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警視庁綾瀬警察署に自首して減軽を求める

2020-08-31

警視庁綾瀬警察署に自首して減軽を求める手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇詐欺事件で自首を検討◇

東京都足立区で飲食店を営んでいるAさんは、店の売り上げが悪化し、数年前から赤字が続いていますが、銀行からの融資を受ける事ができず閉店の危機に陥っています。
来月の家賃等の支払いの目途が立たず、金策をしていたAさんは、友人からお金を借りることを思いつきましたが、お店の経営状況を正直に話してもお金を貸してもらえないと思ったAさんは、店舗を拡大する内容の、虚偽の事業計画書を作成して、友人には「店舗を拡大する資金に充てる」という虚偽の理由で借金を申し込みました。
Aさんから事業拡大計画を聞いた友人は、Aさんの話を信じ込み300万円の融資を快諾してくれました。
しかしAさんは、友人から借りた300万円を、家賃の支払いや、これまで滞っていた贖罪の仕入れ先の借金の返済に費消しました。
数か月後に、友人から借金の返済を迫られたAさんは、あれこれ言い訳をして返済を先延ばしにしていたのですが、ついに嘘をついてお金を借りていたことがばれてしまいました。
そして友人から「詐欺罪で警察に訴える。」というメールが送られてきたAさんは、このままだと警察に逮捕されてしまうのではないかと不安で、警察に自首することを考えています。
(フィクションです。)

◇詐欺罪◇

人を騙して財物の交付を受ければ詐欺罪となります。
お金の貸し借りは民事事件だと思われがちですが、お金を借りる際に、目的や返済等について嘘をついて相手を騙してお金を借りると詐欺罪に抵触する可能性があります。
今回の事件でAさんは、虚偽の事業拡大計画を友人に説明して騙しており、この事業計画を信じて友人はAさんにお金を貸しています。
これは、詐欺罪の構成要件とされている「欺罔行為(相手を騙す行為)」と「錯誤に陥っての財物の交付(騙されたことによって、金銭を交付すること)」に該当すると考えられますので、Aさんの行為は詐欺罪に抵触する可能性が非常に高いと言えます。

~量刑~

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
詐欺罪で起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内の刑事罰が言い渡されるのですが、その量刑は、騙し取った金品の額に比例すると言われています。(被害弁償や被害者との示談が成立している場合は、軽減される可能性が非常に高い。)
初犯であっても、騙し取った金品の額が100万円を超える場合は、実刑判決になる可能性があるので注意しなければなりません。
また詐欺罪の中でも、振込め詐欺等の特殊詐欺事件に関して、最近は、裁判所が非常に厳しい刑事罰を言い渡す傾向にあるます。

◇自首◇

自首とは「自らの犯罪行為を警察等の捜査機関に申告する」ことで、自首が成立すれば、刑が軽減される可能性があります。
ただ、自らの犯罪行為を捜査機関に申告したからといって必ず自首が成立するわけではありません。

自首が成立するには

①警察等の捜査機関が認知していない事件
②警察等の捜査機関が認知し捜査を開始しているが、犯人の特定には至っていない事件

の何れかの事件について、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めなければなりません。
つまり、既に警察が捜査を開始している事件で、かつその事件の犯人が判明している場合は、警察署に自ら出頭しても、それは自首には該当せず、単なる出頭にすぎません。
出頭であっても、処分の軽減を求める有利な事情にはなりますが、絶対的に処分が軽減されるわけではないので注意しなければなりません。

◇自首を検討されている方は◇

自首を検討されている方は、事前に、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、警視庁綾瀬警察署に自首して処分の軽減を求める方の相談を、初回無料で承っております。
東京都足立区の刑事事件でお困りの方、詐欺事件で警察に訴えられた方で自首を検討しておられる場合は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

強盗致傷罪で逮捕されたら

2020-08-03

強盗致傷罪で警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

東京都大田区に住むAさんは、お金に困ったことから、近くのコンビニでおにぎり1つ(時価100円相当)を万引きしました。
しかし、Aさんがお店を出ようとしたところ、お店の従業員が万引きに気付き、Aさんのことを追いかけてきました。
捕まってしまうと大変なことになると思ったAさんは、追いかけてきた従業員の腕をつかみ、その場に押し倒しました。
押し倒された従業員は、膝をすりむき、全治1週間の傷害を負ってしましました。
その日は逃げることができたAさんですが、翌日自宅に警視庁大森警察署の警察官がやってきて、そのまま逮捕されてしまいました。

◇罪名◇

・Aさんに成立する犯罪
まず、Aさんに成立する犯罪を検討します。
Aさんは、おにぎりを万引きしているため、窃盗に当たる行為をしています。
しかし、その後Aさんは追いかけてきた従業員に暴行を加えました。このような場合、「窃盗が、(・・・)逮捕を免れ(・・・)るために、暴行または脅迫をしたときは、強盗として論ずる」として、刑法238条により、強盗の罪が成立します。この刑法238条の罪を、「事後強盗」と呼んでいます。
また、「強盗が、人を死傷させた時」は、強盗致傷罪が成立します(刑法240条)。
よって、今回のAさんには強盗致傷罪が成立します。
そして、強盗致傷罪の場合には、法定刑が無期又は6年以上の懲役と非常に重いものとなっています。

