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大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!
大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!
少年を含む若者の大麻事件と、改正少年法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
・事例
専門大学生のXさん(19歳)は,学校の友達と深夜,渋谷区内で遊んだ際に友達の1人から「良いところあるから寄っていこうぜ」と誘われました。
Xさんは友達について行ってあるマンションに入りましたが,実はそこは,大麻を回し吸いする現場でした。Xさんは友達から「体に悪くないから」と言われたこともあり,一口大麻を吸ってしまいました。また,その場にいた人から「あげるよ」と言われて,大麻タバコを一本貰ってしまいます。
帰り道,Xさんは渋谷区内の路上で歩いていたところ渋谷警察署の警察官から職務質問を受けて,大麻タバコの所持を発見され,大麻取締法違反によって現行犯逮捕されてしまいました。これからどうなるのでしょうか。
≪ケースは全てフィクションです。≫
・若者の間で蔓延する大麻
若い世代での大麻関連の事件が増加しているとの報道が相次いでいます。
「若者に広まる大麻,上半期の摘発2554人 最年少は14歳」朝日新聞デジタル
警察庁の統計によると,2020年に警察が大麻事件で摘発した人のうち,約7割が20代以下の若い世代であったということです。
SNS等を通じて,若い世代の間で「大麻はタバコやお酒よりも安全」「大麻は覚醒剤と違って依存もしない」というような情報が出回っており,大麻に対するハードルが下がっていることが要因の様です。
大麻については言説が様々ありますが,現在の日本では,大麻の所持や譲渡はれっきとした犯罪であり,5年以下の懲役が科せられる可能性があります。
・未成年の大麻事件
2022年(令和4年)4月1日から,少年法が改正されて,18歳や19歳は「特定少年」という,少年法の中でも少し変わった立ち位置になります。民法の成人年齢が引き下げられたことにも関連して,18歳,19歳の人については,これまでよりも刑事責任を問いやすくなった,つまり,これまでと違って大人としての責任を問われやすくなったのです。
具体的には,18歳,19歳の人がした犯罪については,逆送といって,少年法による「保護」ではなく,他の成人と同じ刑事裁判の手続きに付する事件が広がりました。
Xさんのような大麻取締法違反(単純所持)については,全て逆送されるわけではありませんが,薬物犯罪の場合は初犯であっても起訴猶予になりにくいものです。18歳や19歳の薬物事件についても「ここで一度お灸をすえておかなければならない」と考えて少年事件ではなく刑事事件に扱うために逆送決定がなされる可能性があります。
・逆送決定とは?
逆送決定とは,少年事件を受理した家庭裁判所が,少年事件として扱わず検察官に事件を送り返すことを言います。
本来,20歳未満の人の犯罪については少年事件として扱い,「今後更生するためにはどうすればいいか」という少年審判が開かれます。
しかし,「更生だけではなく,やったことへの責任をきちんと取らせるべきだ」という事件に対して,家庭裁判所は事件を検察官に逆送します。逆送がなされると,検察官は再度,犯罪についての捜査を行い,当該犯罪について証拠が十分にあると考えれば大人と同じように起訴をします。起訴され,証拠によって事実が認められれば大人と同じような懲役刑が科せられる可能性があります。
Xさんの事件についても,家庭裁判所から検察官へ逆送され,大人と同じ刑事裁判で裁かれてしまう可能性があるのです。
・未成年の薬物事件は早急に弁護士へ相談
18歳,19歳のご家族が薬物事件で逮捕されてしまったという場合には,早急に刑事事件,少年事件に強い弁護士に相談しましょう。
2022年4月1日以降,18歳,19歳の方の事件というのは,他の少年事件と比べると刑事裁判によって,懲役刑を受ける可能性が高まったといえます。
懲役刑のリスクを少しでも下げるためには,逆送されないための弁護活動が重要です。逮捕された直後から本人や家族の話を聞いたり,弁護士が様々な働きかけをしたりして,本人や生活環境の問題点をあぶり出すことで「本人に必要なのは刑罰ではない」と主張していくことで,最終的に逆送決定を避けることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、大麻所持のような薬物事件の弁護活動を数多く経験してきました。
東京都渋谷区にて、ご家族やご子息が薬物事件で逮捕されてしまったという方は,刑事事件,少年事件に特化した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部へご相談ください。
偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕
偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕
偽造した処方せんを使用し向精神薬を取得した事件を題材にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が刑事弁護活動等について解説いたします。
事例
東京都北区在住のAは、北区内にある民間の病院を受診した際に、医師から処方せんの交付を受けました。
Aは、この処方せんをカラーコピー機で偽造した上で、偽造した処方せんを使用し複数の薬局において薬剤師から向精神薬を購入しました。
