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【準強制わいせつ】強制わいせつ致傷で逮捕
【準強制わいせつ】強制わいせつ致傷で逮捕
準強制わいせつ、及び強制わいせつ致傷事件で問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
事例
東京都中央区築地在住のAは、中央区内で自営業をしています。
事件当日、Aは中央区内で泥酔状態であったVをナンパし、半ば強引に公園に誘導しました。
Aはその公園のベンチで乗りかかってわいせつな行為をしようとしましたが、Vから「やめて」などと言われたことから、わいせつ行為をする意思を喪失しました。
Aは本件の発覚をおそれ逃走しようとした際、Vを払いのけ怪我を負わせた。
東京都中央区を管轄する築地警察署の警察官は、Aを強制わいせつ致傷の疑いで逮捕しました。
Aの家族は、刑事事件に強いと評判の弁護士に弁護を依頼しました。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)
~「準強制わいせつ未遂」から「強制わいせつ致傷」~
刑法178条は、準強制わいせつ罪および準強制性交等罪(旧:強姦罪)について定めています。
「準」強制とはあまり聞き慣れない犯罪かも知れませんが、下記のとおり重大な刑事事件ともなり得ることから決して軽視できない犯罪です。
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例(注:6月以上10年以下の懲役)による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例(注:5年以上の有期懲役)による。
強制わいせつ罪や強制性交等罪(旧:強姦罪)は、手段として「暴行」又は「脅迫」を用いる犯罪です。
これに対し、準強制わいせつ罪および準強制性交等罪(旧:強姦罪)は、「心神喪失」や「抗拒不能」を手段とする点において上記犯罪と異なります。
特に、問題になりやすい「抗拒不能」の要件に関しては、心理的・物理的に抵抗できない状態をいうと解されています。
本件では、AはVが泥酔状態であることを利用してわいせつ行為に及ぼうとしていますから、Vの「抗拒不能」要件は満たすことが通常でしょう。
そしてAはわいせつ行為をしようとしていますが、これを遂げていないため、Aの行為は未遂(刑法180条・178条1項)にとどまるものです。
もっとも、Aはその後の逃走過程において、Vに怪我を負わせるに至っています。
この場合、Aには準強制わいせつ未遂罪ではなく「強制わいせつ致傷罪」が成立する可能性があることに注意する必要があります。
(強制わいせつ等致死傷)
第181条 第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 (略)
上述のようにAは、「第178条第1項……の罪の未遂罪を犯し」ています。
そして、AはVに怪我を負わせているのですから「傷」害を負わせたということになれば、強制わいせつ致傷罪が成立することになります。
この場合、法定刑は「無期又は3年以上の懲役」と一気に重くなってしまうのです。
この点に関して、いかなる場合に致傷行為が成立するかについて判断した判例(最決平成20年1月22日)は、「逃走するため被害者に暴行を加えて傷害を負わせた場合」も本罪の対象となる旨判示しています。
したがって、本件においても、逃走過程でVに怪我を負わせていることから、強制わいせつ致傷罪が成立する可能性が高いといえます。
~強制わいせつ致傷事件における弁護活動~
仮に逮捕(あるいは勾留)段階では、準強制わいせつ(未遂)として捜査されていても、被害者に怪我を負わせたことが後に判明するなどして強制わいせつ致傷事件として起訴されてしまうことも考えられます。
強制わいせつ致傷罪は上記条文のとおり、法定刑として「無期」の懲役も含まれています。
そして、裁判員法2条1項1号は「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」を裁判員裁判対象事件としています。
すなわち、同罪で起訴されるということは、原則として裁判員裁判の対象になるということに他なりません。
裁判員裁判では、集中審理が行われるなど起訴された被告人にとって大きな負担を伴います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、準強制わいせつや強制わいせつ致傷事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には性犯罪に関する示談対応などの弁護活動の経験が豊富な刑事弁護士が多数所属しています。
東京都中央区築地にて、強制わいせつ致傷事件で逮捕された方のご家族は、24時間/365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
服の上からの撮影行為に盗撮罪は成立する?逆転有罪判決も
服の上からの撮影行為に盗撮罪は成立する?逆転有罪判決も
スカートの中や着替え、トイレなどではなく「服の上から撮影」する方法での盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
事例
東京都中央区在住のTさんは都内の専門学校に通う20歳の男性です。
ある日,TさんはO線の電車に乗って通学していたとき,たまたま好みの顔の女性を見かけて,声を掛けようと思ったものの勇気が出なかったため,姿だけでも写真に撮りたいと思い,女性の全身が写るようにスマートフォンのカメラで撮影しました。するとその様子に気付いた他の乗客に「盗撮していただろ」と問い詰められ,最寄りの駅で電車を下ろされて,駅事務室に連れていかれてしまいました。