◇裁判員裁判◇

強盗致傷罪は無期懲役が定められているため、裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判とは、裁判官3名と、一般国民から選ばれた裁判員6名の合計9名が、刑事裁判の審理を行い、有罪か無罪か、有罪とすればどのような刑が適切であるか評議をし、判決をするという裁判です。
この裁判は、国民感情を裁判という司法の場に反映するために導入されました。そのため、有利な判決を得るためには、裁判官だけではなく、裁判員に対しても、分かりやすい説得的な議論が必要となります。

◇強盗致傷の捜査段階の弁護活動◇

強盗致傷罪は、裁判員裁判対象事件ですから、一度起訴されてしまうと、裁判員裁判という大掛かりな裁判になってしまいます。
そのため、できる限り起訴を防ぐ弁護活動が必要となります。
今回のAさんの事件のような場合には、おにぎりの所有者であるコンビニ店舗に被害弁償する、追いかけてきた従業員に対して治療費や慰謝料の支払いをするといったことを行い、穏便な解決を図るということが重要になります。
Aさんの罪は、強盗致傷罪という思い罪名ではありますが、実態としては100円の万引きと、全治1週間の傷害というものですから、両者ときちんと示談することができれば、最終的に不起訴処分となることも十分考えられます

◇強盗致傷の裁判段階の弁護活動◇

強盗致傷罪で起訴されてしまった場合には、裁判員裁判となってしまいます。
しかし、過去の裁判を見ると、強盗致傷罪で裁判となった場合にも、執行猶予付き判決がなされている事例が散見されます。
執行猶予付き判決をすることができるのは、主文で3年以下の懲役を言い渡すときに限られます。
強盗致傷罪の法定刑は、既に述べた通り、無期又は6年以上の懲役です。
そのため、法定刑の上では、最低でも6年以上の懲役となりますから、そのままでは執行猶予付き判決をすることはできません。
しかし、法律上酌量減軽(刑法66条)という制度があり、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と定められています。そして、有期刑を減軽する場合は、その刑を半分にすることになりますから、強盗致傷罪の場合は、3年以上の懲役となります。これにより、懲役3年とすることができますから、執行猶予を付けることができるようになります。
強盗致傷罪で起訴されてしまった場合には、裁判官や裁判員に対し、酌量減軽を求められる事情をしっかりと主張することが大切になります。

東京都大田区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が、強盗致傷罪で警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

アルバイト先での窃盗事件 警視庁板橋警察署に自首を検討

2020-03-14

アルバイト先で、売上金抜き取る窃盗事件をおこして自首を検討しているケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇アルバイト先のレジから現金を抜き取った窃盗事件◇

大学生のAさんは、板橋区にあるビジネスホテルで清掃などのアルバイトをしています。
Aさんはアルバイト代では一人暮らしの生活費を賄うことができずお金に困っていました。
そうしたある日、Aさんはいつものようにアルバイトを終え、ホテルのフロントにタイムカードを押しにいったところ、レジの引き出しが半開きになっていたことに気づきました。
そこで、Aさんは、レジに入っていたホテルの売上金を手に取り、その場を立ち去りました。
Aさんは盗んだ売上金を生活費に使い果たしてしまいましたが、後になって盗んだことを後悔し、今では警視庁板橋警察署に自首しようかと考えています。
(フィクションです)

◇Aさんが問われ得る罪◇

Aさんが問われ得る罪としては、まず、窃盗罪が考えられます。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

ホテルの売上金は「他人の財物」、レジの中から売上金を抜き取る行為は「窃取」に当たることは明らかでしょう。

~窃盗罪ではなく横領罪には問われないでしょうか?~

横領罪は刑法252条に規定されています。

刑法252条
1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2項 (略)

刑法252条1項からすると、アルバイトの身であるAさんに売上金を「占有」しているかどうかですが、通常、アルバイトの方にはお店の売上金を管理(占有)する権限は認められていない思われます。
したがって、アルバイトの方にとって売上金は「自己の占有する他人の物」ではなく、まさに「他人の物」で、これを勝手に取れば横領罪でなく窃盗罪に問われるでしょう。

◇出頭しても「自首」に当たらない可能性がある◇

次に、自首について解説します。

自首とは、

①捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、
②犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し
③その処分を委ねる意思表示

のことです。
この要件を満たさない場合は「自首」として認めてもらえません。
つまり、Aさんが警視庁板橋警察署に出頭した時点で、すでにホテル側からの通報などによってAさんが犯人だ、と特定されていれば「自首」ではなく、単なる「出頭」扱いとなるわけです。

◇「自首」するメリット◇

自首の法律上の効果は、刑の減軽です。
しかし、自首したからといって必ずしも刑罰が減軽されるわけではありません。
刑罰が減刑されるかどうかはあくまで裁判官の判断に委ねられます(刑法42条1項)。

刑法42条1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

仮に減軽されると、窃盗罪の場合、懲役が5年以下に、罰金が25万円以下となります(実際の量刑はその範囲で決められます)。

自首の事実上の効果、あるいは「出頭」扱いとなった場合の効果としては、

・逮捕のリスクが減る(在宅のまま処理される可能性が高まる)
・量刑で有利となる

そして、逮捕のリスクが減ることで安心して日常生活を送ることができるということではないでしょうか?