東京都北区を管轄する滝野川警察署の警察官は、Aを麻薬及び向精神薬取締法等の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~偽造した処方せんを行使して向精神薬を取得~
Aの行為には、後述するとおり私文書偽造罪や詐欺罪といった刑法犯が成立する可能性があります。
もっとも、上記行為は薬物に関する取締り規定にも反し得るという点を見落としがちです。
この点、麻薬及び向精神薬取締法は、業者のみならず個人に対しても、処方せんの偽造行為に関する処罰規定を置いています。
麻薬及び向精神薬取締法
第七十二条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一~三(略)
四 向精神薬処方せんを偽造し、又は変造した者
すなわち、上記規定により、Aの偽造行為は刑法犯のみならず、同法による処罰対象となるのです。
したがって、Aが処方せんを偽造した行為には、特別刑法犯として麻薬及び向精神薬取締法72条4号に反するものということができます。
そして、上述したようにさらに重い罪として刑法上の犯罪も成立しうることにも注意が必要です。
まず、Aが処方せんをカラーコピー機で偽造した行為には、上記麻薬及び向精神薬取締法違反に加えて、刑法159条1項の私文書偽造罪が成立することになるでしょう。
そして、かかる偽造した処方せんを行使したことについて、偽造私文書行使罪(刑法161条1項)が成立します。
さらに、Aはこの偽造した処方せんを提示して、薬剤師の所属する薬局から「財物」たる向精神薬をだまし取っていることから、刑法246条1項の詐欺罪も成立することになります。
文書偽造に関しては「三月以上五年以下の懲役」、詐欺については「十年以下の懲役」とより重い法定刑が定められていることに注意が必要です。
~刑事弁護士による弁護活動のメリット~
逮捕されてしまうと、被疑者(容疑者)は、密室である取調室において捜査のプロである取調官と対峙しなければなりません。
また、捜査のプロであるといっても、違法不当な捜査や取調べを行わないとは限らない点に注意が必要です。
したがって、弁護士と早期に面会(弁護士には逮捕された方と立会人なしで面会できる法律上の特権を有します)するなどして、取調べ対応等について適切なアドバイスを受ける必要があります。
さらに、弁護士は面会において、被疑者(容疑者)自身の言い分をしっかり聞き取ることが可能です。
あくまで捜査側に立つ取調官は取調べにおいて、被疑者(容疑者)の言い分を十分に聞いてくれるとは限らず、この点に関しても弁護士との面会は重要性を有します。
また、逮捕されてしまうと、隔離された空間で孤立してしまうことから精神的な負担も少なくありません。
このようなメンタルケアの観点からも、定期的な弁護士との面会は重要といえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件の対象は刑法犯のみならず特別刑法犯など多岐に渡るため、刑事弁護士の専門知識と経験が不可欠となります。
東京都北区にて、麻薬及び向精神薬取締法事件等で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にご連絡ください。
大麻を実際に持っていなくても逮捕?
大麻を実際に持っていなくても逮捕?
大麻を所持していた場合に問題となる罪と、実際に持っていたのは別の者だったにも拘らず「共同所持」として逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都渋谷区在住のAは、渋谷区内の飲食店で経営者をしています。
Aには一緒に夜遊びをする友人Xがいて、Xの車で遊びに出かけることが多く、そのうちXが持っていた大麻を一緒に吸引していました。
ある日、AはXが運転する車に同乗して遊びに出かけていたところ、渋谷区内を管轄する渋谷警察署の警察官がAらの職務質問が行い、それに付随する所持品検査の過程でXの車から大麻片が見つかりました。
Xは警察官に対して「この車は自分の車で、大麻は俺のものだ」と言いましたが、警察官はAとXの二人を大麻取締法違反で逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【大麻の所持について】
昨今、大麻の使用罪の新設や医療大麻の解禁など、大麻取締法についての議論が活発化しています。
現状、我が国では医療大麻を含め、大麻の所持や栽培、輸出入といった行為を禁止しています。
ケースの場合は、大麻を所持していたことが問題となります。
条文は以下のとおりです。
大麻取締法24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
【大麻の共同所持について】
・共同所持とは?
ケースのAについては、直接大麻を所持していたわけではありません。
しかし、大麻の共同所持で逮捕されています。
共同所持した場合の条文は設けられていませんが、判例は覚醒剤の共同所持について、「必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは 必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもつて足りると解すべきである。」であると示しています。(昭和30年(あ)第300号)
つまり、①大麻がそこにあることを認識していて、②自分自身で使ったり捨てたりすることなどが出来る状態にある、という場合には、直接所持していない者に対しても「共同所持」していたとして大麻取締法違反と評価されます。
・共同所持の裏付け捜査は?
