Archive for the ‘刑事事件’ Category
保護責任者遺棄致死罪で上訴(控訴/上告)
保護責任者遺棄致死罪で上訴(控訴/上告)
保護責任があるにもかかわらずその責務を怠った結果被害者が死亡してしまった保護責任者遺棄致死罪についての罪と、上訴の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都北区王子在住のAは、北区王子にある会社に勤める会社員です。
Aはひとり親で、生まれて間もない子どもVと2人で生活していました。
そのためAは普段は就業後は自宅に帰っていましたが、子育てに疲れてしまい、Vを家に残したまま数日家に帰らない生活をしていました。
通っていた保育施設からの通報を受けて臨場した北区王子を管轄する王子警察署の警察官は、Aの自宅でVの死亡が確認されたため、Aを保護責任者遺棄致死罪で逮捕しました。
Aは起訴され、一審で懲役4年の実刑判決を受けました。
判決言い渡しの際、裁判官から「不服がある場合には14日以内に手続きをしてください。」と言われ、上訴を検討しています。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【保護責任者遺棄致死罪とは?】
同居している未成熟の子ども、高齢者、身体障碍者や、自分が怪我をさせた相手、一緒に酒を飲んでいた泥酔者など、保護(食事を与える、空調を整備する、病院に連れていく/救急通報する等)の義務があると認められる者を、保護責任者と呼びます。
保護責任者がその責務を放棄した結果、対象者が死亡してしまった場合には、保護責任者遺棄致死罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。
刑法218条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、またはその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
【上訴(控訴/上告)の手続きについて】
・上訴とは?
我が国では三審制が採られています。
簡単に説明すると、はじめに言い渡される判決を一審(原審)と呼び、それに対する不服がある場合は控訴を申し立て二審(控訴審)を受け、それに対しても不服がある場合には上告を申し立てて三審(上告審)に移ります。
この控訴・上告をあわせて上訴と呼びます。
上訴は、被告人自身やその弁護人、法定代理人等が行うことができます。
また、上訴は検察側にも認められているので、検察官が上訴することも可能です。
弁護人/検察官の双方が上訴するというケースもあります。
・控訴審
一審の判決に不服がある場合には、控訴をすることができます。
控訴は、一審の判決を受けた日の翌日から数えて14日以内に「控訴申立書」という書類を提出する必要があります。
その後、控訴した側(弁護人/検察官)は控訴趣意書という書類を提出しなければなりません。
控訴趣意書の提出期限は、控訴申立書の提出から3ヶ月程度経った後を指定されます。
控訴するためには、控訴理由が必要です。
控訴理由には、一審での手続きの瑕疵(ミス)のほか、法令解釈の誤り、事実誤認、量刑不当などがあります。
控訴審では、控訴趣意書に記載した控訴理由についてのみ審理を行うことが原則です。
そのため、控訴趣意書の内容は極めて重要です。
控訴審では、(被告人が死亡した場合などの公訴棄却、控訴した者が取下げた控訴取下げを除き)「公訴棄却」か「破棄自判」にするか、「破棄差戻」というかたちで審理をやり直すという判決があります。
刑事裁判の場合、一審が簡易裁判所で行われても地方裁判所で行われても、控訴審は高等裁判所で行われます。
・上告審
控訴審の結果に不服がある場合、被告人(弁護)側/検察側はそれぞれ上告を申し立てることができます。
上告審は控訴審よりも要件が厳しく、「憲法違反があった」あるいは「判例違反があった」場合にのみ行うことができ、控訴審の場合の理由として挙げられる量刑不当や事実誤認などは上告の理由となり得ません。
但し、裁判所の職権で量刑不当や事実誤認による原判決の破棄が認められています。
実務上、「憲法違反」「判例違反」の主張は上告全体の30%で、量刑不当による職権発動を求める上告は少なくありません。
上告審は最高裁判所で行われます。
【上訴は刑事事件専門の弁護士へ】
ここまで、上訴(控訴/上告)の概要について説明致しました。
先に触れたとおり、控訴・上告は要件が厳しいため、一審での対応が極めて重要です。
とはいえ、一審で思うような主張ができなかったという場合もあるでしょう。
上訴はある意味でのラストチャンスですので、後悔のない弁護活動を行うためには、刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。
東京都北区王子にて、御家族が保護責任者遺棄致死罪で実刑判決を受け、上訴(控訴/上告)を検討されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
不燃物の不法投棄で在宅捜査に
不燃物の不法投棄で在宅捜査に
いわゆる白物家電などの不燃物を正規の手続に則らずに捨てる不法投棄をした場合の罪と、在宅捜査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区上野在住のAは、台東区上野で働く契約社員です。
Aの家では洗濯機と冷蔵庫が相次いで故障したことから、新しく購入しようと考えました。