ただし、自首、出頭は、自ら捜査機関に「私は罪を犯しました」と申告するようなものですから、逮捕のリスクもないわけではなく上記メリットが絶対的に約束されるものでもありません。
自首、出頭でお悩みの際は弁護士に相談する事をお勧めします。

◇刑事事件に強い弁護士◇

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
自首するかどうかでお悩みの方は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

公務員による暴行事件 被害者と示談を目指す

2020-02-11

公務員が起こした暴行事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

公務員のAさんは、東京都昭島市の繁華街の居酒屋において、隣席で飲んでいた男性と些細なことから口論になり、男性の左肩を右こぶしで一回殴ってしまいました。
店員の通報で駆け付けた警察官によって、警視庁昭島警察署に任意同行されたAさんは、取調べを受けましたが、その日のうちに帰宅することができました。
2回目の取調べがあるとのことなので、Aさんはその前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

◇暴行罪◇

今回の事件では被害者を傷害するに至らなかったので、Aさんは暴行罪の嫌疑をかけられていると思われます。

刑法第208条は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」としており、人を殴った以上、怪我をさせなかった場合であっても、罪に問われることになります。

「暴行」とは、人の身体に対し不法に有形力を行使することを意味し、殴る、蹴る、突くはその典型例です。

また、通行人の数歩手前を狙って石を投げつける行為や、狭い四畳半の室内で日本刀の抜き身を振り回す行為なども、暴行にあたるとした判例があります。

◇Aさんの今後◇

Aさんは現在、逮捕されずに在宅で捜査されているので、警察から呼び出しを受け、取調べを受ける、という期間が続くと思われます。
最終的には検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めるので、検察から呼び出しを受けることもあります。
呼出しを正当な理由なく拒否すると、逃亡のおそれがあると判断され、逮捕されてしまうことがあります。
逮捕、勾留されると、最長23日間もの間身体拘束を受けるので、Aさんの社会生活に対する悪影響は計り知れません。
逮捕されるリスクを考えると、呼出しには応じた方がよいでしょう。

◇起訴された場合◇

起訴され、有罪が確定すると、刑罰を受けることになり、前科にもなります。
ケースにおいて無罪判決を獲得するのは極めて困難でしょう。
Aさんは公務員なので、有罪判決を受けると、勤務先からの評価にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
禁錮以上の刑を受けた場合、当然に失職します(地方公務員法28条4項・16条2号、国家公務員法76条・38条2号)。
では、前科がつかないようにするには、どうすればよいでしょうか。

◇被害者と示談◇

事件を有利に解決するためには、被害者と示談することをおすすめします。
示談とは、当事者間における、事件解決に向けた合意のことをいいます。
通常、加害者が被害者に賠償金を支払うことを内容とします。
示談が成立すれば、当事者間で事件が解決したものと判断され、逮捕されるリスクを低減させることができます。

さらに、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを判断する際に、Aさんに有利な事情として考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科が付かずにすみます。

◇示談交渉◇

示談契約は民事上の合意なので、Aさんが直接被害者と交渉し、示談を成立させることもできます。
ですが、Aさんが直接被害者と交渉することはおすすめできません。
そもそも、被害者の情報がわからないので接触しようがない、ということもありますし、警察は通常被害者さんの情報を当事者であるAさんには教えてくれません。
また、接触できたとしても、被害者に不当な示談金を要求されることも考えられます。
第三者が関わると、法律上有効でない示談となる可能性もあります。
お金を払うことで事件が解決できるならば…と、安易に示談を成立させるのは、Aさんにとっても利益ではありません。

そこで、法律の専門家である弁護士に、被害者との間に立ってもらい、示談交渉を任せることをおすすめします。
示談を成立させる場合は、弁護士が法的な観点から示談の条件が有効かつ妥当であるかをチェックします。
また、弁護士はそうした手続きの専門家であり、示談交渉に熟練していることから、Aさんにより有利な条件を引きだすことができる可能性が高まります。
是非、弁護士を通じた示談交渉をご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、示談交渉の実績も豊富です。
暴行事件を起こし、お困りの公務員の方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。

警察に逮捕される?