とはいえ、車に大麻片があったからといって、すぐに大麻の共同所持が認められるわけではありません。
まずは、各々に大麻を使用したか、持っていたか、誰かが大麻を持っていることを知っていたか確認します。
次に、客観的に大麻の共同所持の裏付けをとる方法として、共同所持が疑われる被疑者の尿検査や、大麻片が入っていたビニール袋・吸引器具等に付着した指紋の有無、スマートフォン等の履歴に薬物に関するやり取りが残っているか、といった裏付け捜査が行われると考えられます。
【尿検査を拒否したら?】
大麻の共同所持が疑われている場合に、捜査官はまずは関係者全員に任意で尿を出すよう求めます。
任意で尿を提出された場合、簡易検査を行えばすぐに検査結果が出るため、その結果次第で逮捕するかどうかの判断を下すと考えられます。
他方で、任意で尿を出さなかった場合、「犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として」強制採尿が行われます。
強制採尿は警察病院で行われる強制捜査の一種で、警察官が複数人で身体を抑え、陰部にカテーテルと呼ばれる管を差し込む方法で尿を出します。
【家族が大麻の共同所持で逮捕された弁護士へ】
ここまで説明したとおり、大麻の共同所持が疑われている場合には供述や尿の簡易検査の結果次第ではその場で逮捕されることもあります。
逮捕された場合、被疑者自身は逮捕後すぐに一度限り呼ぶことができる当番弁護士と、勾留決定後に選任できる国選弁護人のいずれかしか選ぶことができません。
なお、国選弁護人については、資力の要件を満たさない方(一定以上の預金があって私選弁護人を付けることができる方)については選任されません。
御家族が逮捕されて刑事事件・少年事件専門の弁護士に依頼をしたいとお考えの場合、自由に連絡がとれる御家族の方が弁護士に依頼をする必要があります。
東京都渋谷区にて、御家族が大麻の共同所持を疑われて逮捕されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見に行き、逮捕・勾留されている御家族からお話を聞いたうえで事実関係や今後の見通しについて御説明します。
令状なしでの家宅捜索
令状なしでの家宅捜索
大麻を売買した場合の罪と、令状なしに家宅捜索を行うなどの違法捜査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都港区赤坂在住のAは、港区赤坂の会社に勤める会社員です。
Aは小遣い稼ぎの感覚で、大麻を栽培しているXから安くで大麻草を購入し、SNSなどで知り合った者に対して大麻草を販売していました。
ある日、Aが港区赤坂の路上を歩いていたところ、港区赤坂を管轄する赤坂警察署の警察官から声をかけられ、職務質問を求められました。
Aは一目散に逃げて自宅に辿り着きましたが、警察官はドアに足を挟んでAにドアを閉めさせず、部屋の中を覗き込みました。
Aは外出前に大麻草を小分けにする作業をしていましたが、その大麻草が机の上に置いたままになっていたところ、警察官は大麻だろうと指摘し、部屋の中に入り大麻を手に持ちました。
その後、応援で駆け付けた警察官により捜索差押許可状を取得し、大麻は押収されAは逮捕されるに至りました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【大麻の営利目的譲渡について】
御案内のとおり、我が国では大麻は法禁物として、その所持や栽培、輸入などを厳しく制限しています。
ケースの場合は①自分で大麻草を所持していること、及び②第三者に対して譲り渡したこと、について捜査の対象となり得ます。
①と②の両方に言えることですが、大麻などの薬物事案では、営利目的であったか否かが重要になります。
営利目的とは、「犯人がみずから財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいう」とされています(最決昭57年6月28日)。
当然のこと乍ら、営利の目的があればより重い罪に処せられる可能性があります。
第24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
【令状なしでの家宅捜索】
警察官等の捜査機関が被疑者の自宅などに入って証拠品を探す行動を捜索と言います。
また、捜索の結果見つかった証拠品は押収という形で保全することができます。
これらの行動は強制処分と呼ばれ、原則として裁判所の令状が必要になります。(令状主義)
ただし、被疑者本人が承諾した場合には、令状なしで家宅捜索を行うことができます。
そのため、家宅捜索を行う場合には、通常であれば捜索差押許可状(又は捜索許可状+押収許可状)を裁判所に請求し、裁判所が下した決定に基づき行われる必要があります。
逮捕とは異なり、たとえ緊急性があるからと言って先に押収した後追って令状を請求するということは出来ません。
ケースのように、令状もなく、また家主が断ったにも拘わらず家宅捜索をする行為は、違法な捜査と言えます。
