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民家に押し入って泥棒 共犯事件に強い弁護士①
民家に押し入って泥棒した事件を例に、共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
民家に押し入って泥棒
東京都西多摩郡に住むAさんは、先日会社を解雇され、無職となりお金に困っていました。
そんな中、Aさんは数年ぶりにパチンコ店で会った知人の男Bさんから、「お金に困っているの?」「空き巣の家を見つけたから家に入って貴金属を盗ってそれを売って金にしよう」ともちかけられ、この話に乗ることにしました。
犯行日当日、犯行場所で、AさんはBさんから「俺が中に入ってやるから、誰も来ないかどうか外で見張りをしていてくれ」と言われました。
そして、Aさんは外で見張りをしていたところ、被害者宅から貴金属を盗ってきたBさんから「中におばさんがいた。貴金属の在りかを吐かなかったので、ナイフで脅した」と言われました。
その後、AさんとBさんは現場から逃走しました。
そして、数か月後、警視庁青梅警察署に、Aさんは邸宅侵入罪と窃盗罪の共犯、Bさんは住居侵入罪と強盗罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
共犯とは
Aさんは共犯として逮捕されていることから、まずは、共犯の意義についてご説明いたします。
最も広い意味での共犯(最広義の共犯)とは、2人の以上の行為者が犯罪に加功した場合をいいます。
最広義共犯は任意的共犯と必要的共犯とにわけられます。
任意的共犯とは、本来は単独犯による犯罪実現が予定されている通常の構成要件(犯罪成立のための要件)を2人の以上の行為者が実現する場合をいい、広義の共犯ともいいます。
広義の共犯には
・共同正犯(刑法60条)
・教唆犯(刑法61条)
・幇助犯(刑法62条)
があり、教唆犯と幇助犯を狭義の共犯といいます。
必要的共犯とは、構成要件上、2人以上の行為者による犯罪実現を予定して規定されている犯罪をいいます。
例として、
・内乱罪(刑法77条)
・騒乱罪(刑法106条)
・贈賄罪(刑法198条)と収賄罪(刑法197条ないし197条の4)
があります。
このうち前二者を集合的犯罪(同一の目標に向けられている数人の行為者の集団的行為を独立の構成要件とするもの)と呼ぶのに対し、贈賄罪と収賄罪のように、相反する数人の行為者の対立的行為を独立の構成要件とする犯罪を対立的犯罪とも呼びます。
以上を図にすると以下のとおりとなります。
最広義の共犯 ――――― 必要的共犯
| (広義の共犯)
|
|―― 任意的共犯 ―――― 共同正犯
|
|――― 教唆犯
| (狭義の共犯)
|――― 幇助犯
共同正犯とは?
以上、一言で共犯といっても様々な種類があり、分類されることはお分かりいただけたと思います。
必要的共犯の場合は、犯罪そのものが共犯の形式を取りますから、任意的共犯、つまり、共同正犯、教唆犯、幇助犯が適用される余地はありません。
では、その他の犯罪の場合、任意的共犯が適用されるのはどんな場合なのでしょうか?
まずは、共同正犯から見ていきたいと思います。
共同正犯は刑法60条に規定されています。
刑法60条
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
正犯あるいは正犯者とは、犯罪(基本的構成要件)に該当する行為(実行行為)を行う者のことをいいます。
刑法60条は、意思の連絡(共謀)の下に複数の者が関与した事案において、自己の犯罪を犯したと評価し得る重要な関与者を正犯とし、他人(Bさん)の実行行為及び結果につき、共同して行えば全て帰責される(刑事責任を負わされる)という「一部行為の全部責任の原則」を認める規定です。
共同正犯の成立要件
それでは、共同正犯が成立するためにはいかなる要件が必要なのでしょうか?
言い換えれば、他人が行った行為及びそれによって作出された結果を仲間内である共犯者にも帰責させるための要件とはいかなるものなのでしょうか?
