・無免許運転+人身事故
ケースのAのように、無免許運転の罪を犯して運転をしていた際に事故を起こしてしまった場合には、道路交通法だけでなく自動車運転処罰法(正式には自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)が問題となります。
まず、人身事故で問題となるのは以下の条文です。
自動車運転処罰法5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

しかし、運転する技能を有しないで運転をした結果人身事故を起こしてしまった場合、危険運転の罪が問題となります。
自動車運転処罰法2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
3号 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

両者は、運転免許証を有しているかどうかだけで判断されるわけではありませんが、Aのように教習所に通うなどの経験もなく、交通ルールの勉強をしたこともないという場合には、危険運転と評価される可能性があります。

【少年鑑別所とは?】

≪次回のブログに続きます。≫

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、比較的軽微な事件から、残念乍ら被害者が死亡してしまったような重大な事件事故まで、数多く経験して参りました。
東京都小金井市にて、無免許の状況で車を運転してしまい、人身事故を起こしてしまった方、お子さんが観護措置決定により少年鑑別所に送致される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

運転者の義務を拒んで逮捕

2021-04-29

運転者の義務を拒んで逮捕

自動車を運転中に警察官から制止を求められた場合に、運転免許証飲酒検査を拒否した場合の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都品川区荏原在住のAは、品川区荏原の会社に勤める会社員です。
Aは事件当日、いつものように品川区荏原にある職場から自宅まで自分の車を運転して帰宅しようとしていました。
その運転中、品川区荏原の路上にて、パトロール中の自動車警ら隊の警察官から制止を求められました。
Aは警察に良い印象を抱いていなかったことから、制止には応じましたが、警察官から求められた①運転免許証の提示と②飲酒運転を確認するための呼気検査を拒否しました。

するとAは運転免許証の提示義務違反で現行犯逮捕され、手錠をかけられた上で品川区荏原にある荏原警察署に連行されました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【免許証の提示義務違反】

まず、御案内のとおり、車やバイクを運転する場合には運転免許証が必要となります。
この運転免許証は何かというと、行政法上は原則として禁止している行為である運転について、各都道府県の公安委員会が「許可」をすることで適法にするという「行政処分」にあたります。

自動車を運転する場合、運転の許可を得ていることはもとより、許可を受けた場合に交付される運転免許証を携帯することを定めています(携帯し忘れていた場合には免許不携帯として行政処分を受けることになります。)。
そして、運転手は警察官から提示を求められた場合には運転免許証を提示する義務があります。
運転免許証を携帯し忘れた場合にはその旨申告する必要がありますが、その申告をしない、あるいは所持しているにも関わらず運転免許証の提示を拒否した場合、免許証提示義務違反という罪にあたり、刑事事件の対象になります。
条文は以下のとおりです。

道路交通法95条2項 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第67条第1項又は第2項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
 67条1項 警察官は、車両等の運転者が第64条第1項、第65条第1項、第66条、第71条の4第3項から第6項まで又は第85条第5項から第7項…までの規定に違反して車両等を運転していると認めるときは、当該車両等を停止させ、及び当該車両等の運転者に対し、第92条第1項の運転免許証又は第107条の2の国際運転免許証若しくは外国運転免許証の提示を求めることができる。

【飲酒検知拒否罪】

Aは、運転免許証の提示のほか、呼気検査を求められ、これを拒んでいます。
警察官から呼気検査などを求められてそれを拒否した場合には、検知拒否罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

道路交通法67条3項 車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第65条第1項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。
同法118条の2 第67条(危険防止の措置)第3項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、3月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【まとめ】

車やバイクを運転する場合には、運転免許証の提示や飲酒検知など、いくつかの義務があります。
たとえ警察官に良い印象がない、あるいは警察官の態度が悪かったなどの場合でも、法律上の義務である以上それを履行しなければ刑事事件に発展し、刑事処罰を受ける可能性が生じます。