そこで、インターネットのオークションサイトやいわゆるフリーマーケットアプリで自分が使いたい商品を探し、それを購入しました。
その際、古くなった洗濯機と冷蔵庫の置き場に困ってしまったAは、台東区上野にあるオフィスビルのゴミ集積所を見かけ、テナント以外が深夜に入れることと洗濯機・冷蔵庫を置くだけのスペースがあることを確認しました。
そしてある日の深夜、自家用車にそれらを積み込んで件のゴミ集積所へ持ち込み、無断で立ち入りおいて帰る、不法投棄行為をしました。
後日、オフィスビル管理会社からの相談を受けた台東区上野を管轄する上野警察署の警察官は、捜査でAによる犯行との裏付けを取り、在宅捜査を開始しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【ゴミ捨てについて】
家電製品を新しく購入する場合、古くなったものの処分に困るという場合があるかもしれません。
製品や家電量販店、あるいは通販業者によっては、それを下取りの対象として引き取ったり、格安で処分してくれたりします。
一方で、リサイクルショップやインターネットのオークション、フリーマーケットアプリなどで購入した場合、自分で処分しなければならないことが多いでしょう。
ゴミ回収の歴史を見てみると、以前は自分たちで焼却・埋め立て処理していてたり、落語に出てくるような‘くずや‘さんが回収して再利用したりして処理していたようです。
1900年に「汚物掃除法」という法律ができたことで、ごみの収集方法や処分方法は市町村がその責務を負うというルールになり、1954年施行の「清掃法」では、市町村が行う処理・収集に住民が従う努力をするよう定められました。
もっとも、それまでの処理方法としては燃焼が中心で、各家庭に設置された焼却炉での燃焼や野焼きにより、各人が処理していました。
しかし、高度経済成長期に入りゴミの量が増えてきたことにより空き地や河川敷などに不法投棄されることも増えたようです。
そこで、1970年に施行された「廃棄物処理法」により、現在のような廃棄物の処理方法などを定めたルールが整備されるようになりました。
【不法投棄について】
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」と略します。)では、その16条で「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定められ、同25条1項14号で「第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者」に「五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定されています。
たかがポイ捨て、とお思いの方もおられるかもしれませんが、不法投棄には厳しい刑罰が規定されているのです。
家庭ごみを一度だけ不法投棄した、という場合にすぐに実刑(懲役刑)が科せられる可能性は低いと考えられますが、その回数や程度、前科の有無によっては正式裁判になる可能性があります。
また、Aのようにビルの集積所に入って不法投棄する行為は、建造物侵入罪にあたる可能性が高いです。
邸宅侵入罪は刑法130条で「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と定められています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部には、廃棄物処理業者の方、あるいは一般の方が不法投棄をしてしまい、在宅捜査中であるという御相談を受けます。
不法投棄の場合、取調べでのアドバイスや御自身の考えを纏めた弁面調書・上申書の作成、ケースのように勝手にビルの集積所などに不法投棄する場合や、コンビニなどに設置されているゴミ箱に不法投棄する場合には、ゴミの引き取り、示談交渉などが必要になると考えられます。
東京都台東区上野にて、不法投棄により在宅捜査を受けている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
銃刀法違反で書類送検
銃刀法違反で書類送検
刃物などを家の外などで持ち出した場合の罪や書類送検された場合の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都板橋区板橋在住のAは、板橋区板橋にある会社に勤める会社員です。
Aは仕事で段ボールや梱包材などを切ることが多いことから、通勤に使うカバンにカッターナイフを入れ、日々持ち歩いていました。
ある日、Aが板橋区板橋の路上を歩いていたところ、パトロール中の自動車警ら隊の隊員から声をかけられ、職務質問と所持品検査を受けることになりました。
そこでAがカッターナイフを持っていることが発覚したため、警ら隊の隊員は、Aに対して任意というかたちで最寄りの板橋警察署に連行しました。
引継ぎを受けた板橋区板橋を管轄する板橋警察署の警察官からは、刃体が6センチメートル以上あるから銃刀法違反にあたると言い、逮捕はしませんが書類送検しますと説明しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【銃刀法違反について】
ケースのように、職場あるいは家でカッターナイフを使うという方は少なくないでしょう。
100円均一などで気軽に手に入るカッターナイフですが、使い方を誤ると人を傷つけることができるツールにもなりかねません。
カッターナイフを携帯して外を歩いていたり車にカッターナイフを載せて運転をしていた場合、以下のような罪に問われる可能性があるので注意が必要です。
・銃刀法違反