共同正犯が成立するためには、主観的要件としての「共同実行の意思(意思の連絡=共謀)」、客観的要件としての「共同実行の事実」が必要です。
= 共同実行の意思 =
共同実行の意思とは、共同して実行行為をしようという意思のことをいいます。
共同加工の意思ともいわれます。
共同実行の意思は、2人以上の行為者全員が相互に持たなければなりません。
したがって、甲がVに暴行を加えている間、甲の知らない間に乙がVの財布を盗んだという場合、窃盗罪(あるいは暴行罪)の共同正犯は成立しません。
= 共同実行の事実 =
共同実行の事実とは、共謀した行為者が実行行為を分担することであり、共同加功とか行為の分担ともいわれています。
* 共謀共同正犯 *
ところで、共同して犯罪を行う場合、一部の者が指示役、残りの者が実行役というように、役割分担が決められている場合があります(近年、はやりの特殊詐欺がまさにこれに当たります)。
しかし、指示役は実際に犯罪を実行していませんから「共同実行の事実」が認められず、刑事責任を問えないかのようにも思えます。
そこで、判例は共謀共同正犯という理論を用いて、指示役にも共同正犯としての刑事責任を負わせています。
共謀共同正犯とは、2人以上の者が犯罪の共謀をし、そのうちある者が実行をすれば、実行を分担しなかった者の含めて共謀者の全員が共同正犯となるとする理論です。
今回の事件を検討
では、上記要件を本件に当てはめてみましょう。
まず、「共同実行の意思」ですが、AさんはBさんから「空き巣に入って貴金属を盗ってそれを売って金にしよう」ともちかけられ、Aさんはそれに対し「承諾」しています。
Bさんの誘いは、要は邸宅侵入罪及び窃盗罪の誘いであって、相互に意思連絡があると認められます。
ですから「共同実行の意思」の要件は満たします。
次に、「共同実行の事実」ですが、本件の実行行為を行っているのはBさんです。
しかし、上記でご説明したとおり、実行行為を分担していなくても共同正犯の成立を認めるのが現在の実務です。
しかも、Aさんは現場周辺で見張りをしています。
したがって、「共同実行の事実」の要件も満たしそうです。
以上より、Aさんは邸宅侵入罪、窃盗罪の共犯(共同正犯)で逮捕されています。
本件の疑問点
しかし、ここで一つの疑問がわきます。
・Bさんは強盗の罪を犯した
・Aさんには影響はないのか?Aさんの罪責は?
という点だと思います。
そこで、次回は、教唆犯、幇助犯についてご説明した上で、この点についてもご説明したいと思います。
共犯事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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フリマアプリを利用した詐欺事件で取調べ
フリマアプリを利用した詐欺事件で警察の取調べを受けた場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
詐欺罪で逮捕
Aさんは,東京都府中市に住むVさんに販売終了となっているグッズの偽物を本物と偽って,いわゆるフリマアプリを通じて売りました。
Aさんの口座に代金を振り込み商品を手にしたVさんは,グッズが偽物であることに気付き警視庁府中警察署に被害を届けました。
現在,捜査にあたった警視庁府中警察署でAさんは詐欺事件の被疑者として取り調べを受けています。
(フィクションです)
詐欺罪とは
詐欺罪は刑法第246条に規定されている犯罪です。
詐欺罪は一般にも比較的罪名も知られている犯罪ではないでしょうか。
刑法第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,前項と同様とする。
財物を交付させる類型の詐欺罪=刑法第246条第1項に規定されている詐欺罪と区別するため,財産上の利益を得る類型の詐欺罪=刑法第246条2項に規定されている詐欺罪を二項詐欺罪や詐欺利得罪などと言ったりします。
反対に,財物を交付させる類型の詐欺罪は一項詐欺罪とよばれたりします。
今回のケースでは,AさんはVさんにフリマアプリを通じて偽のグッズを売り、その代金を支払わせています。
つまり,Aさんは売上金をVさんに支払わせたということですから,売上金という財物を交付させた一項詐欺罪に当たると考えられるでしょう。
一項詐欺罪が成立するためには,行為者に不法領得の意思が必要であるとされています。
不法領得の意思とは,権利者を排除し,他人の物を自己の所有物と同様に利用しまたは処分する意思であると説明されます。
今回のAさんがVさんから支払われた売上金を自分で使用するつもりであったなら,まさにそのお金を「自己の所有物」として使用するわけですから,この不法領得の意思があると考えられるでしょう。
また,詐欺罪の要件となる欺く行為(欺罔行為)があったというためには,欺かれる人(被欺罔者)が財物の交付などの財産を処分する動機となる事項に関し錯誤(勘違い)を生じさせ得る行為がなければなりません。
今回のケースでは,Aさんは偽物のグッズを本物と偽って販売しており,この欺罔行為で勘違いをしたVさんが支払った代金を得ています。
よってAさんの行為が詐欺罪に問われる可能性は十分にあると考えられるでしょう。
フリマアプリを利用した詐欺事件の弁護活動
詐欺事件で被疑者となってしまった場合,逃亡や犯罪の証拠の隠滅のおそれがあるとして逮捕されるケースは少なくないです。
今回のようなフリマアプリ詐欺事件では,同様のフリマアプリ詐欺行為を複数回行っていることも考えられ,そうなればより逮捕・勾留のリスクが発生することになるでしょう。