2020-01-30

刑事事件を起こして警察に逮捕されるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所で、お客様からの法律相談を初回無料で承っています。
そんなお客様からのご相談でよくあるのが「警察に逮捕されますか?」という質問です。
そこで本日は「逮捕されるか?」という皆様の疑問に刑事事件専門の弁護士がお答えします。

逮捕

逮捕とは、刑事事件を犯した疑いある方が、警察に身体拘束を受けて取調べを受けることです。ここで注意しないといけないのは、「犯罪を犯した=逮捕」ではありませんし、「逮捕された=犯罪者」でもありません。
何かの犯罪を犯しても、逮捕されずに不拘束で取調べを受ける場合もありますし、逆に逮捕されたとしても、有罪が確定するわけではなく、その後の捜査で誤認逮捕が判明したり、刑事裁判で無罪が確定することもあります。
そもそも逮捕とは、身体拘束を受けて取調べをしなければ、容疑者が証拠を隠滅したり、逃走する可能性があって、事件の真相を解明することが困難になる事を避けるために行われる、刑事手続きの一つに過ぎないのです。

逮捕されると

逮捕されて一番困るのが、身体拘束を受ける事です。
身体拘束を受ける期間は人それぞれで、逮捕されてすぐに釈放される場合もあれば、その翌日や、2日後といった短期間で釈放される場合もあります。
法律的には、警察等の捜査当局が容疑者を逮捕した場合に与えられている時間は逮捕から48時間です。この時間内に警察は、逮捕した容疑者を釈放するか、検察庁に送致するかを検討します。
そして検察庁に送致された場合、送致を受けた検察官に与えられた時間は24時間です。この時間内に検察官は、容疑者を釈放するか、裁判所に勾留を請求するかどうかを検討するのです。
裁判所に勾留を請求された容疑者に勾留が決定すれば、10日~20日間の身体拘束を受けることになります。
つまり逮捕によって受ける身体拘束は最長で、逮捕から23日間にも及ぶので、仕事をされている方や、学校に通う学生の方にとっては非常に大きな不利益を被ることになるのです。

逮捕されるの?

それでは本題の「逮捕されるのか?」という疑問にお答えしようと思いますが、実は逮捕されるかどうかの判断は、刑事事件専門の弁護士であっても判断が難しく、絶対という答えはありません。
それは、ほとんどの刑事事件において、容疑者を逮捕するかどうかの判断は、捜査を担当する捜査当局に任されているからです。
法律上、現行犯逮捕以外は、容疑者の逮捕には裁判官の発する「逮捕状」が必要とされていますが、裁判官に対して逮捕状を請求するかどうかは、捜査を担当する捜査当局に任されているので、実質は、容疑者を逮捕するかどうかは、捜査を担当する捜査当局が判断すると言っても過言ではありません。

逮捕の要件

それでは、捜査を担当する捜査当局は何を基準に容疑者を逮捕するかどうかを判断しているのでしょうか?
法律的に、容疑者を逮捕するには逮捕の要件が必要となり、この要件となるのが、逮捕する「理由」「必要性」です。
逮捕の理由は刑事訴訟法で定められているとおりで、それは「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるとき」です。つまり、犯人である相当な理由が、逮捕の理由となります。
そして逮捕の必要性とは、これも刑事訴訟法に定められているとおりで、大きく分けると
・逃亡のおそれがある
・証拠隠滅のおそれがある
の何れかが認められると、逮捕の必要性が認められます。

逮捕の必要性

それでは、捜査当局は「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」といった逮捕の必要性をどのように判断するのでしょうか。
逮捕の必要性があると判断されがちなケースをいくつかご紹介します。

逃亡のおそれがあると判断されやすいケース
①家族がいない
②仕事をしていない
③定まった住居がない
④執行猶予中である

①~③については、よく「単身身軽」という表現がされる状況で、客観的にみて逃走のおそれが認められやすい傾向にあります。また④については、その後の裁判で有罪となった場合に刑務所に服役する可能性が高く、そういった事を恐れて、逃亡する可能性があると判断されるようです。

証拠隠滅のおそれがあると判断されやすいケース
①証拠品などが未発見、未押収である
②共犯者がいる

②については、共犯者と通謀(口裏を合わせ)して事実を歪曲する可能性があると判断されがちです。

逮捕されないために

それでは警察に逮捕されないために事前に何ができるのか?
正直なところ、確実に逮捕を回避できる弁護活動がるのかと聞かれれば、その答えは「ノー(ありません。)」です。
ただ逮捕のリスクを回避するための活動はその事件ごとに存在します。
例えば、窃盗罪や傷害罪などのように被害者が存在する事件に関してですと、警察に逮捕されるまでに被害者に謝罪し賠償することで逮捕を回避できる可能性が高くなりますし、器物損壊罪のような親告罪の場合ですと、被害者に告訴を取り下げてもらうことによって逮捕は回避できるでしょう。
また被害者の存在しない事件であっても、警察に自首することによって逮捕を回避できる可能性が高まります。

刑事事件に強い弁護士に相談

「警察に逮捕されるか不安です。」という方は、事前に刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
東京都内で刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。