正式名称は銃砲刀剣類所持等取締法という法律です。
この法律では、刃体が6センチメートルを超える長さの刃物を携帯することを禁止しています。
条文は以下に掲載していますが、「業務その他正当な理由による場合を除」くとしているため、例えば複数の店舗で働いている料理人が仕事で使う包丁を持ち歩いた場合や、キャンプで使用するためにその往復でサバイバルナイフを持っていた場合等であれば、罪に問われる可能性があります。
一方で、仕事では使っているものの携帯する必要性まではない場合や、護身用にカッターナイフなどを携帯してい場合などでは、正当な理由にはあたりません。
銃刀法22条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
・軽犯罪法違反
銃刀法が規制する刃体が6センチメートル未満の刃物の携帯については、軽犯罪法に違反する恐れがあります。
銃刀法の場合とほぼ同様に、正当な理由があれば処罰されません。
軽犯罪法1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
2号 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
【書類送検について】
日々報道などで書類送検という言葉を目にするかと思います。
警察などの捜査機関が被疑者を逮捕した場合、被疑者の身柄と書類を一緒に、逮捕後48時間以内に検察庁に送致する必要があります。
一方で、在宅事件の場合、警察などの捜査機関は被疑者についての捜査書類のみを検察庁に送致します。
これを、俗に書類送検と呼びます。
書類送検された場合、送致を受けた担当検察官は書類を確認した上で、捜査機関に対して追加の捜査指示を出したり自ら取調べを行ったりして、証拠化していきます。
その上で、検察官が起訴するか、不起訴にするかの判断を下します。
書類送検の場合、通常どおりの生活をし乍ら取調べなどの必要なタイミングのみ出頭することから制約はあまりないと言えるでしょう。
更には(公訴時効以外に)時間的制約がないことから捜査開始から書類送検に至るまでに数ヶ月かかることが一般的です。
そのため、書類送検されても緊張感がないという方もおられるようです。
しかし、書類送検された場合でも、逮捕・勾留により身柄拘束されている場合と同様に起訴されることがあり、有罪判決を受けた場合には刑務所に行ったり前科がついたりする場合があるのです。
そのため、書類送検だからといって安心することなく、適切な対応を検討することをお勧めします。
東京都板橋区板橋にて、仕事で使っていたカッターナイフを携帯していたため銃刀法違反・軽犯罪法違反などの嫌疑で書類送検される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で御相談を受けることができます。(要予約)
客引きで略式手続
客引きで略式手続
客引き行為で検挙された場合の罪と略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都豊島区西池袋在住のAは、都内のいわゆるキャバクラでアルバイトをしていました。
ある日、そのキャバクラの店長から「今は客が少ないから客引きしてきてくれない?」と言われ、客引き1人あたり1000円を報酬に、西池袋で客引きを行いました。
Aは数人の客引きに成功したことから、その後も店の客が少ない時間帯に客引きを行っていました。
ある日、客引き行為をしたところ、通行人の一人が捜査中の豊島区西池袋を管轄する池袋警察署の警察官であり、「君、客引きだね。」と言われ現行犯逮捕されました。
取調べの際、Aは以前から警察官にマークされていて、内偵捜査が行われていたと聞きました。
Aは、その後接見に来た弁護士から、「略式手続になる可能性が高い。」という説明を受けました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【客引き行為について】
都内の繁華街などを歩いたことがある方は、「客引き行為」を見かけたことがあるかもしれません。
客引き行為は、路上などで歩行者に対して居酒屋やキャバクラ、性風俗などの店に勧誘することを意味します。
通行人が客引きに着いて行った店で、不当とも言える金額を請求されるという話も少なからず聞くところです。
このように、トラブルに発展する可能性がある客引き行為は、複数の法律で禁止されています。
規制する問題となる法律には以下のようなものがあります。
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反
キャバクラや性風俗などは風俗営業と呼ばれ、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風適法と略します。)の制限を受けます。
これらの風俗営業について、それを営む者は「当該営業に関し客引きをすること。」及び「当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。」を禁止しています。(風適法22条1項1号・2号)
これに違反した場合には「六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。(同法52条1号)
・迷惑防止条例違反
上記のような風俗営業には当たらない居酒屋などの客引きについてはどうなるのでしょうか。
これは、風適法ではなく各都道府県の定める迷惑防止条例が問題となります。
