Archive for the ‘刑事事件’ Category
嘱託殺人罪で逮捕
嘱託殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
東京都大田区に住む会社員A子さんには、十年近く交際している男性がいます。
この男性は、数年前にがんを発症し、それ以来、抗がん剤治療を行っていますが、薬の副作用等で精神的に不安定で、将来に悲観的になっています。
ある日、A子さんは、交際相手の男性から「もうこれ以上生きていくのは苦しい。薬を飲んで寝ている間に首を絞めて殺してくれないか。」と懇願されたので、A子さんは、寝ている交際相手の首を絞めて殺害しました。
そしてA子さんは、自ら警視庁蒲田警察署に自首したのです。
嘱託殺人罪で逮捕されたA子さんの両親は、刑事事件に強いと評判の弁護士に、A子さんの刑事弁護を依頼しました。(フィクションです)
◇嘱託殺人罪◇
刑法第202条に、自殺関与及び同意殺人についての規定があります。
同意殺人とは、本人の意思に反しない死の惹起に関与する行為を処罰するものです。
同意殺人は、嘱託殺人罪と承諾殺人罪に分かれます。
嘱託殺人罪とは、被殺者から行為者に対して自らの殺害を依頼して、その依頼に基づいて行為者が被殺者を殺害する事です。
当然、被殺者の自らの殺害依頼は、被殺者の真意に基づき、かつ明示的なものでなければならず、これらが欠けての殺害行為は、刑法第199条の殺人罪が成立します。
嘱託殺人罪は、被殺者による、自身に対する殺人教唆に基づく殺人罪とみることができます。
続いて承諾殺人罪ですが、これは行為者が被殺者に殺害を申し出て、行為者が被殺者の承諾を得て殺害する行為です。
承諾殺人罪は、被殺者による被殺者本人に対する殺人幇助に基づく殺人罪とみることができます。
ちなみに被殺者の承諾は、殺害行為の前になされていなければなりませんが、それは必ずしも明示的である必要はなく、黙示的でもよいとされています。
嘱託殺人罪で起訴されると、6月以上7年以下の懲役又は禁固が科せられる可能性がありますが、被害者の同意を得て、被害者の真意に基づいての殺害行為であることから、刑法第199条の殺人罪に定められた「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」に比べると相当軽い処罰規定となっています。
◇初回接見◇
ご家族、知人が嘱託殺人罪で逮捕された方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼する事をお勧めします。
刑事事件を専門に扱う、法律に精通した弁護士から取調べのアドバイスを受けていただく事によって、逮捕された方の不安を取り除く事ができます。
特に嘱託殺人罪は、「人を殺す」という行為では殺人罪と変わらないため、取調べにおいて供述する内容は注意しなければなりません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、電話で初回接見を依頼していただく事ができ、刑事事件に強い弁護士が即日対応いたします。
東京都大田区で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が嘱託殺人罪で逮捕されて、初回接見をご希望の方は、刑事事件専門弁護士事務所「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部」にご連絡ください。
東京都大田区を管轄する警視庁蒲田警察署までの初回接見のご用命はフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
警視庁蒲田警察署への初回接見費用:37,500円
携帯電話の不正譲渡
携帯電話機の不正譲渡事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
~事件~
八王子市でイベント運営会社を経営しているのAさんは、複数の携帯電話会社と法人契約し、自身が代表を務める会社名義で携帯電話機を複数台契約しています。
そして、この携帯電話機を、他人に有償で貸し出し小遣い稼ぎをしているのです。
ある日、Aさんが契約している携帯電話機が犯罪に利用されたとして、警視庁八王子警察署の警察官から連絡がありました。
Aさんは、自分の行為が何かの犯罪に抵触しているのではないかと不安で、東京で刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に法律相談しました。(フィクションです。)
携帯電話会社の承諾を得ずに、自身が契約している携帯電話機を、他人に有償で譲渡すれば、携帯電話利用防止法違反に当たります。
今回は、携帯電話不正防止法を東京の刑事事件に強い弁護士が解説します。
◇携帯電話不正利用防止法◇
携帯電話不正利用防止法とは「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」の略称です。
この法律は、実際に誰が使用しているのか分からない携帯電話機が、振込め詐欺等の犯罪に利用されている実態にかんがみて、この様な匿名携帯電話機を規制することを目的に施定されました。
携帯電話不正利用防止法では
・携帯音声通信事業者(以下「携帯電話会社」とする)に対して、役務提供契約締結時及び譲渡時に、契約者の本人確認を義務付ける
・契約者が、本人確認時に虚偽の氏名等を申告することを処罰の対象とする