とりわけ運転免許証提示義務違反や飲酒検知拒否罪の場合、氏名不詳などにより逃亡や罪証隠滅の可能性が高いとして逮捕・勾留される可能性が出てきます。
東京都品川区荏原にて、御家族が運転免許証提示義務違反や飲酒検知拒否罪で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
弁護士が初回接見に行き、状況についての御説明を致します。
(初回接見は有料です。詳細は0120-631-881まで。)

声掛けしたのにひき逃げに

2021-04-01

声掛けしたのにひき逃げに

いわゆる人身事故を起こした場合の罪と、声掛けをしたものの通報しなかった場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都足立区谷中在住のAは、足立区谷中にある会社に勤める会社員です。
事件当日、Aはいつもどおり自動車で通勤してたところ、通勤途中の足立区谷中内の路上にて、左折をしようとしたところ自動車の左側を直進していた自転車のVを巻き込む接触事故を起こしてしまいました。
Aは接触に気が付き自動車を降り、Vに近づいて声掛けをしたところ、Vは「怪我もしていないし急いでいるから大丈夫です。」と言いました。
そのためAは名刺を渡した上で立ち去りましたが、後日、足立区谷中を管轄する綾瀬警察署の警察官が自宅に来て、「ひき逃げをした嫌疑で出頭するように」と言われました。

Aは、取調べを受ける前に、人身事故で問題となる罪について聞くと同時に、声掛けをしたにも拘らずひき逃げになる理由を、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【人身事故が問題となる罪】

自動車やバイクの運転は、生活に於て必要不可欠な場合もありますが、ともすれば人をケガさせたり死亡させたりする可能性があることは御案内のとおりです。
警視庁のホームページによると、東京都内で令和2年に発生した人身事故は25,642件であり、死者数は155人、負傷者は28,888人でした。

人身事故を起こした場合、刑事上の責任・民事上の責任・行政上の責任を負うことになります。
民事上の責任については被害者に対する賠償などが考えられ、行政上の責任については違反に応じた累積点数により免許停止や取消といった処分を受けることになります。
そのほかに、刑事上の責任を問われることが考えられます。
刑事上の責任については、警察署や検察庁で取調べを受けた後、担当検察官の判断で起訴(あるいは略式起訴)を受け裁判により刑罰を受けることを意味します。
人身事故の場合、この章の一番下に記載されている条文が適用されます。

刑事上の責任は、被疑者の過失の度合いや被害者の怪我の程度が影響するほか、示談ができるかどうかなども左右します。
ここで言う示談とは、任意保険会社が行うものだけではありません。
任意保険会社が行う示談は、被害者が負った被害を弁済するもので、実際にかかった治療費や修理などにかかった費用などを普段することを意味します。
民事上の責任はそれで事足りる場合もありますが、刑事上の責任についてはカバー出来ているとは言えません。
刑事上の責任を出来るだけ問われないようにするためには、別途示談交渉を行い、示談書に「宥恕」と呼ばれる約定を設けることが効果的です。
「宥恕」とは、被害者が被疑者に対して、この示談を以て被疑者の厳しい刑事処罰を求めませんよという意味をもちます。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる

【声掛けしたのにひき逃げに?】

弊所に御相談される方の中には、声掛けをして相手の無事を確認したにも拘わらずひき逃げ扱いされていることに納得がいかないという方がおられます。
確かに、ひき逃げというと、人身事故を起こしたにも拘わらず声掛けなどせずに逃走する場合をイメージする方が多いことでしょう。
しかし、ケースのような場合でもいわゆるひき逃げに当たるのです。
そもそも、ひき逃げという言葉は法律用語ではありません。
道路交通法では、その72条で「交通事故があつたときは、…運転者…は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し…なければならない。この場合において、当該車両等の運転者は…直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。」と定められています。
怪我人等が居た場合を救護義務、それ以外を報告義務と定め、このうち救護義務違反については「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金」に処すると定められています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、過失運転致傷・ひき逃げなどの交通事故についても対応しています。
東京都足立区谷中にて、人身事故を起こしてしまい声掛けしたのにも拘わらず後日ひき逃げを指摘されたという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、相談は無料です。