ケースの場合、東京都豊島区西池袋での事件を想定していますので、東京都が定める公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の処罰に関する条例違反(以下、東京都迷惑防止条例と略します。)にあたります。
同条例では、7条1項で「何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。」とし、その3号で「異性による接待をして酒類を伴う飲食をさせる行為…の提供について、客引きを…すること。」と定めています。
罰条は「50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。(同条例8条4項5号)
【略式手続について】
本来、被疑者が起こした刑事事件について、担当する検察官は起訴するか不起訴にするかを決める必要があります。
不起訴になった場合、検察官が裁判所に対して起訴することなく、刑罰を科さずに終了するということです。
また、起訴された場合は、被疑者は被告人という立場に代わり、公開の法廷で有罪・無罪や、有罪だった場合の刑罰についての審理が行われます。
また、検察官は正式な起訴とは別に、略式起訴することもできます。
略式起訴は、比較的軽微でかつ被疑者が認めている事件で行われる手続きで、100万円以下の罰金又は科料の範囲で求刑し、簡易裁判所は書類の審査をしたうえで問題ないと判断した場合に認められる手続です。
略式手続は公開の法廷ではなく書類だけで行われ、被告人は裁判所から届いた起訴状・略式命令書と検察庁から届いた納付書に従って銀行等で罰金又は科料を納めるか、直接検察庁で納付することになります。
略式手続は、書類だけでの手続きになるため、被疑者・被告人にとって負担は少ないと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都豊島区西池袋にて、御家族が客引き行為で逮捕されたり、自身が客引き行為で在宅捜査を受けている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
【少年事件】火遊びが放火に
学校での火遊びが放火になった少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
事件
東京都文京区の私立中学校に通うA君は、授業の休み時間などに、友人と一緒に、ライターでティッシュペーパーに火を点け、それを振り回すなどして遊んでいました。
その際、A君は教室の床に引火させてしまい、消防車が出動する騒ぎになりました。火はすぐに消火されたものの四方約1平方メートルを焦がしてしまいました。
消防から警察に事件が報告されたことから、A君は友人と共に、警視庁大塚警察署に呼び出されて放火の容疑で取調べを受けています。
(フィクションです。)
ちょっとした悪戯が重大犯罪に?
火を使用すれば刑法上は放火の罪や失火の罪に問われかねません。
放火して、人がいる建造物等を焼損した場合は現住建造物等放火罪(刑法108条、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)
に、
人がいない建造物等を焼損した場合は非現住建造物等放火罪(刑法109条、2年以上の有期懲役)
に問われる可能性があります。
また、
失火した建造物等を焼損した場合は失火罪(刑法116条、50万円以下の罰金)
に問われる可能性があります。
建造物等を全焼しなくても「焼損」
ちなみに、「焼損」の意義に関しては様々な説がありますが、判例は、
火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続し得る状態に達すること
をいう独立燃焼説に立っています。この説によると、目的物全焼しなくても、その一部のみを燃やした場合でも「焼損」に当たることになります。
しかし、これでは木造建築の場合、放火罪の既遂時期が早くなりすぎてしまうとの批判から、
・目的物の重要な部分、あるいは本来の効用が失われたことが必要とする効用喪失説
・目的物の重要な部分の燃焼開始を必要とする燃え上がり説
・効用喪失説を基調としつつ、目的物が毀棄罪における損壊の程度に達することを必要とする毀棄説
が提唱されています。
退学処分の可能性は
お子さまが学校で非行を働いたという場合、
退学処分となるのではないか
と不安になられる親御様もおられるかと思います。そこで、学校教育法を確認すると、その11条では
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
とされています。そして、「文部科学大臣の定めるところにより」というのは、学校教育法施行規則のことを指しており、その26条1項から3項では
1項 校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。
2項 懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長(大学にあつては、学長の委任を受けた学部長を含む。)が行う。
3項 前項の退学は、公立の小学校、中学校(学校教育法第七十一条の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。)、義務教育 学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。
1 性行不良で改善の見込がないと認められる者
2 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