・携帯電話会社に無断で、業として有償で通話可能な携帯電話等を譲渡することを処罰の対象とする
・自己が契約者となっていない通話可能な携帯電話等を譲り渡し又は譲り受けることを処罰の対象とする
・相手方の氏名等を確認せずに、業として有償で通話可能な携帯電話等を貸与することを処罰の対象とする
・通話可能な携帯電話等が一定の犯罪に利用された場合等において、警察署長からの求めを受けて、携帯電話会社が契約者等を確認することができる
・携帯電話会社は、契約者が本人確認に応じない場合等は、役務の提供を拒むことができる
こと等が規定されています。
◇無断譲渡の禁止◇
携帯電話不正利用防止法の第7条第1項では、携帯電話会社の承諾なく、自身が契約した携帯電話機を、親族又は生計を同じくしている者以外の、第三者に譲渡することを禁止しています。
この規定に違反して、業として有償で携帯電話機を第三者に譲渡すれば「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」の罰則が規定されており、懲役刑と罰金刑が併科されることもあります。
この規定は、携帯電話等が事業者に無断譲渡されることによって、事業者による契約者の把握が困難になることを防止するために定められており、こういった規定を設けることによって、使用者が分からない、いわゆる匿名携帯電話が犯罪者の手に渡り、犯罪に使用されることを未然に防ごうとしています。
携帯電話不正利用防止法では、携帯電話機の無断譲渡に関して、上記以外にも
①自己が契約者となっていない携帯電話機を他人に譲渡すること
②譲渡者が契約者となっていないことを知りながら、当該携帯電話機を譲り受けること
③上記①②の禁止行為を業として行うこと
を禁止しており、①②に関しては「50万円以下の罰金」が③には「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は、これらの併科」の罰則が規定されています。
振り込め詐欺をはじめとしたあらゆる犯罪において携帯電話が使用されるケースが多々あることから、警察等の捜査機関は、携帯電話の契約者を把握し、通話記録を取得するなどといった捜査を必ず行っているといいます。
Aさんの事件も、そういった捜査過程で発覚したものと思われますが、携帯電話不正利用防止法違反事件は、こういった別件の犯罪捜査から発覚するケースがほとんどなので注意しなければいけません。
八王子市の刑事事件でお困りの方、携帯電話不正利用防止法違反事件で警察の捜査を受けている方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
スナックの無許可営業
スナックの無許可営業について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
~事件~
Aさんは、東京都北区の繁華街で、風俗営業の許可が必要なスナックを無許可で営業していたとして、警視庁赤羽警察署に逮捕されました。
5年ほど前にお店をオープンした当初、Aさんは、居酒屋の営業をしていましたが、売り上げが伸び悩み、2年ほど前から女性スタッフを雇い、お客さんの横に座らせてお酌をするスナック形式での営業を始めました。
このように営業形態を変更したところ売り上げが伸び始めたので、1年前からは店内を改装し、照明器具を取り付けたり、ボックス席を設ける等したのですが、Aさんは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で義務付けられている、スナック営業の許可を届け出ていませんでした。
Aさんは、半年ほど前に、警視庁赤羽警察署の立ち入り検査を受け、無許可営業であることを警告されていましたが、その後も許可を得ず営業を続け、今回の逮捕に至ったようです。
(フィクションです)
◇風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律におけるスナック◇
風営法とは、正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という名称の法律で、通称として「風営法」や「風適法」と呼ばれています。
風営法上で規制されている業態としては、
①第1号営業:キャバクラやホストクラブ等顧客を接待する飲食店
②第2号営業:照度10ルクス以下の飲食店
③第3号営業:客席の広さが5㎡の飲食店
等が挙げられます。
また、パチンコ店やゲームセンター等が風営法上の規制の対象となっており、その他性風俗店やダンスクラブも規制の対象となっています。
ただし、スナックの場合には線引きが難しい場合があり、接待を含まない場合には風俗営業とは認められないことがありますが、実際は大半の場合風俗営業とみなされます。
◇許可が必要なスナック営業~接待~◇
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律では、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を風俗営業の「接待」とし、許可を得ずに接待することは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反に当たるとしています。
「接待」とは、警察庁の「解釈運用基準」で定められており、法律によって明確化されているものではありません。