逮捕・勾留により身体拘束されていると,会社に行くことはおろか家族と会うことも容易ではありません。
だからこそ,詐欺事件の被疑者となってしまったら,逮捕・勾留されてしまったら,弁護士に相談・依頼することがおすすめです。
事件の依頼を受けた弁護士は,被疑者が逮捕・勾留されている場合は拘束状態からの早期の解放のために活動を始めます。
具体的には,身元引受人を探したり,家族の方等を協力し,犯罪の証拠を隠滅するおそれがないこと等を示していくことになるでしょう。
また,弁護士は取調べの対応について法的なアドバイスをすることで,意図せず不利な調書をとられたりすることを防止することが期待できます。
そして,フリマアプリ詐欺事件では被害者との示談交渉も行ことになるでしょう。
このような被害者と締結した示談内容などを示すことのほか,被疑者の反省の姿勢や更生のための計画を示すことで不起訴や執行猶予の獲得を目指します。
詐欺事件の弁護活動に強い弁護士
詐欺事件の被疑者となってしまった方,警視庁府中警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
東京都新宿区での給付金不正受給の刑事事件を解説
給付金の不正受給をし、刑事事件化してしまった場合の刑事責任と刑事事件の展開について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説いたします。
給付金の不正受給で逮捕
東京都在住のAさんは、友人とともにコロナ禍で収入が激減した経営者を装い、帳簿を偽造することで架空の売り上げを計上し、中小企業庁に対して持続化給付金の申請を行い現金100万円を受け取りました。
しかし、その後の国税庁の調査により虚偽の申請とばれ、Aさんらは警視庁新宿警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
給付金の不正受給
帳簿の偽造などにより不正に給付金を受け取った場合、詐欺罪(刑法〈以下略〉246条1項)又は詐欺利得罪(246条2項)が成立する可能性があります。
人を欺き、誤信をさせ財物を交付させた場合(欺罔行為と言います。)には、詐欺罪が成立します。また、欺罔行為により支払いを免れるなど財産上の利益を得た場合には、詐欺利得罪が成立します。給付金詐欺の場合には、収入が激減した経営者であるという事実がないにもかかわらずそのように装って申請をしている点が欺罔行為として詐欺罪が成立する可能性があります。
また、特に官公庁に提出する文書や銀行口座など本人が誰であるかが重要になる文書で、申請書の名義人欄に架空の名前を使うなど、文書の作成者と名義人の人格の同一性を偽った場合には別途有印私文書偽造罪(159条1項)や偽造私文書行使罪(161条1項)が成立することもあります。
給付金の不正受給の刑事責任と刑事事件の展開
詐欺罪で起訴され、有罪判決が出た場合、10年以下の懲役が科されます。罰金刑が無く重い犯罪と扱われています。他方で有印私文書偽造罪・同行使罪で有罪判決が出た場合には3月以上5年以下の懲役が科されます。これらの犯罪は、私文書偽造罪と偽造私文書行使罪とが、偽造私文書行使罪と詐欺罪とが、手段・目的の関係にあるため牽連犯(54条1項)の関係にあり、重い詐欺罪の法定刑で処罰されることになります。
上記刑事事件例のように、詐欺罪で逮捕され起訴された場合、初犯や2・3犯であれば執行猶予がつくことが多いです。しかし、前科が多かったり被害額が極めて高額だった場合の他、社会的な影響の大きく一罰百戒のため厳罰が必要とされる事件の場合には実刑判決が出ることもあります。
不起訴処分を獲得したり、執行猶予を獲得するためにはいち早く不正受給したお金を返還し、自首をすることが必要です。自首する際の上申書の作成や自首後の刑を軽くする弁護活動のサポートには、刑事事件の弁護士を代理人に立てることを強くお勧めいたします。
給付金不正受給でお困りの方は
東京都新宿区で給付金不正受給による詐欺罪で逮捕され、又は自首を検討しお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部への無料法律相談をご検討ください。
東京都台東区の準詐欺事件
東京都台東区の準詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
準詐欺容疑で取調べ
東京都台東区にある認知症対応型グループホームの職員であったAさんは、入居者のVさん(当時72歳)が認知症で事物の判断をするのに十分な普通人の知能を欠く状態であることに乗じて、Vさんから現金の交付を受けようと考えました。
Aさんは東京都台東区内の郵便局においてVさんに対し、Vさん名義の通常貯金口座から現金1000万円を払い戻させた上、その頃、同所において、郵便局員を介し、Vさんから前記現金1000万円の交付を受け、もって人の心神耗弱に乗じて財物を交付させました。
後日、事態を知ったVさんの家族から通報を受けた警視庁下谷警察署の警察官によってAさんは取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
準詐欺罪
準詐欺罪は刑法第248条に規定されている犯罪で、判断能力が十分でない等の人に対して、その判断能力が十分でない等の事情に乗じて財物を交付させるという犯罪です。
刑法第248条
未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。