違法な捜査によって得られた証拠については、たとえ実際に大麻草が出てきたとしても、証拠能力が否定される場合があります(とはいえ違法捜査を認めつつ証拠能力を肯定する判例も少なくありません。)。
令状なしに家宅捜索が行われた場合、刑事事件専門の弁護士に早急に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、大麻などの薬物事件を含む多くの刑事事件を担当して参りました。
東京都港区赤坂にて、御家族が大麻の有償譲渡し事件で逮捕され、令状なしに家宅捜索が行われるなどの事情がありましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が接見に伺い、家宅捜索が適法行われたのか確認致します(有料)。
薬物事件の使用・所持
薬物事件の使用・所持
薬物事件で問題となる使用(施用・吸食)と所持という罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
Xの配偶者である東京都世田谷区松原在住のAは、世田谷区内の会社に勤める会社員です。
Aはいつも自宅に帰ってくるのですが、その日は自宅に帰ってこず、Xが電話をするもAは電話に出なかったため、世田谷区内を管轄する北沢警察署に行って捜索願を出そうとしました。
すると、警察官から「とある薬物事件でAを逮捕しています。裁判所から通知が届くと思うので、それまで待ってください。」と言われました。
不安になったXは、薬物事件について調べることにしました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【薬物事件の所持罪・使用罪】
我が国では、濫用により保健衛生上の危害を防止する等の目的で、指定した薬物について制限を設けています。
対象となる薬物と主な規制法は以下のとおりです。
※罰条は、単純所持罪、単純使用罪です。営利目的と認められた場合はさらに厳しい刑事罰が科せられます。
・覚醒剤:覚醒剤取締法
⇒アンフェタミンやメタンフェタミンと呼ばれる成分を含む薬物。
昏睡やうつ病状態の改善などに用いる「ヒロポン錠」などの医薬品として用いられます。
最も、処方に基づかない濫用は心身に害を及ぼすことに繋がりますので、当然に禁止されています。
・大麻:大麻取締法
⇒大麻草に含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)という成分を含む薬物(あるいは大麻草そのもの。)。
現行法では使用罪は禁止されていませんが、厚生労働省は使用罪の条文を設けるための法改正が検討しています。
海外ではてんかんや認知症等の様々な病気の治療薬として用いられています。我が国では大麻取締法により規制されていますが、2022年に医療用大麻を解禁するための法改正を目指して検討がなされています。
・MDMA:麻薬及び向精神薬取締法
⇒メチレンジオキシメタンフェタミンと呼ばれる成分を有する合成麻薬。
覚醒剤(アンフェタミン)に類似した成分を含んでいて、覚醒剤同様の効用があると言われています。
・コカイン:麻薬及び向精神薬取締法
⇒アルカロイドと呼ばれる成分を有する薬物。
コカの木に含まれるもので、濫用は禁止されていますが、局所麻酔などの薬にも用いられています。
(所持罪・施用罪:7年以下の懲役)
・あへん:あへん法
⇒ケシの実に含まれるオピエートと呼ばれる成分を有する薬物。
アヘン戦争で御存じのとおり、古くから栽培され使用されていた薬物の一つです。
生成しなくても薬効があると言われていますが、多くはヘロイン等のように加工される場合が少なくありません。
(所持・吸食:7年以下の懲役)
・ヘロイン:麻薬及び向精神薬取締法
⇒ジアセチルモルヒネと呼ばれる成分を有する薬物。
あへんが含有するオピエートを加工することで作られます。
癌などの痛みに使用される鎮痛剤や鎮咳剤に使われている成分ですが、極めて強い効用があるため、濫用することは固く禁止されていて、罰則規定も厳しいものになっています。
(所持罪・施用罪:10年以下の懲役)
・向精神薬:麻薬及び向精神薬取締法
⇒中枢神経に作用して精神に影響を及ぼす薬品の総称で、その対象となる薬品は麻薬及び向精神薬取締法の別表第三に掲げられている。
密輸や違法製薬によるものもありますが、多くは医薬品として正規に流通しているものです。
睡眠薬や精神安定剤などがあり、医師の処方に従って服薬することは問題がありませんが、濫用することで耐性が付き、依存度が高くなる特徴があります。
向精神薬については、使用罪や単純所持罪はなく、譲受、譲渡し目的で所持していた場合には以下の罪に問われます。
(譲渡・譲渡目的所持罪:3年以下の懲役)
・シンナー等有機物:毒物及び劇物取締法
⇒トルエンを主として酢酸メチルなどを含む有機溶剤。
粘度の高い塗料を薄めて粘度を下げる目的で使用されます。
しかし、吸引することで神経が抑制され、身体の様々な部位に悪影響を及ぼす危険な薬品でもあります。
(摂取・吸入・摂取目的の所持・吸入目的の所持:1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金、又はその併科)
・危険ドラッグ:医薬品医療機器等法