3 正当の理由がなくて出席常でない者
4 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者
とされています。つまり、3項によれば、公立の小学生、中学生等以外の同行1号から4号に該当した者を退学処分とすることができます。
この点、A君は私立中学校に通う生徒です。さらに、今回、放火に当たり得る行為をしていますから4号に当たる者と判断され、退学処分を受ける可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。
未成年を雇用 風営法違反で逮捕
未成年を雇用したとして風営法違反の容疑で警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
新宿区でスナック等の飲食店を経営しているAさんは、数ヶ月前から、知人に紹介された17歳の少女をキャバクラで働かせていました。
キャバクラが開店する20時ころから深夜まで、お客さんの横に座ってお酌等の接待業務を任せていたのですが、違法であることを知っていたAさんは、少女に、客には20歳と年齢を偽るように指示していました。
しかし、少女が多額の現金を所持していることを不審に思っていた両親が警察に相談していたらしく、Aさんのキャバクラは1ヶ月前から警視庁の内偵捜査を受けていました。
そして昨日、警視庁新宿警察署がAさんのキャバクラを捜索し、Aさんは風営法違反で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
Aさんは18歳未満の少女を、キャバクラで働かせたとして、風営法違反の疑いで逮捕されています。
18歳未満の少年、少女を風俗店で働かせると、以下のような犯罪に該当し、刑事責任を問われる可能性があります。
◇風営法違反◇
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、通称「風営法」は、風俗店や風俗営業に関する規制を定めています。
風営法で風俗営業とされているのは、接待行為をして客に遊興・飲食をさせる営業等です。
風俗営業を行う風俗店は、風営法の規制を守らなければなりません。
キャバクラは、客を接待して飲食させる営業(1号営業)となり、風営法の規制対象である風俗店となります。
風営法では、22条1項柱書において、許可を得て風俗営業を営む者に対する禁止行為を定めています。
その禁止行為の中に、同条同項3号の「営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせること」があります。
18歳未満の者をキャバクラ(風俗店)で働かせる行為は風営法違反となり、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又はその併科が科される可能性があります。(風営法第50条1項4号)
風営法第50条1項4号はこの禁止規定に違反した者を、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」としています。
また、風営法では、「客の接待」といえる行為まではさせていなくても、風俗営業を営む者が、「営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること」を禁止しています。
「客に接する業務」とは、客の案内や飲食の運搬が含まれ、直接に客の接待をしていなくても上記規定に違反することになります。
◇労働基準法違反◇
労働基準を定める法律である労働基準法は、第61条で、18歳未満の従業員を午後10時から朝5時までに勤務させることを禁止しています。
また第62条では、使用者が18歳未満の者を「福祉に有害な場所における業務」(危険有害行為)に就かせることを禁止しています。
ここでいう「福祉に有害な場所における業務」に、キャバクラ嬢の業務などが該当する「酒席に侍する業務」が含まれています。
つまり、18歳未満の年少者をキャバクラ店で働かせた場合や午後10時から朝5時までに勤務させることで労働基準法違反となりえることになります。
労働基準法第61条違反と第62条違反は、どちらも「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」となる可能性があります。
◇児童福祉法違反◇
15歳未満の者をキャバクラなどの風俗店で働かせていた場合には、児童福祉法違反となり、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又は両方が科される可能性があります。
18歳未満の未成年者をキャバクラなどの風俗店で働かせた場合、風営法違反だけでなく、上記のように様々な犯罪に該当する可能性があるので注意しなければなりません。
新宿区の風営法違反事件でお困りの方や、ご家族、ご友人が警視庁新宿警察署に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部の無料法律相談や初回接見サービスをご利用ください。
別件逮捕について 別件で逮捕されたら
別件逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
覚せい剤取締法違反(使用)の前科2犯のAさんは、先日、あきる野市のアパートで同棲している交際相手の女性と口論になりました。
怒鳴り声を聴いた近所の人が110番通報したことから、警視庁五日市警察署の警察官がアパートに臨場し二人の仲裁に入ったのですが、そこでAさんに覚せい剤使用の前科があることが発覚しました。