10年以下の懲役という法定刑は、詐欺罪(刑法第246条)や恐喝罪(刑法第249条)などと同じです。
しかし、詐欺罪がその成立に欺罔行為(人を欺く行為)を求めているのに対し、準詐欺罪では詐欺罪にいう欺罔行為がなくとも処罰可能となる点が重要です。
通常の詐欺罪にいう欺罔行為とは、財産を処分させる手段として、財産についての処分権限をもつ相手方において、財産処分の判断の基礎となる重要な事項に関し、錯誤(思い違いや勘違い)を生じさせる行為です。
準詐欺罪では、相手方が知慮浅薄な未成年者や心神耗弱者である場合に限って、欺罔行為がなくとも未成年者の知慮浅薄や人の心神耗弱を利用して財物の交付や財産上の利益を取得することを処罰可能にしています。
準詐欺罪にいう「知慮浅薄」とは、知識が乏しく、思慮の足りないことをいいます。
そして「心神耗弱」とは、一時的・継続的な精神状態の不十分さにより一般通常人程度の知識・物事の判断力を備えていないことをいい、刑法第39条第2項の心神耗弱とは同一でないことに注意してください。
今回の被害者であるVさんは認知症ですが、相手方が認知症患者であることが直ちに準詐欺罪における心神耗弱であることの認定につながるわけではなく、心神耗弱やさらには未成年者の知慮浅薄はその症状の程度などを総合考慮してなされます。
また、相手方が知慮浅薄な未成年者や心神耗弱者であっても、欺罔行為を手段として財産の処分を行わせた場合は準詐欺罪ではなく詐欺罪に問われます。
加えて、意思能力がない者から財物を取得するときは相手方が財産処分の判断をしているとはいえないため窃盗罪(刑法第235条)となり、同じく相手方が知慮浅薄な未成年者や心神耗弱者であっても、欺罔行為や欺罔行為に至らない程度の偽り・誘惑を手段とせずに財物を取得した場合も窃盗罪となります。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
量刑判断の考慮事項としては、計画性の高さ、被害額の多さ、犯行の動機、初犯であるかどうか、十分に反省しているといえるかどうか、被害補償をしているかどうかなどがあります。
いずれにしても、刑事事件の知識・経験のある弁護士に相談し、自身のケースではどういった見通しが考えられるか、どういった活動が可能か詳しく聞いておくことが大切といえるでしょう。
準詐欺事件の弁護活動
Aさんは今回、警視庁下谷警察署で取調べを受けることになっています。
取調べを受けるにあたり、弁護士は黙秘権などの法的なアドバイスや、予想される質問内容に対する答え方などを提供することで依頼者様に不当に不利にはたらく内容の調書の作成を阻止します。
取調べを受ける前にご依頼いただくことによりその効果は最大に発揮されますが、時機が遅くなればなるほど、当初期待された結果につながりにくくなってしまいますので、お早めにご相談いただくことが何より重要です。
また、準詐欺事件では、被害者との示談交渉を行うことも重要な活動内容の一つです。
当事者間で直接交渉することは時間も労力もかかってしまい、その間に刑事手続きが進むことが懸念されます。
刑事事件に強い弁護士が間に入ることにより、円滑に交渉を進めることができ、なおかつ依頼者様にとってより利益となる内容での示談成立が期待できます。
これらの活動などにより、不起訴や執行猶予の獲得を目指すことができます。
刑事事件専門の弁護士
詐欺罪や準詐欺罪の被疑者となってしまった方、警視庁下谷警察署で取調べを受けることになってしまった方は、お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、初回の法律相談を無料で承っておりますので、ご安心してフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお電話ください。
葛飾区の民家に窃盗目的で不法侵入 家人に見つかり逮捕
窃盗目的で民家に不法侵入し家人に現行逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
窃盗目的で民家に不法侵入
仕事をクビになって生活費に困ったAさんは、他人の家に盗みに入ることを企て、留守の多い葛飾区の民家に忍び込んで金品を窃取する計画を立てました。
そしてある日、家人が出かけたのを確認したAさんは、リビングの掃き出し窓を割って開錠して、民家に不法侵入し計画を実行にうつしたのです。
留守の家のリビングに不法侵入したAさんは、金目の物がありそうなタンス等を見つけ、その中を物色していたところ、忘れ物を取りに帰ってきた家人に見つかり、その場で取り押さえられてしまったのです。
家人によって取り押さえられたAさんは、その後、通報で駆け付けた警視庁葛飾警察署の警察に引き渡されて、警察署に連行されました。
警察官の取調べを受けているAさんは、どのような刑事罰が科せられるのか不安でたまりません。
(フィクションです。)
不法侵入
窃盗の目的で留守の家に不法侵入すれば住居侵入罪となります。
住居侵入罪は、刑法第130条に定めらている法律で、その法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
今回の事件でAさんは、リビングの掃き出し窓を割って、閉まっていた鍵を開錠して家内に不法侵入しているので、この住居侵入罪の適用を受けるのは間違いないでしょう。
窃盗目的
Aさんは、家内から金品を窃取する目的で留守の民家に不法侵入しています。
この場合、まだ何も盗っていないAさんですが、「窃盗罪」の適用を受けるのでしょうか?