この運用基準では
①談笑やお酌をする
②ショーを見せる
③カラオケでデュエットしたり、客の歌に手拍子をとり拍手する
④ダンスをさせる
などが接待に当たるとしていますが、客のタバコに火をつけたり、おしぼりを手渡すことも接待行為に該当すると判断されて、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の適用を受けることがあるので注意しなければなりません。
◇スナックの無許可営業で逮捕されると◇
接待を含むスナックを無許可で営業していた場合、風営法に違反する行為となります。
逮捕後に起訴され有罪判決を受けると、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又は懲役と罰金の併科」が科せられることになります。
また、その他行政上の処分が下され、一定期間店の営業ができなくなる場合があります。
◇無許可営業の弁護活動◇
刑事事件の弁護活動としては、被害者との示談交渉がありますが、風営法の無許可営業は被害者がいないため示談することはできません。
ですので主な弁護活動としては
①弁護士を通じて反省していることを捜査機関に示す(刑事罰の軽減を求める)
②事実関係を正直に話し、早期の身柄解放を求めること(早期身柄解放)
等があります。
詳しい弁護活動に関しては一度弁護士に相談することをお勧めします。
東京都北区の刑事事件でお困りの方、ご家族やご友人がスナックの無許可営業で逮捕された方、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁赤羽警察署までの初回接見費用:36,400円
万引き犯に対する逮捕監禁事件
万引き犯に対する監禁事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは小金井市でコンビニを経営しています。
数ヶ月前から、中高生による万引き事件がコンビニで頻発しており、Aさんは、お店を管轄する警視庁小金井警察署に被害届を提出していますが、いっこうに被害が減らず困っています。
そんな中、Aさんは、3日前に、菓子類を万引きした中学生を捕まえました。
まだ13歳だったので警察に引き渡しても大した処分にならないと思ったAさんは、万引きした中学生の腕を掴んでお店の事務所に連れて行き、そこで約2時間にわたって説教したのです。
その間Aさんは中学生に対して「普段から万引きしているやろ。万引きしている友達の名前を教えろ。言わないと、中学校に連絡するぞ。」等と申し向けており、中学生はしきりに「帰らせてくれ。」と懇願し、事務所から出て行こうとしましたが、Aさんは、中学生の腕を掴んで無理矢理椅子に座らせました。
そしてその後、中学生が泣き始めたので、Aさんは「明日、親と一緒に来い。」と言って、中学生を帰らせたのです。
この事実を知った中学生の親が、Aさんの行為が逮捕監禁罪に当たると警視庁小金井警察署に被害届を提出したようです。
(フィクションです)
◇逮捕監禁罪◇
逮捕罪・監禁罪は、「不法に人を逮捕し、又は監禁する」ことによって成立します。
「逮捕」とは、直接的に人の身体を拘束して、その行動の自由を奪うことです。
「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能又は著しく困難にすることをいい、その方法は有形的であるのと無形的であるのとを問いません。
また逮捕監禁罪は、継続犯ですので、身体の拘束状態が時間的に多少継続していなければ成立しません。
◇逮捕行為◇
万引きした中学生の腕を掴んで事務所に連れて行ったAさんの行為が「逮捕」に当たります。
そこで問題になるのが、この逮捕行為が適法であるかどうかです。
刑事訴訟法で、一般人であっても現行犯逮捕できることが規定されています。
Aさんからすれば、中学生は正に万引き(窃盗罪)の現行犯人であるから、この逮捕行為は適法であるかのように思われますが、一般私人に現行犯人の逮捕を許しているのは、あくまで逮捕後において、直ちに犯人を、検察官又は司法警察職員に引き渡すことを前提としているからであり、この意思なく逮捕することは許されません。
ですからAさんが、万引きした中学生を警察に引き渡す意思がなく、逮捕したのであれば、この逮捕行為は違法になるおそれがあるのです。
◇監禁行為◇
続いて、Aさんが事務所に中学生を連れて行き、そこで約2時間にわたって、取調べともいえる説教をした行為に、監禁罪が適用されるかを検討します。
監禁罪でいう「監禁」とは不法に監禁することです。
取調べの権限を有しないAさんが、逮捕行為に継続して、帰らせてくれと言う中学生を無理矢理留め置いて、取調べともいえる説教をした上に、この中学生に対して「言わないと、中学校に連絡するぞ。」と申し向けたり、帰ろうとする中学生の腕を掴んで、それを阻止する行為は、脅迫や暴行とも捉えかねません。
そしてこの様なAさんの行為によって、中学生が心理的圧迫を受けて事務所から脱出できなかったとなれば、Aさんの行為に監禁罪が適用されるおそれがあります。
人を違法に逮捕し、引き続いてこれを監禁した場合には、包括して刑法第220条第1項の単純一罪が成立するので、Aさんの行為は、逮捕監禁罪に当たる可能性が高いでしょう。
逮捕監禁罪の法定刑は、3月以上7年以下の懲役です。