Tさんは、通報を受けて臨場した中央区を管轄する月島警察署の警察官により取調べを受けました。
【服の上からでも盗撮罪になるのか?】
盗撮に関する犯罪は,各都道府県で制定されている「迷惑行為防止条例」に規定があります。都道府県によっては「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」というように,長い名前が付いていることもあります。
東京都の例で言うと,盗撮に関する条例の規定は次のようになっています。
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
・・・(中略)
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体 を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる ような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用 し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
(3) 前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
条例が明文で禁止しているのは,
通常服で隠されている下着や身体
を撮影したり,撮影する目的でレンズを向けたりするという行為です。
そのため,「服の上から人の身体や顔を撮影する行為」は盗撮に当たらないため,条例には反していないようにも見えます。
しかしながら,最近,服の上から身体を撮影した行為に対しても条例違反を認める裁判例が出されました。
しかも,この裁判は「逆転有罪判決」,つまり,一審では無罪,条例違反は成立しないと判断したのを覆して,条例違反が成立する,つまり「卑わいな言動」に該当すると判断し直したというものです。
≪参考≫
着衣の上からでも盗撮、逆転有罪 東京高裁「下品でみだらな言動」 共同通信令和4年1月13日配信
小型カメラで女性の衣服の上から胸元などを隠し撮りしたとして、東京都迷惑防止条例違反の罪に問われた男(51)の控訴審判決で、東京高裁が無罪とした一審判決を破棄し、懲役8月(求刑懲役10月)の有罪判決を言い渡したことが13日、分かった。
これは,服の上から身体を撮影した行為が,「卑わいな言動」にあたると判断したというものです。
実際,過去にも服の上から身体を撮影した行為に対して盗撮の成立を認めた裁判例もありました。
【過去の裁判例】
平成19年9月25日に札幌高等裁判所で言い渡された判決です。
この事件でも,一審では,服の上から身体を撮影した行為に対して盗撮は成立しないと判断していましたが,高等裁判所がその判断を覆し,盗撮が成立するとして逆転有罪判決を言い渡したものです。その後弁護側も上告していますが,上告は棄却されたため高等裁判所判決が確定しています。
この事例では,ショッピングセンター内で被害者の後ろを,距離にして約40メートル,時間にして約5分間の間,付け狙い,お尻や腰のあたりの身体のラインがくっきり見える部分を11回撮影したというものでした。
札幌高等裁判所は,このような行為が,被害者に対して「そんなことをされたら恥ずかしいし気味が悪い」という気持ちを生じさせるものであるため「卑わいな言動」に該当すると判断し,有罪の判決を言い渡しました。
重要になるポイントは,服の上から身体を撮影したという場合であったとしても,①体のどのあたりを撮影したのか,②どのような体勢で撮影行為をしたのか,と言った点から,その撮影行為を傍から見た時に被害者が羞恥心や不安な感情を感じるかどうかです。
【Tさんの事例ではどうなのか?】
Tさんの事例だと,電車内でこっそりと相手に知られないように全身を撮影したという行為です。これだけでは判断できませんが,全身を写したというだけでは「卑わいな言動」には当たらない可能性があります。しかし,Tさんと女性との位置関係や,カメラの向け方,実際に撮った画角等によっては,相手の女性に不安を感じさせるような言動であるとして,「卑わいな言動」と判断されて逮捕されたり,起訴されたりしてしまう可能性があります。
服の上からの撮影行為であっても,迷惑行為防止条例違反として警察に被害届が出されたり,取調べを受けたりといったトラブルに派生する可能性が十分にあります。
特に,最新の高等裁判所の判断としては「有罪」と判断された事例もあります。
東京都中央区にて、盗撮などの迷惑行為防止条例に関して不安なことがある方は,刑事事件に特化した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
痴漢のつもりが強制わいせつに
痴漢のつもりが強制わいせつに
電車内などで行われるいわゆる痴漢行為と強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都立川市在住のAは、立川市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは立川市内の自宅最寄り駅から鉄道に乗って勤務先最寄り駅まで行こうと列車に乗車しました。
列車は満員だったところ、Aは自身の前に立っていた女性Vに対して劣情を催し、最初は手の甲で、次いで指で、Vの臀部(お尻)を撫でまわしました。
その間、Vは恐怖で声を出せずにいましたが、それを幸いだと考えたAは、Vのスカート中に手を入れ、更には下着の中に指を入れ、陰部を直接触りました。