~窃盗罪~
まず「窃盗罪」について解説します。
窃盗罪とは、刑法第235条に定められている法律で、その内容は「他人の財物を窃取する(刑法抜粋)」ことです。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、窃盗罪で起訴されて有罪が確定すればその法定刑内の刑事処分を受けることになります。
~窃盗未遂罪~
窃盗罪は、未遂であっても処分の対象となります。(窃盗未遂罪)
窃盗未遂罪とは、窃盗の着手が認められるが、他人の財物を窃取するという結果まで発生しなかった場合を意味します。
例えば、歩いている被害者が持っているカバンをひったくろうと、そのカバンを掴んだが、被害者がカバンを放さなかったので、カバンを窃取できなかった場合や、コンビニのレジの中にある現金を盗もうと、店員がレジから離れたすきにレジを開けたが、レジの中にお金がなくて目的を遂げれなかった場合などが窃盗未遂罪となります。
窃盗未遂罪が成立するには、窃盗の着手行為がなければなりません。
窃盗罪でいうところの着手時期は、財物についての他人の占有を侵害する行為を開始したとき、又は、これに密着した行為を開始したときです。
~Aさんに窃盗未遂罪は適用されるのか?~
Aさんは、金目の物がありそうなタンスの中を物色していたところを、帰宅した家人に取り押さえられています。
タンスの中を物色する行為は、財物についての他人の占有を侵害する行為に該当するでしょうから、Aさんに窃盗未遂罪が適用されるでしょう。
住居侵入罪と窃盗未遂罪の関係(牽連犯)
これまで解説したように今回の事件でAさんは、「住居侵入罪」と「窃盗未遂罪」の2つの犯罪に抵触しています。
この2つの犯罪行為は、手段と目的の関係にあり、このように複数の犯罪が、手段と目的の関係にあることを「牽連犯」といいます。
牽連犯は、刑事罰を科せる上では一罪として扱われ、最も重い罪の法定刑によって処断されることとなります。
ですからAさんの場合ですと、窃盗未遂罪の法定刑の適用を受けることとなりますが、侵入窃盗事件では、単なる窃盗事件より厳罰化される傾向にあるので注意しなければなりません。
葛飾区の不法侵入事件でお困りの方、侵入窃盗事件に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件を専門にしている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
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警視庁綾瀬警察署に自首して減軽を求める
警視庁綾瀬警察署に自首して減軽を求める手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇詐欺事件で自首を検討◇
東京都足立区で飲食店を営んでいるAさんは、店の売り上げが悪化し、数年前から赤字が続いていますが、銀行からの融資を受ける事ができず閉店の危機に陥っています。
来月の家賃等の支払いの目途が立たず、金策をしていたAさんは、友人からお金を借りることを思いつきましたが、お店の経営状況を正直に話してもお金を貸してもらえないと思ったAさんは、店舗を拡大する内容の、虚偽の事業計画書を作成して、友人には「店舗を拡大する資金に充てる」という虚偽の理由で借金を申し込みました。
Aさんから事業拡大計画を聞いた友人は、Aさんの話を信じ込み300万円の融資を快諾してくれました。
しかしAさんは、友人から借りた300万円を、家賃の支払いや、これまで滞っていた贖罪の仕入れ先の借金の返済に費消しました。
数か月後に、友人から借金の返済を迫られたAさんは、あれこれ言い訳をして返済を先延ばしにしていたのですが、ついに嘘をついてお金を借りていたことがばれてしまいました。
そして友人から「詐欺罪で警察に訴える。」というメールが送られてきたAさんは、このままだと警察に逮捕されてしまうのではないかと不安で、警察に自首することを考えています。
(フィクションです。)
◇詐欺罪◇
人を騙して財物の交付を受ければ詐欺罪となります。
お金の貸し借りは民事事件だと思われがちですが、お金を借りる際に、目的や返済等について嘘をついて相手を騙してお金を借りると詐欺罪に抵触する可能性があります。
今回の事件でAさんは、虚偽の事業拡大計画を友人に説明して騙しており、この事業計画を信じて友人はAさんにお金を貸しています。
これは、詐欺罪の構成要件とされている「欺罔行為(相手を騙す行為)」と「錯誤に陥っての財物の交付(騙されたことによって、金銭を交付すること)」に該当すると考えられますので、Aさんの行為は詐欺罪に抵触する可能性が非常に高いと言えます。
~量刑~
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
詐欺罪で起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内の刑事罰が言い渡されるのですが、その量刑は、騙し取った金品の額に比例すると言われています。(被害弁償や被害者との示談が成立している場合は、軽減される可能性が非常に高い。)
初犯であっても、騙し取った金品の額が100万円を超える場合は、実刑判決になる可能性があるので注意しなければなりません。
また詐欺罪の中でも、振込め詐欺等の特殊詐欺事件に関して、最近は、裁判所が非常に厳しい刑事罰を言い渡す傾向にあるます。
◇自首◇
自首とは「自らの犯罪行為を警察等の捜査機関に申告する」ことで、自首が成立すれば、刑が軽減される可能性があります。
ただ、自らの犯罪行為を捜査機関に申告したからといって必ず自首が成立するわけではありません。
自首が成立するには
①警察等の捜査機関が認知していない事件
②警察等の捜査機関が認知し捜査を開始しているが、犯人の特定には至っていない事件