⇒覚醒剤や大麻等の規制薬物と類似した化学物質を混入させた植物片等で、体内摂取により、これら規制薬物と同様の有害性が疑われる薬物
脱法ドラッグ、合法ハーブ、お香などと聞こえの良いものですが、その実は覚醒剤と同様の害をもたらす薬物です。以前は法の規制が行われては少し構造が少し異なる薬物に作り変えるなどして、いたちごっこが続いていました。
しかし、2013年の法改正で「包括指定」がなされるようになり、いたちごっこはなくなりました。
(使用罪・所持罪:3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)
【まとめ】
このように、薬物事件と一言で言ってもその内容は対象となる薬物の種類によって大きく異なり、罰条も変わってきます。
しかし、ケースのように、捜査機関によってはたとえ家族であっても事件の詳細は教えてくれないという場合は少なくありません。
罪名や詳細を確認するためには、面会の制限がない弁護士に初回接見を依頼し、逮捕・勾留されている家族の方との接見で内容を聞いたうえで、事件の内容や見通しについて確認する必要があります。
東京都世田谷区にて、ご家族が薬物事件で逮捕されたものの、詳細が分からないという場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。(初回接見は有料です。)
覚醒剤使用で保釈請求へ
覚醒剤使用で保釈請求へ
覚醒剤を使用していた場合に問題となる罪と保釈請求について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都葛飾区在住のAは、葛飾区内の会社に勤める会社員です。
Aは知人の勧めを受け、覚醒剤を注射器を使って濫用していました。
ある日、葛飾区内の路上で待ち合わせをしていたところ、葛飾区内を管轄する葛飾警察署の警察官がAに近寄り、職務質問に協力してくださいと説得をされました。
Aは、当時薬物は持っていなかったため職務質問と併せて所持品検査に応じましたが、その際に警察官はAの肘裏にある注射痕を見つけ、尿検査に応じるよう説得しました。
Aは頑なに拒否しましたが、警察官は長きに亘り説得した結果、Aは尿を提出することとなりました。
検査結果が出たら連絡すると言われたAは、不安になり、覚醒剤の使用で問題となる罪や保釈請求のタイミングについて、刑事事件専門の弁護士に無料相談しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【覚醒剤の使用について】
覚醒剤(かくせいざい)とは、「フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類」や「同種の覚せい作用を有する物であって政令で指定するもの」と定義されています。(覚醒剤取締法2条1項1号)
多くは結晶、あるいはそれを砕いて粉末にした状態で所持し、液体に溶かして注射器などで打つという方法で濫用される場合が一般的です。
また、ヤーバーなどと呼ばれる錠剤タイプの覚醒剤もあります。
覚醒剤は神経を興奮させる効力があるため、一時的な快楽を得られる場合もあるようですが、幻覚や幻聴に悩まされるなどの悪影響が大きいという特徴があります。
また、依存性が高いという特徴もあるため、一度手を出してしまうと、自分の意志ではやめられないという場合も少なくありません。
そのため、我が国では医師など一部の認められている者を除き、覚醒剤の使用や所持、密輸入、製造などを禁止しています。
Aの場合は覚醒剤の使用が問題となっていますので、覚醒剤取締法19条に違反します。
罰条は「10年以下の懲役」です。(覚醒剤取締法41条の3第1項1号)
なお、覚醒剤取締法違反の嫌疑で尿を提出した場合、捜査機関は、簡易検査の結果をもとに身柄拘束する場合もありますが、採取した尿を科学捜査研究所に送り、正式な検査結果を踏まえて逮捕するという場合もあります。
【保釈請求について】
事件を起こした被疑者とされている者は、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致され、送致を受けた検察官は装置から24時間以内に勾留請求するか、釈放する必要があります。
検察官が勾留の必要があると判断した場合、裁判所に対して勾留請求を行い、勾留請求を受けた裁判所は被疑者の勾留が必要か、被疑者の話を聞く機会を設けたうえで勾留についての判断を行います。
勾留の期間は10日間ですが、1度に限り延長することができるので、最大で20日間、勾留されることになります。
担当検察官は、勾留の満期日までに捜査あるいは捜査指揮を行い、被疑者を起訴するか処分保留で釈放しなければなりません(もっとも、処分保留で釈放した後に別件での逮捕により引続き身柄拘束が続くという場合もあります。)。
検察官が起訴した場合には刑事裁判にかけられることになりますが、身柄はどうなるかというと、起訴後勾留という手続きに切り替えられることになります。
起訴後勾留の期間は2カ月と定められていますが、その後も1か月ごとに更新をすることができて、判決の言い渡しを受けるまで続けることができます。