Aさんは、警察官に任意採尿を求められましたが、Aさんは、3日前に覚せい剤を使用していたことから、その発覚をおそれて、任意採尿に応じませんでした。
すると警察官は、Aさんを交際相手に対する暴行罪で現行犯逮捕したのです。
口論の際に、交際相手の腕を掴んだ事実はありますが、交際相手は被害を訴えておらず、Aさんの刑事処罰も望んでいません。
こうして警察署に連行されたAさんは、暴行罪で取調べの最中に強制採尿されてしまい、簡易検査で陽性反応が出たので、その後すぐに暴行罪で逮捕された件で釈放され、覚せい剤の使用容疑で緊急逮捕されたのです。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです)
◇別件逮捕◇
警察等の捜査当局が目的としている事件(「本件」という)を立件するために、逮捕の要件を満たす、別の軽微な事件で被疑者を逮捕する捜査手法の一つです。
別件逮捕については、様々な見解がなされており、これまで適法と認められた別件逮捕もあれば、別件逮捕が違法として、本件の刑事裁判で無罪判決が確定した事件もあります。
◇別件逮捕の問題点◇
~拘束時間が長くなる~
逮捕は、強制的に人を拘束できる刑事手続きですので、その判断は、厳格に行わなければいけません。
捜査機関は、勾留が認められた場合、一度の逮捕で、最長22日間まで被疑者を身体拘束することができます。
もし別件で逮捕された場合は、別件で逮捕、勾留された後に、本件で再逮捕されることとなるので、実質、最長で44日間もの長期間にわたって身体拘束を受けることになりかねません。
捜査当局は、本件の立件を目的にしているので、当然、別件の逮捕・勾留期間中においても本件に関する取調べが行われることがほとんどです。
~別件逮捕中の本件の証拠収集~
別件逮捕中に、本件に関する証拠収集がなされて、その証拠を基に逮捕される可能性があります。
そのような証拠の全てが証拠として認定されるわけではありませんが、そのような証拠が有罪の決め手となる場合もあるので注意しなければなりません。
◇今回の事件を検討◇
別件逮捕の全てが違法とされているわけではなく、別件逮捕が違法と判断される事件もあります。
特に覚せい剤の使用事件では別件逮捕が問題となるケースが多いようです。
覚せい剤の使用事件の捜査は、被疑者(容疑者)の尿を鑑定するための採尿から始まります。
被疑者(容疑者)が警察官の任意採尿に応じて尿を提出すれば問題なく手続きが進むでしょうが、被疑者(容疑者)がなかなか警察署等への同行に応じなかったり、尿の提出を拒まれたりすると、採尿のために、裁判官の許可状を得て強制採尿しなければなりません。
裁判官の許可状を得るまでの数時間の間、被疑者(容疑者)を身体拘束する法的な根拠がないために、被疑者(容疑者)を実質的に拘束する手段として別件逮捕されることがあります。
ただ、こういった逮捕はさすがに許されないということになる可能性が高いでしょうから、覚せい剤の自己使用案件のために強引に理由をつけて逮捕していることがここまで明らかだと、違法な別件逮捕となってしまうわけです。
あきる野市の薬物事件でお困りの方、別件逮捕の違法性を訴えたい方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部」にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、無料法律相談、初回接見サービスのご予約をフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
八王子市内の犯人隠避事件 警察署に身代わり出頭
身代わり出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは、八王子市内で運送会社を営んでいます。
先日、Aさんの会社に勤める従業員が、休みの日にひき逃げ事件を起こしてしまいました。
この従業員は、自宅でお酒を飲んでいる最中に、近所のコンビニまでお酒を買いに車で出かけた際に、信号待ちの車に後方から追突したようです。
その時に運転していた車は、Aさんの会社名義の車でした。
飲酒運転の発覚をおそれた従業員は事故現場から逃走して、Aさんに助けを求めました。
Aさんは、従業員が警察に逮捕されてしまうと、翌日からの会社の運営に影響が及ぶと考え、自宅にいた、Aさんの妻に頼み込んで、妻を警視庁高尾警察署に身代わり出頭させたのです。
しかし、取調べを担当した警察官によって、すぐに身代わり出頭が発覚してしまい、翌日に、Aさんや従業員も警察署に呼び出されてしまいました。
そこでAさんは、犯人隠避罪の教唆犯として取調べを受けています。(フィクションです)
◇犯人隠避(隠匿)罪◇
刑法第103条に、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処すると、犯人隠避罪について規定しています。
「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」とは、法定刑として罰金刑又はそれ以上の刑罰が規定された犯罪を犯した者で、その者の犯した犯罪が警察等の捜査機関に発覚しているか否かは関係ありません。
また犯した犯罪の詳細まで把握する必要はないとされていますが、単に「何らかの犯罪の嫌疑者であると思った。」という認識では違法性が阻却される可能性が大です。
「拘禁中に逃走した者」とは、法令に基づき国家の権力により拘禁を受けた者が、不法に拘禁から脱した場合です。