の何れかの事件について、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めなければなりません。
つまり、既に警察が捜査を開始している事件で、かつその事件の犯人が判明している場合は、警察署に自ら出頭しても、それは自首には該当せず、単なる出頭にすぎません。
出頭であっても、処分の軽減を求める有利な事情にはなりますが、絶対的に処分が軽減されるわけではないので注意しなければなりません。
◇自首を検討されている方は◇
自首を検討されている方は、事前に、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、警視庁綾瀬警察署に自首して処分の軽減を求める方の相談を、初回無料で承っております。
東京都足立区の刑事事件でお困りの方、詐欺事件で警察に訴えられた方で自首を検討しておられる場合は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
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強盗致傷罪で逮捕されたら
強盗致傷罪で警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
東京都大田区に住むAさんは、お金に困ったことから、近くのコンビニでおにぎり1つ(時価100円相当)を万引きしました。
しかし、Aさんがお店を出ようとしたところ、お店の従業員が万引きに気付き、Aさんのことを追いかけてきました。
捕まってしまうと大変なことになると思ったAさんは、追いかけてきた従業員の腕をつかみ、その場に押し倒しました。
押し倒された従業員は、膝をすりむき、全治1週間の傷害を負ってしましました。
その日は逃げることができたAさんですが、翌日自宅に警視庁大森警察署の警察官がやってきて、そのまま逮捕されてしまいました。
◇罪名◇
・Aさんに成立する犯罪
まず、Aさんに成立する犯罪を検討します。
Aさんは、おにぎりを万引きしているため、窃盗に当たる行為をしています。
しかし、その後Aさんは追いかけてきた従業員に暴行を加えました。このような場合、「窃盗が、(・・・)逮捕を免れ(・・・)るために、暴行または脅迫をしたときは、強盗として論ずる」として、刑法238条により、強盗の罪が成立します。この刑法238条の罪を、「事後強盗」と呼んでいます。
また、「強盗が、人を死傷させた時」は、強盗致傷罪が成立します(刑法240条)。
よって、今回のAさんには強盗致傷罪が成立します。
そして、強盗致傷罪の場合には、法定刑が無期又は6年以上の懲役と非常に重いものとなっています。
◇裁判員裁判◇
強盗致傷罪は無期懲役が定められているため、裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判とは、裁判官3名と、一般国民から選ばれた裁判員6名の合計9名が、刑事裁判の審理を行い、有罪か無罪か、有罪とすればどのような刑が適切であるか評議をし、判決をするという裁判です。
この裁判は、国民感情を裁判という司法の場に反映するために導入されました。そのため、有利な判決を得るためには、裁判官だけではなく、裁判員に対しても、分かりやすい説得的な議論が必要となります。
◇強盗致傷の捜査段階の弁護活動◇
強盗致傷罪は、裁判員裁判対象事件ですから、一度起訴されてしまうと、裁判員裁判という大掛かりな裁判になってしまいます。
そのため、できる限り起訴を防ぐ弁護活動が必要となります。
今回のAさんの事件のような場合には、おにぎりの所有者であるコンビニ店舗に被害弁償する、追いかけてきた従業員に対して治療費や慰謝料の支払いをするといったことを行い、穏便な解決を図るということが重要になります。
Aさんの罪は、強盗致傷罪という思い罪名ではありますが、実態としては100円の万引きと、全治1週間の傷害というものですから、両者ときちんと示談することができれば、最終的に不起訴処分となることも十分考えられます
。
◇強盗致傷の裁判段階の弁護活動◇
強盗致傷罪で起訴されてしまった場合には、裁判員裁判となってしまいます。
しかし、過去の裁判を見ると、強盗致傷罪で裁判となった場合にも、執行猶予付き判決がなされている事例が散見されます。
執行猶予付き判決をすることができるのは、主文で3年以下の懲役を言い渡すときに限られます。
強盗致傷罪の法定刑は、既に述べた通り、無期又は6年以上の懲役です。
そのため、法定刑の上では、最低でも6年以上の懲役となりますから、そのままでは執行猶予付き判決をすることはできません。
しかし、法律上酌量減軽(刑法66条)という制度があり、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と定められています。そして、有期刑を減軽する場合は、その刑を半分にすることになりますから、強盗致傷罪の場合は、3年以上の懲役となります。これにより、懲役3年とすることができますから、執行猶予を付けることができるようになります。
強盗致傷罪で起訴されてしまった場合には、裁判官や裁判員に対し、酌量減軽を求められる事情をしっかりと主張することが大切になります。
東京都大田区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が、強盗致傷罪で警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少額の万引き事件で長期服役の可能性
少額の万引き事件(窃盗罪)で、刑務所に長期服役した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
少額の万引き事件でも長期服役の可能性がある