Aの行為を目撃した別の通勤客がAに「何をしているんだ」と怒鳴り、次の駅で降ろされたAは、通報を受けて臨場した東京都立川市を管轄する立川警察署の警察官によって逮捕されました。
その際Aは、自身にかけられている嫌疑が俗にいう痴漢ではなく強制わいせつであると知らされました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【痴漢について】
御案内のとおり、公共の場所や公共交通機関の車内などで他人の臀部(お尻)や胸などに触る行為は、痴漢行為と呼ばれます。
我が国では、痴漢罪などの法律はありませんが、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反する行為です。
ケースは東京都立川市での痴漢事件を想定していますので、東京都の定める公衆に著しく迷惑をかける暴力行為等の防止に関する条例(以下、迷惑防止条例)が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。
東京都迷惑防止条例5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
東京都の場合、罰条は「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と定められています。
【痴漢ではなく強制わいせつに?】
まず前提として、前述した痴漢行為は、被害者にとって(被害者が女性だった場合でも男性だった場合でも、また、加害者側が異性であれ同性であれ)精神的に深い傷を負わせることに繋がる卑劣な行為です。
しかし、Aのように悪質な行為であれば、痴漢による迷惑防止条例違反ではなく、より重い罪である強制わいせつ罪の適用が検討されます。
強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
(強制わいせつ)
刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ事件は、痴漢と同じような場合でもその程度が著しい場合に成立します。
具体的な線引きがあるわけではなく、捜査機関は行為に及んだ回数・時間・態様などを客観的に検討したうえで、痴漢事件として迷惑防止条例違反で立件するか、強制わいせつ事件として強制わいせつ罪で立件するかを検討します。
ケースの場合、被疑者(容疑者)Aは被害者Vの下着の中に指を入れていますが、このような場合は強制わいせつ罪で立件されやすいと言えます。
他方で、例えば臀部(お尻)を撫でまわすような行為であっても、その行為が長時間に及んだ場合などは強制わいせつ罪に問われる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、痴漢や強制わいせつなどの性犯罪の相談が多数寄せられています。
刑事事件・少年事件では、事件の内容や被害者の方の感情などにより、様々な弁護活動が想定されます。
東京都立川市にて、痴漢や強制わいせつなどの性犯罪で捜査を受けている方、あるいは家族が痴漢や強制わいせつ罪で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。
強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕
強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕
強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕されたケースを題材に、性犯罪における弁護活動等ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
東京都足立区在住のAは、都内の大学に通う21歳の大学生です。
Aは、近所に住む足立区在住のV(20歳)と無理やり性行為をしたいと考え、Vに対し、暴行を加えてVを失神させて性行為を行いました。
Vからの被害申告を受けて捜査を開始した足立区内を管轄する竹ノ塚警察署の警察官は、Aを強制性交等(旧強姦)の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~強制性交と準強制性交~
刑法177条前段は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と強制性交等罪(旧強姦罪)を規定しています。
これに対し、178条2項では、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(注:177条)の例による」と準強制性交等罪(旧準強姦罪)を定めています。
本件では、VはAの行為によって心神喪失に陥っているため、「心神を喪失させ」て「性交」をしたとしてAの行為には準強制性交等罪(178条2項)が成立するようにも思えます。
この点、上述した177条は、「暴行又は脅迫」を用いて性交等した場合を、典型的な強制性交等罪(旧強姦罪)としています。
ここにいう「暴行」「脅迫」とは、判例・通説上、被害者の反抗を著しく困難にする程度の「暴行」「脅迫」を指すと考えられています。
これに対し、178条2項における「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とは、177条にいう「暴行」「脅迫」以外の手段によって、心神喪失・抗拒不能に陥れることをいうと解されています。
したがって本件では、AのV(20歳)に対する「暴行」によって、Vを失神させ反抗を著しく困難にさせて「性交」を行っていることから、準強制性交等罪ではなく、強制性交等罪(旧強姦罪)が成立することになるのです。