起訴後勾留されている方の身柄を解放するためには、保釈請求を行うことで釈放を求めるというケースが一般的です。
保釈は、被告人側(被告人自身や親族、弁護人)が裁判所に対して請求を行い、裁判官は検察官の意見を聞いた上で保釈をするか否かの判断を下します。
裁判官が保釈を認め、そこで言い渡された保釈金を納付することで、身柄を解放されます。
保釈請求は被告人本人が行うこともできますが、逃亡や罪証隠滅の恐れがないことを書面で主張する必要があるため、一般の方が行う場合はハードルが高いと言えます。
東京都葛飾区にて、覚醒剤使用の事件で家族が逮捕されたり、鑑定の結果を踏まえて逮捕される可能性があるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
【お客様の声】大麻所持で不起訴を獲得
【お客様の声】大麻所持で不起訴を獲得
◆事件概要◆
東京都在住の対象者(30代男性)は,大麻所持での前科がありました。
前科の判決を受けた後,しばらくは大麻を断つことができていましたが,ストレス発散のため再び大麻に手を出してしまったという事案でした。
事件当日,対象者が乗っていた車から(以前に使用した)大麻片が自動車内から見つかったため,大麻取締法違反で現行犯逮捕されました。
◆事件経過と弁護活動◆
この事案は,対象者の勾留手続前にご依頼いただきました。
弁護士は,まず,勾留手続に際して対象者の釈放を求める弁護活動と同時に,証拠隠滅の恐れがないことを主張し,接見禁止決定を出さないよう,裁判官に申し入れました。
薬物事件の場合,多くは接見禁止決定が付きます。
接見禁止決定は,原則として被疑者に認められている一般面会(弁護士接見以外の面会)の権利を制限するもので,裁判官の裁量で決定することができます。
薬物事件の場合,まだ押収されていない薬がある,あるいは薬物の売人などと口裏合わせをする可能性がある,などの理由で,勾留裁判官は勾留手続と併せて接見禁止決定を下す場合が多いです。
しかし,ご家族が作成した上申書などの内容を踏まえ,結果として対象者には接見禁止決定がつきませんでした。
20日間の勾留段階で,対象者が心配していたのが,仕事ができないため取引先との信頼関係が崩れるのではないかという点です。
弁護士は,接見にしっかりと時間を割き,事件の内容や取調べ対応だけでなく,家族を通じて取引先に対して連絡する必要がないかなど,逐一確認し,毎回依頼者に報告していました。
担当する検察官は,勾留満期日に対象者を「不起訴(起訴猶予)」としたため,依頼者はすぐに社会復帰することができました。
◆まとめ◆
以前に使用していた大麻片などが車内に落ちていた場合でも,大麻所持の嫌疑で逮捕されることがあります。
薬物事件の場合,勾留と併せて接見禁止がつく場合が多いです。
接見禁止決定がついた場合,勾留期間中は弁護士以外の方との面会ができなくなってしまう場合があります。
勾留期間は職場や得意先などに直接連絡することができないため,弁護士が間に入るなどの場合もあります。
大麻所持事件は,「必ず起訴される」というものではありません。
捜査の結果,不起訴になったという事例もあります。
東京都内で,大麻所持事件でご家族が逮捕された場合,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
大麻事件での違法捜査
大麻事件での違法捜査
大麻を栽培していた場合の罪と違法捜査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】≪ケースは全てフィクションです。≫
東京都青梅市野上町在住のAは、青梅市野上町にある会社に勤める会社員です。
Aは友人から頼まれて、自宅で大麻を栽培していました。
ある日、Aが自宅にいたところ、青梅市野上町を管轄する青梅警察署の警察官が自宅に来て、「近隣住民から異臭がすると通報を受けて臨場しました。部屋の中を見せてもらえませんか。」と言いました。
Aは「令状がないならお断りします。」と伝えたのですが、警察官は当初粘り強く交渉を続けました。
しかし、Aが部屋の扉を閉めようとしたため、警察官は扉の間に足を入れ、無理やり部屋を開けました。
そして、警察官はAの部屋の中を見て、大麻の匂いがするじゃないかと言い、Aの部屋に入り栽培していた大麻を見つけました。
【大麻を栽培していた場合の罪】
我が国では、大麻は法禁物として扱われています。
処罰対象とされている大麻とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」とされています。
大麻は、大麻取締法という法律で、所持や譲り受け渡し、栽培、輸出入が禁止されています。
大麻事案の場合、インターネット上でのやり取りから発覚するケースや、職務質問・所持品検査で発覚するケース、関税などで発覚するケースが挙げられます。
また、大麻草は独特の甘い匂いがすることから、ケースのように近隣住民からの相談で発覚する可能性があります。
大麻の栽培で問題となる罪については、営利目的があるか否かにより罰条が異なります。