主婦のAさんは,令和2年1月3日、東京都大田区内にある100円ショップで日用品(販売価格108円)を万引きしたところ、保安員に見つかり、窃盗罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
実はAさんは、過去5回、万引き(いずれも窃盗罪)で検挙されたことがあり、そのうち3回は刑務所に服役していました。
1回目の服役は平成23年12月1日から平成24月6月1日(懲役6月)まで、2回目は平成25年4月1日から同年12月1日(懲役8月)まで、3回目が平成30年3月1日から平成31年1月1日(懲役10月)まででした。
送致された際に、担当検察官から、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪で起訴されることを聞いたAさんは、今後のことが非常に不安です。
(フィクションです。)
常習累犯窃盗罪とは
常習累犯窃盗罪は、万引きなどの窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
常習累犯窃盗罪は、「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。
~ 法律3条の要件 ~
法律3条の規定は以下のとおりです。
常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る
この規定を要約すると以下の通りです。
(1)刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗)の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
(2)1記載の犯罪を常習として犯したこと
(3)1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
(4)3が、行為前の10年以内に3回以上あること
となります。
(2)の「常習として」とは、反復して特定の行為を行う習癖をいいます。常習性の有無については、行為者の前科・前歴はもちろん、性格、素行、犯行の動機、手口、態様、回数などを総合的に検討して判断されます。
したがって、「常習性」の認定は前科のみで判断されるわけではありません。
◇常習性が否定された裁判例◇
過去の窃盗前科の犯行態様が、ドライバーを使って古いアパートの錠を外して侵入し現金を盗んだ、という人が、本件で、スーパーマーケットの缶詰2個を万引きしたという事案で、動機・態様を著しく異にしており、本件が窃盗の習癖の発現としてなされたものであるとは認められないとして常習性が否定された裁判例(東京高裁:平成5年11月30日)があります。
Aさんを検討
Aさんは、本件で万引き、つまり窃盗罪を犯しています。【(1)の要件】
(2)の常習性の判断は上記で記載した事情を総合して判断しますが、Aさんは過去の前科も万引きだったことからすれば常習性は認められやすいでしょう。
またAさんは、過去10年以内に、窃盗罪につき3回服役していることから(3)(4)の要件をみたしますので、Aさんは常習累犯窃盗罪に処せられる可能性が非常に高いといえます。
常習累犯窃盗罪の法定刑は?
法律3条では「前条の例に依る」とされています。
前条、すなわち法律2条を見ると、「窃盗を以て論ずべきときは3年以上の有期懲役に処す」とされていますから、常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」ということになります。
執行猶予付きの判決を受けるためには、「懲役3年以下」の判決の言い渡しを受けることが必要ですから、常習累犯窃盗罪に処せられると、基本的に実刑を覚悟しなければなりません。
しかし、法律上の減軽事由(刑法66条等)に当たる事情がある場合は、法定刑が減軽され、執行猶予付きの判決を獲得できるハードルを低めることはできます。
お困りの方は弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。
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アルバイト先での窃盗事件 警視庁板橋警察署に自首を検討
アルバイト先で、売上金抜き取る窃盗事件をおこして自首を検討しているケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇アルバイト先のレジから現金を抜き取った窃盗事件◇
大学生のAさんは、板橋区にあるビジネスホテルで清掃などのアルバイトをしています。
Aさんはアルバイト代では一人暮らしの生活費を賄うことができずお金に困っていました。
そうしたある日、Aさんはいつものようにアルバイトを終え、ホテルのフロントにタイムカードを押しにいったところ、レジの引き出しが半開きになっていたことに気づきました。
そこで、Aさんは、レジに入っていたホテルの売上金を手に取り、その場を立ち去りました。
Aさんは盗んだ売上金を生活費に使い果たしてしまいましたが、後になって盗んだことを後悔し、今では警視庁板橋警察署に自首しようかと考えています。
(フィクションです)
◇Aさんが問われ得る罪◇
Aさんが問われ得る罪としては、まず、窃盗罪が考えられます。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
ホテルの売上金は「他人の財物」、レジの中から売上金を抜き取る行為は「窃取」に当たることは明らかでしょう。
~窃盗罪ではなく横領罪には問われないでしょうか?~
横領罪は刑法252条に規定されています。
刑法252条
1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2項 (略)