なお、現行の刑法においては、改正前にあった「女子」の文言を削除していることから、被害者の性別に関わらず各条所定の手段を用いて「性交等」を行った場合には、(準)強制性交等罪(旧(準)強姦罪)が成立しうることにも注意が必要です。
~性犯罪事件における弁護活動について~
刑法は平成29年改正(2017年改正)によって、強制性交等罪(旧強姦罪)を含む第22章の性犯罪規定の多くを非親告罪化しました(改正前の親告罪の規定を削除)。
親告罪とは、検察官による事件を起訴するに当たって、被害者の告訴を必要とする犯罪をいいます。
つまり、従前は親告罪においては被害者と示談し、告訴を取り下げてもらうことで起訴され刑事裁判となることを確実に回避することができたのです。
もっとも、非親告罪化された現在でも、被害者と示談することが無意味なったわけでは決してありません。
起訴されるかどうか(刑事裁判になるかどうか)を判断するにあたっては、被害者の意思が尊重されるのが実務における運用であり、示談を締結することは極めて重要となります。
したがって、本件のような性犯罪事件における弁護活動としては、この示談交渉が最大の焦点となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制性交事件(旧強姦事件)を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
弊所では、性犯罪事件の経験豊富な弁護士が事案に即した丁寧な弁護活動を行ってまいります。
東京都足立区にて、強制性交事件(旧強姦事件)などの性犯罪事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお電話ください。
未成年者との真剣交際?
未成年者との真剣交際?
未成年者とのわいせつな行為と真剣交際の主張について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都千代田区在住のAは、千代田区内の会社に勤める40代の会社員です。
AはSNSを通じて知った15歳の児童Vと頻繁に連絡を取り合うようになり、結婚しようなどのやり取りをし、実際に会おうという話をしました。
そして、待ち合わせ時間を決めて千代田区内の喫茶店でお茶をしたのち、ホテルに入ってわいせつな行為をしました。
そのホテルの受付をしていた従業員がVの年齢に疑問を持って千代田区内を管轄する麴町警察署に連絡し、AとVとがホテルを出たところで警察官は声掛けしました。
Vが15歳であることを確認した警察官は、Aに対して「淫行条例等に当たる可能性があるので任意同行に応じてほしい。」と説明しました。
Aは警察官に対し、「結婚を前提とした真剣交際である。」という主張をしました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【未成年者とのわいせつ行為で問題となる罪】
ケースでは、AとVとの性別は特に想定していませんが、年齢についてはVが15歳であることを想定しています。
我が国では、18歳未満(17歳までの者)とわいせつな行為をした場合には下記のような法律に違反することとなります。
・淫行条例違反
淫行条例は俗称で、事件地の都道府県によって条例名が異なります。
ケースは東京都千代田区での事件ですので、東京都青少年の健全な育成に関する条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。
条例18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
罰条:二年以下の懲役又は百万円以下の罰金
・児童買春
最も、Aの行為については、淫行条例違反ではなく児童買春の罪が適用される可能性があります。
条文は以下のとおりです。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条2項 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
1号 児童
淫行条例違反と児童買春の一番の違いは、対償の供与やその約束があるか否かという点です。
分かりやすい児童買春は、例えば児童に対して5万円を支払うなどして性行為や性交類似行為をすることです。
ケースではそれらの事情は伺えませんが、AがVの喫茶店での食事代やホテル代の全額を支払ったのであれば、それを以て対償の供与があったとして児童買春に処せられます。
【真剣交際は通用する?】
児童買春や淫行条例違反の事件を起こした方の中には、真剣交際の主張が通用するのではないかという質問があります。
すなわち、結婚を前提に交際をしているのに、なぜ違法なのかという主張です。
次に淫行条例について、例えば、このブログを作成している令和3年9月9日時点に於て、女性の婚姻適齢は16歳です。
この点、淫行条例違反や児童買春の罪と相反しているかにも思えます。
とはいえ、児童買春について検討すると、真剣な交際をしているのであれば「対償の供与」が生じる余地はないため、真剣交際の主張は通用しないと言えるでしょう。
次に淫行条例違反について、条文を見ると、東京都の淫行条例は「みだらな性交又は性交類似行為」を禁止しています。
みだらな、すなわち淫行について、判例は
①青少年を…その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
と定義しています。
ケースについて検討すると、AとVとは年齢が25歳以上離れていて、SNSでやり取りをした程度で性行為をした当日までに一度も会ったことがなく、当然に保護者への紹介や挨拶もない、そのような状況で、SNSで結婚しようなどとやり取りをした程度で真剣交際にあたるという主張は通用しないと考えられます。