起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内の刑事罰が言い渡されるのですが、今回の事件の背景を考えれば、Aさんが警察等捜査機関の取調べを受けることがあっても、起訴される可能性は非常に低いと思われます。
小金井市の刑事事件でお困りの方、逮捕監禁罪で警察の取調べを受けてお困りの方は、東京で刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁小金井警察署までの初回接見費用:36,800円
恐喝罪と強盗罪の違い
恐喝事件と強盗事件の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
無職のAさんは、知人の女子高生と共謀し美人局を繰り返して遊ぶ金を得ていました。
女子高生と出会い系サイトで知り合い、性交渉等をした男性を「俺の女に手を出したな。援助交際したことを黙っていてほしければ金を出せ。」等と脅して、金銭を喝取していたのです。
お金の支払いを拒否した男性に対しては、暴行を加える等して、現金を強取することもありましたが、Aさんは、援助交際をしている弱みがあるので男性が警察に届け出ないと信じていました。
2日前に、共犯の女子高生が警視庁荒川警察署に強盗罪で逮捕されたことを知ったAさんは、恐喝罪ではなく、強盗罪が適用されていることに驚き、東京の刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
◇恐喝罪~刑法第249条~◇
恐喝罪とは、暴行、脅迫を持ちて被害者を畏怖させて金品の交付を受ける事です。
暴行、脅迫の程度は人を畏怖の念を生じさせる程度とされており、恐喝罪が成立するには、犯人の恐喝行為と、被害者の畏怖、金品の交付行為の間に因果関係がなければなりません。
例えば、犯人から脅迫された被害者が、畏怖する事はなかったが、犯人に対する哀れみの情から金品を交付した場合は、それぞれに因果関係が認められず、恐喝未遂罪が成立するにとどまるのです。
ちなみに恐喝罪での「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる「害悪の告知」ですので、必ずしも被害者本人に対するものである必要はなく、友人や家族等被害者以外に対する害悪の告知であっても、被害者が畏怖すれば「脅迫」となります。
また、害悪の内容それ自体が違法なものである必要はありませんので、Aさんの、「援助交際したことを黙っていてほしければ金を出せ。」という文言によって、被害者が畏怖したのであれば、Aさんの行為に恐喝罪が適用されることは間違いないでしょう。
恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
◇強盗罪~刑法第236条~◇
強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取したり、財産上不法の利益を得ることによって成立します。
一見すると、恐喝罪とよく似た犯罪行為ですが、相手方の任意の財産的処分行為に基づく財物の交付又は財産上の利益の移転を受ける恐喝罪とは異なり、暴行、脅迫の程度が、相手方の反抗を抑圧する程、強いものである事が必要とされています。
相手方の反抗を抑圧する程度については、相手方が精神的あるいは身体的に自由を失うに至る程度とされていますが、完全に制圧するまで強いものでなくても、その自由が著しく制圧された状態に陥れば足りるとされています。
強盗罪は非常に重い罪で、もし強盗罪で起訴されて有罪が確定すれば5年以上の有期懲役が科せられることとなります。
◇恐喝罪と強盗罪の違い◇
確かに、「暴行若しくは脅迫を用いて他人の財物を奪う」という点では強盗罪と恐喝罪は同じですが、暴行、脅迫の程度によって、この二罪は異なります。
分かりやすく説明しますと、被害者が抵抗できないほど、暴行、脅迫の程度が強かった場合は強盗罪で、被害者が恐怖に陥る程度の暴行、脅迫の場合は恐喝罪と判断されます。
法律的には「相手方の反抗を抑圧する程度」という少し難しい言葉が使われて、強盗罪と恐喝罪の暴行、脅迫の程度を区別しています。
◇弁護活動◇
恐喝罪と強盗罪の法定刑には、罰金の罰則が規定されていないため、起訴された場合は、無罪若しくは実刑判決(執行猶予を含む)となります。
そのため、これらの事件の弁護活動は起訴されない事(不起訴)が重要なポイントとなります。
起訴、不起訴は検察官が決定するのですが、決定するまでの期間は、勾留された場合で、勾留決定日から10日~20日、不拘束で警察の取調べを受け、書類だけが検察庁に送致された場合は、起訴までの期限は定められていません。
いずれにしても、起訴されない(不起訴)となる為には、早急に被害者等と示談する事が重要となるので、恐喝事件や強盗事件を起こしてしまった方は、一日でも早く弁護士に相談する事をお勧めします。
東京都荒川区における刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が恐喝事件若しくは強盗事件で警察に逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁荒川警察署までの初回接見費用:37,100円
あおり運転と威力業務妨害罪②
あおり運転と威力業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
~事件~