執行猶予中に無免許運転②

2021-03-25

執行猶予中に無免許運転②

無免許運転が問題となる場合と執行猶予期間中に刑事事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区浅草在住のAは、台東区浅草にある会社の経営者です。
Aは有効な普通自動車の免許を有していたのですが、ある日台東区浅草で車を運転している最中に死亡事故を起こしてしまい
⇒刑事事件については過失運転致死事件で懲役1年2月、執行猶予4年の有罪判決を
⇒行政処分については1年間の免許停止処分を
それぞれ受けて居ました。
しかし、判決後も仕事では自動車が必要不可欠であったところ、Aは従業員に運転を任せたり運転手を雇ったりすることなく、免許停止期間にも拘らず自ら車を運転して仕事をしていました。

ある日、Aは台東区浅草にて運転をしていたところ、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官の目の前で携帯電話の乍ら運転をしてしまい、制止を求められました。
その際、Aが免許停止中にも拘らず運転をしていたことが発覚したことから、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官は、Aを無免許運転の嫌疑で現行犯逮捕しました。

Aの家族はAが逮捕されたと聞き、執行猶予中に無免許運転をした場合にどうなるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【無免許運転】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【執行猶予の概要】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【執行猶予の詳細】

この全部の執行猶予について、刑法は以下のとおり規定しています。

刑法25条1項 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

2項 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

内容が難しいため、以下で整理してみましょう。
≪対象となる罪について≫
刑事裁判の判決で言い渡される執行猶予ですが、どのような場合でも執行猶予を受けられるというわけではありません。
執行猶予の対象となるのは、「3年以下の懲役刑」「3年以下の禁錮刑」「50万円以下の罰金刑」のいずれかです。
よって、例えば死刑や無期懲役刑、有期であっても3年を超える懲役刑・禁錮刑の判決には執行猶予を付けることが出来ないのです。

また、執行猶予そのものの期間は1年以上、5年以下です。

≪対象者について≫
執行猶予は誰にでもつけられるわけではありません。
執行猶予の対象は、①上記刑法25条1項1号に該当する場合、②2号に該当する場合、③同2項に該当する場合のいずれかです。
①の場合について、「禁錮以上の刑に処せられたことがない」とは、執行猶予を含めてそのような刑を受けたことが無い方を指します。
いわゆる前科が無い人や、あるとしても罰金・拘留・科料といった刑に処せられた方が対象です。
②の場合については、いわゆる前科がある人のうち、執行猶予満了から5年が経った方や、実刑判決を受けて服役したものの刑期を終えて社会復帰した方が対象です。
③の場合について、これは再度の執行猶予と呼ばれるものです。
原則として執行猶予中に刑事事件を受けて有罪判決を受けた場合には執行猶予は取り消されることになりますが、執行猶予期間中であっても、「1年以下の懲役又は禁錮」の判決を受けて、且つ「情状に特に酌量すべきものがある」と判断された場合には、再度執行猶予付きの有罪判決を言い渡すことが出来るのです。

上記のように、執行猶予はその制度が複雑であり、更には事件によっては簡単に獲得できない場合も存在します。

東京都台東区浅草にて、御家族が執行猶予期間中に無免許運転をしてしまい逮捕・勾留された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、逮捕・勾留されている方のもとへ初回接見に伺い、状況を確認したうえで今後の見通し等について御説明致します(初回接見は有料です。)。