他方で、AとVとの年齢が近く、デートなどの交際を繰り返していて、未成年者の保護者へ説明・紹介をしているという場合であれば、しっかりと真剣交際を主張することで罪に当たらない、あるいは刑罰が軽減されることに繋がります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都千代田区にて、淫行条例違反や児童買春の罪で捜査を受けている、真剣交際を主張したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
他人に体液をかけた場合の罪
他人に体液をかけた場合の罪
他人に体液をかけた場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都世田谷区在住のAは、世田谷区内の会社に勤める会社員です。
Aは職場での上司との対立からストレスが溜まり、そのストレス発散のため、自分の体液(尿)をフィルムキャップに入れ、世田谷区内を深夜歩いている異性めがけて顔面に掛け、逃走するという事件を繰り返し起こしていました。
ある日、Aの自宅に世田谷区を管轄する世田谷警察署の警察官が来て、家宅捜索を行い、Aを他人に体液をかけた嫌疑で通常逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【体液をかけて器物損壊罪?】
事例でAが行った体液をかけるという事件で成立しうる犯罪の1つが、器物損壊罪です。
刑法第261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
一般に、器物損壊罪の「損壊」とは、広く物本来の効用を失わせしめる行為を含むものをされています。
例えば硫酸を服に掛けるなどして服を溶かすようなかたちで物理的に破壊してしまうことは、いわずもがな「損壊」に当たると言えます。
ケースの場合、被害者はAの体液をかけられているので、このように物理的な破壊行為は行われていません。
しかし、他人の体液をかけられた衣服やカバンなどの持ち物をまた着用しようと考える人は多くないでしょう。
このような場合、物理的な破壊はありませんが、体液がかかった洋服や持ち物は「効用を害された」として、器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪は、「親告罪」いって、被害者等からの刑事告訴がなければ検察官は起訴できない罪です。
つまり、起訴される前に告訴を取り下げてもらったり告訴をしないという合意を交わすことができれば、不起訴処分を獲得できることになります。
しかし、特に今回のAのような体液をかけるようなかたちで行われた器物損壊事件では、被疑者(加害者)やその家族が被害者の連絡先を教えてもらえる可能性は極めて少ないと言えます。
そのため、被疑者は第三者である弁護士に依頼をして、示談交渉を進めていくことになります。
【体液をかけて暴行罪?】
Aがかけた体液がVの所持品や衣服ではなくVの身体にかかった場合には、暴行罪が成立する可能性があります。
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の「暴行」とは、他人の身体に対して不法な有形力の行使をすることを指します。
一般によくイメージされる、他人を殴ったり蹴ったりして直接的に暴力を振るうことももちろん暴行罪の「暴行」に当たります。
これに加えて、他人の身体に直接触れなくとも他人の身体に向けて不法な有形力の行使があればよいことから、例えば他人の身体に物を投げつけたりするような行為も暴行罪の「暴行」となりえます。
過去の裁判例では、他人に塩を数回振りかけたという行為が暴行罪に問われたケースで、「刑法第208条の暴行は、人の身体に対する不当な有形力の行使を言うものであるが、右の有形力の行使は、所論のように、必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受忍すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当するものと解すべき」とされ、塩を他人に振りかける行為が暴行罪の「暴行」に当たるとされました(福岡高判昭和46.10.11)。
このように暴行罪の「暴行」を考えると、体液を他人にかけるという行為でも暴行罪が成立する可能性があることがお分かりいただけると思います。
暴行罪は、器物損壊罪とは異なり親告罪ではありません。
そのため、被害者と示談ができたからといって必ずしも不起訴処分を獲得できるとは限りません。
しかし、被害者への謝罪・弁償ができているかどうか、被害者の処罰感情のおさまりがあるのかどうかといった事情は、起訴・不起訴を大きく左右します。
また、逮捕されてしまっているような場合には、釈放を求める弁護活動の際にも(被疑者にとって)有利な事情となりますから、器物損壊事件の際と同様に、刑事事件を専門とする弁護士に相談・依頼することが効果的でしょう。
東京都世田谷区にて、御自身が他人に体液をかけて捜査を受けている、あるいは家族が体液をかけた嫌疑で逮捕されたという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
電話を受けた担当事務員が、無料相談等の手続きについて御案内します。
逮捕されたらすぐに初回接見を
逮捕されたらすぐに初回接見を
痴漢事件で逮捕された場合に問題となる罪と、初回接見のシステムについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都新宿区在住のAは、新宿区内の会社に勤める会社員です。