大麻取締法3条1項 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
同24条1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
同2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
【令状なしの捜索について】
警察官等の捜査機関が被疑者の自宅などに入って証拠品を探す行動を捜索と言います。
また、捜索の結果見つかった証拠品は押収という形で保全することができます。
これらの行動は強制処分と呼ばれ、原則として裁判所の令状が必要になります。(令状主義)
ただし、被疑者本人が承諾した場合には、令状なしで家宅捜索を行うことができます。
そのため、家宅捜索を行う場合には、通常であれば捜索差押許可状(又は捜索許可状+押収許可状)を裁判所に請求し、裁判所が下した決定に基づき行われる必要があります。
逮捕とは異なり、たとえ緊急性があるからと言って先に押収した後追って令状を請求するということは出来ません。
ケースのように、令状なしに家宅捜索をする場合、違法な捜査となります。
違法な捜査によって得られた証拠については、たとえ実際に証拠品が出てきたとしても、証拠能力が否定される場合があります。(とはいえ違法捜査を認めつつ証拠能力を肯定する判例も少なくありません。)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまで違法な捜査により起訴された、あるいは起訴されそうになったという事件を取り扱ってきた経験があります。
東京都青梅市野上町にて、御家族が大麻などの刑事事件で違法捜査により逮捕された可能性がある、という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。
まずは弁護士が初回接見にいき、違法捜査の可能性について確認致します。
覚醒剤使用事件で逆転無罪
覚醒剤使用事件における逆転無罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
東村山市に住むAさんは、第一審で懲役2年6月の実刑判決を受けたのですが、逆転無罪判決が言い渡されました。採尿前の職務質問の現場において、警察官が男性の下半身を露出させており、この行為に対して裁判官は「手続きに違法があった。」と認定しました。そして覚醒剤反応が陽性であるとした鑑定書が、この違法手続きと密接な方法で得られたとされて、証拠から排除されたことによって無罪判決が言い渡されました。
(フィクションです。)
◇覚醒剤取締法違反◇
覚醒剤取締法では、覚醒剤の使用、所持、譲り受け、譲り渡し、輸出入等が禁止されています。
今回の裁判で無罪を得た男性は、覚醒剤の使用で起訴されています。
覚醒剤の使用については、起訴されて有罪が確定すれば10年以下の懲役が科せられることになりますが、初犯の場合は、よほどの事情がない限り、非常に高い確率で執行猶予付きの判決が言い渡され、実刑判決になることはほとんどありません。
◇覚醒剤使用事件で逮捕されるまで◇
覚醒剤使用事件で逮捕されるまでについて解説します。
現在、日本の捜査機関は覚醒剤の使用を尿の鑑定によって立証する方法を採用しています。(毛髪による鑑定が行われることもあるが非常に稀で、実際はほとんど行われていない。)
警察官による職務質問や、捜査機関による内偵捜査によって覚醒剤を使用している疑いがある人に対して警察官は採尿を求めることができます。
最初は任意の採尿を求められますが、この任意採尿を拒否すれば、裁判官が発付する「捜索差押許可状」を基に強制採尿されることとなります。
こうして採尿された尿は、覚醒剤成分が含まれているかどうかを鑑定されることになります。
緊急性がある場合には、警察署に設置されている専用の機械や、簡易の検査キットを使用して警察官によって簡易鑑定が行われ、その鑑定で陽性反応が出ると、その時点で逮捕されます。
緊急性がない場合や、採尿した尿の量が少なければ簡易鑑定は行われずに、科学捜査研究所における尿鑑定を受けることになります。
科学捜査研究所における尿鑑定は、科学捜査研究所の鑑定員によって行われるため、検査結果が出るまでに時間を要します。そのため、採尿した後はいったん解放されて帰宅することができます。
科学捜査研究所における尿鑑定で覚醒剤の陽性反応が出ると、鑑定員によって「鑑定書」が作成されます。
警察官による簡易鑑定によって逮捕された場合であっても、その後、残りの尿が科学捜査研究所の鑑定員によって鑑定されて、最終的には「鑑定書」が作成されます。
そして、覚醒剤使用事件の刑事裁判では、科学捜査研究所の鑑定員の作成する「鑑定書」が、被告人の有罪を決定づける重要な証拠となります。
◇鑑定書の証拠能力◇
覚醒剤使用事件の刑事裁判では、覚醒剤を使用したか否かの判断は、尿の鑑定結果が記載された「鑑定書」によって証明されます。
鑑定書に証拠能力が認められるのは、作成までの刑事手続きが適法に行われていたことが前提ですので、それまでの刑事手続きが違法であった場合には、今回の刑事裁判のように、鑑定書の証拠能力が認められない可能性があります。