執行猶予中に無免許運転①

2021-03-22

執行猶予中に無免許運転①

無免許運転が問題となる場合と執行猶予期間中に刑事事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区浅草在住のAは、台東区浅草にある会社の経営者です。
Aは有効な普通自動車の免許を有していたのですが、ある日台東区浅草で車を運転している最中に死亡事故を起こしてしまい
⇒刑事事件については過失運転致死事件で懲役1年2月、執行猶予4年の有罪判決を
⇒行政処分については1年間の免許停止処分を
それぞれ受けて居ました。
しかし、判決後も仕事では自動車が必要不可欠であったところ、Aは従業員に運転を任せたり運転手を雇ったりすることなく、免許停止期間にも拘らず自ら車を運転して仕事をしていました。

ある日、Aは台東区浅草にて運転をしていたところ、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官の目の前で携帯電話の乍ら運転をしてしまい、制止を求められました。
その際、Aが免許停止中にも拘らず運転をしていたことが発覚したことから、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官は、Aを無免許運転の嫌疑で現行犯逮捕しました。

Aの家族はAが逮捕されたと聞き、執行猶予中に無免許運転をした場合にどうなるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【無免許運転】

御案内のとおり、我が国で自動車やバイクなどを運転する場合には免許制度を採用しています。
つまり、自動車やバイクを運転することは原則として禁止されていて、免許証を交付された者のみが運転をすることが出来ることとされているのです。
道路交通法は、「自動車及び原動機付自転車…を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許…を受けなければならない。」とし(同84条1項)、「何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで…自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。」と定めています(同64条1項)。
この免許を受けずに運転した場合を俗に無免許運転と言いますが、無免許運転をしてしまう場合には以下のような場合が挙げられます。

・そもそも免許を取得していない
未成年者や交通ルールが緩かった世代によくみられる行為ですが、そもそも免許を持たずに運転した場合があります。

・免許外運転
仕事などでトラックを使う方などに見られますが、免許証を取得した年代などにより、運転できる車両についての制限がある場合があります。
これらは基本的に免許証に記載されていますが、例えば「準中型で運転できる準中型は準中型車(5t)に限る」と記載があるのに、総重量5トンを超える車両を運転した場合には免許外運転と呼ばれる無免許運転になります。

・免許停止中、免許取消後の運転
道路を走行中に交通違反を起こした場合、その違反が事故内容について認めている場合にはすぐに刑事罰をうけるわけではなく、交通反則通告制度に基づき反則金を納付するほか、加点(しばし減点という言い方をしますが、加点方式です。)します。
そして、免許を取ってからの期間や累積点数により、免許停止処分や取消処分を行うことがあります。

・うっかり失効
運転免許証には有効期限があり、期限内に運転免許センターや警察署などに行き更新手続を行う必要があります。
しかし、郵便物をしっかり確認していなかったり、住所変更後に届出ずに更新の通知が届かなかったりして更新手続を行っていなかったというケースもございます。
これも、有効な運転免許証を持っていないという点で無免許運転にあたりますが、うっかり失効の場合には有効期限後一定期間内に手続を行うことで無免許運転とは取扱わないという場合もあります。

【執行猶予の概要】

執行猶予とは、本来であれば懲役刑や禁錮刑、罰金に処せられるという場合に、一定期間その刑の言い渡しを猶予することを意味します。
例えば、ケースのAは以前に起こした死亡事故で「懲役1年2月、執行猶予4年」の有罪判決を受けています。
これは、本来であれば判決の宣告後に刑事収容施設(いわゆる刑務所)に送られますが、それを4年の間猶予すると定められている制度です。
一方で、その4年間のうちに再度刑事事件を起こしてしまい有罪判決を受けた場合、執行猶予は取り消される可能性があります。
例えば、上記の場合の執行猶予期間中に懲役2年の有罪判決を受け、前刑の執行猶予が取り消された場合、被告人は3年の間、懲役刑を受けることになります。

【執行猶予の詳細】

≪次回のブログに続きます。≫

東京都台東区浅草にて、御家族が執行猶予期間中に無免許運転をしてしまい検挙された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、逮捕・勾留されている方のもとへ初回接見に伺い、状況を確認したうえで今後の見通し等について御説明致します(初回接見は有料です。)。

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