1週間前に、会社員のAさんは東京墨田区内で車を運転中に、前方を走行していた運送会社の軽トラックが低速で走行することに腹が立ち、この軽トラックを追い越して軽トラックの前に車を停止させました。
そして軽トラックの運転手に文句を言ってやろうと車を降りて、運転手に対して「トロトロ運転するな!邪魔じゃ!」と怒鳴ったのです。
その後Aさんは車に乗り込んでその場を走り去りましたが、今朝、警視庁向島警察署の警察官から電話があり「急ブレーキをかけたことで、軽トラックを急停止して荷崩れを起こし、配送しようとしていた荷物が壊れた。」と言われ、出頭命令を受けました。
Aさんは、軽トラックの運転手を注意するために車を止めただけであって、自分の行為が刑事罰の対象になることに納得ができず、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)
◇威力業務妨害罪~刑法第234条~◇
威力を用いて人の業務を妨害すれば、威力業務妨害罪が適用されます。
威力業務妨害罪は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則が定められています。
威力とは
威力業務妨害罪でいう「威力」とは、人の意思を制圧する勢力を意味し、暴行や脅迫がその典型です。
威力に該当するかどうかは、それが客観的にみて人の自由意思を制圧するに足るものであるかどうかによって判断されますが、現実に、被害者が自由意思を制圧されたことまでは必要とされていません。
業務とは
また威力業務妨害罪で保護されている「業務」とは、営利目的、経済的なものである必要はなく、社会生活上の地位に基づき継続して行う事務の事です。
故意
威力業務妨害罪は故意犯ですので、法律的には、成立に業務を妨害する故意が必要だとされています。
どのような業務を妨害するのかまでの具体的な認識がないにしても、自分の行為(威力)が何らかの業務を妨害している程度は認識していなければ、威力業務妨害罪の成立は難しいでしょう。
ただこれまでに威力業務妨害罪の成立を認めた事件を検討すると、威力とされる暴行や脅迫の行為に対する認識(故意)が認められれば、業務妨害罪が成立している事件もありますので、威力業務妨害罪の故意について疑問のある方は、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
◇Aさんの事件を検討◇
まずAさんが、軽トラックの前に割り込んで急ブレーキをかけ、軽トラックを急停止させた行為については、あおり運転として暴行罪が適用される可能性が非常に強いでしょう。
特に、最近はあおり運転に対する警察等の捜査当局は厳しい対処をしているため、例え、軽トラックの運転手を注意するためにした行為だとAさんが主張したとしても、その行為によって軽トラックの運転手や周囲の交通に危険が及んでいた場合は、あおり運転とみなされるでしょう。
そして、このAさんのあおり運転(暴行行為)によって、軽トラックが急停止し、配送中の荷物が壊れています。
「Aさんのあおり運転(暴行)」⇒「軽トラックが急ブレーキ」⇒「荷物が損壊」⇒「業務が妨害された」と、この構図を見ればそれぞれの結果に因果関係が認められるため、Aさんの行為に威力業務妨害罪が適用される可能性は十分に考えられるでしょう。
しかし、Aさんに、軽トラックの運転手の業務を妨害する意思があったのかと問われれば、疑問が残ります。
Aさんが、軽トラックを停止させて長時間その場にとどめおいた場合だと、自らの行為が業務を妨害したと認めざるを得ませんが、今回の事件で、急停止させたことによって荷物が破損することまで認識するのは難しいのではないでしょうか。
もしAさんが、この結果を予測できなかったと認められた場合は、威力業務妨害罪の適用は難しいと考えられます。
ちなみに、タクシーの前に急に割り込むあおり運転によって、タクシーに乗車していた高齢の女性が軽傷を負った事件では、あおり運転の運転手が威力業務妨害罪で警察に逮捕されています。
あおり運転に対して、威力業務妨害罪が適用されるのは極めて稀なケースではありますが、警察等の捜査当局が、少しでも厳しい罰則を科せることができる法律を適用してあおり運転の取締りを行っている現状を考慮すれば、今後も、あおり運転にあらゆる法律が適用される可能性があります。
東京都墨田区の刑事事件でお困りの方、あおり運転による威力業務妨害罪の適用に疑問がある方は、刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
あおり運転と威力業務妨害事件①
あおり運転と威力業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
~事件~
1週間前に、会社員のAさんは東京都墨田区内で車を運転中に、前方を走行していた運送会社の軽トラックが低速で走行することに腹が立ち、この軽トラックを追い越して軽トラックの前に車を急停止させました。
そして軽トラックの運転手に文句を言ってやろうと車を降りて、運転手に対して「トロトロ運転するな!邪魔じゃ!」と怒鳴ったのです。
その後Aさんは車に乗り込んでその場を走り去りましたが、今朝、警視庁向島警察署の警察官から電話があり「急ブレーキをかけたことで、軽トラックを急停止して荷崩れを起こし、配送しようとしていた荷物が壊れた。」と言われ、出頭命令を受けました。