Aは深夜の新宿区内の路上にて自分のタイプの相手を見つけては、小走りで駆け寄って臀部(お尻)を触り、走ってその場から逃走する、という行為を繰り返していました。
ある日、Aの自宅に新宿区内を管轄する新宿警察署の警察官が来て、Aは痴漢の嫌疑で通常逮捕されました。
Aの家族は、刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【痴漢について】
痴漢というと電車内での痴漢を想起しがちですが、路上やエレベーターの中など、いろいろな場所での痴漢事件が考えられます。
痴漢は、各都道府県が定める迷惑防止条例に違反する行為です。
ケースの場合は東京都新宿区を想定した痴漢事件ですので、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が問題となります。
条例第5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
【初回接見について】
刑事事件を起こした場合、捜査機関は一定の要件を満たしている場合に、必要に応じて被疑者(加害者)を逮捕することができます。
逮捕された被疑者は48時間以内に検察庁に送られ、送致を受けた検察官は24時間以内に勾留請求をするか釈放するかを選択します。
そして、勾留請求をされた場合、裁判所の勾留裁判官は勾留質問を行い、被疑者に勾留が必要であると判断した場合には勾留決定を下します。
勾留は原則10日間ですが、1度に限り延長することが出来るため最大で20日間の身柄拘束がなされます。
逮捕・勾留されている被疑者に対し、弁護士は接見をする権利があります。(接見交通権)
弁護士が接見する場合については、私選弁護人と当番弁護士、勾留決定後に要請できる国選弁護人がいます。
このうち当番弁護士は、逮捕後すぐに要請できる弁護士ですが、その接見は一度限りです。
国選弁護人は、被疑者の資力が50万円未満の場合に要請できます。
基本的に被疑者はこの当番弁護士と国選弁護人のみ要請することが出来る一方、私選弁護人は被疑者の御家族の方などしか依頼することができません。
そこで弊所では、初回接見サービスという有料サービスを行っています。
初回接見は、1度に限り、弊所の刑事事件・少年事件専門の弁護士が逮捕・勾留されている被疑者のもとに接見に赴き、①事件の概要を被疑者から聞き、②被疑者に今後の見通しについてご説明したうえで、③ご依頼者様に説明をする、というシステムです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、24時間電話対応事務を設置し、初回接見費用のお振込みをお願いしてから原則として24時間以内に初回接見を行っています。
昨年(2020年)だけで、全国500件以上の初回接見に対応しており、それらの経験に基づいた経験と知識から、的確なアドバイスを行うとともに見通しなどについて説明致します。
東京都新宿区にて、御家族が痴漢などの刑事事件を起こしてしまい逮捕されたという知らせを受けた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
相談電話担当者により、初回接見の金額や手続きの御案内を致します。
盗撮事件で逃亡した場合
盗撮事件で逃亡した場合
盗撮事件を起こした場合に問題となる罪と、逃亡した場合の問題点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都練馬区在住のAは、練馬区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは職場に向かうため練馬区内の鉄道駅にいたところ、好みのタイプの女性Vがエスカレーターに向かっていくところを目撃しました。
Aは最初Vの後ろに立ってスカートの中の太股を見ようと考えましたが、それだけでは満足が出来ず、スマートフォンのカメラ機能を使ってスカートの中を撮影しようとしました。
しかし、後ろに立っていた通勤客がAの盗撮行為に気付き、何をやっているんだと声をかけてAの手首を掴みました。
Aは怖くなってその場から逃亡してしまいましたが、数日後、練馬区を管轄する石神井警察署の警察官があの自宅に来て、Aを盗撮の嫌疑で逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【盗撮について】
公共の場所でスカートの中などを盗撮する行為は、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反する行為です。
ケースについては東京都練馬区を想定しているため、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例に違反します。
条例5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
2号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
罰条:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(同条例8条2項1号)
【逃亡した場合の問題点】
Aは盗撮行為をしたうえで、その場から逃亡しています。
刑事事件を起こした場合に被害者や目撃者から声をかけられた場合に、冷静でいられる人は少ないかもしれません。
しかし、冷静さを欠いて逃亡した場合には、様々な問題が生じてしまいます。
・誰かを怪我させる
東京都にある鉄道駅の多くは、乗降客数の多い場合がほとんどです。