強制わいせつ事件で誤認逮捕されたら

2020-01-16

強制わいせつ罪の誤認逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

東京都江東区に住む会社員のAさんは、10年前に痴漢事件で略式罰金の刑事罰を受けています。
Aさんは、自宅近所の月極駐車場を契約して自家用車をこの駐車場にとめています。
先日、この駐車場で女子高生が男から乱暴される強制わいせつ事件が発生しました。
事件が発生した直後に、Aさんが駐車場から車を出庫した記録があるということで、犯行を疑われたAさんは警視庁城東警察署に呼び出されました。
最初からAさんは、関与を全面否認していましたが、出頭した日の夕方に、強制わいせつ罪逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

◇誤認逮捕◇

ある日突然、全く身に覚えのない事件で警察に逮捕される・・・それが、誤認逮捕です。
信じられない話ですが、正式に警察から発表されていない件数も含めれば毎年100人以上もの方が警察等の捜査当局に誤認逮捕されているといわれています。
ですから皆さんも、Aさんのように誤認逮捕される可能性は十分に考えられるのです。
誤認逮捕される際は、Aさんのように、警察署に呼び出されて取調べを受けた後に誤認逮捕されるケースもありますが、逮捕状を持った警察官が急に自宅に押し掛けてきて逮捕されることもあります。
誤認逮捕されたら、どのように対処するべきなのでしょうか。
逮捕されると、身体拘束を受けたその日から取調べが始まります。
当然、身に覚えのない事件なので「やっていない」と答えなければなりませんが、取調べを担当する警察官は自白を得るために厳しく追及してきます。
昔のように暴行や脅迫を用いた取調べは行われていないと思いますが、それに近い取調べがいまだに行われているのが現状で、取調べを受けた方のほとんどは、取調官の威圧的な言動に恐怖を感じるといいます。
また中には「認めたら釈放してやる。」「認めたら起訴されない。」といったような甘い囁きをしてくる取調官がいるようなので注意しなければなりません。
もし、取調べの苦しい状況から逃れるために、その場限りのつもりで身に覚えのない事件を自白してしまうと、それは取り返しのつかないことになりかねません。
警察の取調べで自白したとしても刑事裁判で明らかになって無罪が証明されるだろうと思って身に覚えのない事件を自白した」という男性は、警察での自白調書が刑事裁判でも証拠採用されてしまい、有罪が確定して、刑務所に服役しました。
そして冤罪が明らかになったのは刑務所から出所してからです。

◇誤認逮捕が起こる理由◇

~虚偽の申告~
警察等の捜査当局が取り扱う事件のほとんどは、被害者や目撃者からの通報が犯罪捜査の端緒となります。
当然、故意的に虚偽の被害申告をした方は刑事罰の対象となりますが、捜査当局が虚偽の申告に気付くことなく捜査が進んだ場合、誤認逮捕が発生する可能性があります。

~不十分な裏付け捜査~
誤認逮捕が起こる可能性が一番高いのが通常逮捕です。
通常逮捕は、裁判官の発した逮捕状をもとに逮捕されるのですが、この逮捕状を請求するのは警察等の捜査当局です。
捜査当局は、それまでの捜査経過から、犯人を割り出した理由や、逮捕の必要性を明らかにした疎明資料をもとに裁判官に逮捕状を請求します。
疎明資料のほとんどは、警察官等によって作成されるので、捜査員の先入観にとらわれた主観的な内容になりがちです。
そのため、捜査当局にとって都合の悪い証拠は排除されてしまって逮捕状が請求されるので、誤認逮捕が起こってしまう可能性が生じます。

~自白の強要~
Aさんのように、逮捕前に不拘束による取調べが行われることがあります。
上記したような不適切な取調べに屈して、身に覚えのない犯行を自白してしまえば、その内容が記載された供述調書によって逮捕状が発付され、誤認逮捕につながる場合があります。

ご家族、ご友人が警察に誤認逮捕された場合は、早急に刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
東京都江東区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が警視庁城東警察署逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部の初回接見サービスをご利用ください。
初回法律相談:無料

偽計業務妨害事件で控訴

2020-01-02

控訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

Aさんは、インターネットの動画投稿サイトにオリジナル動画投稿し、再生回数に応じて支払われる広告収入で生計を立てています。
先日Aさんは、覚せい剤に似せた白色粉末を入れた袋を、東京都北区にある、警視庁赤羽警察署の交番前に立っている警察官の前に落とし、そこから逃走するというドッキリ動画を撮影し、その動画をサイトに投稿しました。
再生回数は、これまでの3倍以上に増えましたが、悪質な悪戯だと事態を重く見た警視庁赤羽警察署が捜査を開始し、Aさんは警視庁赤羽警察署に偽計業務妨害罪で逮捕されてしまいました。
その後Aさんは起訴されて、先日、Aさんが略式起訴を拒否したために開かれた刑事裁判によって有罪が認定されて、罰金刑が言い渡されたのですが、Aさんは判決に納得ができず、控訴を検討しています。(実話を基にしたフィクションです。)