Aさんは、軽トラックの運転手を注意するために車を止めただけであって、自分の行為が刑事罰の対象になることに納得ができず、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)
◇あおり運転◇
近年、あおり運転による事件、事故が世間を騒がせています。
2年前に、東名高速道路であおり運転に起因する死亡事故が起こってから、あおり運転が社会問題となっています。
警察等の捜査当局は、この事態を重く受け止めており、あおり運転(道路交通法違反)の摘発だけだなく、あおり運転に起因する事件、事故に対してあらゆる法令を適用して厳しい取り締まりを行っています。
そのため、このコラムにおいても「あおり運転」を何度か特集し注意を呼び掛けてきましたが、警察が摘発するあおり運転の件数は倍増しているようです。
◇あおり運転とは◇
一言に「あおり運転」と言っても、どの様な行為があおり運転になるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこでまず初めに「あおり運転」に該当する可能性のある代表的な行為をいくつか紹介します。
(1)車間距離を詰める等の急接近や、幅寄せ
典型的なあおり運転の行為が、走行中の車に対する急接近や幅寄せです。
(2)急な割り込み
追い越し車線等から、走行中の車の前方に急に割り込む行為もあおり運転となるおそれがあります。
(3)急ブレーキ
走行中の車の前方で急ブレーキをかける行為は、後方の車が追突するおそれがる危険な行為で、あおり運転となります。
(4)パッシングやハイビーム、クラクション
走行中の車の後方から、パッシングを繰り返したり、ハイビームのまま走行する行為、クラクションを何度もならせば、相手を威嚇する行為として、あおり運転となる可能性があります。
(5)追随
走行中の車を追い回す追随行為は、相手を威嚇するだけなく、動揺した相手運転手が交通事故を起こしかねない危険な行為で、あおり運転となる可能性があります。
◇道路交通法違反◇
上記のようなあおり運転に対してまず適用されるのが道路交通法違反です。
あおり運転に適用される道路交通法で、代表的なものは「車間距離不保持」です。
そもそも道路交通法第26条では「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない(道路交通法第26条抜粋)」と、運転者には、安全な車間距離を保持することを義務付けています。
通常の違反ですと、車間距離不保持は、交通反則通告制度の対象ですので行政罰の対象となりますが、違反態様が悪質な場合等で刑事事件化された場合、その法定刑は
・高速道路における違反
3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
・一般道の場合にも
5万円以下の罰金
です。
◇道路交通法以外の適用◇
暴行罪~刑法第208条~
人に対する不法な有形力を行使したときに適用されるのが暴行罪です。
上記したようなあおり運転の行為が「不法な有形力の行使」として捉えられて暴行罪が適用されることがあります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」ですので、上記した道路交通法違反(車間距離不保持)が適用されるよりも厳しい刑事罰が科せられる可能性が大です。
傷害罪~刑法第204条~
暴行によって人が傷害を負えば傷害罪が適用されます。
傷害罪は、上記の暴行罪の結果的加重犯として規定されている法律で、相手に傷害を負わせる意思は必要ありませんので、あおり運転によって、相手運転手が怪我をした場合「傷害罪」が適用される可能性があります。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と厳しいものです。
危険運転致死傷罪
東名高速道路で起こった事件の運転手には危険運転致死傷罪が適用されて、一審では「懲役18年」の判決が言い渡されました。(控訴中)
危険運転致死傷罪は、著しく危険な運転により事故を起こした場合に適用される法律で、その法定刑は、被害者が負傷した場合には「15年以下の懲役」、被害者が死亡したときには「1年以上の有期懲役」と、非常に厳しいものです。
明日は、Aさんに適用された威力業務妨害罪について解説します。
業務上横領事件の示談交渉
警察が未介入の業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件~警察未介入の業務上横領事件~◇
Aさんは、東京都千代田区にある会社で経理を担当していました。
Aさんの業務は、営業などの社員が持ってきた領収書を受け取り、帳簿に記載した上、自分の管理する小口からその金額払い出し、現金を社員に手渡すといったものでした。
Aさんの会社はそれほど規模が大きくないものの、営業が活発に動いていたため、かなりの数の領収書があり、Aさんの上司である課長からは、1万円以内の領収書であれば、上司である課長の許可なく払い戻しても構わないが、1万円を超える領収書については必ず課長の許可をとるようにと言われていました。
ある日Aさんは、自分が私用で食べた1万円以下の飲食費について、営業の社員が接待で使ったかのように装い、会社の小口から払い戻すという不正を行いました。
この不正がばれないかったことから、Aさんは定期的に同様の行為を行い、1万円以下の領収書が出るたびに同じようなことをしていました。
しかし、あるとき、課長があまりにも飲食費が多くなっていたことに気づき、営業の社員に訪ねて回ったところ、Aさんの行為が発覚してしましました。(フィクションです)
