ひき逃げ事件で自首②
いわゆるひき逃げ事件を起こした場合に問題となる罪と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都多摩市在住のAは、多摩市内の会社に勤める会社員です。
Aは営業回りで多摩市内の路上を社用車で走行していたところ、突然飛び出してきた自転車乗車中のVと接触してしまい、Vは転倒してしまいました。
Aには交通違反での反則歴があり、この事件が発覚することで免許停止や取消などの行政処分になった場合には仕事が出来なくなると思い、通報などをせずにそのまま現場を離れました。
会社に戻ったAですが、社用車に傷が付いていることを同僚に指摘され、事件を打ち明けたところ、ひき逃げ事件になってしまうので自首をした方が良いと言われ、Aは同僚とともに多摩市内を管轄する多摩中央警察署に出頭することにしました。
しかし、自首の前に専門家に相談した方が良いのではないかと考え、刑事事件を専門とする弁護士にひき逃げ事件で問題となる罪と自首について、相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【人身事故について】
【ひき逃げについて】
御存じのとおり、ひき逃げとは、車両を運転していて前述のような人身事故を起こしてしまったにもかかわらず、被害者の救護活動をしたり安全な場所に移動させたりせずに、その場を立ち去る行為を指します。
ひき逃げ行為は、前述の過失運転致傷罪・同致死罪に加え、道路交通法の定める「救護義務違反」として処罰されます。
条文は以下のとおりです。
道路交通法72条1項 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
この義務に違反した場合には、以下のとおり刑事罰が科せられます。
・運転手が原因で発生した人身事故で被害者が死傷したが救護活動を行わなかった場合:10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法117条2項)
・上記以外で被害者が怪我をしていて救護活動を行わなかった場合:5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法117条1項)
・被害者が死傷していなかったとしても、安全な場所に移動させるなどの活動をしなかった場合:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1号)
特に、運転手が原因で発生した事故で死傷者が出ているにも拘わらず救護活動を行わずにひき逃げした場合、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金という厳しい刑事罰が科せられます。
なお、ひき逃げ事件の中には「人身事故直後に被害者に声掛けしたが、被害者が大丈夫だと言ったからその場を離れた」と主張する方も居られますが、たとえ被害者が大丈夫と回答した場合でも、救護義務を全うし、警察官に通報する(報告する)義務があります。
≪報告義務違反についてはこちらも併せて御覧ください。≫
【自首について】
≪次回のブログに続きます。≫
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、人身事故を起こしたのち必要な通報や救護を行わなかったひき逃げ事件を起こしてしまったが自首したいというご相談が少なからずあります。
東京都多摩市にて、人身事故を起こしたうえひき逃げ事件を起こしてしまい、自首を検討しているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。