◇偽計業務妨害罪~刑法第233条~◇

偽計を用いて人の業務を妨害した場合には、偽計業務妨害罪が成立します。
「偽計」とは、人をだましたり、あるいは人の無知・錯誤を利用したりなどすることをいい、例えば虚偽の通報をすることが「偽計」に当たります。
Aさんの行為は、覚せい剤に見せかけた白色粉末白入りの袋を落とし、警察官をだまそうとしているため、「偽計」を用いているといえるでしょう。

では、警察官の捜査やパトロールなどといった公務は、偽計業務妨害罪のいう「業務」に当たるでしょうか。
公務への妨害行為については公務執行妨害罪が規定されており、公務執行妨害罪は公務への「偽計」を禁止していないことから問題になります。
判例は、強制力を排除する権力的公務か否かを基準としており、これに当たらない場合に公務が「業務」に当たるとしています。
そして、虚偽通報のような妨害行為に対しては警察官が強制力を行使しうる段階にないとして、公務が「業務」に含まれると判断しました。
そうすると、Aさんの行為は「業務」に対して「偽計」を用いたといえるでしょう。

なお、偽計業務妨害罪の条文には「妨害した」とありますが、これは現実に妨害が発生している必要はなく、業務を妨害しうるような行為がなされていれば「妨害した」といえます。
このような点を考慮すれば、Aさんには偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いです。
ちなみに偽計業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
偽計業務妨害罪等の刑事事件で逮捕された場合には,刑事事件に強い弁護士に早めに初回接見を依頼することをお勧めします。

◇刑事裁判の流れ~控訴~◇

刑事事件を起こして起訴されれば、略式起訴での罰金刑を除いて、刑事裁判によって、その刑事罰が決定します。
刑事裁判は、通常の事件であれば地方裁判所(支部)で行われますが、軽微な事件であれば簡易裁判所で行われることもあります。
Aさんの起こした偽計業務妨害罪のような刑事事件の刑事裁判は、最初(第一審)東京地方裁判所(支部を含む)で行われます。

~控訴~
そして第一審の判決に不服がある場合は、高等裁判所に控訴する事ができます。
控訴は無制限にできるわけではなく、一定の控訴理由が必要となります。
主な控訴理由は、訴訟手続の法令違反、法令適用の誤り、量刑不当、事実誤認(ただし、これらの理由が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合)などです。
また、控訴するには第一審判決の言渡しの翌日から、2週間以内に控訴申立書を、第一審の判決を出した裁判所に提出する必要があります。
控訴審(第二審)は、全国8カ所にある高等裁判所又は全国6カ所にある高等裁判所の支部で行われることとなります。

東京都北区の刑事事件でお困りの方、偽計業務妨害罪の一審判決が不服で控訴を考えている方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部」にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁赤羽警察署までの初回接見費用:36,400円

※弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、お正月も休まず営業いたしております。※

窃盗事件の刑事裁判(公判)

2019-12-19

窃盗事件の刑事裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事例◇

Aさんは、東京都渋谷区にある閉店後の衣料品店に、勝手口のカギを壊して忍び込み、レジに入っていた売上金30万円を盗みました。
忍び込んだ衣料品店までは、レンタカーで行っており、そのナンバーから被疑者として割り出されたAさんは、その後、建造物侵入罪窃盗罪で、警視庁渋谷警察署に逮捕されました。
20日間の勾留を経て起訴されたAさんは、今後開かれる刑事裁判(公判)の流れや、処分の見通しが知りたくて、保釈後に、渋谷区の刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。(フィクションです)

◇刑事裁判(公判)の概要◇

公開の法廷で行われる刑事裁判を「公判」と言います。
公判は公開の法廷で行われますので、傍聴人が被告人の後ろにいることになります。
なお、裁判の公開は憲法上の要請です。

◇公判手続きの流れ~冒頭手続き~◇

裁判が始まると、実質的な審理を行う前に、最初に形式的な手続きを行います。
これを冒頭手続きと言い、その流れは以下のとおりです。

①人定質問
まず、裁判官の前にいる被告人が、人違いではないかを確かめます。
この手続きを人定質問と呼び、ここで、氏名・生年月日・住所・本籍(国籍)などを尋ねることとなります。
多くの方が本籍地を答えるときに戸惑ってしまいますが、そのような場合には裁判官が起訴状に記載されている本籍地を読み上げ、それで間違いないかを確認することとなります。

②起訴状朗読
次に、検察官が起訴状を読み上げます。
これを起訴状朗読と言います。

③黙秘権告知
その後、裁判官が黙秘権があることを告知します。
黙秘権とは、被告人に対する質問に対し、一切答えなくてもよいという権利です。
もちろん、答えたい質問にだけ答え、答えたくないものには答えないということもできます。
これに加え、裁判官からは、答えた内容は有利にも不利にも考慮されることを注意されます。
ちなみに、被告人質問の際の被告人の受け答えは、それそのものが裁判の証拠として利用されるため、有利不利を問わないのです。

④罪状認否
ここまでを踏まえて、裁判官から、まず被告人に対し、読み上げられた起訴状に間違いがないか確認されます。
これを罪状認否といい、同様の質問は、弁護人に対してもたずねられます。