◇横領について◇
まず、Aさんの行為にはどのような罪が成立するのでしょうか。
Aさんは、自己の職務の一環として、小口現金を管理しています。また、1万円以下の領収書については、課長など上司の許可なく、自らの権限で払い戻しをすることができるような状態でした。しかし、もちろんですが、Aさんが私用で食べた飲食費を会社小口から出すことは許されていません。
このように、業務上、自身が占有(管理)している現金を、許されていないような場合に払い戻すと、業務上横領罪が成立する可能性が十分にあります。業務上横領罪に該当する場合には、10年以下の懲役が法定刑として定められており(刑法253条)、非常に重い罪となっています。
◇業務上横領の刑事罰◇
業務上横領罪は窃盗罪と異なり、罰金刑の定めがありません。窃盗罪など罰金刑のある罪の場合には、起訴されてしまう場合にも、公開法廷ではなく、書類だけ裁判所に送られるという略式手続というものがあり、負担が少ない方法が選択される場合もあります。これに対し、業務上横領罪で起訴されてしまうときには、必ず公判請求、つまりテレビで普段目にするような法廷での裁判となります。
そのため、業務上横領罪では、窃盗罪以上に不起訴を目指す必要性が高くなります。
◇業務上横領罪の量刑相場◇
業務上横領罪で起訴された場合で、初犯(前科がない場合)である場合には、横領の方法や、本人の反省の程度などにもよりますが、概ね横領額(正確には、その段階で弁済できていない被害金額)が100万円を上回ると、実刑判決の可能性がでてきます。
そのため、仮に起訴されてしまうような場合でも、1円でも多く弁済することが必要となります。
◇業務上横領罪の弁護活動◇
業務上横領罪の弁護活動で必要となることは、被害者に対して示談交渉をし、できる限りの弁済を行うことです。
事件発覚直後の会社の対応は、感情的になることもありますし、会社の顧問弁護士が出てきて、いきなり支払いを求められるといったこともあります。
そのため、自分自身で被害弁償のための示談交渉をしようとしても、一切取り合ってもらえなかったり、反対に十分な情報を教えてもらえなかったりすることもあります。
きっちりと被害弁償を行うためには、第三者である弁護士に依頼をして、会社と交渉をすることが必要不可欠です。
東京都千代田区の業務上横領事件でお困りの方、警察未介入の業務上横領事件で早期示談を求める方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
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外国における刑事事件
外国における刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
大学院に通うAさん(24歳)は、昨年までの3年間、アメリカに語学留学していました。
アメリカに留学している間、Aさんは、同じ留学生の日本人女性と交際していましたが、帰国する直前に、その交際女性が、別の男性とも交際していたことが発覚したのです。
帰国前にAさんは、交際女性をアメリカのホームステイ先に呼び出して追及しましたが、この女性が話を誤魔化したことに腹が立ち、女性の両肩を鷲掴みにする暴行を加えてしまいました。
その後、Aさんは女性と破局し、日本に帰国して別の女性と交際を始めましたが、元交際相手の女性が、当時の暴行で傷害を負ったとして、警視庁池袋警察署に傷害罪の被害届を提出したのです。
Aさんは、警視庁池袋警察署に呼び出しを受けましたが、警察署に出頭する前に、外国での刑事事件を取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談しました。
(フィクションです。)
◇日本人が外国で起こした刑事事件◇
刑法第3条に「国民の国外犯」が規定されています。
日本国外において、この条文に規定された犯罪を犯した場合、日本の法律が適用されます。
「国民の国外犯」に規定されているのは
1.刑法第108条(現住建造物等放火)及び第109条第1項(非現住建造物等放火)の罪、これらの規定の例により処断すべき罪並びにこれらの罪の未遂罪
2.刑法第119条(現住建造物等浸害)の罪
3.刑法第159条から第161条まで(私文書偽造等、虚偽診断書等作成、偽造私文書等行使)及び前条第5号に規定する電磁的記録以外の電磁的記録に係る刑法第161条の2の罪
4.刑法第167条(私印偽造及び不正使用等)の罪及び同条第2項の罪の未遂罪
5.刑法第176条から第181条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、強制わいせつ等致死傷)及び第184条(重婚)の罪
6.刑法第198条(贈賄)の罪
7.刑法第199条(殺人)の罪及びその未遂罪
8.刑法第204条(傷害)及び刑法第205条(傷害致死)の罪
9.刑法第214条から第216条まで(業務上堕胎及び同致死傷、不同意堕胎、不同意堕胎致死傷)の罪
10.刑法第218条(保護責任者遺棄等)の罪及び同条の罪に係る刑法第219条(遺棄等致死傷)の罪
11.刑法第220条(逮捕及び監禁)及び第221条(逮捕等致死傷)の罪
12.刑法第224条から第228条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