今回の刑事裁判では、男性を職務質問した警察官が、男性に対して下着を脱がせて身体検査を行ったり、下半身に触れたことを認定し、それについて裁判官は「プライバシーを尊重せず、手続きには違法がある」と批判したようです。さらに、その違法手続き後に行われた採尿によって収集された尿の鑑定書を、証拠から排除したのです。
覚醒剤の使用を証明するはずの鑑定書が、裁判の証拠から排除されたことによって、男性が覚醒剤を使用していたことを証明する証拠がなくなったので、男性の無罪が言い渡されたと言えます。
薬物事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、これまで数多くの薬物事件の刑事弁護活動を行ってきた実績がございます。
薬物事件でお困りの方、覚醒剤使用事件の刑事裁判でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
覚せい剤所持事件で逮捕 早期の釈放と執行猶予の獲得に強い弁護士
覚せい剤所持事件で逮捕された方の、早期の釈放と執行猶予の獲得について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
~覚せい剤の所持容疑で逮捕~
東京都八王子市在住のAさんは、ある日警視庁八王子警察署の警察官から職務質問を受けました。
その際に、任意で所持品検査に応じたところ、鞄の中から小分けにされた覚せい剤のパケが見つかってしまいました。
Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕されたようです。
(フィクションです)
~覚せい剤事件~
覚せい剤の所持は覚せい剤取締法によって禁止されています。
罰則は単純所持・使用は10年以下の懲役と定められています(41条の2第1項、41条の3第1項3号)。
覚せい剤の所持や使用で逮捕された場合、ほとんどの場合、検察官による勾留請求がなされます。
勾留の要件は、犯罪の嫌疑、勾留の理由、勾留の必要性となっています(刑事訴訟法207条1項、60条)。
勾留の理由とは刑事訴訟法60条1項各号所定の事由をいい、住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれをいいます。
覚せい剤などの薬物事件の場合、本人が製造したという場合は格別、薬物を提供した共犯的人間が存在することが通常です。
逮捕されてしまった場合、提供した人間と何らかの口裏合わせなどをする可能性が高く、罪証隠滅のおそれは高いとみなされてしまいます。
勾留請求が認められた場合、逮捕に加えて10日間、やむを得ない事由がある場合にはさらに10日間延長され、最長で20日間勾留されてしまいます。
また、覚せい剤などの薬物事件の場合、接見禁止処分が付される場合もあります。
接見禁止処分が付されてしまうと、弁護人以外はたとえご家族であっても面会することはできません。
これは、自宅などに隠し持っている残りの薬物を廃棄してもらうなどの罪証隠滅を防ぐためです。
勾留された場合、検察官は勾留期間中に事件を起訴するか不起訴とするかを決定します。
覚せい剤などの薬物事件の場合、違法な証拠収集であった場合など特殊な場合を除き、ほとんど起訴されてしまいます。
起訴された場合には勾留に引き続き被告人として身柄拘束されてしまいます。
~弁護活動~
◇起訴前◇
弁護士はまず身柄解放に向けて活動します。
勾留決定がされてしまった場合には勾留決定に対する準抗告の申立をします。
また、接見禁止処分が付されている場合には、接見禁止の一部解除を申立ます。
接見禁止の一部解除が認められれば、ご家族などが面会することが可能となります。
仮に接見禁止の一部解除が認められないような場合には弁護士による接見の際にご家族への伝言などをお伝えします。
◇起訴後◇
検察官によって起訴された場合、通常、被告人として引き続き勾留されてしまいます。
身柄解放のため、勾留に対する抗告や保釈申請を行います。
覚せい剤等の薬物事件では起訴前の勾留の段階で証拠などの捜査が終わっていることが多いため、保釈請求が認められるケースが多いです。
保釈が認められれば、身柄解放となり、普段通りの生活を送ることが可能です。
しかし、裁判所などからの出頭要請には応じる義務があり、特段の理由もなく応じないような場合には保釈が取り消され、再び身柄拘束をされてしまいます。
起訴された場合には刑事裁判を受けることになります。
覚せい剤の単純所持や使用の場合、初犯であれば執行猶予付きの判決となることがほとんどです。
しかし、必ずしも執行猶予が付くというわけではありません。
実刑となり刑務所に収監されることよりも執行猶予として社会内での更生を図るべきであると裁判官に納得させる必要があります。
具体的には、再犯防止に向けて専門医の治療やカウンセリングを受ける、ご家族による監督があることなどを示す必要があります。
どのような取り組みをすべきかは薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。