◇公判手続きの流れ~証拠調べ~◇

①冒頭陳述
まず、検察官が証拠により証明しようとする事実を読み上げます。これを冒頭陳述と言います。
冒頭陳述の内容は、起訴状よりも詳しい犯行態様や、起訴状に記載されていなかった犯行に至る動機、被告人の性格等となります。

②証拠調べ手続
次に、検察官が証拠を提出します。
最初に書類や物が提出され、書類の内容が読み上げられたり、物が裁判官に提示されたりします。
そしてその次に、弁護人が証拠を提出することとなります。
書面の証拠調べが終わると、証人が呼ばれ、証人尋問が行われます。
ただ、被告人が罪を認めている事件で検察官が証人を請求することはまれで、多くは弁護人が請求することになります。

③論告・求刑
証拠調べが終わると、検察官が事件に対する見方などを説明します。
これが論告です。
そして、論告の最後には、被告人に科すべき刑を述べることとなっています。

④最終弁論・意見陳述
そして、弁護側も事件に対する見方を説明します。
被告人が罪を認めている事件であっても、被告人に有利な事情を述べ、少しでも処分が軽くなるように意見を述べることとなります。
弁護人が意見を言い終わると、最後に被告人自身が発言する機会を与えられ、事件に対する意見を述べます。
 
被告人が罪を認めている事件の場合、ここまでを1回の裁判で終わらせます。
時間としては40分程度になることが多いです。
もちろん、被告人が争っている場合や、認めていても事件が複数個ある場合などには、複数回の裁判が開かれることとなります。

◇公判手続きの流れ~判決~◇

公判の最後に行われるのが、判決言渡しです。
判決言渡しは、被告人が意見陳述をした日とは別の日に行われます。
判決言渡しの日には、判決を言い渡した後、14日以内に控訴できる旨を伝え、そのまま裁判が終了となります。

◇公判手続きの特例~即決裁判手続~◇

上記した公判手続きの流れではなく、判決の言い渡しまでが一日で終わる公判手続きがあります。
それが即決裁判手続きです。
即決裁判手続きは
①軽微な犯罪であること
②事案自体も軽微で明白であること
③証拠調べが速やかに終了すること
④被疑者の同意があること
⑤弁護士が選任されていること
等の条件を満たした場合にのみ行うことができます。

渋谷区の刑事事件や、東京地方裁判所での刑事裁判(公判)でお困りの方は、これまで多くの刑事裁判において弁護人を務めてきた実績のある弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
刑事裁判(公判)に関するご相談は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

家出少女に対する未成年者誘拐事件

2019-12-17

家出少女に対する未成年者誘拐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

東京都足立区のワンルームマンションで一人暮らしをしている会社員のAさんは、半年ほど前から16歳の女子高生とSNS上でやり取りをしています。
2週間ほど前に、女子高生が母親と喧嘩して家出したことを知ったAさんは、親切心から、この女子高生を自宅マンションに寝泊まりさせています。
相手が未成年の女子高生であることからAさんは気を使い、自分はソファーで寝泊まりし、女子高生にベッドを使わせており、わいせつな行為は一切していませんでした。
しかし昨日、Aさんは、女子高生の両親から届を受けて捜査していた警視庁綾瀬警察署の捜査員によって未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

◇未成年者略取(誘拐)罪◇

未成年者略取(誘拐)罪とは、未成年者をその生活環境から離脱させて、犯人もしくは第三者の事実的支配下に移すことにより成立する犯罪です。
略取(誘拐)罪は、略取(誘拐)された被害者の自由を守るためにある法律ですが、未成年者略取(誘拐)罪にあっては、それだけでなく、親権者等の保護監督権を守るための法律でもあります。
つまり、今回の事件のように、女子高生が自らの意思でそれまでの生活環境から離脱して、第三者の事実的支配下に入ったとしても、親権者である両親の承諾がなければ、両親の保護監督権を侵害することとなり、未成年者略取(誘拐)罪が成立する可能性があるので注意しなければなりません。

◇略取と誘拐の違い◇

未成年者略取罪未成年者誘拐罪も、未成年者をその生活環境から離脱させて、犯人もしくは第三者の事実的支配下に移すことにより成立する犯罪に違いありませんが、略取罪と誘拐罪では、その手段に違いがあります。
「略取」とは、犯行の手段として暴行や脅迫を用いる場合であり、「誘拐」とは欺罔や誘惑を用いる場合です。

◇なぜ犯罪になるの?◇

どうしてAさんの行為が犯罪になるの?と疑問を持つ方もおられるかもしれません。
誘拐とは、虚偽の事実をもって相手を錯誤に陥れる場合のほか、その程度にまで至らなくても、甘言をもって相手方の判断を誤らせた場合でも未成年者誘拐罪の「誘拐」に当たります。
特に相手が未成年の場合は、判断力が未熟であるが故に、正しい判断をするのが難しく、そんな未成年に対して「よかったらウチに泊っていってもいいよ。」と言えば、それは、この法律でいう誘拐となり、未成年者誘拐罪が成立する可能性が高いです。