13.刑法第230条(名誉毀損)の罪
14.刑法第235条から第236条まで(窃盗、不動産侵奪、強盗)、刑法第238条から第240条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷)、刑法第241条第1項及び第3項(強盗・強制性交等及び同致死)並びに第243条(未遂罪)の罪
15.刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪
16.刑法第253条(業務上横領)の罪
17.刑法第256条第2項(盗品譲受け等)の罪
です。
Aさんの暴行行為によって、元交際相手の女性が傷害を負っていたのであれば、当然、傷害罪となるので、「国民の国外犯」が適用されます。
その場合、日本国外で起こった刑事事件であっても日本の警察が捜査することとなりますが、実際に日本で起こった刑事事件と同様の捜査が行われるとは限りません。
例えば、日本で起こった傷害事件であれば、防犯カメラの映像等の客観的な証拠が捜査されることになりますが、今回の事件のような傷害事件で捜査員がアメリカまで派遣される可能性は非常に低いでしょう。
そのため被害者と、被疑者の供述が基となって捜査が進むことになるので、警察等の取調べに対しては慎重に対応する必要があります。
外国における刑事事件で捜査を受けている方、外国で起こした傷害事件で被害届を提出されてしまった方は、国民の国外犯に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
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あきる野市で銀行口座の転売
銀行口座を転売した場合の刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
あきる野市に住む無職Aさんは、2ヶ月ほど前に、インターネットのサイトで「口座を3万円で買い取ります。」という業者を見つけて、この業者に10年ほど前に開設して、最近使用していなかった口座を転売しました。
この業者の指定された住所に、通帳とキャッシュカードを郵送したのですが、未だに代金が支払われないので、Aさんは諦めていました。
そして先日、アルバイトが決まり、その給料の振込口座を開設するために銀行に行くと、Aさん保有する銀行口座全てが凍結されており、新たに口座を解説できない旨を銀行員に告げられたのです。
銀行員からは、警察に相談するように言われましたが、2ヶ月前に口座を転売した件で警察に逮捕されるのではないかと不安なAさんは、まず刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
◇銀行口座の転売◇
銀行口座(預金通帳)を他人に売ったり、譲渡したりする行為は、以下のは罪に該当する場合があります。
転売(譲渡)目的で口座を開設した場合
最近は、銀行で口座を開設する時に、その銀行に対して口座の利用目的(公共料金の引き落とし口座、給料の振込口座等)を申告しなければなりません。
この目的を偽って銀行口座を開設した時は、銀行を騙して銀行口座を得たとして「詐欺罪」が成立する場合があります。
詐欺罪は、刑法第246条に当たる犯罪で、起訴されて有罪が確定すれば「10年以下の懲役」が科せられます。
既に開設している銀行口座を他人に譲渡した場合
数年前から、インターネットの掲示板やサイト、ダイレクトメールで「利用していない銀行口座を買取ります」「融資するので銀行口座を送ってください」といった内容を見かけるようになりました。
このようにして売られた銀行口座は、振り込め詐欺など何らかの犯罪に使用される可能性が非常に高いです。
長年取引のない銀行口座を、他人に譲渡した場合は「犯罪収益移転防止法に関わる法律違反」に抵触するおそれが非常に高いです。
この法律の第26条では「他人になりすまして銀行などの金融機関との間における預貯金契約に関わる役務の提供の受ける目的があることを知って、そのものに預貯金通帳などを譲り渡し、交付し、または提供したもの。また、通常の商取引または金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で預貯金通帳などを譲り渡し、交付し、または提供したものは、1年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金もしくはこの両方を科す。」(犯罪収益移転防止法に関わる法律第26条を引用)と、有償、無償に関わらず、他人に自分名義の銀行口座を譲渡する事を禁止しています。
譲渡した銀行口座が、他の犯罪に使用される事を知って譲渡した場合
銀行口座が使用された犯罪の共犯として罰せられる可能性があります。
例えば、譲渡した銀行口座が、振り込め詐欺の犯罪に使用される事を知った上で、銀行口座を譲渡すれば、振り込め詐欺の共犯若しくは幇助犯となる場合があるのです。
数年前から振り込め詐欺等の特殊詐欺事件が多発しており、警察等の捜査当局が注意喚起していますが、その犯行手口は巧妙かつ複雑化し、被害は増加する一方です。
その様な背景から、警察等の捜査当局は金融機関と協力し、犯罪に使用された銀行口座の凍結や、過去に犯罪に使用された銀行口座の名義人については、新たに銀行口座を開設できなくするなどして、被害の予防に取り組んでいるので注意しなければなりません。