そのような場所で走ることで、他人にぶつかってしまい、ともすれば怪我をさせてしまったり死亡させてしまう恐れがあります。
故意ではない場合でも、不注意で誰かを怪我させたり死亡させてしまったりした場合には、過失致死傷罪が適用されます。
(過失傷害罪)
罰条;30万円以下の罰金又は科料
(過失致死罪)
罰条:50万円以下の罰金
・振り払った相手が怪我した場合には更に重い罪に
ケースでは、Aの後ろに立っていた通勤客が目撃者となり、Aの手を掴んでいます。
もし、Aがこの手を振りほどくなどした場合には暴行罪が成立しますし、その結果転倒するなどして怪我したり死亡したりした場合には、傷害罪や傷害致死罪が成立します。
(暴行罪)
罰条:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
(傷害罪)
罰条:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金
(傷害致死罪)
罰条:3年以上の有期懲役
・逃亡により身柄拘束のリスクが高まる
刑事事件を起こした被疑者自身が逃亡することについてそれ自体が罪に当たるわけではありません。
しかし、逃亡した場合には、逮捕される可能性が高くなります。
また、逮捕後72時間以内に勾留の手続きが進められるか釈放されることになりますが、実際に現場から逃亡したことを理由に逃亡の恐れがあると評価され、勾留される居可能性が高くなります。
駅構内での事件の場合、防犯カメラの映像や交通系ICの履歴などから、早期に特定される可能性が高いと言えます。
東京都練馬区にて盗撮事件を起こして逃亡してしまった場合、まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。
色情盗事件で示談交渉
色情盗事件で示談交渉
洗濯物など他人の衣服を盗む色情盗事件で問題となる罪とその際の示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都江戸川区在住のAは、江戸川区内の会社に勤める会社員です。
Aは、過去にコインランドリーで置き忘れられていた女性用の下着を持ち帰ったことをきっかけに、女性用下着に興味を抱くようになりました。
ある日、Aは会社からの道中、江戸川区内のマンション1階のベランダに、女性ものの下着が干していることに気づき、手を伸ばしてうち数枚の下着を取り、持ち帰ろうとしました。
しかし、被害女性がAの色情盗行為に気づき、すぐに通報しました。
その後、Aが現場付近をうろついていたところで江戸川区内を管轄する小岩警察署の警察官が職務質問し、Aは犯行を認めました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【色情盗について】
性欲を満たす目的で下着をはじめとした衣服を盗む色情盗事件は、事件を繰り返し起こす傾向のある性犯罪の一種です。
色情盗事件では、以下の2つの罪が問題となる場合が多いです。
①窃盗罪
他人の衣服を盗む行為は、窃盗罪に当たります。
窃盗罪は、刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
財物とは、財産(お金)だけでなく有体物全般を指すと考える説が通説的見解ですので、下着などの衣服についても財物と判断されることになります。
②建造物侵入罪
ケースについて見ると、Aは色情盗を目的としてベランダに手を伸ばしています。
もしこれが、被害女性の部屋があるマンションの敷地に侵入していた場合には、建造物侵入罪に当たる可能性があります。
建造物侵入罪は、刑法130条で「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と定められています。
ただし、建造物侵入罪は窃盗の目的で行ったとして窃盗の罪についての立証が出来た場合には、建造物侵入罪では刑罰を受けないことになります。
【示談交渉について】
ケースのように、被害者がいる事件での弁護活動の一つに、示談交渉が挙げられます。
示談とは、被疑者・被告人が被害者に対して謝罪と賠償をすることで赦しを求める和解のための合意です。
一言で示談といっても、その内容は様々です。
以下で一例を挙げます。
・被害弁償:被害者に対して示談金などの形で弁償を行う。
・示談締結:被害者との間で示談書を締結する。
・宥恕(ゆうじょ):被害者が、被疑者・被告人に対して厳しい処罰を求めない旨を示談書に明記する。
・被害届取下:被害者が捜査機関に提出した被害届を取り下げる。
・告訴取消:被害者が被疑者・被告人に対して厳しい刑事処罰を求める「刑事告訴」を取り消す。
これらの示談については、弁護士以外の一般の方でも作成は可能です。
しかし、痴漢事件や強制わいせつ事件、今回のような色情盗事件のような性犯罪の被害者は、被疑者・被告人やその御家族などに連絡先を教えたくないと思う方が多いでしょう。
そのため、法律の専門家である弁護士が間に入り、刑事手続の流れや示談交渉について丁寧に御説明をした上で、被疑者・被告人の希望に沿った示談交渉を行うことが有効です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、示談交渉についての相談が日々多く寄せられています。
示談交渉は、被害者の方に真摯に謝罪し丁寧に説明をすることが肝要ですので、示談交渉の経験が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。
東京都江戸川区にて色情盗事件を起こしてしまい、示談交渉について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
同意があったのに性犯罪?