◇「故意」について◇

未成年者略取(誘拐)罪が成立するには、行為者に、相手が未成年であることの認識が未必的にでも必要となりますが、親権者等の保護監督権侵害の事実までを認識する必要はありません。
この法律の特徴は、その成立に特定の動機や、目的の存在を必要としないことです。
たとえ動機が憐憫の情いよる場合や保護あるいは養育する目的であっても、不法に相手方を実力支配下に置く意思があれば、未成年者略取(誘拐)罪が成立します。

東京都足立区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が未成年者略取(誘拐)罪で警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
刑事事件に強い弁護士の無料法律相談や初回接見サービスのご用命は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

小学校の女子トイレを盗撮

2019-12-13

小学校の女子トイレにおける盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇盗撮事件◇

板橋区内で水道管工事を専門にする工務店を営んでいるAさんは、数年前から、板橋区内にある小、中学校の水道管の点検補修工事を請け負っています。
Aさんは定期的に学校を訪ねて、トイレ等の配管の点検補修作業をしているのですが、1週間前に、点検作業で訪れた小学校の女子トイレに、盗撮用の小型カメラを設置していました。
そして昨夜、小学校に忍び込んでカメラを回収しようとしましたが、カメラが無くなっていたのです。
Aさんは、警察に逮捕されるのではないかと不安で、東京都内で刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談しました。
(フィクションです)

◇盗撮行為◇

盗撮行為は、東京都の迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)で禁止されています。
東京都の迷惑防止条例で禁止されている盗撮行為は以下のとおりです。

~第5条1項2号~

イ.住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣類の全部または一部を着けない状態でいるような場所
ロ.公共の場所、公共の乗り物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗り物

において、通常衣類で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
(東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」から抜粋)

~よくある盗撮事件~

最近は、誰もがカメラ機能付きのスマートフォンを利用しており、また技術の進歩によってカメラの性能が向上し、カメラ自体も小型化されてきているため、ちょっとした出来心で、盗撮行為に及んでしまう方が少なくありません。
そのため、盗撮事件を起こして警察に検挙される方も増加傾向にあり、利用客の多い主要駅や、商業施設では、盗撮犯人を検挙するために私服警察官が警戒に当たっているので注意しなければなりません。
東京都内の刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」では、これまで
・駅や、デパート等の階段、エスカレーターで女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮した。
・会社等の女性更衣室に盗撮用のカメラやスマートフォンを設置し、女性が着替えている状況を盗撮した。
・派遣型性風俗店を利用した際に、自宅や、ホテルで性サービスを受けている状況を盗撮した。
といった様々な盗撮事件の弁護活動を行っています。

~盗撮事件の量刑~

盗撮行為で起訴されて有罪判決を受けると「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられます。
初犯であっても、被害者と示談ができなければ略式起訴されて罰金刑が科せられる可能性が高く、再犯を繰り返すと、起訴されて刑事裁判で処分が言い渡さる可能性が高くなります。
逆に、被害者と示談し許しを得ることができれば、再犯であっても不起訴処分といったかたちで前科を免れれる可能性があります。

◇Aさんの事件を検討◇

Aさんの事件を検討します。
すでに仕掛けたカメラを回収されていたので、実際に盗撮できているかは分かりませんが、東京都の迷惑防止条例では、便所に盗撮用のカメラを設置することが禁止されているので、小学校の女子トイレにカメラを設置したAさんの行為は、東京都の迷惑防止条例の第5条1項2号のイに抵触します。

また、東京都の迷惑防止条例違反以外にも、Aさんの行為は以下の法律に抵触する可能性があります。

~迷惑防止条例以外で抵触する可能性のある法律~

◆◆児童ポルノ法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)違反◆◆

設置したカメラに小学生の排泄等の状況が撮影されていた場合は、児童ポルノ法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)に抵触する可能性があります。
児童ポルノ法では、衣類の全部または一部を着けない18歳未満の者の姿態であって、殊更に性的な部位が露出又は強調され、かつ性欲を興奮させ又は刺激するものを「児童ポルノ」と定義しています。
そして児童ポルノ法では、児童ポルノを密かに製造することを禁止しているのですが、小学生の排泄状況を盗撮する行為は、これに該当する可能性が高いです。
児童ポルノ法違反が適用された場合の罰則規定は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と、東京都の迷惑防止条例違反よりも重いものです。

◆◆建造物侵入罪(刑法第130条)◆◆

盗撮用のカメラを設置した際は、トイレの配管工事という名目があったので、建造物侵入罪でいう「正当な理由がない」に該当しないかも知れませんが、少なくとも、設置した盗撮用カメラを回収に小学校に忍び込んだ行為は「建造物侵入罪」が適用されるでしょう。
建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

板橋区の刑事事件でお困りの方、小学校のトイレに盗撮用カメラを設置した事件でお悩みの方は、東京で刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
初回法律相談:無料

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