刑法252条1項からすると、アルバイトの身であるAさんに売上金を「占有」しているかどうかですが、通常、アルバイトの方にはお店の売上金を管理(占有)する権限は認められていない思われます。
したがって、アルバイトの方にとって売上金は「自己の占有する他人の物」ではなく、まさに「他人の物」で、これを勝手に取れば横領罪でなく窃盗罪に問われるでしょう。
◇出頭しても「自首」に当たらない可能性がある◇
次に、自首について解説します。
自首とは、
①捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、
②犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し
③その処分を委ねる意思表示
のことです。
この要件を満たさない場合は「自首」として認めてもらえません。
つまり、Aさんが警視庁板橋警察署に出頭した時点で、すでにホテル側からの通報などによってAさんが犯人だ、と特定されていれば「自首」ではなく、単なる「出頭」扱いとなるわけです。
◇「自首」するメリット◇
自首の法律上の効果は、刑の減軽です。
しかし、自首したからといって必ずしも刑罰が減軽されるわけではありません。
刑罰が減刑されるかどうかはあくまで裁判官の判断に委ねられます(刑法42条1項)。
刑法42条1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
仮に減軽されると、窃盗罪の場合、懲役が5年以下に、罰金が25万円以下となります(実際の量刑はその範囲で決められます)。
自首の事実上の効果、あるいは「出頭」扱いとなった場合の効果としては、
・逮捕のリスクが減る(在宅のまま処理される可能性が高まる)
・量刑で有利となる
そして、逮捕のリスクが減ることで安心して日常生活を送ることができるということではないでしょうか?
ただし、自首、出頭は、自ら捜査機関に「私は罪を犯しました」と申告するようなものですから、逮捕のリスクもないわけではなく上記メリットが絶対的に約束されるものでもありません。
自首、出頭でお悩みの際は弁護士に相談する事をお勧めします。
◇刑事事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
自首するかどうかでお悩みの方は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
業務上横領罪で警視庁荒川警察署に刑事告訴されたら
業務上横領罪で警視庁荒川警察署に刑事告訴された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
東京都荒川区の建設会社に勤務するAさんは、5年ほど前から経理を担当しており、会社の帳簿や口座の管理など経理に関する業務の責任者をしています。
3年ほど前にFAXに手を出して多額の借金を背負ったAさんは、借金の返済に困り、会社の口座から不正に現金を引き下ろし借金の返済に充てました。
このような不正行為を繰り返していくうちに、これまでAさんが横領した額は総額で1000万円にも及んでいます。
そんな中、先月、税務署の調査が会社に入り、Aさんの横領行為の一部が会社に発覚してしまったのです。
今のところ、会社に発覚しているのは数十万円に留まっていますが、現在も調査が継続されており、今後、Aさんの不正全てが発覚するのも時間の問題となっています。
会社は、刑事告訴を検討しているらしく、Aさんは刑事事件に強い弁護士を探しています。(フィクションです。)
◇業務上横領罪◇
刑法第253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。(刑法抜粋)
業務上横領罪は、単純な横領罪(刑法第252条)の特別罪として位置付けられており、単純な横領事件と比べて法益侵害の範囲が広く、頻発のおそれが多いことから罰則規定が厳しく定められています。
◇業務上横領罪で逮捕される?◇
警察が捜査する業務上横領事件のほとんどは、会社等(被害者)からの告訴が端緒となります。
会社等(被害者)が警察に告訴するのは、弁償ができていない場合や横領額が高額に及んでいる場合などです。
警察が告訴を受理し捜査を開始した時点で、逃走や罪証隠滅のおそれがある場合は逮捕されることとなるでしょう。
◇業務上横領事件で示談◇
業務上横領事件は、会社等(被害者)と示談することによって、刑事事件化を防げたり、刑事罰を免れることができます。
会社等(被害者)との示談は、横領したお金を被害者(会社)に弁償できるかどうかに左右されます。
◇業務上横領罪の量刑◇
業務上横領罪で起訴された場合、その処分は、横領した金額や、被害者(会社)に弁償しているか、会社等(被害者)と示談しているか等によって変わってきます。
ただ今回の事件のように横領額が一千万円を超える場合は、弁償することも非常に困難でしょうし、仮に弁償できていたとして、会社等(被害者)が告訴した場合は、警察は捜査に乗り出すでしょう。
その場合は逮捕される可能性も考えられますし、起訴された場合は実刑判決もあり得ます。
一般的に、弁償できていない業務上横領事件ですと、横領額が100万円を超えれば実刑判決が言い渡される可能性が高くなると言われていますので、Aさんのように横領額が1000万円にも及ぶ場合は、相当思い刑事罰が予想されます。
◇業務上横領事件に強い弁護士◇
東京都荒川区の刑事事件でお困りの方、業務上横領事件が会社に発覚して刑事告訴される可能性のある方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部」の無料法律相談、初回接見サービスをご利用ください。
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