裁判の執行によって拘禁された既決、未決の者や、勾引状の執行を受けた者に加えて、現行犯逮捕若しくは緊急逮捕されて令状が発せられる前の者、調査、審判のために少年鑑別所に収容されている少年もこれに当たります。
続いて「蔵匿」「隠避」という行為ですが、まず「蔵匿」とは捜査権の行使を侵害して犯人の発見又は逮捕を妨害する事を認識し、犯人に発見又は逮捕を免れる場所を供給すること及び場所を提供して犯人をかくまうことをいいます。
そして「隠避」とは蔵匿以外の方法によって、犯人の発見又は逮捕を免れさせる一切の方法を意味します。
具体的には、逃走資金を援助したり、逃走用の車や、逃走時に使用する携帯電話機を用意したりする行為が隠避に当たり、今回のような身代わり出頭についても、犯人隠避罪に当たる可能性が非常に高いです。
すなわちAさんの妻が、「私が事故を起こしました。」と従業員の身代わりになって警察署に出頭する行為は、犯人隠避罪に該当するでしょう。
◇教唆犯◇
刑法第61条
1 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。 (刑法から引用)
~教唆犯の意義~
犯罪の意思がない者をそそのかし、犯罪を実行することを決意させて実行させた者を教唆犯といいます。
教唆犯が成立するには、まず教唆行為が必要となります。
教唆の方法には制限がありません。また、その内容については、具体的に指示する必要までありませんが、ある程度の内容を被教唆者に伝えることを必要とし、教唆行為によって被教唆者が、犯罪を実行することを認識・認容していなければなりません。
今回の事件では、Aさんは、ひき逃げ事件を起こした従業員の身代わりになって警察署に出頭するように、妻に対して、犯人隠避罪に当たる行為を教唆しているので、Aさんは、犯人隠避罪の教唆犯となるでしょう。
警視庁高尾警察署に身代わり出頭した犯人隠避罪でお困りの方、警視庁高尾警察署に身代わり出頭させた犯人隠避罪の教唆犯でお困りの方は、東京の刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(八王子支部)にご相談ください。
東京都八王子市内で起こった刑事事件に関するご相談は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(八王子支部)にて無料で承ります。
初回法律相談:無料
SNSトラブル 匿名の書き込みが刑事事件に
SNSへの匿名の書き込みが刑事事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇SNSトラブル◇
大学生のAさんは、芸能人や有名スポーツ選手のSNSを閲覧することが趣味で、世間を騒がせている時事問題や、ニュースに関することには積極的に書き込みや投稿をしています。
ある日、某芸能人がテレビで発言したことに腹が立ったAさんは、この芸能人の、ツイッターやインスタグラムなどのSNSに、匿名で過激な内容の書き込みをしました。
Aさんは、これまで何度も同様の書き込みや投稿をしていたので、何も気にせずにしていませんでしたが、先日、警視庁麹町警察署の捜査員から「芸能人のSNSに匿名で書き込んだ投稿で被害届が出ている。警察署に出頭してくれ。」といった出頭要請の電話がかかってきました。
匿名で投稿していたから大丈夫だと思っていたAさんは不安になり、自分の投稿内容がどのような犯罪に該当するのか不安で、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
※フィクションです。
◇匿名の投稿が社会問題に◇
インターネットツールが発展し、子供からお年寄りまで誰もが手軽にSNSを利用できる便利な世の中になりました。
そんな便利な世の中だからこそ、インターネット上の事件も頻発しており、これが大きな社会問題となっています。
特に最近は、SNSに匿名で投稿した内容が問題視されるケースも多く見受けられています。
匿名であるが故に、投稿者が特定されないだろうという油断と安心から、投稿内容が過激になり、刑事事件に発展するケースも少なくなりません。
そこで本日は、匿名によるSNSへの投稿が刑事事件に発展したケースについて紹介します。
◇脅迫罪◇
あるアイドルのファンが、アイドルのSNSに「殺す」等の過激な投稿をしたことから、アイドルの所属事務所が警察に相談し、投稿者が逮捕された事件。
「脅迫罪」とは、人の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫することです。(刑法第222条から抜粋)
脅迫罪で起訴されて裁判で有罪が確定すれば「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられます。
数年前には、実際にアイドルがファンに襲撃されて重傷を負う事件が発生しており、警察は、このような書き込みには厳重に対処しているようです。
◇業務妨害罪◇
特定のお店(飲食店)のホームページの掲示板に「お店に爆弾を仕掛けた。」等の書き込みをして、お店を休業させた事件。
投稿や書き込んだ内容によって、お店の業務に支障をきたせた場合は、業務妨害罪が成立することがあります。
業務妨罪には、偽計業務妨害罪と、威力業務妨害罪があり、共に起訴されて有罪が確定すれば「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。
ここ数年、インターネット上への、書き込みや投稿に「業務妨害罪」が適用される事件が増えており、お店や企業は積極的に被害届を提出して刑事事件化を望んでいるようです。