同意があったのに性犯罪?
同意があったと考えていたものの刑事事件に発展し性犯罪に問われる可能性がある場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都江戸川区東葛西在住のAは、江戸川区東葛西にある会社に勤める会社員です。
Aはこれまでに、SNSや出会い系サイトなどで知り合った不特定多数の者と性行為などをしていました。
ある日、江戸川区を管轄する葛西警察署の警察官が自宅に来て、Aを逮捕する旨の説明を受けました。
Aとしては、これまでの性行為は全て同意があると思っていただけに、納得がいきません。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【同意がある性行為で刑事事件に】
性行為は、両者の同意が必要であることは御案内のとおりです。
そのため、(不貞などの民事・倫理の問題は別として)両者の同意があれば、問題になりません。
しかし、以下のような場合には、性犯罪に発展する可能性があります。
●同意を誤信していたパターン
一方が同意があったと考え性行為をしたにもかかわらず、一方は同意がなかったという場合のほか、同意の範囲に性行為が入っていなかった(被害者としては性的な行為には同意があったが、性行為には同意がなかった)という場合も考えられるでしょう。
相手の性行為についての同意がなかったにも関わらず、同意があると誤信して性行為をした場合、強制性交等罪に問われる可能性があります。
条文は以下のとおりです。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。(略)
●相手が同意の判断をできる状況になかったパターン
被害者が酒に酔っていた場合や睡眠薬を使われるなどして判断や応答、拒絶ができないような状況で性行為をした場合、あるいは被害者が知的障碍をお持ちで判断や拒絶ができない中で性行為をした場合には、準強制性交等罪が成立します。
条文は以下のとおりです。
刑法178条2項 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
●相手が未成年者だったパターン
相手が未成年者だった場合、同意の有無にかかわらず犯罪になります。
≪相手が13歳以上18歳未満≫
相手が13歳~17歳(以下、被害児童)であれば、被害児童の同意が明確であったとしても、各都道府県の定める青少年保護育成条例違反や児童買春にあたり、処罰されます。
ケースについては東京都江戸川区を想定していますので、東京都の条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。
東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
≪相手が13歳未満≫
相手が~12歳だった場合(以下、被害児童)の場合、被害児童の同意が明確であったとしても強制性交等罪が適用されます。
昨今、性的同意年齢という言葉が一般的にも広く知れ渡ることになりましたが、我が国の刑法では13歳以上には性的同意年齢が備わっているとされています。
換言すると、13歳未満の児童については、そもそも性的同意ができない年齢であり、その被害児童が行った同意そのものが同意にはならないと言えるのです。
条文は以下のとおりです。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
【同意の有無は立証が困難】
このように、性行為についての同意があったと誤信している場合、あるいは未成年者が相手だった場合には、刑事事件に発展して刑事罰を受けることに繋がります。
他方で、性行為についての同意が明示的に残されている場合は少なく、密室での「言った/言わない」という水掛け論に発展する場合も少なくありません。
また、強制性交等罪については暴行または脅迫の有無についても重要になりますが、やはり密室という目撃者がいない中での事件ですので、客観的な証拠が乏しい場合もあり、取調べでの供述が重要になる場合も少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、このように、「同意があると誤信して性行為に及んだ」、あるいは「実際に同意があったが事後的に同意がなかった旨の主張がなされている」といった相談を受ける場合があります。
東京都江戸川区東葛西にて、性行為の同意が問題で刑事事件に発展している、あるいは今後刑事事件に発展する可能性があるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けて頂くことができます。