◇名誉棄損や侮辱罪◇
ある会社のホームページ上の掲示板に「●●(この会社の役員実名)は同僚の▲▲と不倫している。」と書き込んだ事件。
名誉棄損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を傷付ける事で、起訴されて有罪が確定すれば「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」が科せられます。
名誉棄損罪が適用されなかったとしても、いわゆる悪口に該当するような内容を投稿、書き込みをしたら侮辱罪となる可能性もあります。
侮辱罪の法定刑は「拘留又は科料」と非常に軽いものですが、刑事手続きが進めば取調べ等が大きな負担となることは間違いありません。
◇インターネット上の犯罪に強い◇
インターネット上の書き込みや、投稿は匿名であることがほとんどで、裏アカウントを作成すれば、自身にまで捜査の手が及ぶことがないと考えている方もいるかもしれませんが、プロパイダー等への捜査で、投稿者は容易に特定されてしまうようです。
東京都内で、SNSトラブルや、自身の匿名での投稿、書き込みが刑事事件化されてお困りの方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
実子に対する略取誘拐事件
離婚協議中に実子を連れ去った略取誘拐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
事件の概要
東京都渋谷区に住む会社員男性のAさんは、妻と別居し、離婚裁判の係争中です。
ある日、Aさんは、子供となかなか面会させてくれない妻の態度に腹を立て、小学校から一人で帰宅する子供を見つけ、抵抗する子供の腕を引っ張って車の助手席に乗せ、自宅へ連れ去りました。
その後、妻の通報を受けた警視庁原宿警察署の警察官がAさん宅を訪れ、子供は保護されました。
そしてAさんは、警視庁原宿警察署に未成年者略取罪で逮捕されました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
未成年者略取罪とは
まず、Aさんが逮捕された未成年者略取罪の内容から解説します。
未成年者略取誘拐罪は刑法224条に規定されている法律です。
刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
※未成年者=20歳未満の者
刑法229条
第224条の罪(略)は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
「略取」とは、略取された者の意思に反する方法、すなわち暴行、脅迫を手段とする場合や、誘惑に当たらない場合でしかも相手方の真意に反する方法を手段として、未成年者を自分や第三者の支配下に置くこと、「誘拐」とは、欺罔(騙すこと)や誘惑を手段として、他人を自分や第三者の支配下に置くことをいいます。
「誘拐」と「略取」とをあわせて「拐取」ということもあります。
なお今回の事件では、子供がAさんの連れ去りに抵抗しており同意していないものと思われますが、未成年者が連れ去り行為に同意していた場合は未成年者略取罪は成立するでしょうか?
この点については、未成年者略取罪が何を保護しよう(守ろう)としているのかと関係があります。
すなわち、未成年者略取罪は、未成年者の自由のほか、親権者など保護監督者の監護権をも保護しようとしていると考えるのが通説、判例です。
よって、未成年者を誘拐した場合には、未成年者の行動の自由・権利を侵害するだけでなく、保護監督者が未成年を保護監督する自由・権利をも侵害したということになるのです。
そのため、未成年者が同意をしていたとしても、その保護監督者が同意しない以上は未成年者誘拐罪が成立し得るということになります。
共同親権者の子供の連れ去りに対する判例の考え
判例は、今回と同じような事件で、被告人の行為は、未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかとして上で、被告人が親権者の1人であることは、その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情であると解されるとしています。
そして、違法性が阻却されるかどうかは、当該行為(連れ去り行為)が社会通念上許容されるものであるかどうかという観点から判断されるべきところ、判例での事案では、
・被告人の連れ去り行為が、子どもの監護上必要とされるような特段の事情は認められない
・行為態様が粗暴で強引なものである
・子どもが自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児である
・その年齢上、常時監護養育が必要とされるのに、略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難い
ことなどから、家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することはできず違法性を阻却する事情を認めることはできないとしています。
以上の判例の考え方からすれば、共同親権者の連れ去り行為が直ちに未成年者略取罪に結び付くものではなく、当該行為が社会通念上許容されるものである場合は違法性が阻却され本罪が成立しない場合もあります。
仮に、こうした主張をする場合は、その主張を基礎付ける事実を的確に挙げていかなければなりません。
だからこそ、弁護士に相談・依頼することが重要といえるでしょう。